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シオンの棺 ~魔導戦車に敵国の美少女を監禁した~  作者: 葉月双


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23/33

23撃目 戦車が恋しい今日この頃


「かなり古いタイプのバイクね」


 コトハがクルーザータイプのバイクに跨がって言った。


「そうだね。化石燃料で動くやつだよね?」


 僕はコトハのタンデムシートに座った。


「メリットは大きな音で周囲を威嚇できるってことだけね」コトハが言う。「電気式なら静かでいいし、魔導二輪なら燃料代も充電も必要ないから安上がり」


「魔導二輪は初期投資が高すぎるよ」


 僕の国にも魔導二輪は売っている。

 でもまぁ、車体価格が高すぎる。

 そして悲しいことに、魔法使いの数は少ない。

 よって、あまり売れないので種類も少なく、結局高額になってしまう。

 大量生産品の方が基本的には安いのだ。


「そうね。長く乗るなら、って意味よ」


 コトハがエンジンをかけて、アクセルを回して空ぶかし。

 すごい音が周囲に響いた。

 ジャミは少し驚いたみたい。


「グラディウスよりうるさいなこれ」

「酷いわね。でも移動速度が上がるから、乗っていきましょう」

「運転できる?」


「……バカにしてるの?」コトハが振り返って言う。「それとも、ニア共和国の軍隊では車両の免許を取らないの?」


「いや、取るよ。でも免許取ったあと、乗る?」

「……乗ってないわね」

「だよね」


 僕らみたいな戦車バカは、休日も宿舎にいる。

 唯一の楽しみは戦車を磨くこと、みたいな。

 車やバイクでお出かけなんて、そんな普通の人間みたいなことはしない。


「まぁ、なんとか、なるでしょ」


 コトハがギアを切り替えて、バイクを発進させる。

 比較的ゆっくりと走った。

 ジャミが付いてこれるように、という配慮だ。

 なんだかんだ、ジャミのことを置いて行かないコトハは優しい。

 それはそれとして、僕はギュッとコトハに抱き付いた。


 落ちると困るからで、別に変な意図はない。

 コトハも特に何も言わなかった。

 しばらく走ったあと、コトハは大きな家の前でバイクを停めた。

 先に僕が降りてから、コトハも降りた。

 ジャミは少し疲れた様子だったので、僕は水を生成して与えた。


「この家にしましょう。外観綺麗だし、泥棒が入った様子もないし」

「そうだね。そこそこの金持ち、って感じの小綺麗さ。悪くない」


 僕らは裏の窓を割って家に侵入。

 そして一通り、家の中を見て回った。

 高級品はないけど、安物も少ない。

 まぁ普通よりちょっと裕福かな、って感じの内装。


 冷蔵庫に食べ物が入っていたけど、大半は賞味期限切れ。

 缶詰とか、期限の長い物を僕たちは食した。

 そしてリビングでテレビを付ける。

 僕、コトハ、ジャミはそこそこ柔らかくていい感じのソファに座っている。


 テレビではレスカ帝国参戦のニュースをやっていた。

 ニア共和国を国境付近まで押し返したことも。

 更に、レスカ帝国が多くの捕虜を交換する予定だという話。

 チラッと捕虜たちがテレビに映った。


「アナちゃんじゃない?」とコトハ。


 コトハが指さした先にいたのは、確かにイレアナだった。


「あのあと、降伏したんだね。賢明な判断だと思う。良かった」


 イレアナが生きていたことに、僕は少しホッとした。

 ついでに、イレアナを捕らえたのがラクークじゃなくてレスカだってことにも感謝。

 コトハも同じことを思ったみたい。


「ラクーク軍の捕虜だったら、きっと死んだ方がマシだったわね。レスカならまぁ、優しくはないけど、国連の準加盟国だから、なんだったかしら? 国際戦争条約? 守るでしょ」


