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ダイジェスト版  その1  改訂版

前書



「イグナーツデンナー」この小説は『悪魔の霊液』と双璧をなすホフマンのゴシック小説の傑作であると私は思っている。


さあそれでは読者のみなさん。


私のあらすじガイドとともに、中世ドイツの暗い森に出かけるとしましょうか。


そこにはオオカミも野生のイノシシも、山賊も木泥棒も、密猟者もいる暗いドイツの森ですよ。



『イグナーツ・デンナー』はそんなくらい森がまだうっそうと茂っていたころの古いドイツの物語です。。


それでは、、、、



私のダイジェスト版でどうぞ、、、、。



( ㊟ 原作は古典小説であり、著作権は消滅しております。)












「イグナーツデンナー」  その1




時代はずっと昔のこと、場所は北ドイツのフルダ地方の、そこのアロイス・フォンファッハ伯爵家の


狩人である主人公アンドレスは領主様に付き添ってはるばるイタリアまでお供をすることになる。


そして旅の途中、ナポリ王国の町で辻盗賊に襲われたとき一命を賭して伯爵を助けたのである。


そしてナポリの宿に止まったときそこにいた孤児の小間使いジオルジナが意地悪な養父にこき使われていることに哀れみをかけたアンドレスはやがて思いを募らせたジオルジナをフォンファッハ伯爵に請うて


