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分岐A BADEND 四話

このストーリーはゲームを元に作成しています。

小説になくてゲームにある事。

それはgood endやbadendなど分岐がある事だと気付きました。

今回は小説で初めてbadendという物を作ろうと思い作らせていただきました。

この話は四話で終わりますがあくまでbadendという事だけで、もう一つ分岐した四話を後から追加します。

 カイトの手が自動ドアの開閉ボタンにゆっくりと近づいて行く。

ここからでも、分かった。カイトの手は激しくはないが震えているのは確かだ。

自分の心拍音と足音しか聞こえない静かな部屋で目の前の黒いドアはゆっくりと開いていく。

ドアが半分近く、開くまでSCP-173の姿はいなかった。

このまま、173が居ないまま、と願った。だが、その願いは綺麗なまでに潰される。

ドアが開きそこには同じ部屋があった。

「い、いないか?」 カイトが口を開く。

その瞬間、視界が歪む。視界の歪みで最初は分からなかったが目の前に現れたのが173と分かるまでは少しの遅延があった。

「う、うわああああああああああああああああああ」 俺はあまりの恐怖と動揺で叫び声をあげた。

「イ、イワン、落ち着け。大丈夫だ。落ち着けば」

カイトの冷静な一言。声は震えてはいたものの俺を落ち着かせるには十分な材料だった。

「イワン、いいか? 説明した通り、見続けるんだ。俺は避難できるドアを探す」

目が乾いて瞬きをしてはもう終わってしまう。全てが。全部が。これまでの事が。

目を乾かないように半目にしたり片方の目を交互に開くというアイデアをカイトにぶつけてみたがそれだと駄目だと非難された。

ちゃんと173を目視しないと死角の隙をついて173は襲ってくるんだという。

173は何も言葉を発しない。ただ立っている。逆にそれだけの事でも恐怖を感じてしまう精神状況だった。

「イワン、ドアを開けたぞ。もう見なくていい。今は俺が見てる」 カイトの声だった。心の中で感嘆の声が上がったように感じた。

「カイト、今行く」 俺はそう叫びカイトの待つドアの元へ。

「よし、ついた」 「良くやった、イワン。おかげでドアも閉めれる」

カイトは手を開閉ボタンに添えていてそう言った瞬間、ドアは次第に閉まって行った。

「ふう……。一応、これで大丈夫なはずだ。でも、安心もできないもう一つ違う部屋に移動したい」

カイトと共に辺りを見回すと四方形の部屋に向かい合ったドアがある事に気付いた。

俺とカイトから見ると右と左の壁に同じような扉があった。


-分岐A

「イワン、どっちの扉に行く?」 「俺は右かな」 「右か。分かった」

何となく直感だった。

右の扉の開閉ボタンを押すと大きなロビーのような所に出た。そのロビーはこれまで見た景色と明らかに違う。タイルは大理石と言われる石で色も綺麗な黄色。

柱が二つ中央にあり、ソファのようなものまである。

SCPの気配はない。

「危ない……。武装もしないで173から二回も逃げたのなんて多分、俺達だけだな。自信を持っても良さそうだ」 カイトが少し笑いながら言った。

「こんな所で自信なんてないよ」 俺は若干、呆れ声で答えた。

-ガシャン

ドアの開く音? どこからだ?

「カイト、また173か?」 「いや、173はドアを開けるとは聞いたけど、ここまで早くはこれないはず」

「じゃあ何!?」 「俺にも分からん」

-タッタッタッタ

足音? まさか人間?

「イワン、声を出したら駄目だ。見つかる」 カイトは小声で言った。

足音は次第に大きくなっていく。 俺達はただ待つ事しか出来なかった。

大きな柱から姿を現したのは防護服を着た職員四人の姿だった。

見つかった。職員の一人と目があい銃を向けられ、悟った。もう終わった。と。

「腕を頭の後ろにやれ!!」 最初に銃を向けた職員の言葉だった。

俺達は黙って従うしかなかった。カイトの顔も見れないほど身体が硬直していた。

「こいつら、どうするか?」

「俺達はここの管理の人間じゃないから上に一回聞かないと駄目なんじゃないのか」

「こいつら、逃げないか?」

「大丈夫だろ。逃げたら撃てばいい」

職員の二人が会話を始めた。

「よし、分かった。こいつらを移動させるぞ。そこの二人、おとなしく付いてこい」

「イワン、ここは従った方がいい。もしかしたら助かるかもしれない」 カイトが身体を起こすと俺の耳元にそっと呟いた。


俺は黙って頷き、カイトの身体の後ろに隠れる様に移動した。

一つドアを開け、もう一つドアを開け、もう一つドアを開け、四回目のドアが開いたとき、職員が足が止まった。パソコンモニターが壁に十個も埋められている少し小さな部屋。

職員の一人が固定電話を取り誰かに連絡を取っている。

俺達はただ見ている事しか出来ない。

もし、何か動きを見せたら確実に殺される。

それだけは分かっていた。

「ボス。実はまだ生き残っていた死刑囚を発見したんですが処理に困っていてどうすればいいですかね? ......はい、はい。分かりました。 よしよし、お前達の処理が決まったぞ。やはり、殺せだそうだ」

「カイト......」 自然に口から出た言葉。

その言葉にカイトはこう答えた。

「こうなる事も覚悟してたさ。俺はもう怖くない。これが人生なんだ......」

ーヒュン!

職員の持っていた銃はカイトの 胸を貫きカイトはそのまま倒れこむ。

「カ、カイトおおおおおおおお!!」

俺は倒れこむカイトに四つん這いになりながら近づいた。

「嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ。こんなの絶対嫌だ」 そんな叫びも職員達には響きやしない。

「イ、イワン......。お、ま、えに、、、言ってお、か、ないと、駄目な事があ、る、んだ」 カイトは身体全体の力を使って俺に何かを言おうとしていた。

だが、その頑張りも虚しくカイトの目は閉じていく。

「俺に言いたかった事ってなんだよ!!!! 何で言わずに逝っちまうんだよ!!」

ーヒュン

次の銃声。俺の身体の中に何かが入っていくのが分かった。

銃弾。それは簡単に身体の中に入っていく。

意識が薄れいく......。

これまでの思い出がすべてスローモーションになって蘇っていく。

それもやがて黒く染まっていった。


ーBADEND もう一つの敵

ここまでいかがだったでしょうか。

小説ではあまりないと思うので混乱されたと思います。

作中で分岐Aと書かれた部分があると思いますがもう一つの四話では分岐Bといって左のドアを選択し死なずに進んで行く物語を用意しております。

安心してください。

これで終わりではありません。

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