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大阪はすでに異世界  作者: タニコロ
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異世界人、娘と再会する

三原とマンダイは向井のビルの帰り、美々と待ち合わせして淀屋橋駅の上のカフェに寄った。

「な、マンダイ。美々も暇やろ。すぐ来るわ」

「何言うてんの。忙しいちゅうに」

「あ、美々、私ら就職決まってん」

「2人で」

「そうパフィー」

「古っ」

「ミイとケイっていうあんたの弟の方が古いわ」

「あいつ、今、シャリアと天満橋のマクドおんで。シャリアの映画出演決まってんて」

「えーっ、みんな女優やん。電話して呼んで」

美々が誠に電話した。少しモメてるようだが、三原はそれを笑って見ていた。

「相変わらず仲のいい姉弟やんな」

「何言うてんの。うざいわ。鬱陶しいわ。あの双子、似たような顔しやがって。ええとこ全部持って行くんやで」

「ええやん。かわいいやん」

「あいつら妹と弟やのに敬語とか一切使えへんねんで」

「姉弟やからええやん」

等と会話してるうちにムスッとした顔の誠とシャリアが入ってきた。

二人ともやる気なさそうだ。シャリアが先に口を開いた。

「私らさっきまでここにいたんやで。もう帰るつもりやったのに。また戻るって」

「ほんまやわ。シャリアと家帰って堺浜の温泉行こうって言ってたのに」

と嘆く誠。

「ごめん、ごめん。誠先生に社名考えてもらいたいねん」

「何で。どうしたん」

「あんな、今日な、向井社長のとこに新料理売りに行ってん。3億で売れてんけど、私とマンダイにいっそのこと社員になれへんか、新会社作るって」

「で、社名考えろと」

「粉浜でやらして、って言うてるねん」

「うーん、パウダービーチ、粉浜異世界食堂、コハマジック」

「なるほど。粉浜異世界食堂もいいんだけど、コハマジックで」

「じゃあそれで。命名料100万円」

美々が

「アホか誠。お茶代や」

と言うと三原が

「いや今なら払える。なんか怖いわー。ごめん、ごめん。お礼はするわ。カムクラと古潭と金龍で」

「何、そのラーメンコース。なぁ美々も温泉行く」

「あ、言うのを忘れてたけど、私のことはお姉様と呼びなさい」

「何で」

「よく考えたら私、1歳上よ。ヒザマズキナサイ。愚民め」

「美々何言うてるん」

三原が口を挟んだ。

「何か溜まってるみたい。可哀そう。言うこと聞いたって」

美々は仕事でストレスが溜まってるようだった。

「わかりました。お姉様。僕が運転いたしますから温泉に行きましょう」

誠は内心で家に帰らずにこのまま高速で行けると喜んでいた。

「お姉様、餃子と唐揚げが食べたいです。おごっていただけますか」

「よきにはからえ」

三原は昔からこの姉弟のバカなやり取りが大好きだった。

美々の大きなベンツは5人を乗せて温泉に向かった。

途中、マンダイが声を張りあげた。

「います。あっちの方で。あっ何か懐かしい感じ。あっち。あっち」

マンダイが指を射した。

「ヨレヨレ歩いてる。信号わかるのかしら。今、たまたま青だからいいけど。誠あそこに停めなさい」

と美々。誠は焦りながら鉄砲町イオンの前に車を停めた。

停まった瞬間、マンダイが走り出す。

「ロ、ロードン」

「え、か、母さん」

「あなたどうしてここに」

「母さんを探し回ってたら変な穴に落ちて気付いたらわけのわからない世界に」

「たぶん、もう大丈夫よ。いい人ばかりだから」

マンダイがロードンの手を引っ張り、誠の方へ連れていった。

「やっぱりあっちの人でした?」

と誠が聞くとマンダイが笑顔で

「娘でした」

というと誠が

「どえー。ほえー」

と叫んだ。

車の中からシャリアと美々が出てきて

「どうしたん」

「マンダイの娘が来た」

と返すと二人とも誠のように声を張りあげた。

ロードンは父親がこちらでいう一般人なのでハーフエルフだ。耳は特に尖っていない。66歳でこちらで言うと22歳ぐらいだ。エルフが年齢÷10ならばハーフエルフは年齢÷3程度らしい。

「そりゃ245やもん。子供ぐらいいるわ」

「こっちに来てからずっと子供のことが心配で心配で」

「ロードンちゃん、60越えてるから完全に大人やん」

「いいえ、100まで子供よ。夫も死んだし」

「え、ダンナさん病死ですか」

「いえ、寿命」

「あららら。なんちゅう年齢構成。ねえ、誠、三原にお願いするの」

「うん、三原様お願いします」

「おっし、まとめて面倒見よう」

誠たちは温泉をあきらめ、ロードンに食べさせるために住之江公園の王将に寄って帰った。





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