プロローグ : 目覚めは草原で
ーいつかはどこかに行って、自由に生きてみたいー
子供の頃からそんな夢を持ちながら、退屈で面倒くさい日常を過ごしてきた。
毎日同じ時間に起きて朝ごはんを食べ、同じ時刻の電車に乗って学校へ行く。
勉強は大変だし学校は嫌だ、社会に出て働くなんてもっとゴメンだ。
そう心の中で思いながらも明日の宿題と少しの予習を済ませ、ベットに転がる。
こんな日々が一生続くなんて、果たして人生に意味なんてあるのか。
呟くように、そして恨むように念じながら、今日も束の間の休眠に入った。そして、朝になればいつものように退屈な一日が始まる。
その、はずだったーーー
✳︎
「…………え?」
まだ寝ぼけている眼をこすり、数度瞬きをする。
朝起きた俺の眼前に広がっていたのは、一面の草原。
それと、果ての方に美しい森がぽつぽつと。
上空を見れば青色の鳥が鳴いていて、空を自由に飛んでいる。
牧歌的ーーそんな言葉が相応しいような、幻想的な風景がそこには広がっていた。
「な、んだ、ここ………」
寝巻き姿のまま立ち上がると、頬にそよ風が吹き渡る。
風に煽られた草が揺らめき、黄色の花びらが空を舞う。
まるで萌え出たばかりの新緑が、俺の目を癒してくれるようだ。
「綺麗だ……けどそうじゃない、なんで俺はこんなところに?確かベットで寝てたはずじゃ……。夢?それにしてはリアルすぎるけど……」
頬をつねったりジャンプしてみたりするが、感じる感覚は現実そのもの。
認めたくはないが、どうやらここは現実のようだ。
もう一度、一面の草原を見渡してみる。
心を奪われるくらいに綺麗な景色。子どもの頃に夢見た光景にそっくりだ。
ふと端の方に目をやると、そう遠くない距離に木でできた小屋があるのを見つけた。
煙突付きの、簡素な造りだ。ヨーロッパかどこかのドキュメンタリーで、ああいう小屋を見た気がする。
「ま、行く当てもないし、とりあえずあの小屋に行くか!」
俺は膝を叩いて、草原を歩き始めた。
初投稿です!
スローライフ系をずっと描いてみたかったのです。
至らぬ点は多いと思いますが……
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