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第一話 プロローグ
空には暗雲が立ち込めていた。
ゴロゴロと低く響く雷鳴が、災厄の訪れを告げる。
ソウマは目の前の光景にただただ茫然とするしかなかった。
そこに日常の風景は欠片も存在せず、眼前一帯には異常が横たわっていた。
瓦礫の山、累々の死体、飛び散る鮮血。
そのどれもがソウマにとっては初めて目にする衝撃だった。
ソウマの顔には絶望が張り付き、恐怖以外の表情を許さない。
やがて恐怖はソウマの脳内を占拠し、思考を完全に停止させる。
全身の力が抜け、ソウマは糸の切れた操り人形のように地面に膝をついた。
ソウマにはもうどうしようもなかった。
その時。
惨劇の元凶が姿を現す。
異形の生命体、災いをもたらす悪魔。
見る者に恐怖を植え付ける圧倒的存在がそこにいた。
人間と悪魔、種族間の軋轢が生み出す時代のうねり。
その入口に、ソウマは立っていた。