消えた神社の怪異、これにて落着
朝、酒呑童子たちに別れを告げて出発する。
このまままっすぐ進めば山から下りられると言われ、道なりに進むとそこには消えていたはずの神社があった。
どうしてもあの家のことが気になって少し戻ってみると、そこには家屋はなく大きな洞窟と立て看板が立てられている。
その看板には「鬼の洞窟」と書かれており、洞窟の中には小さな社が置いてある。
あれも酒呑童子による幻だったのだろうか。
「うーん、とりあえず神社に参拝して帰ろうか?」
「そうやな、何か御利益あるやろ。」
「酒呑童子を祀ってるこの神社は、首から上の病気に御利益があるからな。」
「はぇー・・・そういう御利益もあるんやなぁ・・・」
本殿に参拝をして帰り路に向かう。
今度は舗装された道がずーっと下に向かって続いていた。
その一本道をゆっくりと歩いて下っていく。
すると突然、先頭を歩いていた奈古が何かを思いついたのか、こちらを向いて話しかけてきた。
「そういえばさ、来年どうする?」
「また来るのか?」
「せっかくめぐり合えたんだからまた逢いたいなって。」
「そうやなぁ、また縁があったらとちゃうか?」
「ま、縁があったらだな。」
確かに来年も訪れたいと思ってしまうが、さすがに迷惑ではなかろうか。
それに彼らは鬼なのだ。今回は食われなかったが、次はどうなるかわかったもんじゃない。
だが、恐れ多い鬼であると同時に彼は信仰される神霊でもあるのだ。おそらく食われるという事はないだろう。
誰でもない、あの酒呑童子が食わないといったのだ。鬼に横道なし。俺はそれを信じたいと思う。
「で、次の上り向きの電車いつ?」
「えーっと、・・・3時間後やって。」
「マジかよ・・・」