986
『ヌッ?』
「ハッ!」
魔神め!
宣言通り、最初の一撃を避けようともせずに受け止めやがった!
それ故にオレの怒りは沸騰し続けているような有様だ。
一方で冷戦な部分が僅かに残っていた。
強い。
オレ自身、かなり上乗せしたと思っている。
武技も上位の神降魔闘法になったし、金剛法も追加してあるのだ。
それでも届いていない。
それが、分かる。
分かってしまう。
それでも挑む。
全てを、何もかもを、ぶつけるように。
吐き出すかのように。
そしてオレの口から迸る叫びが獣のようになって行く。
それがどうしようもなく、心地好かった!
「キシャァァァァーーーッ!」
『グヌッ?』
魔神の表情に余裕が無くなりつつある。
いや、まだまだ余裕があるだろ?
今のは顎先の髭を毟ろうとしただけだ。
しかも牽制に過ぎない。
本命は鳩尾への、肘撃ちだ!
「チェァッ!」
『フンッ!』
腹筋を締めただけで弾き返されそうだが、構わん!
魔神の体躯の、向こう側を撃つ。
そのつもりで撃ち抜く!
だが、魔神の膝蹴りがオレの上半身を吹き飛ばす。
もう少しだ。
手応えで言えば、もう少し。
僅かに踏み込めば、もっと威力が増すだろう。
そしてダメージが通る。
そんな確信があった。
「シャァァァァーーーーッ!」
腕を手繰って肘を掴み、そのまま投げる。
肘関節を極めたつもりだったが、感覚はおかしい。
防御されている?
先刻から、どうも嫌な傾向だ。
オレの攻撃が、読まれている?
『ハハハハハッ!』
地面に肩から激突しながら魔神が嗤う。
ダメージは確かに与えている。
だが魔神の自己回復能力の高さは格別だ!
1割にもなってないだろう。
あれ?
おい。
ちょっと待て!
以前はこうだったか?
もしかしてこいつ、かなり強くなっている?
オレの放った蹴りを無造作に腕で払い、立ち上がる魔神。
嗤っている様子には見えない。
侮蔑するような様子は皆無。
どこか満足そう?
『やはり、惜しい』
「何?」
『今からでも遅くは無い。魔神とならんか?』
「断る!」
『そう言うと思った!だが今はそれでいい』
魔神の笑みが壮絶な代物に変化する。
獣の臭いが漂っていた。
オレの体も大いに反応している!
いいぞ。
もっとだ!
もっと、見せてくれ。
この魔神がまだ実力の上辺しか見せていないのは知っている。
その底を見てみたい。
命懸けになるのだとしてもだ!
『確かに、以前より楽しめそうだ』
「そうかい」
『さて、これでどうなるかな?』
センス・マジックは使っていない。
それなのに目の前に見える風景が違って見える。
歪んでいる?
そう見える程の、圧倒的な威圧感。
水晶竜を前に平然としていた理由も納得だ。
これは金紅竜級だろうか?
その領域は比較したくても出来ないんだけどな!
『ゲヒャッ!』
「クッ!」
クソッ!
攻撃が、途切れない!
カウンターも放って直撃しているんだが、構わず前に出続ける魔神。
圧倒的、そして嵐のような有様。
隙を見出すも何も、息を継ぐ事すら出来ない!
思考も追い付けていない。
オレの肉体もまた然りだ!
「チッ!」
頭を掴まれた所で手首を極めに行く。
腕のパワーだけで凌がれているという、恐るべき事態。
オレの体重など片腕で持ち上げられるであろう事は明白だが。
これ程とは!
完全にフィジカルで圧倒されている。
体の芯が重たくなるような痛みで感覚が鈍って行くようだ。
これはマズい!
「ハァッ!」
魔神の左腕に飛び付き、腕拉十字固めへ。
ついでに踵で顎を狙ったんだが、腕で払われてしまう。
それでも完璧に捉えた!
