もう二人の巨人
なにわ筋に警察の車が来てくれるので愛は小走りしていた。
警察の車が来る。全然知らない人だ。
「ありがとう」
と一言だけ言い愛は後ろの席に乗り込む。
ずっと黙り込んでいる。
現場の住吉公園までずっと黙っている。
着いた。
目の前に西川警部がいる。
ダッシュで走って彼の後頭部をズバッと叩いた。
「あ~しんどかった」
「どうしたんですか」
「若い子運転してたからクールにだまっててん」
「無駄ですよ。若い子らから何て言われてるか知ってます?」
「クールビューティー?」
「宴会警視正です」
愛は西川を見つめ、もう一度後頭部を叩いた。
「それより事件っすよ。巨人が2体、猫ちゃん人間が2匹です。匹でいいかな」
「で、住吉公園まで仲良く歩きだして猫ちゃんがブランコで遊んでると。そのブランコを巨人が動かしてると」
「はい。どうしましょう」
「あれ、乗りたいけど巨人に押され過ぎたら住之江まで飛んで行きそうね。じゃあ行ってくるわ」
愛は巨人の方向に走って行った。
「すみません。ここ異世界なんです。でジックと全然違う世界なんです。ファンさんいるのでそこに行きませんか」
「え、ファンさんいるんですか。何で。もし良かったらここでお客さん取れませんか」
「あなたたちは?」
「娼婦です」
「えっ」
愛はビビった。あのサイズで男の人をどう扱うんだろう。
「私はピークです。ここでそれは許されません」
巨人と猫耳はピークと聞いて動きを止めた。
ポンからもしもの時のために向こうの世界の警察を聞いておいたのだ。
「じゃあ、あなたたちは車に乗ってもらえる。あっち」
と猫耳たちに指示を出した。猫耳たちは日本橋に送るのだ。
「巨人ちゃんたちは歩いてね。こっちの道を気をつけて。高速はギリアウトか。ごめん。あそこはくぐって。はいはい。こっちね」
と、覆面パトカーで誘導して加賀屋の緑木まで連れて行った。
「ここにファンが来るから待ってて。娼婦とか関係ないじゃない。私たちからしたら、ファンもあなたも一緒よ」
と愛は言い、その後シャリアを誠に連れて来てもらった。
二人はおととい元の大きさに戻っている。
「シャリア、詳しく話聞いたげて」
「わかった」
とシャリアは面倒臭そうに答える。
「あ、あの二人娼婦やねんて」
「うそ。ならソープランドしよ。儲かるで」
「あほ。こっちは警察や。変なこと言うなよ」
「はーい」
シャリアは巨人の方に走って行った。




