表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シオンの棺 ~魔導戦車に敵国の美少女を監禁した~  作者: 葉月双


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/33

28撃目 シオンの中は死ぬほど興奮する


 敵、対戦車ヘリはラクーク産の機体だ。

 よって、さほど性能はよくない。

 それに最新鋭でもない。


 世界基準で言うなら3世代前のものだ。

 データ照合をしたから間違いない。

 でも装備は割と多かったと思う。

 そんなことを考えながら、手動で照準を合わせる。


 オートロックを使ってもいいんだけど、それだと相手に気付かれるんだよね。

 それに、僕らが倒そうとしているレスカの戦車、ベゲモートはロックできない。

 僕より先に、対戦車ヘリがロケットを連続で発射。


 コトハが急制動をかけて、そのまま後進。

 ロケットは道に着弾して何度か爆発。

 コトハはシオンを交差点まで戻してから前進させ、交差点を右に曲がる。


「ちょっと!? 早く撃ちなさいよ!」

「分かってる。今狙ってるから」


 仰角が合わない。

 僕が戦車砲を向けているから、ちゃんとこっちの最大仰角に入らないよう高度を調整しているのだ。


 そんなわけで、また僕より先に対戦車ヘリが攻撃。

 今度は20ミリ機関砲。

 弾丸がシオンの装甲に当たって、カンカン音がしている。


「装甲がへこんじゃう!」


 コトハは悲痛な様子で言った。

 僕だってシオンの美しい装甲がベコベコになるのは嫌だ。

 てか、なんで機関砲撃ってんだよ。

 効かないと分かって、ヘリ2機は機関砲を撃つのを止めた。


 あれかな?

 ロケット躱されたから、こっちはどう?

 みたいなノリかな?

 よく分からない。

 と、対戦車ヘリが少し離れた。


 お、良い角度。

 こっちが戦車砲を向けただけでいつまでもロックしないから、撃たないと判断したのかな?


 戦車の現代戦において、ロックせずに撃つってことは、ほぼないしね。

 弾丸の誘導ではなく砲身の向きの自動調整だけど、それでも命中率は格段に上がる。

 敵対戦車ヘリが速度を落とし、ロケットを連続発射。

 命中率を上げるためにそうしたのだろう。

 でも。


 僕も狙いやすくなったんだよね!

 僕は戦車砲を発射。

 弾丸は徹甲弾を選択している。


 コトハがシオンを停めて魔導防壁を展開。

 ロケットが防壁に着弾し、爆発する。

 煙の向こうで、敵ヘリを一機撃墜したのが見えた。


「よしっ!」


 僕はガッツポーズをしたあと、急激に魔力を吸われる感じがして、一瞬意識が飛びそうになった。


「あ、これ……魔力の消費がキツいわ……」コトハも同じだったようで、辛そうに言う。「忘れてたわ……世代が古いから、魔力の効率が悪いのよね……」


 コトハが防壁を解除し、シオンを発進させる。

 魔導防壁は元から魔力の消費が激しいけど、これはキツい。

 2、3回使ったらもう魔力が尽きるんじゃない?


