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異世界魔王、日本に転生して侵略者を迎え撃つ  作者: 遠野空
第三章 侵略を阻止したい(希望)
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女教師から女子高生バージョンにチェンジ

 マンション十五階の自分の部屋に戻ると、ドアの前で誰かがうろうろしていた。


「おろ?」


 九郎の見たところ、濃紺のブレザーが目立つ制服姿の少女――だと思ったのだが、なんとよくよく確認すれば、ユウキその人である。

 スーツ姿はやめたらしい。


 ユウキは……まだ九郎が確認している間にこちらに気付き、それこそダッシュですっ飛んできた。





「ご無事でしたか、我が君!」

「わっ」


 まさか抱きついてくるとは思わず、九郎は不覚にも、よろけそうになってしまった。

 だいたい、見た目からして九郎の身長と遜色ないのに、いきなり胸に飛び込んでくるとビビる。豪勢な感触を確かめるどころではない。


 まあどのみち、ちゃんと抱き留める前に、麗があっさりユウキを引き離した。


「無礼なっ。離れなさい!」

「なにするのっ」

「抱きつく前に、九郎さまに謝罪することがあるんじゃないかしら!?」

「……くっ。おまえには関係ないでしょっ」

「あるに決まってるわ!」


「ま、まあまあっ」


 想像以上に仲が悪いらしい二人に驚き、九郎は慌てて間に入った。

 下手をすると、今にもとっくみあいになりそうに見えたほどだ。


「味方同士でいがみ合いはやめよう……他の住人にも聞こえるし」


 そこで、なぜかユウキが眉をひそめて麗を見た。


「まだ、ご説明してないの?」

「今します!」


 ぴしゃりと言ってのけ、麗は九郎に向き直って低頭した。


「九郎さま、このマンションの十五階フロアは、全て麗が買い取っていますわ。既に元の住人達には穏便に出て行ってもらいましたし、少々騒いでもどこへも聞こえません」

「ちなみに下の十四階は、麗の姑息な行動に気付いたユウキが、急いで買い取りましたっ」


 口々に報告する二人に、九郎は唖然となった。

 ……君らはアレか? 日本版のトランプか?


「なんでそんなに金もってんだ……二人とも」


 途端に、二人は同時に口を開いたが、九郎は慌てて手を振った。


「いやっ、聞きたくない。なぜか、俺は詳細を知らない方がいいような気がするっ。なんでもいいから、とにかく部屋へっ」


 ごまかすように大声を出し、九郎は二人を引き連れて部屋へ戻った。





 リビングに三人揃ったところで、麗とユウキが険悪そうに睨み合っているのは変わらない。

 喧嘩を始めないように、九郎はソファーに座るなり尋ねた。


「いろいろと事情を訊く前にだ……ユウキ、その格好はなに? 女子高生に化けたのか?」

「ば、化けたのではなくっ。私はもう、女子高生として過ごすつもりです、我が君」


 ユウキは熱心に身を乗り出した。

 ちなみに右側に麗が座り、左側にユウキが座っていて、二人揃ってぴったりくっついている。

 一方は、妖精にも似た可憐な肢体の麗で、もう一方はコーラの瓶みたいに完成されたスタイルのユウキである。

 九郎としては頭がくらくらする思いだが、ここで鼻の下を伸ばしているわけにもいかない。




「でも、学校の方はどうするんだ?」

「あの学校のことなら、どのみち無期限休校となりました」

「えーーっ」


 思わず声を上げたものの……言われてみれば、事なかれ主義の教師達なら、そういう判断を下しても不思議はないかもしれない。


 学校内でテロリストが暴れたりすると、責任のとりようもあるまい。


「なるほど……ならそちらはユウキの自由として、新宿であの騒ぎを起こしてた理由は?」

「それは――」


 途端に、項垂うなだれるユウキである。

 自分でも、まずいことをやった自覚はあるらしい……有り難いことに。



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