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大阪はすでに異世界  作者: タニコロ
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大正乙女、令和姿になる

公子を着替えさせて遊ぶ愛を見て誠は

「あのさ、あると思うんだ。空間移動。愛、調べてみてくれない。公子だって、公子って言ってるけどホントに生きてたら120歳越えてるぜ。普通に生きてたら結婚だってしてるし、子供だっていてる。ということは、消えた人がいるってことだ」

「タイムスリップの話って、みんな都合よくまとめているからね。公子ちゃん、結婚する予定はなかったの」

と愛が優しく聞いた。

「夏に嫌だったけど、結婚が決まっていたの。っていうか、勝手に決められてたの。大森さんって、会社やってる家」

「えっ、何? もしかして、水道会社の大森君? あいつのおばあちゃん? 誠、大森君に電話電話。まだ10時だから大丈夫よ」

「かけてみる」

「コノデンワハシヨウサレテオリマセン」

「あっ、メモリの番号も消えた」

「何、このSFのタイミング」

「世間では大森はいない人になっているんだな」

「怖っ」

「異世界にタイムスリップ、好きそうな人の話が満載だ」

遠くから美々が

「誠、明日やってもらいたいことあるから、もう泊まっていって」

と叫んだ。美々のマンションはパーティーができるくらいに広い。

「じゃあ、あそこに布団引く」

とリビングの端っこを指さした。

「寒くない?」

「大阪を見渡しながら寝たいんだ」

「あっ、そう」

美々の部屋は高層マンションの最上階の一つ下だ。メゾネットタイプにしているので、2フロアをそのままガラスでつなげている。そこからの景色はまぁまぁの眺めだった。慣れれば普通だが。翌日、美々は誠を連れて、南森町の交差点にあるビルに連れて行った。

「なぁ、ここ借りてん。どうや芸能事務所用に」

「広いなぁ。どうするん」

「あんた、金持ってるんやからそれで生徒集めて学校やって生徒をドラマだしたらええねん。家賃はウチの会社が払ったるわ」

「グループ会社やろ。学校の経費は」

「ウチが払ってもいいけど、売上全部もらうよ」

「うーん、じゃぁ払う。あっお金あるし」

「じゃぁ、事務員は貸すわ。そっちの給料はウチやで」

「わかってる。昼おごるわ」

美々は大グループ会社を経営している割にどこか貧乏性だった。一流レストランより町の食堂。高級中華よりも王将で充分だったのである。

「て、いうかウチのタレント、今のところ異世界人だけや。従業員も大正時代人や」

「ユニークな事務所で良かったじゃない。公子もスタイル変えたら完全に令和の子やし」

「名前は大正のままやけどな」

二人は天六のヘアーサロンに預けていた公子を迎えに言った。付き添いはシャリアがしてくれている。

「シャリア、おつかれ。公子どうなった」

「まだあそこに座ってる。あ、出てきた」

「公子、おつかれ、えっ、公子」

三つ編みだった公子の髪型はミディアムのふんわりカールに。モデルみたいな感じになっていた。

「可愛い。可愛すぎる」

美々はボーッと見ている。

「えっ、そうですか」

と公子。愛のおさがりのワンピースとこの髪型は完全に現在の女の子だ。

「誠がお昼、おごってくれるって。行きましょう」

と美々。それを聞いてシャリアははしゃいで誠の方に走って行った。

あいつはもう異世界人じゃないんじゃないか、と美々は見ていた。

一方、愛は住吉警察にここ2週間の資料を観に行っていた。

「森山警視正おつかれさまです」

「おお、おつかれ。ちょっと資料見せてもらえるかね」

愛は警察の中でなかなかのポジションだったのである。バカではない。

「あれぇ、やっぱり。おい、この事件、証拠は残っているか」

「すみません、何もありません」

「あるはずないやろな。もう6人も消えてる。住吉区だけで。ここだけやったらええんやけど。過去かな異世界かな。どっちもややこしそうやな。あ、おつかれさま。これで帰ります」

