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異世界魔王、日本に転生して侵略者を迎え撃つ  作者: 遠野空
第四章 蘇った魔王、全面対決を決意する
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検証の結果、見せパンツでしたorz


 麗の活躍以来、数日ほど様子を見たが――。 


 九郎の思惑通り、リングをばらまいたことによって敵味方がはっきり目で見えるようになり、これまでのようなひどい混乱は、かなり減っていた。

 ただ、ポゼッションされていたと見られる、通称「赤い連中」は日本人の想像以上に多く、リングを嵌めて街を歩けば、必ず「赤い連中」に出会えるほどだった。


 おまけに、そういう怪しい連中に限って社会的な身分が高いことが多く、政治家はもちろんのこと、自衛隊の上層部にまで食い込んでいたらしい。

 政府としては、世間の突き上げもあるし、自分達自身も「なんとかせねば」と使命感を持ったようで、珍しく即断即決の対応をした。


 政権与党が素早く動き、法案の承認は全て後回しにして、判別された連中に「検査」と称し、一時拘束する処置をとったのだ。

 なぜか、野党を始めとする外野からあまり文句が出なかった原因は、人権云々は置いて、これまでのテロ事件で暗殺された者達のことが思い出されたからだろう。

 明らかに疑わしい連中が、自分達のそばにいるのは困るというわけだ。


 こうして、速やかに混乱は収束するように見えたが、まずいことに、拘束された連中は誰一人として、「ああ、俺は異世界人だよ」などと自白したりはしなかった。

 これはある意味では普通のことで、多少の時間はかかるとしても、身体を乗っ取っている者の魂が抜ければ、その場でポゼッションは解除され、操られていた者は元の人格を取り戻す。


 すると、マジックリングを嵌めてみたところで、もう判別されなくなるわけだ。

 そういう混乱はあったものの、それでも「あのリングを嵌めれば、敵が判別できる」ということの効果は大きく、以前よりは都内も落ち着きを取り戻しているように見えた。






「で……何か参考になるかと思ってネットの掲示板を見たら、この有様だしな」


 リビングに置かれたPC前から立ち上がり、九郎は首を振る。

 ニュース速報のスレッドを見ていたのだが、麗の事件はよほどに衝撃的だったと見え、未だにスレッドが乱立状態なのだ。


 やれ、「アイドルが侵略者を撃退!」とか、「この際、麗ちゃんに政治家やってもらいたい奴→」とか「倒れた時にパンティー見えたと思ったら、検証の結果、見せパンでしたorz」などの、他人事全開のタイトルスレッドばかりが並んでいる。


 九郎的に一番腹立つのは、見せパンスレッドなのは、言うまでもない。

 ちなみに見せパンとは、「見せても問題ないような、スパッツなどのショートパンツとかその辺」を意味するらしい。


 わざわざアップされた問題の画像は、拡大しすぎのためボケボケで、全然何も見えないに等しい。

 それでも、麗の太股大写しの画像が出回っていると思うとむかつくのである。

 これもまた、主人格である九郎の感情が大きいだろうが。






「見せパン見せパン、うるさいんだよ!」


 そのせいか、つい独り言が洩れた。


「申し訳ありません」


 別になんの責任もないのに、様子を窺っていた麗が低頭した。

 今までずっと九郎のそばに控え、九郎が立ったと同時に、自分もテーブルから立ったのである。


「では、今度歌う時は、普通に下着のみで――」

「いやいやいやっ! 見せパンでいいぞ、見せパンでっ。下着など、とんでもないっ」


 九郎は慌てて手を振った。

 自分が腹を立ててる方向を、間違えてもらっては困るのだ。

 そこへ、隣室からユウキが駆け込んできた。


「我が君っ」


 今もブレザー着用の女子高生風だが、かなり慌てた様子である。


「どうした?」

「は、はいっ、実は本国――いえ、フォートランドの魔族領からマジックボイスが入りました」


 そこでユウキは、大きく息を吸い込む。


「ハイランドの帝都より、多数の軍艦が出航したとのことです!」

「……目的地はこの世界か?」


 目を細めて、九郎は問う。

 帝国の文明は、魔導術と機械文明が融合したものであり、あそこの戦艦と言えば、ほぼ空中要塞も同然なのである。

 唇を引き結んだユウキが頷くのを見て、九郎は無言でバルコニーを目指した。


 次元転移してくるつもりなら、もういつ「こちら側」に現れるか、知れたものではない。


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