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大阪はすでに異世界  作者: タニコロ
30/35

愛、二つの国を制覇する

姫がキッコを見つめた。

「食べられなかったぞ。ギリギリでこっちに来たんじゃ」

「そうなのか。ま、どっちでもいいけど。なぁ、姉ちゃん、愛ってどんなやつだ。俺の見る限り最悪の魔王だったぞ」

とキッコが言うとパルルがカキを押し出してきて

「本当の魔王はこんなんだからな」

カキがキッコに抱きつき顔を舐めつける。

「可愛い男の子。私を奥さんにして」

「あわわわ。何これ。本当に魔王カキ?」

「あははは。カキさんはこっちに来て変わったのよ。いや、こっちが本性かな」

パルルが笑って言った。

「キッコくん、カキちゃん本気よ。29の女は怖いわ」

オグリがいうとカキがまたキッコの顔を舐めた。

「いいでしょ。あなた」

カキがキッコに擦り寄る。

「いいんじゃないか。カ行同士で。あはははは」

と誠が笑った。パルルも

「カキ様が私の妹になるんだ。グフフ」

と不気味に笑った。

キッコはこちらの世界でも不幸になりそうだ。


翌日、姫様が真美に連れられて伊丹空港に来ていた。

「おとなしくしといてね。お兄ちゃんに飛行機乗せたってって言われたから、しゃあないけど。あなたと同い年くらいの女の子が案内してくれるわ。ああ、今日はポンが休みでよかった。ごめんね。公子」

「大丈夫だ。おとなしくしてるのじゃ。飛行機って何だ」

「空そ飛ぶの。ほら、あれ」

真美は滑走路を飛び立つ飛行機を指差した。

「どえええ。モノが飛んでる。嘘だ、嘘嘘」

「今見たでしょ。あれに乗るの」

「私、殺されるのか」

「死なないわよ。さぁ行くわよ」

「やっぱり真美は愛の妹だ」

「あんなヤツと一緒にしないで」

真美は姫をギロッと睨んだ。

一方、姉は一人で馬車に乗ってデジックの隣の国、ツツルを目指していた。デジックはアメリカの2倍くらいの大きさで南端に首都ヤバがある。そこから国境を越えて少し行った所にツツルの首都クイがある。国境の関門はさっき愛が消し去った。すでにクイには連絡が入っている。

「国王様。デジックの王を倒したという魔王がこちらに来ます。お逃げください。デジックの王は頭からかじられたそうです。あの魔王は少しおかしくてあの魔族を絶滅させたそうです」

「何ぃ。イア逃げるぞ」

「お父様。私はその化物が見たくなりました。こちらに隠れてやばくなったら逃げます。待っててください」

「イア。大丈夫だな。大丈夫でいてくれ」

と王が言った瞬間、上から大きく長い手が伸びてきた。

「これが王か。ちょっと大きくなりすぎて疲れちゃった。いただきます」

と言って頭からゴリゴリと食べた。

愛は500mほどの大きさになり、走ってクイに来たのだ。

「あっ、こいつらも食べなきゃ。体力回復っと」

愛は召使い達も掴んで5人いっぺんに食べた。それを見てイアが恐怖で立ち尽くす。

「あれ、何? むちゃ男前やん。ちょっとちょっと。亭主になって」

愛は元の大きさに戻った。走ってイアの所に行くと

「あんたいくつや」

「19です」

震えながらイアが答える。

「ええやん。若いけど、大丈夫やん。名前は」

「イアで、です」

震えは止まらなかった。

「嘘、愛の逆でイア。これ運命やん。じゃあチュウ」

愛がイアの唇を奪った。

「結婚成立な。今私素っ裸やからこのまま大人の時間や」

イアは引っ張られて長いソファに連れて行かれた。

「王子様」

侍女が心配そうに叫ぶ。

「うるさいなぁ」

愛は魔法で侍女を小さくして壁に投げつけた。ポテンと落ちて

「はい、ポチ、エサ」

というとレッサーウルフがやってきてパクッと食べた。

愛は移動中にレッサーウルフを手なづけていたのである。

「あ、まだ食べたい? じゃああっちにいる人、みんな小さくなれ」

「あ、ワララ」

とイアが叫んだ。

愛はそのワララを掴んで又を開いて

「何、恋人なの。じゃあ私と一心同体だ。それとも半分食べる」

とワララを引き裂いた。

「食べないんだ。おいしいのに。あ~おいしかった。そうか恋人だったのか。あなたの。じゃあせっかく亭主になれたのに私邪魔ね。あそこで一緒になりなさい」

イアを小さくして

「失恋よ。ありがとう」

と口の中に入れた。

「若い男はおいしいわ。でも、食べたらなくなっちゃう。増やさなきゃ」

愛は急増計画を立てた。人間の

「若い女1000人と、そうね男200人を集めなさい。すぐに」

「ははあ」

愛にはクイのお城にいた従者がついている。おどしてお手伝いに付けたのだ。そしてお城に1200人が集まった。

「今からあなた達は子供を作りなさい。4ケ月待つわ。出来なかたらあなた達を食べるわ」

と言って愛は従者を小さくして食べた。

「こうなりたくなかったら今すぐ子供を作りなさい」

そして愛は目をつけていた従者を呼び付け

「私を妊娠させなさい」

とおどした。愛は自分の後継者がほしかったのである。


一方東京では公子が真美を迎えに来ていた。

「わー真美ちゃん、久しぶり。で、その隣でしおれてるのが姫?」

「そうなの。死んでるの。あははは。公子ちゃんお願いね」

「わかった。人の少ないところ連れてくよ」

「私は仕事だけど夕方には終わるわ」

「じゃあポンとご飯行きましょう」

「うん、それじゃ夜に」

公子はまず京橋に姫を連れて行った。


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