妻として寒いドイツに連れ帰ることを許されたのである。ドイツへの帰路、二人は結婚したのである。


さて、フルダに戻った時、、伯爵はアンドレスが自分の命を救ってくれたことを感謝し、


自分の領地の森番(森林官主任)に任命してくれたのである。

森番とは、領主様の領地の森林を警護し、木泥棒や、密猟者などから守るお役目なのである。


アンドレスは妻を伴い、、あてがわれた老僕とともに、鬱蒼と生い茂る森の、荒れ果てた番小屋に入ったが、


そこは、密猟者や木泥棒、盗賊団の跋扈するところでもあったのだ。それらの監視が森番の任務である。


森には、狼やイノシシがいてアンドレスのわずかな畑も荒らし放題だった。


森番のわずかな給金ではアンドレスが貧窮に陥るに時間はかからなかった。


南国イタリア育ちのジオルジナも北ドイツの荒涼とした中では見る見るやせて床に伏せるばかりだった。


こんなふうにドイツの暗い森を舞台に展開するドラマが「イグナーツデンナー」である。



アンドレスは潔癖な男だったから、密猟者や木泥棒たちの誘惑や買収にも一切応じなかった。


だから、彼らは常にアンドレスの命を狙って夜、襲うこともあったのである。


月の明るい夜、遠くで銃声がとどろいた、番犬がけたたましく吠え、アンドレスは森へ見回りに出ていくのだった


子供を一人生むと、ジオリジナはどっと床に臥せるようになった。

妻の容体は悪化の一途そしてうまれたばかりの子供も風前のともし火だった。


そんなある日のことだった。

その日は嵐がものすごいうめき声をあげつんざくように黒いモミの木の間を抜けて吠えていた。


と、家の前を人間の足音らしきものとが近づいてきた。老僕は身構え、、、


番犬はけたたましく吠え、、、、アンドレスが戸口に出てみると、


そこには灰色のマントを着た、背の高い男が立っていた。


「やれやれ、森の中でさんざん迷ってしまいましたよ。

この疲れた旅のものをあなたの家で少し休ませてくださいよ」


『ああ。あなた、あなたが入ってきたのは貧しくてみじめな家ですよ。何も出すものもないのですよ」


そこには粗末な旅装の商人がいた。


これから年に一度の大歳市の帰りだが道に迷ってしまったという。


そして家に入って病に伏せているジオルジナを見るとよい薬があるといって


、怪しげな小瓶を取り出しエリクサー(霊薬)をさじの上にたらし一口飲ませた。


するとジオルジナは急に元気を取り戻したかに見えるのだった。


そして一晩とまらせてくれはすまいかという。


そして自分はこんなみすぼらしいなりはしているが実は宝石や薬を商う商人で

名前はイグナーツデンナーと名乗った。

これこのとおりといって

小箱を開けるとそこにはまばゆい宝石や真珠のついた金の櫛やネックレスなどがぎっしり、それを取り出して見せてくれたのである。


「毎年フランクフルトからカッセルまで行きさらにスイスまで足を延ばしライプチッヒの聖ミカエル祭の市もまわり、1年で私はこのコースを2往復しているのです。」という。


そしてジオルジナにも装身具ををつけてくれたのだ。


ぱっと輝いたジオルジナの顔、商人の瞳に不気味な赤い光を見たような気がしたアンドレスは


「やめてください。貧しい私たちが、もてもしないそんなもので妻をぬか喜びさせるのは」


すると商人 (イグナーツ・デンナー)はこういった。


「実はこの宝石箱は、イタリアまで持って帰るばかりなのです。正直で親切なあなた方を信じて、どうでしょう、来年またこの大市に来るまであずかっておいてはくれませんか?」



そして私が戻って来るまで奥さんがこれを自由に身につけたってかまいませんよ。」


デンナーは不気味な笑みをたたえてそうも言ったのだった。


ジオルジナは拡げられた宝石類を見て目を輝かせるのだった。


かくして不思議な商人は宝石箱を預け、そしてジオルジナに早く病気を治すようにと


かたくなに断るアンドレスを、避けて妻のジオルジナのところに行ってさっと、


金貨を握らせてしまったのでした。



次の日アンドレスにカッセルに向かう途中まで保衛を頼んで旅人は去っていったのである。


森の道々には、木陰から怪しげな黒い影(密猟者?)が立ち現われては消えたが不思議とこの二人連れに、なぜか?襲いかかる気配はなかった、


それからというもの、デンナーのくれた金貨で、アンドレスの暮らしぶりは急に豊かになったのである。

ジオルジナもデンナーの薬のおかげでみるみる回復し、赤子もすくすくと成長。


あのナポリ王国にいたころの若やぎを取り戻していたのだった。


そうしてデンナーは数か月後、聖ミカエル祭にまたやってきて、

アンドレスの家に今度は3日泊まった。

デンナーは今回もきわめて気前が良かった。


ジオルジナにナポリから買ってきたという金の留め針をくれたのだ。


ジオルジナは早速それを髪に刺し、あのナポリの衣装に身を包んで出てきたのだった。


それは輝くように美しかった。もちろん今回も金貨をジオルジナにそっと渡して去っていった

、、。


デンナーが去ると、

アンドレス言った。


「僕はどうもあの男が信じられないんだよ。


それどころかあの男がいるといつも背筋がぞっとするんだ


何か不正な財産が転がり込んだような気がして、くるしいんだ、


ああ何か悪いことが起こらなければいいんだが」


さてそれからというものデンナーは1年に何回か、友人アンドレスのところに立ち寄ることになった。


ジオルジナのかわいい息子が9か月になったころ、デンナーは再び立ち寄り、男の子をナポリ風に

着飾りワインを開けて祝ってくれたのだった。


デンナーは男の子を膝にのせて、そしてこう切り出したのである。


「どうでしょう。私は子供がいません。今見るとこの子はとても利発で才能もあるようです。


私に預けてくれませんか?私は金持ちですから、そうしたらシュトラスブルクの家庭教師に預けて立派な教育をつけあげますよ」


デンナーの膝からさっと赤子を奪い取ると、アンドレスは即座に答えた。



『この子は私たちの喜びのすべてです、それをあなたは奪おうというんですか?


