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2 : 小屋の中には

草原を歩くこと約10分。

 俺は小屋の入り口へと辿り着いていた。


 人1人が住むには十分な大きさのその小屋は、木製の割に破損や汚れが少なかった。新築ではないが、建てて1年くらい……の年季だろうか。


 外装もかなり凝っていて、黒赤く塗られた屋根に長く聳える煙突、なにより壁やドアも木製というのが雰囲気がある。


「小屋というより家だな……」


 木目が見えるよう綺麗に削られたドアノブに手をかける。

 力をかけると、ドアが軋むことなくゆっくりと開いていた。


 徐々に見えてきた内装は、お洒落な外装に負けず劣らずの出来だった。

 少し暗めの雰囲気を醸し出す木の壁が、天井から吊るされたランタンによって照らされており、暖かな感じがする。


 部屋には、中心に4人がけの机、端にベットがあった。もちらんどれも木製で、製作者のこだわりが見える。


 そして、俺の目に1番入ってきたものは……


「…………んが」


 その木製のベットで寝ている綺麗な女性。


 透き通るような水色の長髪に、露出度の高い新緑色の服。幸せそうな寝顔やそのスタイルは今まで見たどの女性よりも整っていて、人ならざる、まるで女神のような雰囲気を漂わせていた。



 ……ここまではいいのだが、そんなことよりも寝相が悪い!布団は端に寄せられて手足はだらしなく放り出されており、ひらひらしたスカートが少し捲られて今にも……見えてしまいそうだ。


 「あのーー、すいませーーん。いろいろ聞きたいことがあるんですけど、とりあえず起きてくださーーい」


 今すぐ起こしたいが、女性の体を触るのはさすがにまずいか。 


 ちょうどそばに置いていたスコップの持ち手でちょんちょんと体をつつく。


「う〜〜ん、もうちょっと待って〜〜。あと一年もすれば起きるから〜〜」


「そんな待てるか」


「いたぁ!!?」


 さっきより強くこづくと、その女性はいきなり飛び起きた。

 当たりどころが良かったのだろうか、目には少し涙が溜まっている。


「う〜〜、いった〜〜。ちょっと!誰か知らないけど、女神の頭をこずくなんて失礼だと……おもわ……な……」


 急に叫んだかと思いきや、徐々に語尾が途切れ、その顔は次第に青くなっていった。


「ご、こご、ご…………っ!」


「……え?いや、あの」


 さらに唇が震えてきたかと思うと、


「ごめんなさーーーーーーーーーーーーいっっっ!!!!!!」


 物凄い謝罪をしたのだった。

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