表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大阪はすでに異世界  作者: タニコロ
18/35

みんな異世界人だった

「なんかおいしかったわ」

と三原が言う。

「そうですよね」

と公子が答える。

「あれ」

とバンダイは疑問符を投げかけた。

「実は小人を飲み込むというのはあっちの世界の特殊能力でこっちの世界の人間がしたら恐らくむせちゃうかも」

と自分の考えを言ったら

「私のお母さん、違う世界の人だよ」

と公子が言った。

「えーっ」

と三原が驚く。

「明治の初めに1000人くらい来てんて。あっちの世界の人間、みんなきれいやからモテてんて」

「えーっ。で、みんなどうなったん」

「なんか理解者みたいな社長がいて、働くとこと家紹介してくれてん。みんな自分の生まれた場所を文字って名前付けてたわ。モーリヤが森山とか。あ、三原さんもおったで。ミハールを文字って。ちなみに私はお母さんにキミーコって呼ばれてる」

「うそ。もしかして異世界人は普通に馴染んでるってこと。小人をすんなり飲み込めたってことは、私も守山姉妹も異世界人の子孫」

と三原が震えながら言った。

「たぶんそうでしょうね。美々さんも美々さんのひいおじいさんも商売の仕方が異世界だわ」

とポンが言った。

「私ら以外にもいっぱいおるんやんな」

「大阪だけで3000人ぐらいはいるかも」

「そうなんだ。私が異世界人なんだ」

「混血のね」

とポン。シャリアと誠の結婚が自然に決まったのもDNAが関係しているような気がした。

「美々に言わなくちゃ」

と三原が電話を取った。

「待って。夕方には愛ちゃんが来るよ」

「いやこういうのは長女に。あ。呼ぶわ。夕方来るように」

「同時に言った方がいいかもね」

とポンが言った。

「小人を食べられるから異世界人なんて。森山家と仲がいいのも何か縁があるのかしら」

「親戚かもね」

部屋の奥の方からマンダイが

「ねぇ、これ味見して」

と裏からシュークリームみたいなものを持ってやって来た。

「何これ」

とポンが不安そうに持つ。

「何でしょう」

と笑う三原。

「食べて当てろってことね」

とポンが一口、二口噛みしめる。

「何これ。食べたことある。か、カレーって料理?」

「正解。シュークリームとカレーパンを食べたマンダイが考えたの。私、今食べたら中の二人ビビるかな。ええい食べちゃえ」

この不思議なシューカレーはとてもおいしかった。クリームカレーとシューの生地に秘密があるのだ。

「また、当たるねー」

と上機嫌の三原。

「あ、美々に電話だ。忘れてた」

電話で特別な用事があるからすぐ来いと伝えた。ついでに二人が好きなアイドルの下敷きをあげると言ったら美々はそちらの方に反応した。


夕方6時30分、愛が三原の店にやってきた。そしてすぐ美々が現れた。

「あんたらやっぱり姉妹やなあ」

と三原が驚きの声をかける。

「あっ、ちょっと待って出るわ」

と三原がトイレに走っていった。

「あんたらにも聞いてほしい話やからここにいて」

と小人二人に言うと

「何でもいいから食べさせろ」

とシャリアが叫んだ。

「しゃあないな」

と三原が二人の前にデンとたこ焼きを置いた。

「ぬるめやでー」

と三原が笑って見ていると美々が怒り出した。

「話って何よ」

「あ、忘れてた。まず、公子ちゃんハーフやねんて」

「何人の」

「異世界人」

「えっ、何で」

「明治初期に1000人ぐらい来てんて」

「うそ、そんな昔に」

「で、小人を食べれるのは異世界人の体質のおかげやって。私も美々も愛も公子ちゃんも食べれた」

「普通の人は」

「恐らく咳き込むだろうって」

「え、すんなり飲み込んだよ」

「だから。で、森山とか三原って名乗った人いるねんて。モーリヤとミハールから来た人が」

「え、だから、私ら子孫てこと」

「誠がすんなりロンドを受け入れたのもDNAね」

「うそ」

「あなたのひいおじいさんの商売もあなたの商売も向こうの世界の匂いがするわ」

だまりこむ二人。その隣で

「うふっ」

と言ってマンダイが二人を飲み込んだ。

「だって気持ちいいんだもん。みんなもそうでしょ。ポン、次食べる」

「食べる」

二人が笑い合ってると美々も

「私も食べる」

と言い出した。

「私も」

と後ろで愛も叫んでいる。小人を体の中に入れるのは向こうの世界でも大人気なのだ。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