だが。
オレの体が、さらに浮く。
何をしようとしているのか、分かるぞ!
『フンッ!』
オレを片腕だけで持ち上げ地面に叩き付けようとする直前。
関節技を外す。
狙うのは魔神の首だ!
「ッ!」
『ヌッ?』
両脚で魔神の首を捉える。
右手も使ってより厳しく絞め上げ、左腕で眉間を抱える。
そしてロック。
出来なかった!
オレの左腕は魔神の手で握られている。
単に、それだけ。
なのに腕カバー共々、握り潰されかねない勢いだ!
『ここまでにするか』
「何?」
片手のパワーだけで引き剥がされた!
オレの体はそのまま、地面に叩き付けられる。
息が!
息が、出来ない!
受け身はかろうじて出来たが、迎撃は間に合うか?
『フンッ!』
「チッ!」
両腕をクロスした所に魔神の前蹴りが直撃する!
オレの体は文字通り、吹き飛ばされていた。
転がった先でどうにか立ち上がる。
追撃は?
来ない。
ええい、臆したか!
だがオレの体も思うように動いてくれない。
自分の体じゃ無いような感覚。
だからどうした?
『これは我の勝ちで良いのかな?』
「そうすべきなんでしょうね」
待て!
そう叫ぼうとしたが言葉が出ない。
オレのHPバーは?
まだ残り3割程、残っている。
このまま判定とか、嫌ですからね?
『だが我は見解を改めねばならんな』
「何をかしら?」
『力量は十分にある。約定があるとなれば、先を譲っても良いのだがな』
だからさ、オレ抜きで話を進めるな!
ここは仕方ない。
ソーマ酒を使おう。
『約束は約束である!順番は譲って貰おうか』
「まだ負けたとは思ってないぞ!」
ああ、どうにか声が出た。
そして息が荒い。
まだだ。
オレはまだ、戦えるぞ!
「キースちゃん、そこって場外なのよねー」
「えっ?」
確かに。
オレが立っているのは場外だった。
まさか。
まさか、これで終わりなのか?
《只今の戦闘で【打撃】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【蹴り】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【関節技】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【投げ技】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【回避】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【受け】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【時空魔法】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【封印術】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【光魔法】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【風魔法】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【土魔法】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【水魔法】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【火魔法】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【闇魔法】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【雷魔法】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【掴み】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【精密操作】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【跳躍】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【軽業】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【平衡】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【耐久走】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【気配察知】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【気配遮断】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【魔力察知】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【暗殺術】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【身体強化】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【精神強化】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【武技強化】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【全耐性】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【限界突破】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【獣魔化】がレベルアップしました!》
何だかもう色々とレベルアップしちゃっているし!
納得出来ない。
これで本当にいいのか?
いや、良くない!
「もしかして、時間が無いのかしら?」
『そう余裕は無いであろうよ』
「この町の近くは勘弁して欲しいわね」
『それは我に言うべき台詞ではあるまいよ』
筋肉バカの魔神の言葉が真実だとしたら?
オレがこのサニアの町を出たら程なく、魔神達の軍勢に包囲されるのだろう。
いい気がしない。
当然、サニアの町の住人には迷惑な話になるだろう。
「キースちゃんは大丈夫かしら?」
『ま、何とかなるであろうよ』
「敵の敵は味方って訳?」
『さて。敵はどこまでも敵でしか無い。だが』
魔神はそこで言葉を区切った。
意味ありげにオレを見る。
何なんだ?
『ただ屠ってしまい忘却していい敵ばかりではないな』
「貴方は好敵手が欲しいって事かしら?」
『どうとでも』
「キースちゃんも難儀な相手に見込まれたものねーね」
それはどうかと思います。
逆にオレにとって、この魔神は超えるべき存在であるのだ。
見込んだのはオレの方が先であるとも言える。
「これ!気合いを入れんか!」
ジュナさんと魔神が会話する間、ゲルタ婆様がオレの後方に来ていたみたいだ。
かなりの勢いで尻を叩かれていた。
この人、暗殺者か何かですか?
