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大阪はすでに異世界  作者: タニコロ
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異世界人、プロ入りする

シャリアは5人の巨人を連れて帝塚山の家に帰って来た。シャリアは今まで心斎橋の美々のマンションに住んでいたが、誠と結婚してから帝塚山の誠の家に引っ越してきていた。心斎橋も賑やかで良かったが、何もない帝塚山も好きだったのである。

シャリアを誠のお母さんが迎えてくれた。

「おかえり。シャリちゃん。うわっみんなバスケット選手? 大きいなぁ。誠は?」

「なんか仕事みたいで」

「あらら。ええお肉もらってきたのに。ほな、先食べよか。ってこの女の子らもいるんか。競争やな」

誠の家は帝塚山の広い敷地に2軒建つ家の片方だ。両親の家は日本家屋で誠の家は斬新な鉄筋コンクリートだ。大まかな設計は誠自身がした。台所は立派なものがあるが、基本的に両親の家に食べに行っている。まだ、2日目だが結婚してからもシャリアと一緒に行っている。両親の家は非常に大きく巨人たちは両親の家に泊めてもらうことにした。

「シャリアちゃん、かわいいねぇ」

実は誠たちにはもう一人妹がいた。よく3姉弟と言われるが、同じ学年の3人のことで本当は4姉弟だ。父親の会社で働いている。食品メーカーの2代目だ。名前は真美という。京大卒の優秀な人間だ。33歳である。この家は誠以外、誰も結婚していない。

「ねぇシャリア、あの人らって元巨人なの。大きくなれへんの」

「一週間は大丈夫だよ」

「ほんま。あのな、ウチの会社のサッカーチーム、最近一部に昇格してんけど。あ、ウチの会社じゃなくて西田辺のチームな。で、あの子ら巨体やからチームはいられへんかな、と思って」

