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大阪はすでに異世界  作者: タニコロ
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二組目の結婚

堺浜で事件が起こっていた頃、御堂筋線に乗っている愛に連絡があった。

「うわ、ごめん、電車の中で電話がなったわ。あれ、本庁?」

愛が公子とポンを引っ張って淀屋橋駅で降り、電話をとった。

「何、事件? 今日休みなのよ。えっ消えた? わかった。今から行く。車の方が早いかな。ごめん、淀屋橋回って。詳しくはあとで」

と電話を切った。公子とポンに向かって

「ごめん。今、追いかけてることがあって。っていうか異世界人の移動のことだけどね。あれ、等価交換みたいなの」

「等価交換って」

「鋼の錬金術師」

「えっ錬金術」

「ごめん、全然違うわ。一人来たら一人消えるってこと。それを等価交換って勝手に言ってるの。もしかしたら、あなたたちが一人こっちに来たらこっちの人間が一人消えるかもって勝手に考えてるの」

「私も?」

公子が自分を指差した。

「そうだったらややこしいわねぇ」

と愛は二人を連れ、改札を出て御堂筋に上がった。

ここを歩いていると警部の車が来るのだ。

「森山警視正。お願いします」

すぐ車が来た。

「ごめん。ウチの連れ粉浜で下ろしてくれる。26号線の近商前でええわ。本当にごめんねぇ」

「美衣、26号線からならケイコのお店に行けるわね」

「うん。近商には何度か行ってるし」

とポン。

「私のスマホは。スマホ、スマホ」

公子が騒ぎ出した。

「ごめん。また今度にして。ごめん。三原のおばちゃんにたこ焼きたべさせてもらい」

「愛ちゃんがケイコをおばちゃんって言ってたって言っときます」

とポンが笑った。

「警視正のお連れさん、むちゃ美人ですね」

とハンドルを握る西川警部が言った。

「そうでしょ。女優さんよ」

「えっ。そうなんですか」

「そうよ。今度の映画の主演よ。あれ、主演だったかな」

ポンがよろしくと西川の顔を見つめて頭を下げると西川の顔は真っ赤になった。

「と、ところで、森山警視正、き、今日の事件ですが、撮影中に突然カメラマンがきえたそうです」

「これまたカメラマンが消えるって。みんなに見られてる人が」

「あのう東京にはどう説明するんでしょう」

「漫画だからね。人が消えるって。大学教授に適当なことを言ってもらって立証するしかないでしょう」

愛は心の中では全て異世界人のおかげなのにと思っていた。

車は近商前に着く。

「大丈夫? ここら歩いて行ける?」

「大丈夫です。あそこのかつやにも行ったことがあります」

とポン。

「大丈夫みたいね。公子をよろしく。お腹の中に弟もいるから。あっ、夕方には迎えに行くからそこからスマホ行けるでしょ」

「はい。大丈夫です。いってらっしゃい」

ポンと公子は商店街に向けて歩き始めた。公子にとっては何もない粉浜でも斬新だった。

「あ、たまに車飛び出てくるから気を付けてね」

とポンは母親のように公子の手を引く。第三者から見たらめったに見れない美人姉妹のようだった。

「こんにちわ。預かってください」

と三原の店の前で冗談のようにポンが言った。

「あらポン。どうしたの。あ、公子ちゃんね」

「愛ちゃんが事件起きて連れていかれるので、私ら粉浜で降りて、待っててって。向こうの方行ったよ」

「えっ、大和川かな。愛が動くということは大きい事件かな」

「ごめん、夕方まで預かってって」

「ええよ。奥で座っとき」

「あと、洗面器ある? 公子から出るかも知れないから」

「えっ何?」

「誠とシャリア」

「えっ、今、公子ちゃんの中にいるの」

と驚いた様子の三原。

「じゃあ、次、私に」

とマンダイ。

実は腸に人を入れると言うことはそれだけで活性化作用があるようだ。

「わかった」

とすんなり答える公子。

「愛ちゃんに甘いもんつけられて飲み込む時甘かったよ」

「愛は何をしたかったんだろう。でも、そんなに気持ちがいいなら私も予約」

と三原がマンダイの方に向かって言うとマンダイは手をまっすぐ伸ばし、親指を立てた。

ポンがお店を見まわして三原に聞く。

「ところでこのお店、花屋さんじゃなくなったの」

「うん。外はたこ焼き屋だけど、中は研究室なのよ。Tシャツだけ先に作ったわ。社員も私とマンダイとロードンの3人よ」

「親子社員ね」

「今日、撮影に行ってるわ」

「あ、シャリアの代行ね」

「あれ、もう帰って来たみたい。早いわね」

と大介とロードンが帰って来た。

「あ、おねえちゃん。僕、ロードンと結婚する」

と大介はいきなりしゃべりだした。

「あれ、ロードンって。あんたどこまで知ってるん」

「全部、ロードンに聞いた。年齢も。あと、お母さんのことも」

「えっ、えーつ」

三原は隠していたことがばれたことと大介が結婚という言葉を使ったことに驚いて立ち尽くす。大介は店の奥に進んで行って

「お母さん」

と叫んだ。

マンダイがうれしそうに振り向く

「もしかして、もしかして」

と駆け寄るマンダイ。

「お母さん。僕たち結婚します」

と大介が言うと、マンダイは二人の手を取り合ってその場で飛び跳ねた。

24歳くらいの女性が娘の結婚を喜んではしゃいでるのだ。ある意味、異様な光景だ。

「大介、いいの。ロードンちゃん、老けるの遅いよ。マンダイより早いけど」

「大丈夫。ロードンはロードンだから老けるの早いより老けない方がいいよ」

「よく言ったわ。大介。今日からあなたは私の息子よ」

どう見ても年下に見える女性が、年上の男性に向かって息子と言っている。異様な光景だ。

「よし、大介。お姉ちゃん、2億出すからそれでマンション買いなさい。私らも住めるタイプの。あ、4億まで大丈夫よ。2部屋借りてもいいわ。もう、万代池の家は売る」

「太っ腹だなぁ」

「せっかくお金もあるし、使わないと」

「じゃあ探す。どこがいい」

「粉浜に通いやすいところ。あ、でも引っ越したら店たたんでもいいわ。近所で事務所借りれるとこ」

「じゃあ、愛ちゃんが住んでる心斎橋のマンションは」

「いいわねぇ」

「不動産屋に行ってみるよ」

「お願いね」

と三原の表情が笑顔になっていた。その後ろでポンが

「公子、そろそろヤバいみたい」

「ホントに」

と笑顔いっぱいのマンダイ。

「じゃあ、トイレで。ここで出してあげてね」

とポン。公子はトイレに入っていった。


「ああ、誠、やっと外に出られたわ」

「ずっと体の中だもんな」

と二人が話していると

「本当だ。小さい」

と三原が驚いて持ち上げた。

「食べたくなるほど可愛い」

と三原が言うと

「先にいいわよ」

とマンダイ。

「本当に」

と言いながら彼らを口の中に入れた。



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