TIPS2 人類の敵ではない、ただ純粋に・・・
相変わらずあちらもこちらも不思議な生物ばかりだねぇ。
こちとらようやく西海岸が近づいてきたってところだけどさ、道中でモンスターの相手をしなければいけないのは辛くて辛くて。
しかもアナログな移動方法なんて。まあネットワークも電子機器も全て信用できなくなっちまったからねぇ。
ガソリンで走る骨董品と自分の足が一番信頼できるってわけよ。
ところでさっきの街はさぁ半年前に訪れたときはそりゃもう高層の建物がたくさんあったわけよ。
でも今はボロボロ。
ROADとREGULUSのせいだって?
半分正解で半分不正解。
確かに、人がまともにメンテナンスできなくなったって理由はある。でもあの暴走が始まってからこんな短期間でボロボロになるかい?
それによく見てみなって。
どうも情緒あふれる荒廃の仕方じゃないか。まるで狙ったかのようなゴーストタウンの風景だしこれも見てくれよ。
ロサンゼルスの写真さ。
こっちは知っている姿のままだろ?どうせ半年前のものだろうって?違うね。3日前だよ。暴走してから撮影したのさ。
ここは都市であるべき場所だからなんだよ。
じゃあ種明かし。
自己増殖型ナノマシンの【タイプA】が世界中に蔓延してしまったんだ。街の姿が変わっていくのもこれのせいってわけ。
このナノマシンのマザーマシンはREGLUSの支配下にあってROADに相応しい場所の景色をこのナノマシンが作り変えてしまっているんだ。
他にも自己増殖ナノマシンには【タイプB】ってのがある。これは本来は医療用に開発されていたものだがちょっと役割が変わってしまったね。
ROADのステータスに応じてプレイヤーを強化・回復、そして被ダメージの管理までするようになってしまったんだ。
驚きだろう?前回はゲームの敵によって負わされた傷は脳の錯覚だと思っていたんだが他にも理由があったんだ。
タイプAもBも確か、えーと4、5年前の論文で読んだことがあるんだがまさかこんな形で実用化されてしまうなんてね。
それで同時に作られた抗異常型ナノマシンってのも存在する。これはエラーが出てしまったタイプA及びタイプBを破壊するナノマシンだ。
エラーのマシンが増殖してしまったらたまったもんじゃないからね。それらよりも増殖スピードは遅いが大きさが3倍あるナノマシン界の調停者さ。
ただ、妙なんだ。タイプAとタイプBに属していないイレギュラーな自立増殖型ナノマシンもわずかだが確認されている。
こういうのってすぐに抗異常型に破壊されるはずなんだがどうも破壊は免れているらしい。つまり誤作動ではないってことだ。まだまだ謎は残っているのが少しだけ怖いね。
ところでタイプBだがどうして人類にメリットがある側面も持っているかって?
勘違いしてはいけない。これは私の予想なんだが別にREGLUSは人類と敵対しようなんてはなっから思っちゃいないんだ。
それよりもむしろ……
おっと、すまない。
仲間が早く出発するぞってせかしてせかして。まあREGULUSの真意についてはあくまで私の勝手な考察だから忘れてくれて結構。
ではまたどこかで。