「クソ、いつか魔力機関をいいのに変えよう!」

「そうね! でも昔はみんなコレで戦ってたのよね……」


 コトハの言葉と同時に、残ったヘリが更にロケットを発射。

 シオンはすでに結構な速度に到達していて、ロケットは後方で連続的に道路を抉った。


「加速力えぐっ」と僕。

「軽量コンパクトボディの賜物ね」とコトハ。


 敵のヘリはロケットを撃ち尽くしたのか、僕らから離れた。


「どう思う?」僕が言う。「次はレスカのヘリ部隊が来たりする?」


「ないわね」


 言いながら、コトハはシオンを森に入れた。


「根拠は?」

「ニアだったら言うの? 味方だと思った軍曹と怪しい連れに、保存していた戦車を盗まれて、更にヘリも撃墜されました、助けてください、って」

「ああ、さすがに言わないか。自分たちで対処するね。身内のいざこざだし」

「でしょ?」

「まぁでも、更に追っ手は来るか……」

「だから一旦、森に入れたの」

「ナパーム使われない?」

「だから深くは入ってないでしょ?」


 ナパームを使われたら、普通に道路に戻ればいいだけの話。


「それにたぶん」コトハが言う。「裏切り者1人のために、自分たちの森を焼いたりしないわ」


「そっか。ナパーム使ったのはレスカか」

「そう。あれたぶん、弱めに抗議はしてると思うのよね」


 強く言えないのは小国の悲しいところ。

 まぁ、助けて貰っている状態だしね。

 ラクークはレスカの機嫌を損ねるわけにはいかない。

 ちなみに、シオンは小さい木をなぎ倒しながら進んでいるが、これは効率が悪い。

 それに太い木は避けなきゃいけない。


「一旦、偽装しましょう」


 コトハがシオンを停車させ、動力もオフラインにした。

 僕らは外に出て、草や枝、葉っぱを集めた。

 ジャミが楽しそうに走り回っている。

 で、僕たちは集めた草やら何やらを使ってシオンを偽装する。


 偽装が終わったところで、僕は水を生成して飲んだ。

 もちろん、コトハにも飲ませたし、ジャミにも与えた。

 で、僕らはシオンの中に戻った。


「夜に動きましょう。その方が見つかりにくいわ」

「賛成」


 シオンにはちゃんと非常食なども積まれていた。

 うーん、僕らを味方だと思ってたから手厚いね。


「これ、物資の補充しなくて良さそうだね」と僕。


「そうね。弾丸も潤沢だし、強いて言うならパワーユニットの予備が欲しいわね」

「じゃあ、一応予定通りに動こう」


 動力をオンラインにして、最低限の機能だけを選択して、他は切った。

 敵が近くにいたら探知できるように。

 そして敵からは探知し難いように。


 コトハは例のギャングたちから奪ったスマートデバイスで、ニュースを流した。

 どうやら、ニア共和国は国連に調停を頼むらしい。

 ラクークのコメンテーターが烈火の如く怒っている。


「侵略しておいて、ピンチになったら調停を頼むなど、プライドの欠片もない!!」


 だいたいそんな感じのことを、もっと汚い言葉で何度も繰り返している。


「そういや、僕らの方が先に仕掛けたんだったか」

「そうよ。まぁ、そっちが仕掛けなきゃ、こっちが仕掛けたわね。延々と挑発していたしね」


 ニアとラクークは絶望的に仲が悪かったのだ。

 どう転んでも戦争するしかない、って状態だった。

 まぁ、どうでもいいか。


 戦車に乗って戦えるなら、何でもいい。

 あぁ、僕は今、シオンに乗っている。

 そう思うと、かなり興奮した。

 僕はコトハをシートの背後から抱き締めた。


「何? 今するの?」


 言いながら、コトハが顔をこっちに向けたので、僕はキスをした。

 戦車の中って、本当興奮する!

 キスがかなり濃厚なので、コトハも興奮していると思う。

 間に偽装を挟んだけど、僕らはシオンで戦闘をしたのだ。

 そりゃ興奮もする。


「結婚しようよコトハ」


 僕は移動して、コトハの服を脱がせながら言った。

 ちなみに僕は本気で言った。


「冗談でしょ? いきなりそこまで飛ぶの?」


 コトハは僕の服を脱がせながら言った。

 ジャミは空気を読まずに少し吠えた。

 僕らがじゃれているので、羨ましかったのかもしれない。

 僕はジャミを手で制した。

 ジャミは少し寂しそうな声を出してから、大人しく丸まった。


「子供は何人欲しい?」と僕。

「いらないわ。私たぶん虐待する」とコトハ。


「そりゃ酷い。子供はナシにしよう」


 僕はそう言ったが、実際コトハが虐待するかは分からない。

 コトハはジャミだって嫌っているけど、攻撃はしていない。

 それに今は少し慣れた感じがするね。


 お互い服を脱ぎ終わって、さぁいざ出陣って感じの時に小さく警告音が鳴った。

 僕らは跳ねるようにお互いから離れた。

 敵が来たと思ったのだ。

 しかし、ディスプレイを確認すると、『スペシャル』と表示されている。


「何だこれ?」と僕。


「分からないわ」コトハが言う。「シオンは以前、訓練で使ったけれど、こんなの出たことない」


「起動させてみる?」

「どうかしら、自爆とかじゃないと思うけれど……」

「自爆なんて機能はどの戦車にもないよ」


 僕は知る限りのシオンに関する情報を思い浮かべたけれど、やはりスペシャルについては何も分からなかった。


「隠し機能、よね?」コトハが言う。「頭の中でマニュアルやら仕様書やらを確認したけど、こんな機能知らないわ」


「僕も同じようなこと、してた」僕が言う。「まぁ起動させてみよう。仮にそれで死んでも、まぁいいかな。シオンの中で裸のコトハと一緒なら」


「発見された時、酷く間抜けだけれどね」


 コトハは肩を竦めてから、スペシャルを起動させた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