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目下捜索中でございます。〜家電販売員編  作者: ユタカ
目下捜索中でございます〜シーズン2~

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30/30

意識のデプロイ、あるいは物理デバイスからの永久ログアウト

タナハシカメラの地下倉庫。そこには、数千万円の私財バグをすべて注ぎ込み、冷却ファンが咆哮を上げる巨大なサーバーラックと、怪しく光るカプセル型の**「全域電脳同期フルダイブターミナル」**が鎮座していました。

其の一:肉体という名のレガシー・ハードウェアの放棄

「(……いけない。肉体という物理デバイスは、空腹、疲労、老化という名の『経年劣化』が避けられない。これは長期的な管理運営において致命的な全損リスクだ。直ちに、私の誠実さをデジタル空間へ**アップロード(登記)**し、不滅のシステムとして再構築しなければならない)」

田所は全裸にガムテープという「最小構成のパッチ」のみを纏い、カプセルの中へと横たわりました。その手には、自らの意識を電子の海へ転送するための、純金製のLANケーブルが握られていました。

其の二:誠実さのパケット変換

「システム、イニシャライズ。……私の記憶、倫理、そして『誠実さ』という名のコア・プログラムをパケット化。現実世界をリードオンリー(読み取り専用)に設定し、電脳空間へダイブを開始いたします。……目下、自己データを全力で送信中であります」

「おい田所! 何やってんだ! 倉庫のブレーカーが落ちるだろ!」

駆けつけた貴島のドロップキックがカプセルに炸裂した瞬間、田所の肉体から魂という名のデータが完全にロスト。彼の物理的な意識は、電子の深淵へと**「ホールド(定着)」**されました。

其 三:異世界という名の「非構造化データベース」

目を開けると、そこは剣と魔法のファンタジー電脳世界。しかし、田所にとってはそこも一つの「在庫管理システム」に過ぎませんでした。

「(……全損だ。この世界の魔力マナの配分は極めて乱雑であり、魔王という名の『巨大なシステムバグ』がリソースを独占している。私は勇者としてではなく、この世界の**『最高管理責任者システム・アドミニストレーター』**として登記されました)」

田所は電脳化されたリコーダー(演算補助デバイス)を構え、襲いかかるドラゴンを指差しました。

「ドラゴンさん、静粛に。あなたの存在は現在、サーバーの容量を圧迫する『不要なキャッシュ』として検知されました。今すぐ、その座標を**デリート(消去)**させていただきます」

其 四:貴島の「物理的リカバリ不能」

現実世界のタナハシカメラでは、もはや抜け殻となった田所の肉体が、カプセルの中でポーカーフェイスのまま静止していました。

「田所! 戻ってこい! お前がいないと、レジの在庫データが誰にも合わねえんだよ!」

貴島がどれだけ肉体を揺さぶっても、田所の意識は1ギガピクセルの彼方。電脳世界の中で、彼は魔王城の扉をガムテープで封印しながら、空を見上げて呟いていました。

「……貴島さん、聞こえますか。私は今、電脳世界の魔王を**『不正なプロセス』として強制終了させるべく、目下、捜索スキャン中でございます。……あ、出口という名のポータルが、モラルの欠如により消失ロストしていますね。……再構築まで、しばらくホールド**してください」

今回のリザルト:田所の物理的存在および現実世界への帰還権限の全損

田所の意識は電脳世界の深淵へデプロイされ、現実世界には「誠実な表情の抜け殻」だけが残されました。長谷川店長は、田所の肉体に「現在、異世界へ出張中(目下、魔王をデバッグ中)」という看板を立て、泣きながら新しいバイトを募集する手続きを登記しました。

• 現実の田所: オフライン(永久ホールド)

• 電脳世界の田所: 勇者(システム管理者)として魔王を追跡中

• 数千万円の行方: 電気代とサーバー維持費として爆速で全損中

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