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改訂版 アニマルな君たちは今日も戦うシリーズ

さぁちゃんとゆかいな仲間たち

作者: しゅうらい

むかしむかし、とある村にさぁちゃんと呼ばれる少年がいました。

 さぁちゃんは内気で、なかなか外で遊ばず、家の中にいることが多い子でした。

 そんなある日、一緒に暮らしている姉のハルが、寝こんでしまいます。

「うぅー……」

「お姉ちゃん、大丈夫?」

「うぅ、さぁちゃん、お願いがあるの」

「お願いって、なーに?」

「この地図に書いてある団子屋に行って、幻のきなこもちを買ってきてちょうだい……」

「きなこもちだね、わかった!」

 それからさぁちゃんは、お金を持って出かけていきました。

 歩いていると、前からさぁちゃんより小さい、猫の少年がやってきます。

「おい、あんた、どこに行くんだにゃ」

「この地図に書いてある、団子屋に行くんだよ」

 地図を見せてもらった猫の少年は、深いため息をつきました。

「あんた、そこに行くには『通せんぼのイグ』の所を通らないといけないにゃ」

「えっ、そうなんだ。どうしよう……」

「しかたない、俺がついていってやるにゃ!」

「君、小さいけど大丈夫なの?」

「任せろにゃ!」

「頼もしいね。君、名前は?」

「俺はマサだにゃ」

 そしてさぁちゃんは、マサを連れて歩いていきます。

 しばらく歩いていると、河原が見えてきました。

 そこでは、虎の少年が遊んでいました。

「おや、そこの人、どこに行かれるので?」

「ここに書いてある、団子屋に行くんだよ」

「ふむ、そこに行くのなら、『通せんぼのイグ』の所を通らなければなりませぬな」

「そんなに、有名な人なんだね」

「うむ、あの者には皆、困っておりましたぞ」

「僕、そこを通らないといけないのに……」

「よしっ、決めましたぞ!」

 さぁちゃんが俯いていると、虎の少年は強く頷きました。

「俺もついていきますぞ。ガオーッ!」

「本当? ありがとう!」

「なに、一度『通せんぼのイグ』という者と、手合わせしてみたかったのでござる」

「あぁ、そういうこと……それで、君の名前は?」

「ユキでござる。ガオーッ!」

 マサとユキを連れて、さぁちゃんはどんどん歩いていきます。

 すると、向こうからインコが飛んできました。

「ピーッ、あなたたちどこへ行くの?」

「この地図に書いてある、団子屋に行くんだよ」

「それなら、私が案内してあげる!」

「本当! ありがとう。それは助かるよ!」

「私はユミよ。よろしくね」

「案内するっていうなら、通せんぼのイグのところを行かなくてすむのかにゃ?」

「もちろんよ、任せて!」

 ユミはそう言うと、ピピピッと鳴きながら、前を飛んでいきます。

 さぁちゃんたちも、遅れないようについていきます。

 しかし、そのやり取りをこっそり見ている者がいました。

★★★

 ユミの案内は、森の中を歩くことでした。

「ほっ、本当に、こっちであっているの?」

「ピピッ、大丈夫、団子屋はもうすぐよ!」

 すると、目の前に大柄で翼の生えた男が通せんぼをしました。

「ちょっと、通れないじゃないか!」

「いや、こいつは『通せんぼのイグ』だにゃ!」

「ふっふっふ……」

「なんで、あなたがここに!」

「この者がおられるのは、別の場所であろう!」

「驚くのも当然さ。それはな……」

 通せんぼのイグは、ニヤリと笑います。

「近くでこっそり、お前たちの話を聞いていたんだよ」

「それで、先回りしたってこと?」

「そういうことだ。ここは通さないぞ!」

「そんなのダメだ!」

 さぁちゃんは、通せんぼのイグをまっすぐ見つめます。

 そして、強く言いました。

「皆を困らせること、したらダメだよ!」

「なんだと?」

「だから、おしおきだ。皆、やっちゃえーっ!」

 さぁちゃんのかけ声で、マサたちは通せんぼのイグにとびかかりました。

 マサは連打のネコパンチ、ユキは噛みつき、ユミはくちばしでつつきます。

「いたたたっ! まっ、参った参った、もうやめてくれ!」

 通せんぼのイグは、逃げるように飛んでいきました。

 そして、さぁちゃんたちは無事に団子屋につきました。

「すみません、幻のきなこもちをください!」

「おや、いらっしゃい。ちょっと待っててくれ」

 出てきたのは、犬耳の生えた青年でした。

「残りひとつだったから、買えてよかったな、少年」

「うわっ、おっきい!」

「それはそうさ。うちはすべてが巨大だからな」

 青年が持ってきたきなこもちは、さぁちゃんの顔くらいの大きさでした。

「ありがとうございます、これお金です」

 支払いを終えたさぁちゃんは、今度は安全な道で帰ります。

 しばらくして、家に帰りつきました。

「ただいま、お姉ちゃん!」

「あぁ、おかえり……遅かったねぇ」

「うん、いろいろあったから……」

「あら、その子たちはお友達?」

「うんっ! 案内とか助けてくれたりしたんだよ」

「そうなの……じゃぁ、皆でこのおもちを食べようね」

 それから、さぁちゃんたちは、皆で仲良くおもちを食べました。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

※この話に出てくるキャラの名前は、私の作品である

「改訂版 アニマルな君たちは今日も戦う」と同じですが、本編とは関係ありません。

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― 新着の感想 ―
きなこもち、美味しいですよね!
2025/01/13 14:11 退会済み
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