不細工二人
「あれ、警部。どこなんでしょう。ここは。もうすぐ住吉警察でしたよね。どの家も屋根が赤いですね」
「本当だな。もしかして我々は飛ばされたのかも知れない。マンダイさんやロードンさんの国に」
「えーっ、転送しちゃたんですか。早く帰りましょう」
「多分、無理かも知れない。でも、今日たまたま拳銃を持っていて助かった」
「どうしてですか」
「森山警視正、いや森山愛が魔王になっているんだ」
「拳銃でなんとかなるんですか」
「多分無理だろう」
西川隆史警部。28歳。若くして警部になった男だ。でも、ビジュアルはダイアンの津田に似ている。学生時代はブタゴリラと呼ばれ、そのあだ名はかなり可哀想だろうと学校でも問題になった。仕事はできるがかなり不細工なのである。でも、車の助手席に座っている女性、高橋かおり巡査長も署では西郷どんと言われている。異世界の人間がこんな感じと思われても仕方ない二人だったのだ。
「とりあえず、車を停めて聞いてみよう。言葉が通じるはずだ。あのすみません」
西川が街の人に声をかけると街の人は
「わ、何、これ、殺される、怪物だー」
と言って逃げていった。
日本とは違う異世界はポンを代表するように美形が主流なのだ。
愛も血を引いてるため美形である。
異世界には西郷どんのような顔はゴブリンだけである。
西川が車に戻ってくる。
「みんな逃げられた。怪物と間違われたみたい」
「じゃあ私が行きます」
高橋は自信を持って飛び出していった。
「私も逃げられました。うううう」
申し訳なさそうに帰ってくる高橋。
「どうしましょう」
「どうしよう」
と悩んでいたらサーカスのオーナーみたいな男性がやってきた。
「どうも。私たちは変な生き物を見せる商売です。良かったら来ていただけませんか」
西川と高橋が顔を見渡した。
「やっぱり、俺らって」
「コンパすら誘われたことがありませんわ」
「俺、姪っ子に泣かれた」
「私も似たようなものです」
二人は異世界に来たショックと自分への悲しみが最高潮になり、男についていくことにした。
男は二人を連れて街の中の体育館に行く。
「この街は助かったんですよ。あの魔王の進行通路から逃れていて。でも、クイの方から国境を越えてたくさんの人が逃げて来ています。王も王子も食べられたようです。こうなればあいつのお腹の中で爆発してやりたいですが。うーん、ぞういう勇気もないです」
「元部下でもすぐ食べられるでしょうか」
「元部下って何ですか」
「魔王の手下だったんです」
「多分、殺されますね」
「それなら僕が爆弾を持って飲み込まれます」
「あなたにできますか。その前に人前に出てください」
西川と高橋はショーみたいなことをやらされた。
ショーと言っても両手を上に上げるだけだ。
観客はそれを見てすごく気味悪がっている。
「高橋、俺、森山のところ行ってあいつの中で爆発するわ。お前はここで見世物になれ」
「嫌です。醜い魔物になりたくありません。私も死にます」
二人はサーカスのオーナーみたいな男に爆薬のようなものをもらった。
「これは水の中でも爆発します。ここをこうして爆発です」
「ありがとうございます。無事に殺してきます」
「移動は大丈夫ですか」
「たまたまガソリン、満タンに近かったんです。途中で停まったら歩きます。地図みたいなのももらいましたし」
「すみません。この世界をお願いします」
二人は愛のいるクイに向かった。




