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女に乗せられて婚約破棄を宣言した結果。

 私は馬鹿みたいに口を半開きにして目を見開いていた。

「アンリエットがメルリーナに嫌がらせをしているのは知っている!!そんな女が自分の婚約者だなんて私は許せない!アンリエットとの婚約破棄を申し入れる!!」


 放課後、私の教室で婚約者のカルカイードから突然言い放たれた。

 私は大分経ってから言われたことの意味を理解することが出来た時には、私の友人達がカルカイードに色々言っていた。


「アンリエッタみたいなトロい子がそんな事できるわけ無いでしょう」とか「あんた真性のバカね。アンリにそんな事ができるのなら私達は苦労しないわよ!」等と言っているのが聞こえる。


 かばってくれている友人達がちょっと酷い。

 カルカイードより友人の言葉にダメージを受けている気がした。


 カルカイードは私の友人たちの言葉に何故か納得し始めて、メルリーナに「本当のところはどうなんだ」と詰め寄っていた。

 メルリーナはただ「カルカイードの気を引きたかったの」と言ってカルカイードにすがりついていた。

 カルカイードは嘘をつかれて不愉快そうにすがりつくメルリーナを振り払います。


 カルカイードが私に向かって「すまなかった」と言い出したので私は慌てた。

「婚約破棄了承いたしました」


 カルカイードは慌てて「メルリーナに騙されていただけだ」とか「婚約破棄はしたくない」とか言い出しましたが、私は教室の皆に「私は婚約破棄されましたよね?」と確認を取り、私はそれを了承したので婚約破棄は周知の事実になった。


 私はその日父へ婚約破棄されたことを伝えた。

 父は私の話を聞いてとても不愉快になったのか、直ぐにカルカイードの屋敷へと先触れを出して、父と私の二人で向かうことになった。


 カルカイードのご両親と話し合う。

「些細な行き違いだ。婚約破棄はしたくない」

「申し訳ありませんが、信用出来ない相手とは結婚など出来ません」

 長い話し合いの末、私が絶対譲らないと解ったのか婚約破棄の書類にサインをもらうことができた。


 

 婚約解消が出来たことで私は自由を謳歌していた。

 はっきり言ってカルカイードは婚約した当時から横柄で、私を小馬鹿にした態度が透けて見えていたので嫌いだったのだ。

 

 学園に私とカルカイードが婚約解消したと噂が回った。

 その日から知らない人からも声を掛けられるようになった。

 私はなんで自分がこんなに急に声を掛けられるのか解らなくて友人たちにどうなっているのか聞くことにした。


 私の見た目はブサイクとはいいませんが、特別可愛くもない平凡な容姿。成績も平凡。特筆すべき事項は何もありません。

 家格も伯爵家と中間で、長女ですが、兄がいるので家の後を継ぐこともありえない。

 友人は多いですが恋愛対象に見られたことは今まで一度もなかった。


 友人達が教えてくれたのは、私は現在婚約していない男どもにとって馬の前にぶら下げられた人参なのだと言われた。

 というのもここ数年、女性の数が男性より少ないらしい。

 急にモテモテになった私はうろたえた。


 カルカイードのような男は嫌だと伝えると友人たちが男子の良し悪しを教えてくれます。

 友人のイチオシは三人いました。

 スリファール、侯爵家だけど少し貧乏。性格は◎見た目は◯。

 ハイスカット、歴史ある伯爵家で性格は◎、見た目は◯。

 シュガット、お金はあるが子爵家で性格は◯、見た目は◎


「後は好みの問題よ」

 友人たちはそれ以上口出ししてはこなかった。

 声を掛けてくれる人達と交流しながら相手の良いところと悪いところを見定めるように努めた。


 ですが、私には皆いい人に見えてしまう。

 私は父に友人達のお勧めの話をして後は父に任せることにしました。

 婚約打診は二十通ほどきていて、友人達のお勧めの人達からも打診がありました。


 友人達のお勧めの三人と、二人だけで出かけてみてはどうかと言われて父は約束を取り付けてきた。

 三人と何度か繰り返して二人だけで交流を持っているといつの間にかハイスカットとの約束が多くなっていた。

 一緒にいて疲れないことが一番の理由だった。


 ハイスカットと昼食を一緒に取るようになり、三日に一度は友人達も一緒に出かけたりした。

 そんなふうに楽しく過ごしていて半年が過ぎた頃、二人だけで町に遊びに行った日に「アンリエッタが好きだ結婚して欲しい」とプロポーズされた。


 自分で思っていたよりも嬉しくて私は何も考えずに「はい」と答えていた。

 その日、一緒に私の屋敷へと来てくれて父に婚約の申込みをしてくれた。

 父は私の意思を確認した後、了承してくれた。


 大人同士の話し合いが行われ、伯爵家同士ということもあり元々ハイスカット側から婚約打診もあったのですんなりと婚約は整った。


 友人達に婚約が整ったと伝えると皆自分のことのように祝わってくれた。

 恥ずかしいけれど嬉しいという複雑な思いをしてしまった。



 学園の卒業パーティでハイスカットにエスコートされて入場する。

 嬉しいことに婚約してからもハイスカットの優しさは変わらなかった。

 友人達と一緒にダンスや食事、初めての軽いお酒をいただきながら楽しんでいると、カルカイードが一人で入場してきた。


 最近知ったのだけど、メルリーナには婚約者がいたらしい。

 メルリーナが少し年上の人にエスコートされて入場してきました。メルリーナは不服そうですが、エスコートしている男性はメルリーナを大切に思っているのが見ているだけで解るほどだった。

 メルリーナはカルカイードを見つけてカルカイードの下に行こうとして、エスコートの相手に止められている。


 パーティの中で婚約者を連れていない男性陣が固まっているのが見える。その中にカルカイードの姿があり、結局婚約者は見つけられなかったんだ。



 卒業パーティの帰り際、ハイスカットと二人でいるところにカルカイードが立ちはだかった。

 ハイスカットが私の一歩前に出て、私を守ってくれる位置に移動する。

 それだけで私は嬉しくなってしまう。


 カルカイードは口を開けては閉じることを何度か繰り返して「すまなかった。やり直したい」と言った。

「既に婚約者がいるので謝罪は受け取れますが、やり直すことは出来ません」

 カルカイードは私の答えは想定済みだったのか「悪かったな」と言って帰っていった。

 

 ハイスカットと一年ほどの婚約期間を楽しんで、結婚すると直ぐに子供が生まれた。

 ハイスカットは結婚しても子供が生まれても態度は変わらず、私と子供を大切にしてくれている。


 私はとっても幸せ。

 カルカイード、婚約破棄してくれて本当にありがとう!!

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