異世界人、大阪人を飲む
マンダイがなぜか愛と向井に気を遣って店の正面のお好み焼き屋で回転焼きを買ってくる。
「2人であそこで食べて」
と二人に渡した。
「ありがとう」
と愛は向井の前を進んでいく。それに付いて行く向井。
「やるな、お主」
と三原は肘でマンダイを突いた。
「だって愛さん、結婚適齢期過ぎてるんでしょ」
「私も美々も同い年や」
「誠は」
「弟みたいなもんや。みんなのな」
「本当の弟さんとロードンどうですか。私はいいと思うんですけど」
「もう、娘を結婚させようとじてるん」
「だって早く孫の顔見たいじゃないですか」
「もうおばあちゃんになろうとしてるん」
「はい」
三原はマンダイの変わりように笑うしかなかった。
大介が後ろに来て
「姉ちゃん、あの妹さん、可愛いな。1人かな」
と言い出した。
「わからん」
と三原が答え、放ったらかしにしておいた。
「なぁケイ、私らミカク行ってくるわ。そのまま帰るし。粉浜の微妙なラーメン食べたいねんて。ほな」
と愛と向井が出て行った。
「ほら、いい方に行ったでしょ。ならロードンも」
マンダイがロードンを呼び付け
「ロードン、あそこ左に曲がってちょっと行ったら洋食屋あるねん。名前は池野美織で言っといで。昨日、三原さんが考えてくれてん。あ、ちょっと待って」
と、マンダイが大介の手を掴む。
「大介さん、大介さん、あそこの洋食屋に美織を連れて行ってくれない」
と洋食屋の方向を指差すマンダイ。
「わかりました」
と力強く答える大介。
大介がロードンを前にしてゆっくりと歩いて行った。
「よしよし」
とマンダイ。
「どこがよしよしや。大介はロードンの半分やで」
「好きになればどうでもいいじゃないですか。ずっと若いんですよ」
「うーん。好きになったらいいのかなぁ」
三原はずっと首を傾げていた。
その夜、誠とシャリアと公子は心斎橋の美々のマンションに帰ってきた。
マンションにはポンが留守番してくれていた。
「おかえり」
「ただいまあ。何もなかった。公子も足伸ばして休んで」
と誠。
「ああ、暇だったから教えてもらった映画見てたの」
とポン。
「公子、ポンとシャリアは異世界人で魔法が使えるねん」
「どんな魔法」
「火を起こしたり風を起こしたり」
と誠が言うとシャリアが彼の頭に手を乗せて
「こんなのもできるよ」
としゅるしゅる誠が縮み出した。
服はそのままなので素っ裸だ。
恥ずかしいやら小さくなるわやらで混乱していた。
「私らの世界ではこんなん流行ってるんだよ」
とポンが誠に魔法をかけ、誠を口の中に入れた。
「助けてー」
とかすかに聞こえる真の声。
「ゴクッ」
ポンは誠を飲み込んだ。
「食べたん?」
「大丈夫。胃液で溶けない魔法かけたから。私の世界では小さくなって腸を掃除する人がいるの」
「すごい世界やね」
「うーん。大丈夫かな。やっぱり私行くわ」
とシャリアが小さくなった。若干さっきの誠より大きい。
「だって抱えなあかんから。ポンよろしく」
と言ってポンに飲み込まれた。