永遠
人だ。今まで確認できなかった人の姿がそこにあった。嬉しさで涙がでそうだった。
「あなたもこの世界に?」
「この世界?」
優馬は聞いた。するとその男は
「ここは異次元の地球だと考えているんだがね。」
「異次元?」
「そう、ここに存在する生物以外はコピーされた偽物ってわけさ。」
「そう、なんですか」
「あ、自己紹介を忘れていた。俺の名は西田真司だ。」
真司という男がそう言った。今まで話していた所から推測すると悪い人ではなさそうだ。
「僕は山本優馬です。よろしく」
「よろしくな優馬。」
四時間ていど真司と優馬は歩いていた。しかし、人の姿など見えやしない。二人だけで過ごす夜が訪れてきた。真司はコンビニエンスストアからパンとおにぎりを持ち出してきた。
「これ食えよ。」
真司が差し出したのを優馬は一つとってそこで食べた。
「今日はここで過ごそう」
優馬が指した先には豪邸が見える。しかも、扉があきっぱなしだ。先程真司はコピーと言っていたが、鍵まではコピーされてないらしい。
豪邸の中は真っ暗だった。電気はつかない。
「まいったなー。」
真司の声が聞こえる
「確かに電気がないと困りますね。」
優馬はそう言った。しかし、真司の応答はない。
「真司?」
「よっしゃー」
真司が、嬉しそうに優馬の方へ向かった。
「どうしたの?」
優馬が聞くと。真司は
「懐中電灯が落ちていた。しかも、電池はこの家にたくさんあったぞ。」
「懐中電灯か…役に立ちそうですよね。」
優馬がそう言った。
夜が明けた。初めての朝。
「ここでどう過ごすのですか?永遠に?」
「俺もそれをずっと考えていたんだ。でも、答えなんて見つからなかったよ。」
優馬が聞いた質問に真司はそう答えたが。優馬の顔は曇っている。
「まあ、これから考えていこうよ!」
真司の声に便乗して
「そうだね」
と答えた。
この世界に来て二日目。物凄く長く感じた。優馬はこの世界の異変に気付きはじめていた。
「雨?」
いきなり雨が降り出した。しかも二分経てばやみ、また二分経てば降り出すのだ。
「いやだな、まるで俺らを歓迎してないようじゃないか。」
真司がそう言った。
「今日はずっとこの家に居ますか?」
「様子見で行動しよう。」
雨が止んだ。昼前の十一時だ。
「行きますか?」
「ああ、そうしよう」
俺らはその家にあった生活必需品を少しずつ持ってこの家を後にした。