気配がまるで読めない。
「キース様は大丈夫なので?」
「さて。魔神が相手となれば油断出来ませんからの」
サビーネ女王の問いに答える師匠はどこか他人事のように見える。
し、師匠!
弟子がピンチですよ?
手助けはこの場合、不要だけど激励は欲しいと思います!
「何、これも試練じゃ。明日以降、元気な顔を見せに来ると信じておるぞ」
「そうじゃ。マナポーションの作製も手伝って欲しいしの」
師匠もゲルタ婆様も酷いな!
こういうのもスパルタって言うのかね?
何かが違うような気がします。
『で、町を出たら移動するのか?』
「町の近くで襲われたら困るからな」
余計な同行者が増えた。
マズい。
傍目ではどんな感じに見えるんだろう?
お祖父ちゃんと孫が一緒にペットの散歩をしている図?
そんな感じだろうか。
NPCだけじゃなくプレイヤーの視線もどこか痛い。
「場所はどこでもいいのか?」
『構わん』
「文句は言うなよ」
沼地にでも案内してやろうか?
森でもいい。
そんな事を思い付いていた事は内緒だ。
でもね、それではオレも戦い難い。
余計な真似は止そう。
あそこがいい。
u4マップだ。
最果ての地だ。
周囲の地面は鏡面仕様、当然だが戦い難い場所になる。
でもプレイヤーの姿は無い。
NPCもいない。
魔神級の面々が暴れても迷惑が掛かる事はあるまい。
「テレポートで跳ぶが付いて来られるのか?」
『ふむ。汝の肩に掴まっていいかな?』
「余計な真似はするなよ」
『無論だ』
本当、どうしてこんな事になったのか?
誰にこの怒りをぶつけたらいい?
やはり運営だろうか。
何となく、オレの選択ミスが影響しているようにも思えます。
もうね。
流れるままに、流されるままに行動するしかないだろう。
《これまでの行動経験で【錬金術】がレベルアップしました!》
一旦、最果ての地の中で装備の修復をしておきました。
何しろ目の前にいる筋肉バカの魔神と格闘戦をしているのだ。
実際、かなり消耗していた。
いや、本当に。
掴まれた腕カバーとか、ぶっ壊れる寸前だったよ!
『どうやらもう余裕が無いようである!』
「そうかい」
魔神を相手にどう布陣を組むか?
あのドワーフの魔神だけが相手であれば悩みは皆無だっただろう。
手出しさせるつもりは無いのだから。
だが、他にも魔神はいる。
追従戦力でアラバスタードラゴンもいるそうな。
その各々に魔人の魔竜使い付きだ。
何名が来るのかは不明だが、その全てを相手に暴れさせて貰おう!
無論、筋肉バカの魔神に異存は無いのを確認してある。
布陣は見直しだな。
この鏡面の世界で空中戦は出来るだろうが、向いてはいない。
半ば地上戦の様相になるだろう。
いや、そうすべきだ。
相手が相手だし、グレイプニルも活用したい。
ヴォルフ、黒曜、テロメア、ルベル、キュアノスにしました。
支援と火力を重視した結果だ。
定番の布陣にしたかったけどこればかりは仕方ない。
筋肉バカの魔神曰く、雲母竜も参戦するそうだ。
ある程度、任せておけばいいと言われているが、そんなつもりは無い。
要するに獲物の奪い合う構図は変わらないって事だ!
そして使える切り札は?
エクストラ・サモニング、そしてメタモルフォーゼだけだ。
色々と不足している。
魔神達がこっちの都合に合わせて襲ってくれる訳じゃ無い。
使える手札でどうにかするしかないだろう。
「じゃあ行くぞ」
『そうであるか』
筋肉バカの魔神の様子は?