「ええんちゃうかな。ファン、大丈夫」

「よくわからないけど大丈夫ですよ」

「いい加減さでは優秀ね」

とシャリアは真美にビデオを見せるように頼んだ。

「じゃあ、バスさん、ファンさん、テンさん、えーとデスさん、バルさん。お願いね」

と真美が5人にお願いした。

その時、愛がガンダムのプラモを2つ抱えて家に入ってきた。

「おねぇちゃん、またガンダム。あれ、同じ箱が2つ」

「いいでしょ。1箱はお店に飾る用で1箱は私の」

と愛が言うと後ろから母親が

「もう、あんた、そんなんばっかりやってるから結婚出来へんねんで」

と言うと真美が

「そうや。お姉ちゃんは一生独身や」

と笑うと

「あんたもや」

と母親が言った。巨人たちは何の話か分からずきょとんとしている。

「あはははは。独身姉妹だ」

とシャリアが笑う。

「おほほほほ」

と母親が笑う。シャリアと母親は気持ちが合うのだ。

「なぁ、姉ちゃん、巨人さんたちにウチのチーム入ってもらうで」

「え、森山食品キッカーズに?」

「名前、変わったわ。あべのキッカーズやで」

「え、区名で全国リーグ? 大阪じゃなくて」

「区名に決めてん。西田辺でもよかってんけど、田辺って和歌山にあるし」

「胸のスポンサーは森山食品?」

「社名変わったよ。ウッドフーズ」

「ややこしい。変名前。森山だからウッド? あっ、イメージCM変わってないよね。ガクト」

「変えたわよ。社長のバカな娘が決めたガクトって。社員から陰口叩かれてるわよ。社長の娘はわがままだって」

「キーッ」

「すぐキーッとなる。それで警察よくやってるわ」

「うるさいわねぇ。今度、ウッドフーズに強盗入っても助けてやらない」

「強盗なんて入らないわよ」

「ねぇ、パパ。いえ、社長、ガクトに会わせて」

と愛は父親にすり寄る。

「見た、シャリアちゃん、あれがあなたのおねぇちゃんなのよ。わがままで甘えん坊で偉そう。気を付けなさいよ」

「うん。ちょっと注意する。確かにわがままだ。あと、作りかけのプラモは絶対に触らない」

シャリアは以前、愛の作りかけのプラモを触って無茶苦茶怒られたことがあるのだ。

「何か問題があったら真美に言う」

「よろしくね。お姉ちゃん」

「あ、私、お姉ちゃんなんだ。真美、肉をとれ。あはははははは」

巨人たちには肉が足りないだろうと、母親がピザとすしを出前で取ってくれた。

愛がシャリアのところにやってきて

「今、誠と一心同体なんでしょ。次は私も一心同体になりたいなぁ」

と誠をせがみだしてきた。

「お姉ちゃん、夫は渡せません。ずっと、私の中にいます」

と断ってきた。

「じゃあ、公子を小さくして」

「公子は明後日からポンと熊本よ」

「あ、そうか撮影か。じゃあ、シャリア、NGKのチケットあげるから1回」

「もうしゃあないなぁ」

「だって、かわいい弟だから。一緒にいたいじゃん?」

真美が話に入ってきた。

「何の話? お兄ちゃんとお姉ちゃん? 気持ち悪いわよ。大学時代も一緒にお風呂入ってた」

「うそ。日本人って、7歳ぐらいで恥ずかしがるんじゃないの」

「双子だから一切抵抗なかったよ」

「気持ち悪っ」

と真美は自分の部屋に戻って行った。

「明日の朝までに誠でるんだったら私シャリアと寝る」

と愛。巨人に部屋を割り当てさっさと誠の家に帰って行った。

「シャリアさん、なんか面倒くさそうね。よくわからないけど、わかります」

「うっとうしい義姉がもう一人いるのよ。あはははは。明日、よろしく頼むね。キッカーズ」

と言ってシャリアも誠の家に帰って行った。


翌日、シャリアの中にいた誠はもう愛の中にいる。

「ああ、この感じ。この感じ」

「誠は愛の中は汚いって言ってたよ」

「いいじゃん。双子だから」

「いや、一回病院行けって」

「はいはい、落ち着いたら行ってきます。それじゃ今日よろしくね」

愛は仮の府警庁舎に出て行った。シャリアは真美に地図をもらってグランドに行く。

総合医療センターという病院の隣にあるグランドだ。

本拠地はあべのハルカス裏に新しく建築中だ。かなり立ち退きをしてもらって建てている。女子チームとしてはかなりお金をかけている。

「あ、ウチから一直線だ。歩いて行ったら15分かな。歩いて行こ」

と、ゆっくり歩いてグランドまで行った。

グランドに着くと全員が驚いている。5人は一回りも二回りもデカいのだ。

「監督、変則スリーバックにしたら行けるかも知れませんよ」

「フォワードにもほしいな」

と監督とコーチが話し合っている。

「はいはい。こっちね。これがボールっていうヤツ。手を使わないであのゴールに入れたり待ったりするの」

とシャリアがリフティングしながら教えた。そしてドリブルのようなことをしてセンターラインからゴールに向けて蹴った。ズバンときまるゴール。

「あれ、誰」

と監督たちが騒ぎ出す。

「どうやら説明係みたいです。彼女たちを案内する」

「えっあんなうまい子が」

と監督が走って行った。

「こんにちわ。もしよかったらあなたもやらないですか」

「えっ私も」

「今のところ、一番上手いのはあなたです」

「えええ」

「ウチのチームでやってくれませんか。10番まだ空いてるのであなたにあげます」

「えええ。10番って何」

「給料も出せるだけ出しますよ。毎月1000万円は」

「え、1000万ももらえるんですか」

とシャリアが驚いていると真美が走ってやってきて

「監督。お疲れ様です。巨人どうですか」

「巨人もすごいけど、この人もすごい」

とシャリアを指さした。

「え、姉ですか」

「姉? 森山さんの。ということは社長の娘。えーっ」

「ウチの兄の奥さんなんです」

「森山さん、お姉さんに入ってもらえませんか。ウッドフードにとってもすごくプラスになりますよ」

「うーん、シャリアちゃん、入ってくれる」

「わかった」

こうしてシャリアはあべのキッカーズに入った。




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