 国連、正式名称は国際連邦。

 世界には国連加盟国、準加盟国、非加盟国の3種類の国がある。

 ニアとラクークは非加盟。

 レスカは準加盟。

 ちなみに準加盟というのは、国連が定めた国際法や条約を遵守するという意思表明。

 要するに、相互防衛の仲間にはならないけど、国際社会と仲良くやっていくよ、ということ。


「守らなかったら女帝が怒るもんね」と僕。


「国連の創始者にして、永遠の盟主。時間魔法で若さを保ち続けているババアね」


 そのババアは『調停者』なんて呼ばれている。

 色々な国の戦争を調停したからだ。


「たった1人で国を滅ぼせるレベルの戦闘能力って話だけど」僕が冗談っぽく言う。「どこまで本当なのやら」


「実にファンタジーな話だわね」コトハが肩を竦めた。「でも今ほど技術が進歩していなかった頃は、本当にそうだったらしいわよ」


「ああ、噂じゃ300年も生きてる正真正銘の魔女だっけ?」

「そうよ。時間魔法って凄いのね。私も時間属性だったら良かったのに」


 僕らはしばらく雑談に興じた。

 雑談に飽きたら、キスをした。

 キスに飽きたらその先へ。


「待って、シャワー浴びましょう」とコトハ。

「あ、そうだね。ごめん」と僕。


 コトハが先に立ち上がって、僕も続く。


「何? 一緒に入りたいの?」とコトハ。


 僕は頷いた。

 コトハ少し複雑な表情を浮かべてから「まぁいいわ」と言った。

 僕は心の中でガッツポーズ。

 それと同時に、複数の排気音が聞こえた。

 ああ、クソ、あの5人の仲間か?


 コトハと僕は窓に近寄り、壁に隠れながらカーテンを少しずらして外を見る。

 ちなみにリビングは2階なので、見下ろす形で連中が見えた。

 10人はいるな、と大雑把に確認したあと、僕はキチンと数えた。

 全部で12人。


「オラ出てこい!! ヤットのバイク盗みやがって! 探すのに苦労したぞガキども!」


 リーダーらしき大男が言った。

 仲間を殺されたことより、仲間のバイクを盗んだことに怒ってる?

 どうでもいいけど、バイクの持ち主の名前、ヤットなんだね。


「銃持ってる奴もいるわね」

「マジで? ラクークなのに?」

「裏ルートなら手に入るのよ。簡単ではないけれど」


 ここからの目測では、銃を持っているのは3人かな。


「返事しろコラ!! 死にたくなるまで犯して、そっからサンドバッグにして最後には殺してやっから出てこい!」


 リーダーが言うと、周囲も似たような野次を飛ばした。


「そんな怖いこと言ったら、出て行かないよね普通」と僕。


「まぁそうね。私なら優しく誘い出すわね」


 コトハが窓から離れたので、僕もそうした。


「家の中で戦いましょう。そうね、階段がいいんじゃない?」

「賛成。階段なら人数に制限をかけられる」


 この家の階段はそれほど広くない。

 成人男性なら1人ずつしか登れない。


「戦車があれば」コトハが言う。「全員、轢き潰してやるのに」


「だよね。僕もそう思ってたとこ」


 戦車砲は砲弾が勿体ないから、人間はキャタピラで挽肉にする方がいい。

 ああ、戦車の話をしたら戦車が恋しくなった。


「明日よ、明日、明日になれば、戦車が手に入るわ」


 僕の様子を察したのか、自分も同じ思いなのか、コトハが念じるように言った。

 僕は銃をホルスタから出して、弾丸等をチェック。

 コトハも同じことをした。


「できれば弾丸の節約をしたいけれど、そうも言ってられないわね」

「だね。水の玉は1人ずつしか使えないし、向こうも銃を持ってるし」


 僕らが階段の上で話していると、連中はご丁寧に玄関を蹴破って入った。


「なんで生真面目に玄関から入ったんだ?」と僕。

「知らないわ。余裕ぶってるんじゃないの?」とコトハ。


「オラ! ガキども! 覚悟しろよ!」リーダーが言う。「2人ともケツがすり切れるまで犯してやるからよぉ!」


「僕も犯されるのか……」

「そうみたいね」


 なんでこういうチンピラって、レイプすることしか頭にないんだ?

 犯して殴って殺すってのが、チンピラの矜持か何かなの?


「よっしゃ、行けてめぇら!」


 リーダーの合図で、チンピラたちが家中に散った。

 階段には4人。

 2階捜索組だね。

 4人が階段の真ん中ぐらいまで登ったところで、僕とコトハが階段に顔をだして、2人揃って発砲。


 家の中なので、銃の音が響いて大きい気がする。

 コトハが撃った弾丸と僕が撃った弾丸が、先頭の奴に命中。

 先頭の奴が転がり落ちて、後ろの3人も巻き込んだ。


「なんでロゼも撃ったの? 弾丸が勿体ないでしょ?」


 僕ら、戦車では連携バッチリだったけど、白兵戦では全然みたいだ。

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