一見、気負うような所は無い。
だが、分かる事もある。
その実、暴れたい自分を抑え込んでいるのだろう。
ジュナさんを前にした時のような自然な感じとは異なっている。
まあ、いいさ。
確かにドワーフの魔神との戦いに関しては、譲ろう。
他の連中はオレの好きにさせて貰う。
ドワーフの魔神が勝ってしまったら、どうする?
その時はその時だ。
消耗しているようであれば回復させて、対等の立場で戦ってもいい。
格闘戦に関しては妥協はしない。
する必要も無いのだ。
「魔神達か?」
『いや、違うな』
頭上の星空は歪んでいた。
渦状にも見える暗い空間から何かが現れようとしていた。
雲母竜 スカラブドラゴン ???
??? ??? ???
??? ???
先にこいつが来たのか。
HPバーは2割程も減っているかな?
MPバーは半分って所だ。
『ココハ何ダ?』
『それよりも連中の戦力はどうだ?』
『琥珀竜モイル!我ノミデ抑エラレル時間ハソウ長クナイゾ?』
『何、今回は援軍がいる』
雲母竜がオレを睥睨している。
威圧感は相変わらずだ。
『コノ矮小ナル者ニ期待シテイイノカ?』
「消耗しているようだが、大丈夫なんだろうな?」
雲母竜に言い返しておくか。
だが、一気に背筋が寒くなる。
それ程の怒気。
それでも雲母竜にまで獲物を譲るつもりは無い。
『琥珀竜にはあ奴がいただろう。どうだ?』
『イル。ダガ琥珀竜ハ制約ト誓約ニ縛ラレタママダ。我デモ対抗出来ヨウ』
「手助けは要るかな?」
『不要ダ!』
オレはスラー酒を手にして軽く振ってみせる。
雲母竜の消耗を考えたら与えておく意味があるだろう。
一時的であれ、共同戦線を張るのだ。
ま、本気で与えるつもりは無いけどね。
「こんなのもあるぞ?」
オレが取り出したのは黄金の林檎。
一定時間、不死身扱いになるとんでもない代物だ。
相手が相手なのだし、助けになるのは間違いない。
『矮小ナル者ナドノ施シハ受ケン!』
『立場が逆であったとしたら?汝であれば受け入れるのかな?』
「いや」
『理解しているのであれば詮無き事はするでない』
無論、これは挑発だ。
そして思惑通り、激発しかかっていた雲母竜。
競争はもう始まっている。
冷静さを失わせておく事も有効だろう。
『ソロソロ、来ルゾ!』
「何で分かる?」
雲母竜はオレの問いに答えない。
上空を見上げ、今にも飛び立とうとするかのようだ。
オレも上空を見る。
星空の風景が再び歪んでいた。
琥珀竜 モスドラゴン ???
??? ??? ???
??? ???
雪花竜 アラバスタードラゴン ???
??? ??? ???
??? ???
派手な蝶のような黄金色の琥珀竜の周囲に白のアラバスタードラゴン!
その数は?
少なくとも8体、いるだろう。
まだ渦状の穴は閉じていない。
まだまだ、援軍が来るだろう。
「神降魔闘法!」「金剛法!」「エンチャントブレーカー!」「リミッターカット!」
最初にすべき事は?
魔神だ。
ドワーフの魔神に手出し出来ないのは腹立たしいがな!
最初のうちにグレイプニルで梱包させて貰おう。
(フィジカルエンチャント・ファイア!)
(フィジカルエンチャント・アース!)
(フィジカルエンチャント・ウィンド!)
(フィジカルエンチャント・アクア!)
(メンタルエンチャント・ライト!)
(メンタルエンチャント・ダーク!)
(クロスドミナンス!)
(グラビティ・メイル!)
(サイコ・ポッド!)
(アクティベイション!)
(リジェネレート!)
(ボイド・スフィア!)
(ダーク・シールド!)
(ファイア・ヒール!)
(ヒート・ボディ!)
