ムカシ話 五話
投稿が遅れてすいません。
いつもお読みくださってる方、本当にありがとうございます、そして遅れた事、申し訳ありません。
シャイガイの恐怖から逃れ、独房から逃れた俺達は職員が日ごろ、使っていたのであろう職員室らしき部屋へ来ていた。
あたりには職員らしき物の姿は見えない。
白い机が五つ、六つあり、その机には紙が散乱していた。
奥の方には自動販売機が一つある。広さは二十畳ほどだ。
ほぼ正方形のような形で小学校の教室のように机は綺麗に並べられていた。
壁は水色と黄色のニつの色が交互に重なっているような壁だ。
床はただ白いだけ、それ以外の特徴はない、だが水色と黄色の壁はあまり見かけないせいか少し、気味が悪いものにも見える。
人っ子一人いない状況は先ほどの警報で皆、ここを離れたのではないかと推測する。
そんな事を考えていると隣にいたカイトが口を開く。
「やった……。 ここまで、これば一安心だ」
そんな、カイトの言葉。俺はその言葉が何を意味するか知らない。
その意味を確かめざるおえなかった。
「カイト、一安心ってのはどういう事だ?」
「ああ、すまない。 説明不足だったね、ここは正しく職員たちが休憩するところ、休憩所といった所か。俺はここを目指してたんだ」
「すまない、カイト、もう少し説明をくれるか。こうもっと具体的な事をさ」
俺はカイトの言葉に少し苛立ちを覚えていた。何故目指していたのかの回答をまだ貰っていなかったからだ。
そう感じた俺はすぐさま、食い入るようにそう質問した。
「ああ、ごめん。具体的な事だね、すまない。あまりの嬉しさに……。まぁここは休憩所と言っても単なる休憩所ではないんだ。SCPからの侵入を全て阻害できる部屋だと聞いたことがある。だから少しの間、ここに居ても大丈夫だと思う。あくまで推測だけど」
俺は少し信じられないというような事をカイトに伝えたがカイトは俺を宥める様に俺たちの身体はもう限界だ、それに休むことができるのはこの一回かもしれない。今は俺を信じてくれと言った。
でも、その通りだった。俺達はこれまでほぼ歩いたり走ったり身体を休める機会はなかったように思える。
このチャンスは乗るべきだ、俺もそう思った。
「ま、そうと決まれば少しの間、仮眠しよう」と、カイト。
「仮眠か……。いいけど、その間に職員が戻ってきたらどうする?」
「俺は職員が来ないと知ってる。少し前に警報があっただろ?あの警報がったら少なくとも一日はここには居てはいけないと決まってると職員が漏らしていたのを聞いていたことがある。まぁそう言っていた職員はその後、こんな愚痴もこぼしていたな、そんな決まりを作られたばっかりに警報が鳴ると外でSCPの存在に怯えながら警備しないといけない。本当に面倒くさい決まりだぜ。。。
なんて、言ってたっけな。それとその場にいたもう一人の職員はこうも言った、しかも、その決まりを破ったら命令違反になってどこかで監禁されるってのも昔から噂されてる……。本当に勘弁してほしぜ
ってな事も言っていた」
「そ、そっか……。それなら信じよう」
俺はまだ五割くらい信じてはいなかったがこれ以上言うと今後の関係にも響きそうなので言わずに従うことにした。それにここで、身体を休めるしかない事も俺は知っていた。
そう言うとカイトは何も言わず辺りを物色し始める。
何を探しているのか聞こうとは思ったが聞く必要があるのか自分でも分からないことに気付きカイトの行動をただ見ることにした。するとしばらくして。
「あった!」 カイトが言った。
「何があったんだ?」 「そりゃ、勿論、仮眠用のベットさ」
慌ててカイトの所へ駆けつけるとそこには四つほどの簡易ベットがあった。
おそらく、日ごろから職員も使っているのだろう。
左奥にひっそりとその簡易ベットはあった。
「これはいい、よく寝れそうだ」 カイトが言った。
「なぁカイト、体を休めるのはいいって言ったけど、やっぱりちょっと怖い。寝るのは少しだけ待ってくれないか、その間、暇だろうから俺の昔話でも聞いてくれ」
俺はカイトにそう持ち掛けた。そうした方がいいと自分で判断したからだ。
「まぁそうだな、もう少しここの様子も知りたいしイワンの昔話を聞けるなら大歓迎さ」
カイトは快く受け入れた。
「そうか、助かるよ。まぁ昔話と言ってもそこまで面白いものではないからあまり期待しないでくれ。俺は昔、子供のころ、親にどういう仕事をやってるか聞いたことがあるんだ。そしたら大事な仕事だから言えないと返されたことがあってな。その時は好奇心旺盛な子供だっらから生意気にも探偵になったつもりで家に親の仕事を示すヒントがないか探したことがあった。ちなみに両親とも同じ仕事だというのは聞いてた。だから、母親も父親も頑なに答えなかった。そういうのが俺の好奇心をもっと揺さぶったんだろうな。それで、探し出した」 カイトは黙って俺の目を見て聞いてくれていた。
「俺の家は普通の家と違って少しばかし大きいって事は見なくても分かる。三階建ての一軒家なんてなかなかあるものじゃない。だから、手掛かりを探すのも大変で子供なりに知恵を振り絞って探索したりしてな……。作戦の一つとしては親が寝静まったときとか親が一緒に仕事場に行くもんだからその隙に探したり、まぁ子供なりに悪知恵っていうのかな、そういう頭を働かせていたわけなんだ。でも、なかなか仕事に関わるような資料とかも出てこなくてな、探索し始めてから十五日くらい経ったよ。正直、諦めようと思ってたんだ。いつか大人になったらちゃんと仕事の事も教えてくれるかもしれないから今、こうやってることの意味を子供なりに考えたりしてた。でも、そんな時、凄いもの見つけたんだ」
「凄いもの?」 ずっと黙って聞いてたカイトが口を開く。よほど、その凄いものが気になったんだろう。
「その凄いものっていうのは内閣官房副長官って書かれた封筒があったんだ。最初、親が面白がって作ったものかと思った。でも、親が頑なに仕事を言わなかったこととそれとが繋がった気がした。国に関わる仕事ってのもおかしくはない気がした。でも、中身はほとんど英語で当然、子供の俺には分からなかった。まぁ今でもわからないかもしれないけどな。で、大事なのはその紙の最初のローマ字なんだ。子供の時の記憶だから記憶が曖昧だけど、確かにSCPって書かれてた気がするんだ」
「おいおい、まじかよ、何、そういう展開?」 カイトは明らかに驚いていた。それもそのはず、今、そのSCPという怪物から逃げているのだから。
「て事はイワンの両親はここの施設との関わりも否定できないってことか?」 カイトは慌てて聞き返す。
「まぁ子供の時の記憶だからあんまり信用しないでくれ。まぁ子供のころの不明瞭な記憶だよ」
その他、子供のころの好きだったもの、好きな食べ物、主にそのような事をカイトに喋った。
そんなこんなで一時間という時期はすぐに過ぎ去り、カイトと俺は寝る態勢に入りお互いに眠りにつく。