「おつかれさまでした」

実は愛も警察ではかなり力を入れていた。

「あーしんど」

と言いながら、足を粉浜商店街の方に向け三原の店の方へ歩いていく。まだ勤務時間内だが、愛のポジションは上から何も言われないのだ。

「おーい、三原、あれ、誰あなた」

愛が三原の店に入ろうとすると、住吉倶楽部と描かれたトレーナーを着た女性が出てきた。

「うわっ、ごめん。あっ愛、どうしたん」

「近所まで来たから。あれ誰? もしかしてマンダイの娘? うそ、マンダイと同じくらいやん。ほんまにそうなん?」

「娘やで。あっ、マンダイ、愛」

「あっ、こんにちわー。愛、元気」

「うそ、マンダイあんなに明るかったっけ」

「ずっと娘さんの心配しててんて。ロードン大人だけど、マンダイからしたらまだまだ子供やねんて。むっちゃ子供扱いしてんで」

「ロードンちゃん、いくつ」

と愛が聞いたら、ロードンが厳しい表情で

「だから子供扱いしないで」

と怒った。当たり前だがロードンは一人の女性なのだ。

「まぁまぁ愛はまだ何も知らないんだから怒らないで」

と三原。

「で、なにしてるん? 片付け?」

「うん、会社になるから花屋やめるん。表はたこ焼き屋で中は研究室。おもろいやろ。あ、もうすぐ大介来るわ。手伝いに」

「え、あいつ、暇なん」

「店、ほとんど人に任せてるからやることないねんて」

「無職店長か」

「あっ、来た来た。おつかれー」

三原の弟、大介は29歳。三原が猫かわいがりしている存在だ。大阪の日本橋のオタクロードでプラモデル屋をやっている。

「おつかれ。何やったらいいの」

「おう、大介。あ、あれとこれ、あっちに運んでほしいねん。あれ、売れるやろ」

「相変わらずお金ないの」

「誠に半分税金って言われてたから、うーん。あっ、今5億あるわ。半分、マンダイやから2億5000万あるで」

「ええっ、2億5000万? 本当に? どうしたんそれ」

「マンダイがメニュー考えてくれたん」

「マンダイって誰なん」

「あっ、この人。あいさつしとき」

と三原はマンダイを連れてきた。

「えっ、この女の子? あっちの美人は」

とロードンを指差した。

「ああ、あれはマンダイの娘、いや一般人にはわからんか。ごめん間違えた妹や」

「何ちゅう間違いや。じゃぁババアは姉ちゃんと愛ちゃんだけか」

「なにを、こいつ。逮捕するで」

愛が大介の手を取って技で固めた。

「痛い痛いギブ。強烈なババアやな」

と言われた瞬間、愛は技を強めた。

「痛ーい。すんません。すんません」

大介は小さい頃からずっと愛と美々が遊んであげた男の子だ。愛にとっても可愛い。

「じゃあ、お姉ちゃんと結婚する?」

と愛が冗談で迫った

「嫌だ。結婚するならあんな美人がいい」

と大介はロードンを指差した。

大介とロードンがもし結婚したら大介のお母さんがマンダイ、と愛は大笑いした。

「で、愛ちゃん、仕事は」

「警察は暇なん。後でお店に連れて行って。プラモ買いたいねん」

「なんで警察がガンプラやねん。せめてパトレイバーにしろよ」

「いやや。今日はジオングの気分やねん。パーフェクトジオング」

「何ちゅう警察や。一生懸命働いた税金が警察行って愛のプラモになるんや」

「そうや。働け一般庶民め」

と、愛が冗談を言っていると向井社長がやって来た。

「おつかれさまです。書類持ってきました」

「わざわざ社長自ら。おつかれさまです」

「いやいや、住吉っさん、はつたつ参りやったし、ついでついで。あっ、美人のおねえさんこんにちわ」

社長はこれが目的ではないんだろうが、愛も目的の一つのようだ。愛もまんざらではなさそうだ。向井社長は愛の二つ下だが、まるで5つは年下のようである。

「あっ、池野さんもおつかれさまです。あれ、あの人は」

マンダイが機嫌よく

「娘です」

と言おうとした瞬間、三原が大声で

「妹さんです」

と叫んだ。

「これまた美人さんですねぇ」

と社長が言うと

「まだまだ子供です」

とマンダイが笑って言った。

24の女性に22の子がいるなんて漫画だと三原は額に汗をかいていた。




会社の休み時間に書いているのでテンポがゆっくりです。すみません。斜め前の人がお昼にサラダチキンばかり食べてます。チキン野郎って心の中で呼んでます。

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