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対談

お久しぶりです!

パワーアップして戻って参りました!


ちょっと、読み直してみたら、はなちゃんの年齢がやはり幼過ぎると言う事に気づき、急遽、映画の撮影期間の内に数年経過した事にして、現在6歳という設定にしようと思います!

ご賞味ください!


「カスベさん、子役のはなちゃんとの対談、よろしくお願いします!」


カスベは、気が抜けた顔で挨拶しに来たスタッフに手をひらひらと振る

「おー、なんやなんや、ガキと喋るんやろ? まぁ適当にやるわ。オトナの怖さ、ちょっとだけ教えたる」


(子役?ようもてはやされとるが、所詮一瞬の花火やろ。わしら芸人はな、腐っても何十年戦うんや。そんなんで“天才”とか、笑わせんな)


カスベはイライラとした面持ちで、スタジオ入りする

スタッフが、機嫌の良くないカスベを見て慌てているのがわかるが、スタートの火花が落ちた瞬間、カスベはいつもの『大御所』として顔を晴れやかにさせた


「いやぁ〜!カスベさん!!今日はえらい大物ゲストが来はりましたよー!!実はですね、わいも大ファンなんですわ〜!」


カスベの後輩である、レギュラーを何本も持っている有名芸人が進行をしながら、カスベに話を振るが…


「凄いらしいなぁ〜!せやけど、わい見てへんねん!その人気子役ちゅー子の作品!」


え〜!!と観覧席からどよめきが湧いた


「なんや!お前ら!そんな全員見たんか?!」


驚く様に体を仰け反らしオーバーリアクションをするカスベに進行役の芸人はツッコむ


「流行りに乗り遅れてますわ〜カスベさん!」


ガヤガヤと、抑揚のある様で単調な会話…それでいて盛り上げているのはさすがベテラン芸人…大御所と言われるだけある



「ほんなら、ゲストの登場の前に…ゲストの偉業から紹介してまいますね〜」


間伸びした特徴のある喋り方は、バラエティー番組では大御所に次ぐ中堅であろうポジションにいるベテラン芸人のコンビの1人


頭が切れて、空気が読めて話の振り方が上手いで有名な彼もブレイクするまでに数十年かかり、見事に夢を掴んだ努力の人だ


他にもゲストで呼ばれている芸人や俳優も、遅咲きで有名な芸能人ばかりで、誰も彼もが努力の人だと歴史を知ればわかるだろう



だからカスベは、嫌いだった


MCが話を進めて、ゲスト登場という流れになり、カスベは椅子に深く座り直した


軽快な音楽と共に中央のカーテンが左右に分かれて、中心にスポットライトが集まる


「どもども!今日のゲストは、なんと!天才子役の『道野はな』ちゃんや〜!」


黄色のワンピースを着て、髪の毛をふわふわにしてカチューシャをつけているせいか、どこかのお嬢様と言われても疑わないくらい整えられたはなを見て、カスベは内心舌打ちした


「よろしくお願いします」


ぺこっ、と頭を下げるはなに対して歓声が沸く


「いや〜はなちゃんはすごいねえ、子どもなのに“演技派”とか言われて」


「…はい、ありがとうございます」


パッとしないはなの返答に、一瞬、MCが焦るが、カスベが上手く取り繕う


MCが、はなの出演作の話をダイジェストにして説明するが、はなはニコッともせずに無表情で話を聞いていた


特に盛り上がりに欠けながらも、MCは上手く話を回してカスベがボケて突っ込むため、常に観客は笑っていた


MCは、カスベとはなが全く絡んでいない事に気づいて、カスベに対して質問を投げかけた


「カスベさんは、はなちゃんに対して聞いてみたい事とかありまへんか?」


はなの反応の無さに内心イラっとしたカスベは、笑みを浮かべてはなに投げかけた


「聞いてみたいことはないんやけど…

いや〜、ええなぁ子役は。演技するだけで“天才”や言われて、チヤホヤされて。ええやん、羨ましいわ〜」


(スタッフ、観客は少しざわめく)


(どうや、ちょっと揺さぶったった。このガキ、どう反応する?黙るか、笑うか、それとも“用意された答え”か?)


