14 : 魔獣を獲るぞ!
「おおーー!綺麗ですね!」
水を汲んでいた穴へ行ってみると、昨日と変わらず水が湧いていた。
地表の不純物を流し切ったからか、水が昨日よりも澄んでいる。
ユニはその水を両手で掬って喉に流し込むと、気持ちよさそうに目を細めた。
「わっ、冷たい!地下水ってこんなに冷たいんですね!」
子どものようにパチャパチャと遊ぶ姿は、年相応って感じがするな。
初対面のクールな感じとは大違いだ。
「さて、この水をどう家まで引くか。俺のいた村では地下にパイプを埋めて、それで家まで水を届けてたんだが……」
この硬い岩を直線状に掘って、しかもそこに細長いパイプを作って入れるのは至難の技だ。
ゴーレムを上手く使っても出来るかどうか……。
あれこれと悩んでいると、水遊びをしていたユニが。
「水を汲んで竈か何かに貯めておいて、使うときに浄化魔法を使えばいいのでは?」
最高の提案をしてくれた。
「それ、採用」
ということで、水問題は解決した。
✳︎
未だ水遊びしているユニを尻目に、次の問題を考える。
サバイバルの鉄則に従えば次に解決すべきは火に関してだが、幸い炎魔法は習得している。
ということで次は食料についてだ。
枯死草だけで栄養が賄いきれるとは思えないし、なにより枯死草を食べるだけの生活とかスローライフにはほど遠い。
肉。肉が必要だ。
「なあユニ、この辺に獣とかっているか?肉を採取して食べられるような」
「私はこの辺りの地域は詳しくないですが……多分いると思います。猪とかブルコッドとか、ウイングスネイルとか」
一種類を除き、他が聞いたことのない名前なんだが。
「一応聞くけど、そいつらってどんな感じ?」
「猪は牙の生えた豚みたいな見た目で、ブルコッドは猪と一角獣を合わせた感じですね。ウイングスネイルは巨大な鳥の魔物です」
「な、なるほど……」
猪はともかく、他の2種はそんなに強くなさそうだ。これなら俺の魔法でなんとかなるだろう。
「よし決まりだ!枯死草だけでは飽きる!今日はこいつらのうちどれかを獲って食うぞ!」
「おーー!」
俺の掛け声に合わせて、ユニも声を上げてくれる。
が、きょとんと首を傾げて質問をする。
「……でも、どうやって獲るんですか?」
「そりゃ俺の炎魔法でこんがりよ」
「餌は?」
「……枯死草でも使って」
「枯死草は枯れてるので魔獣は食べませんよ。それに獲ったとしても、解体出来るんですか?」
「…………ごめんなさい」
魔獣を獲るとか言いながら、そこら辺のことを全然考えていなかった。
両手をついて落ち込んでいると、ユニが俺の肩をポンと叩いて。
「まあ私に任せてください!何とかして見せますから!」
胸を張りながら堂々とそう言った。
その一言を、頼もしく感じる一面。
「心配だ……」
どことなく不安を感じたのだった。