(レジスト・ファイア!)
(十二神将封印!)
(ミラーリング!)
最初は強化祭りだ!
既にルベルが精霊門を使い、様々な精霊を呼び出してる。
本来ならブーステッド・モンスターズが使えたらいいんだが。
それに【英霊召喚】の緋炎聖女と組み合わせたい所でもある。
それでも今は多くの数の精霊が行使出来る事が有り難い。
空中を舞う各種の精霊達の姿が地面でも舞っているように見える。
オレですらも誤認しかねない状況だ!
キュアノスの姿は?
どうも未見の存在に変化しているようだ。
ワキヤン Lv.5
精霊 戦闘中
戦闘位置:空中、地上
風属性 土属性 雷属性
フェニックスとはまた趣の異なる巨鳥だ!
その全身に纏う魔力は当然のように高い。
いや、雷撃そのものか?
大型化したスパッタみたいな感じだ!
((((((六芒封印!))))))
((((((七星封印!))))))
((((((十王封印!))))))
((((((プリズムライト!))))))
(((((ミーティア・ストリーム!)))))
(ミラーリング!)
ドワーフの魔神が鏡面に降り立つのを確認。
同時に【呪文融合】で組んだ呪文を空中に向けて放つ。
多少、地上にいたドワーフの魔神に喰らわせてしまったかな?
ま、妥協して貰おう。
先制しておかないとマズい連中であるのだ!
何体かのアラバスタードラゴンが鏡面に衝突する様子も見えている。
慣れていないうちにどこまでやれるか?
オレの肩に掛けてあるグレイプニルは2つ。
出水を召喚しなかった事は選択ミスか?
そうは思わない。
今更、後悔しても仕方ないよね?
ドワーフの魔神の後方に他の魔神が次々と降り立っている。
狩人姿の魔神、ルーズリーフの魔神、妖艶な女魔神だ。
雲母竜は琥珀竜に向かっている。
あの老人の魔神はきっと、琥珀竜と一緒にいるだろう。
(ショート・ジャンプ!)
そっちは任せておこう。
ヴォルフと黒曜と共に、跳ぶ。
オレの影の中にはテロメアもいる。
この3名の魔神は全部、オレの獲物とするのだ!
『な、何なの?』
(シャドウ・ゲート!)
(ミラーリング!)
問答無用だ!
グレイプニルで梱包し終えた女魔神を影の中に格納する。
後でゆっくりと始末してやろう。
この魔神は指輪やら色々と装備している。
【封印術】が効いていても尚、効力があるのは知っていた。
だがグレイプニルには無力であるらしい。
後ろ手にして縛り上げたその姿が扇情的だったのは否めない。
胸が強調されている!
エロ過ぎる。
それだけで罪だ。
オレを惑わせようとするな!
それに次が問題だ。
グレイプニルはこれで2つとも使ってしまった。
その上、今のオレのHPバーは4割だ。
それ以上、回復してくれない。
理由は分かっている。
あの狩人の魔神が放った矢を幾本か、直撃で喰らっていたからだ。
幸いにも状態異常は敏捷値低下と毒だけに留まっている。
それでも被害は甚大であるかもしれない。
まだ魔神が残っていて、手元にグレイプニルは無い。
梱包して後で仕留めるプランは使えないのだ。
『いやはや、いい手並みだねえ』
オレがルーズリーフの魔神と認識している奴だ。
耳にはピアスが幾つも並んでいる。
両手の指には幾つもの指輪。
【封印術】の呪文が効いていても様々な攻撃を繰り出している。
恐らく、身に付けたアイテムの力であるのだろう。
だが、不審な点もあった。
狩人の魔神、そして女魔神を助ける様子を見せなかったのだ。
「仲間を助けなくて良かったのか?」
『仲間?』
目の前の魔神はヘラヘラとした様子を変えていない。
いや、声高に嗤い始めた。
何なんだ?