はなは目を逸らさず、真っ直ぐにカスベを見る


「羨ましいですか?」


ピリッと緊張が走る


「いやー!でも!!カスベさんやって『天才』やないですか!!なぁ!?」


MCが焦って盛り上げようと観客に目を向ける


「ほれ、子役は気ぃ楽でええわな。ちょいと涙見せたら“天才”やて持ち上げられるんやから」

「芸人はなぁ、命けずってネタひねり出しとんねん。そんなんと一緒にされたら困るわ」


「芸人は命削ってナンボや。毎晩ウケんかったら寝れへんで?台本ある子役とはちゃうねん、現場が戦場や!」


「カ、カスベさん、ちょっとお手柔らかに……!」


カスベは、笑いながら続けた


「まぁまぁ。でもな、俺が子どもやった頃なんか、テレビ出る子どもなんか“変わり者”や言われたもんや。今はちゃうなぁ。ほんま、世の中変わったで」


カスベが真顔ではなに淡々と言ったせいで、スタジオは静まり返る


「なんてね…嘘やって〜!

はなちゃん、緊張してるんか知らんけど全然表情かわらんから、いじわるしてもーた!堪忍な!」


ぱっと笑うと、スタジオの空気は少し緩んで、MCも、ほっとしたように顔を緩める


「私の寿命、もう少しなんです」


空気が再び止まった


「は?」


はなはまっすぐ、カスベを見ると少しだけ笑った


「なんてね、嘘です。



でも、子役の余命って、一瞬なんです。ちょっと間違えたら、“あの子どこ行った?”で終わり。

 でも芸人さんはいいですね。長く生きても褒めてもらえて。歳を取っても、ちゃんと覚えてもらえて。

 ……羨ましいです」


誰かが小さく息を呑む音がマイクに乗る


スタジオの温度は一気に下がり、カスベは絶句した


(……なんや……この子、覚悟決めとるやないか。目が、死んでへん。……命の重さ知っとる目や……。ワシは、今まで何を見てきた)


カスベは言い返せず、己の掌をじっと見つめた


「でも、いいですよね。芸人さんは大人になっても“面白かった”って言ってもらえる。歳をとっても、名前を覚えてもらえるんですから

私は、死ぬまで“子ども”です。“大人になる演技”はできても、“大人になる未来”はないんです」


はなは、怒っていた


静かに淡々と怒っていた


カスベにではない、自分にだ



「どうして私は、どっちも叶わないんだろう」


はなは、2回目なのに上手くできない自分に怒っていた


「すまん。あんたみたいな子……初めてや」


カスベは、それ以上、何も言えなかった







その後、スタッフにより退場させられたはなと、スタジオに残ったMCとカスベは、なんとか無事に撮影を締めた



収録後。楽屋前の廊下において


遠くからスタッフがやってきて、カスベに声をかける


「カスベさん、ほんま今日は……」


「……すまん、ちょっと一人にしてくれ」


ドアが閉まり、楽屋は静寂に包まれる。カスベはソファに沈み、ペットボトルの水を開けて飲む。天井を見上げて、重く息を吐く


「なんやねん、あのガキ……」


カスベは誰もいない楽屋でぼそりとつぶやく


コンコンコン


ノックの音。カスベが返事をする前に、ドアがゆっくり開く)


「……開ける前に返事待てや。……なんや、はなちゃんか」


はなだった


「お話ししてもいいですか」


「話って、収録で散々したやろ。オトナってもんはな、終わった話は忘れるのが仕事や」


カスベは目を伏せて、はなの方を見ない。だが、はなはまっすぐ近づいてきて、カスベの向かいの椅子に静かに座る


「私……怒ってると思いましたか?」


カスベ「は?」


「さっきのこと。言葉、強かったですよね。でも、私は怒ってたんじゃないです。悲しかっただけです」


沈黙。カスベは腕を組み、ようやくはなを見る


「……あのな。わしな、あんたみたいな子ども、よう知らんのや。正直言うてな、今日も軽くあしらって終わりやと思てた。泣くか、黙るか、なんかテンプレの答え返して終いやと……」


