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二人の子供   -0ー

情報屋のおっさんと会ってから数日後。俺たちはそろそろどう動くかを決めているところだった。

「さて、どう動く」

「おっさんの話を信じるなら南東方向だけど...」

「そこから戦況がどう動いたかだな」

「国のプライドがーとか言ってたからまた変な方向に動いてるかもねー」

「ただ他の情報屋の言ってたことからも今戦況が北の方にあるのは間違いなさそうだぞ」

「うん、でも持久戦のために南に部隊を動かしていてもおかしくはないと思う」

「でもその作戦はうまくいくとは思えねぇ」

「なんで?」

「押されている部隊がそううまく横に部隊を移動できるとは思えねぇからだ」

「ならそのままこっちに移動してくるってこと?」

「俺はそう読んでいる」

「うーんどうだろう」

「どうした?レン」

「いや、そんな単純に動くかなーと」

「どうしてそう思う」

「こんなに長く戦争やってるんだ。そんな単純に戦線は行き来しないと思う。今までも実際そうだった」

「だが今回は意地でとどまるのが限界の状態だぞ。そこから何を仕掛ける」

「そりゃそうさ。でも何だろう...嫌な予感がする。」

「予感に頼りすぎるのもなぁ...」

「いやいやコハクー、予感ってねぇ意外と馬鹿にならないよ」

「レイナもかよ...全否定するわけじゃないがバランスも重要だろう。」

「まぁそうか。なら今回は南東方向に行こうか。多少予想外のことがあっても基本戦線は北にあるのはほぼ間違いないと思う」

「決まりだね!じゃあ早速移動移動!」


俺たちはこうして先読みして戦線をよけようと移動を開始した。




「おい、聞いたか」

「ん?なんだ?」

ある町の一角。レンたちがよく行く情報屋の男とまた別の情報屋が話をしていた。

「なんでも今回連邦側が大きく出ていつもとは違う動きを見せてるそうだ。」

「ほーう、どんな?」

「部隊を分断して北から奇襲を仕掛けたそうだ」

「そんな作戦が成功したとでも?奇襲前に感づかれるだろう」

「厳密には成功はしていない。だがおしいところまで行った。おかげで連合はなかなかの被害を受けたそうだ。」

「まさか...」

「もう少しで押し込めると思っていたんだろう。連邦の分断も撤退の予兆と判断したんじゃないか?とにかくぎりぎりまで奇襲に気付かなかったおかげでダメージを受けた。」

「それで?」

「連合はすぐに南に移動して対策を打とうとした。が、かなり東に押し込まれた。」

「それで今は連邦がさらに攻めてると?」

「まさか。忘れたか?もともと壊滅寸前だ。また西に戦線が移動してるさ。」

「なるほどね。そいつはまた面倒な動きだなぁ、おい」

「まったくだ。そんなわけで俺は北に寝床を移すよ。」

「そうか。いい情報をどうも。真偽はこっちで確かめるよ。いい商売を」

「いい商売を」





「ふーかなり移動したねー。疲れたー」

南東方向に移動してかなりの時間が経過してレイナが声をあげる。

「まぁかなり歩いたからなー」

「あっちに町っぽいのがある。今日はあそこに行くか」

「というかあそこが次の滞在地でいいと思います!」

「レイナお前歩くのが嫌なだけだろ」

「そ、そんなことはー...」

「視線をずらしながら言っても説得力がないぞー」

「とにかく、あそこまでは移動するぞ」

「はーい」



「...人、少なくないか?」

俺たちが町についての第一印象が思わず声に出る

「あぁ。だが今回は早めに移動したしな。まったくいないわけでもないし、こんなこともある...か?」

「それ今どうでもいい!少なかろうがとりあえず今日はここに泊まる!寝るとこ探そ!」

「へーへー。レイナついたとたんに元気だねぇ」

「うるさいレン」

「...まぁ時間も時間だ。寝るところを探すぞ。」

少し何かを考えていたコハクが言う。


しばらくして町の北側に廃屋らしきものを見つけた。

「んじゃいつも通り、俺とレンは情報集めと食料調達に行くからレイナは軽く片づけといてくれ。」

「はーい」

住処はレイナに任せて俺たちは町に出ていった。



「さてじゃあ買い物は終了だな。」

「次は情報か」

「あぁ」

「...なぁ、コハク、この町下手すると前の町より爆発音や銃声よく聞こえないか」

「治安のせいだといいたいが、人通りがこれだからな...」

「どうする」

「いったん戻るか」

「うん」


「おい!コハク!」

「な...!」

俺たちが寝床にしようとしていた廃屋のうち半分が崩れていた。

「急ぐぞ!」



「レイ...ナ?」

俺が叫びながら廃屋に入ると、そこに人が倒れていた。

「どうしたレン!レ...」

コハクも遅れて中を見る。


中には人が、レイナが、倒れていた。

—頭から、足から、背中から、血を流して倒れていた—


「レイナ...?」



—ちょっと前まで元気だった人間が生きている様子もなく、倒れていた—

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