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——放課後、教室
文化祭の企画を決めるため、クラスの有志が集まった。
黒板にはさまざまな案が書かれ、男女問わず意見が飛び交っている。
「演劇とかどう?小道具作るのも楽しそうだし」
「模擬店なら誰でも参加できるし、売り上げで競うのも面白いかも」
「それより、脱出ゲームなんてどう?頭使うし、盛り上がると思う」
男子だけでなく、女子も積極的に提案していた。
特に、クラスのまとめ役の一人である白石奈々は、熱心に話していた。
「模擬店なら衣装も準備できるし、盛り上がるよね!」
彼女は黒板の前で笑顔を見せる。
「そういや、去年の焼きそば屋が結構成功してたよな」
九条が思い出すように言った。
「それなら、今年はクレープと軽食の組み合わせとかどう?」
斎藤が提案すると、竹中六助が頷く。
「妥当なラインだな。客層も広いし、採算も取れる。」
白石はすぐに黒板に「クレープ&軽食」と書き、振り返る。
「じゃあ、決まり!あとは準備ね!」
俺はそれを見ながら、ただ静かに聞いていた。
企画が決まると、一気に準備が進んだ。
買い出し、装飾づくり、試作品の調理——どれも忙しく、にぎやかだった。
「ねえ、このテーブルクロス、どう?」
隣の席にいた小坂明日香が、デザインの候補を出してくる。
「派手すぎるんじゃないか?」
竹中が冷静に分析すると、白石が笑いながらフォローする。
「でも、華やかなほうが目を引くし、お店っぽくなるよね?」
俺は一枚のテーブルクロスを手に取り、ふと思った。
「……シンプルな色を選んだほうが、食べ物が映える。」
「なるほど!じゃあ、こっちの落ち着いた色にしよう!」
白石はすぐに決定し、次の準備へと進めていく。
一方試作チームは、調理に奮闘していた。
「俺、料理とかやったことないけど……これで合ってる?」
斎藤がクレープを焼きながらぼそっと呟く。
「焦がさなきゃ問題ない。」
俺は試作品を一口食べる。
「赤瀬が言うと、なんか正論すぎて笑えるな!」
佐藤が苦笑しながら肩を叩く。
「まあ、文化祭ってこうやって形になっていくのが楽しいよね!」
白石が明るく言い、全員が頷く。
こうして、クラス全員が力を合わせながら、文化祭に向けて準備が進んでいく。