消失
俺は学校でいじめにあっている。それは高校一年の時から二年間も続いている。死にたい。普通にそう思い始めた。
「今日も学校か。」
暗い日常が始まると思うと彼、山本優馬は憂鬱な気持ちになった。ただでさえ学校が嫌いなのに毎日通わないといけないなんてまさに地獄だ。
チャイムが鳴った。今日も遅刻になる。これで今学期三十回程度にものぼる。まあ、それでいいのかもしれない。それはクラスに入った時に決まる。
ゆっくりと教室に入った。案の定誰もいないらしい。
「ふぅー。」
とため息をついた。それがなにより嬉しいことか。一時限目は体育だ。体育館に移動しなければならない。しかし、優馬は体育館に行くことを拒んだ。なぜなら体育着に着替えるだけでいじめの標的になるからだ。
ずっと考えていた。もう五十分ほども。その時だった。
「なんだお前来てたのか。」
クラスメートであり、いじめっ子の北山弘樹だ。彼にされることは暴力や恐喝などと言った一般的なものであるが、それが彼にとってどれだけ辛いものか。
「死ねよ死ねよ」
クラスメート全員の声が聞こえる。優馬はクラスを飛び出した。クラスメート全員の笑い声が聞きとれた。
俺に生きてる意味なんてあるのか。そう思っていただろう。
学校が終わり家に帰った。俺はもう死ぬと決めた。親にも話さず、一人で死ぬことにした。
自殺決行日かれは家の近くの二十階建ての高いマンションの屋上から飛び降りることにした。
「怖いな。」
それを最後に優馬は飛び降りた。
光が見える。なんだろうこの気持ち。これが死ぬってことなのか。彼はそう思った。しかし、いつまで経っても死なない。それどころか音も聞こえない。痛みも消えている。彼は驚いた。何故なら人が消えていたからだ。
「え?」
彼がそう言うのにも無理はない。彼は途中で拾った自転車であたりを進むことにした。しかし、どこまで行っても人の気配はない。
何キロも進み、家電量販店の店に足を踏み入れた。そこでテレビに有名司会者の姿が映っていて、ホットした。映像越しではあるが、人の姿が確認できたからだ。
これからどうしようかを考えていた時だった。彼の目に輝きが写った