どんな宝より大事なのです。お受けすることはできません」


この答えを聞くと明らかにデンナーは不機嫌だった。


しかしそれからは立ち寄っても2度と養子の件はデンナーは持ち出すことはなかった。


来るたびデンナーは気前よくジオルジナを飾り立て、、また、そっとジオルジナに金貨や贈り物を渡すのであった。


さらには預けっぱなしになっている例の高価な宝石箱も、


ジオルジナにいつでも好きに身に着けていいんだよと、繰り返し言い含めるのでした。


事実ジオルジナもアンドレスに隠れてそっとその宝石類を身に着けていたのでしたが、、。



こうしてアンドレス一家はデンナーのおかげで幸福に年月を送ったのだった。


幸福な2年が過ぎたころある秋の、嵐の夜だった。



アンドレスの家の扉を激しくたたく音がしたのである。


あわててアンドレスが番犬を放とうとした時です。


『あけてくれ。あけてくれ』という聞きなれた声が、それはデンナーの声でした。


入ってきたデンナーはいつも質素な服装とは違って深紅の胴着を着こみ腰には4丁のピストルを刺し

顔はひげぼうぼう、まるで別人のようだった。


デンナーは言った。


「アンドレス、俺が3年前にお前の瀕死の女房を助けたとき、お前はその恩義に、血と命で報いるといったな? 今その時が来たぞ、アンドレス。さあ、銃をとって俺についてこい」


アンドレスは正義と道徳と宗教意に反しなければ何でもするといった。


仕方なくデンナーについていったアンドレスは、


茂みに潜む仲間たちと遭遇した。


「親分こいつが新入りですかね?」


その言葉を聞くとアンドレスにはすべてがわかった。


『いいかよく聞け。私は強盗団のお先棒を担ぐなんて絶対しないぞ、

今すぐフルダの領主様に訴えてやるぞ」


デンナーは言う

「いいか。ジオルジナとかわいい子供がどうなってもいいのか?

あいつらの命は俺たちの手の中にあるんだぞ。それに、、お前にくれてやったあの金貨も俺たちが盗んだものなんだぞ」


それを聞くとアンドレスは、家族の危険を察知して言いなりになるしかなかった。


心の中では、ついて行って何も加担せずに、一部始終を見てそれを訴えればいいと思ったのだ。


盗賊団は村の裕福な農家を襲う計画だった。


アンドレスを見張りにして強盗団は押し入った、。パンパンと銃声が聞こえ


押し入った強盗と農民が争っている姿がアンドレスにも見えた。


その時不意にフォンファッハ伯爵家の狩人たちが表れて助太刀を始めたのである。


みるみる形勢は逆転し、3人の盗賊がからめ捕られ、つかまってしまい。さらに、


、盗賊団は追い詰められデンナーも逃げる途中で足に銃弾を受けて倒れたのである。


アンドレスは何を思ったのかデンナーのところ人駆け寄り抱きかかえて必死で暗闇の中を逃げたのである。



もう追ってもこないところまで来るとデンナーを下した。

足から血が流れ落ちていた。


「アンドレス、今度は俺が助けられたな、これでお互い様だ、もう恩義の貸し借りはないぞ

さあ、行くがいい。俺はもう2度とこの地方では強盗はやらないし戻ってもこないからな」


アンドレスは急いでその場を離れて家路についた


デンナーの仲間たちが戻ってくる前に家へと帰り着いたのだった。


心配したジオルジナは無事だった、。


アンドレスは事の顛末をフォンファッハ伯爵に訴えるつもりだったが、


デンナーから金貨をもらった経緯もあるし、もらった宝石箱もあるし、かえって疑われるからとジオルジナに止められて


その場は行かずに様子を見ることにしたのだった。


しばらくして、例のとらえられた盗賊団の3人が入っていた牢屋で何者かによって3人がめった刺しにされて死んでいるのが見つかった。


これで盗賊団の実態を白状する証拠も隠滅されてしまったわけです。


さてそれから、デンナーの姿はぱったり消えて、


アンドレスはまた貧しい生活に逆戻りです。


でもすがすがしい清貧な生活をアンドレスは心から嬉しく思ったのでした。


こうして何事もなくやがてジオルジナは2人目の子供を出産しました。


ある日庭でくつろいでいると、


木陰になにやら人影がしたのです

アンドレスはあわてて番犬を放そうとしたその時です。



(その2続く)


2019.27改訂済み

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