はな、じっと聞いている


「でも……あんた、ほんまもんやったな。目が違う。言葉の重みがちゃう。ガキやのに、腹の底で喋っとった」


「……」


「わし……あの時、思ったんや。“ああ、この子、今日の収録で命ひとつ使ったな”て」


沈黙に包まれたなか、はなが、ゆっくりうなずく


「私、演技って、“命の燃えカス”を投げつけることだと思ってます」


「燃えカス、か……。ワシらも似たようなもんやな。舞台で毎日、笑いの芯まで削り出して、あとは灰ばっかや」


しばらく沈黙が続く。カスベが手元のペットボトルを見つめながら、ぽつりと言った


「……謝っとくわ。さっきのは、見くびってた。ホンマすまん」


「いえ。ありがとうございます」


「ちゃうねん。“子役やからどうせ消える”って思ってた自分に、腹が立ったんや。自分自身に……な」


はなは、初めて少し笑った


「大人って、大変ですね」


「……ホンマや。死ぬまで、“大人のフリ”してるだけやで」


ふたりの間に、穏やかな静寂が訪れる


「なぁ、はなちゃん。ひとつだけ聞かせてくれるか」


はな「はい」


「ほんまに……楽しいか?こんな仕事」


「……まだ、よく分かりません。でも、少なくとも……今日みたいに、本気の大人と話せる時は、楽しいです」


カスベの目が一瞬潤むが、それを笑いに変える


「うまいこと言いよるなぁ〜。まるで、ほんまの“子ども”みたいや」


ふたりで、ふっと小さく笑う





生放送の翌日、この対談がSNSのトップを飾った



@gixyakko_589

カスベって普段は好きやけど、今日の子役いじり、正直ちょっと引いた……

でも、はなちゃんの返し、すごすぎて鳥肌立った。あれが8歳とか信じられない。


@hanalove_111

「私は、死ぬまで“子ども”です」って言葉、胸に刺さった……。

天才って呼ばれる裏に、こんな重さがあるのかって初めて知った気がする。


@aisubeki_baka

はなちゃん怖すぎた。あれはもう“子役”ちゃう、“俳優”やろ。

カスベも途中から完全に飲まれてたやんw


@entame_kidori

カスベってやっぱりすごいな。あれだけ最初煽っといて、

最後きちんと相手を受け止めて、オチまで持っていった。プロだわ……


@koyaku_0110

正直、今日の放送はバラエティじゃなくてドキュメンタリーだったと思う。

あの空気の変わり方、怖かったけど忘れられない。



翌日のニュース記事では


【エンタメ速報】


「子役の覚悟」に大御所も絶句──『カスベDX』での道野はな×カスベ対談に視聴者騒然


2025年⚪︎月⚪︎日 11:00 配信|エンタメお笑い編集部


バラエティ番組『カスベDX』で⚪︎日夜に放送された、子役・道野はな(8)と大御所芸人・カスベ(65)の対談企画が、視聴者の間で大きな反響を呼んでいる。


番組内では、映画『ピアノ抗争曲』で話題となっている天才子役・道野はなと、関西お笑い界の重鎮・カスベが初対面。冒頭からカスベが「子役はちょっと泣けば天才言われてええな」と挑発するような発言を繰り返し、会場には緊張感が走った。


これに対し、道野は「私の寿命、もう少しなんです──なんて、嘘です」と返し、

さらに「でも、子役の余命って一瞬なんです。間違えたら“あの子どこ行った?”で終わる」と冷静かつ重みのある言葉を続けた。


スタジオは一時沈黙に包まれたが、視聴者からは、


「子どもの言葉とは思えない」

「本物のプロフェッショナルを見た」

「この子、すでに伝説になった」


といった称賛の声がSNSを中心に殺到。


さらに、「芸人は命削ってネタを作ってる。子役と一緒にされたくない」と語っていたカスベが、はなの真剣なまなざしに絶句し、以降は一転して彼女を丁寧に扱う姿勢を見せたことも視聴者の印象に残ったようだ。



◆裏では涙も…関係者が明かす舞台裏


番組関係者によると、収録後、カスベは楽屋で「今日のあの子は、本物や」とつぶやき、控え室で一人、感情を整理する姿があったという。


「普段なら『ほなまたな〜』って軽く帰るのに、その日は最後まで黙って座っておられました」(番組スタッフ)


また、道野のマネージャーも某SNSで「8歳の子どもに、あんな言葉を言わせてしまってごめんなさい。でも、あれが彼女の“答え”です」と投稿。本人の意思を尊重した上での発言だったことを明かした。



◆映画『ピアノ抗争曲』にさらなる注目


今回の放送を受け、道野が主演を務める**映画『ピアノ抗争曲』**にも注目が集まり、関連ワードがSNSトレンド入り。映画公式アカウントのフォロワーも一夜で3万人増加した。


また、カスベの発言に関しては一部ネット上で「ハラスメントだ」「老害」との批判も見られたが、多くの視聴者は「真剣なぶつかり合いだった」と評価しており、“名対談”として語り継がれる空気すらある。


編集部コメント


芸歴45年超の芸人と、キャリア3年の子役。

世代も立場も違う2人の対談は、ただの“番宣”では終わらなかった。

あの一夜を、私たちはしばらく忘れられそうにない。



番組公式X:「#カスベDX」「#道野はな」「#カスベ」のハッシュタグでトレンド1位

映画『ピアノ抗争曲』:202⚪︎年⚪︎月⚪︎日公開予定

明日も投稿予定なので、お時間あれば見てくださいね!

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