『確かに同じ魔神ではあるけどねえ。助ける義理なんて無いよ』
視界の端で雲母竜が琥珀竜と派手に戦闘を繰り広げているのが見える。
その琥珀竜の頭上にあの老人の魔神がいた。
ルーズリーフの魔神の向こう側ではドワーフの魔神と筋肉バカが戦っていた。
格闘戦だ!
クソッ!
見ているだけというのは面白くない。
目の前のルーズリーフの魔神は格闘戦に向かないのは分かっている。
幻影や分身を使ってオレを惑わせていた。
捕獲したかと思えばショート・ジャンプで攻撃を避けた。
全部、呪文ではない。
赤いマーカーには状態異常を示すマーカーが重なっている。
全部、身に付けたアイテムの力であるのだろう。
「フッ!」
ククリ刀を投じる。
目の前のルーズリーフの魔神が幻影である可能性を捨てきれないからだ。
レールガンも1発、直撃させたがそれは分身だった。
エイリアスを一体何回使っているんだ?
ククリ刀は直撃!
だがそれは分身だったようだ。
またか。
またこれかよ!
センス・マジックの視野に切り替えるが、ダメだ。
ルーズリーフの魔神の魔力は?
残滓すら感じ取れない。
周囲に巨大な魔力の持ち主が多過ぎる!
『やあ』
「ッ!」
後方から声。
振り返りつつ、その方向に裏拳を撃ち込む。
だが、それもまた分身?
こいつ、ふざけやがって!
「ガァァァァッ!」
ヴォルフが吠えつつ、ルーズリーフに襲い掛かる。
だがそれは分身か?
すぐに消えてしまう。
いや、分身の数が更に増えている!
10体以上、いるよね?
上空から幾つもの氷の槍が雨のように降り注ぐ!
黒曜だ!
オレに迫っていた分身が次々と消えて行く、その瞬間。
風景の一部が、歪んで見えていた。
アレは何だ?
インビジブル・ブラインド?
いや、怪しいなら攻撃だ!
(アポーツ!)
オレの両手にオリハルコン球と神鋼鳥のククリ刀が戻る。
その歪んでいる箇所に、ククリ刀を投じた。
『グッ?』
ルーズリーフの魔神が姿を現す。
笑いが消え、驚愕の表情。
お前が本体か!
(ショート・ジャンプ!)
魔神の背後に跳ぶ。
だが。
オレの見た風景に、アラバスタードラゴンの姿が迫る。
邪魔するな!
(レールガン!)
(ミラーリング!)
手にしたオリハルコン球が頭部を破壊するのを確認。
アラバスタードラゴンの巨体はオレの傍を通り過ぎている。
ヴォルフと黒曜の獲物にしていいだろう。
「ッ!」
だが、これがいけなかったか?
ルーズリーフの魔神を裸絞めに捉える事が出来なかった。
逃がすか!
耳のピアスを鷲掴みにして、思いっきり引っ張った!
『ガハッ!』
ルーズリーフの魔神の口から漏れた声は?
いい響きだ。
もっとだ!
もっと、聞かせて欲しい。
いや、オレの手でその声を上げさせてやる!
「シャッ!」
引き千切ったピアスを投げ捨てる。
距離を置こうとする魔神だが、遅い!
足を払い転がすと腕を絡め取る。
そのまま捻り上げてアームロックに極めた。
体重を掛けても分身の感触では無い。
無論、幻影でも無い。
そのまま首を思いっきり、捻る!
だがこれは失敗であったか?
魔神のHPバーが一気に減ってしまう。
瀕死だ!
クソッ!
面倒だったけど、仕留めるとなるとこうもアッサリなのかよ!
これではオレが満足出来ないぞ?
『汝には祝福を』
「何だと?」
『そしてそれは呪詛でもある』
何を言っているんだ、こいつ?
意味が分からない。
『また会う事になるよ。辺獄からの帰還を楽しみにしておくんだね』
「そうかい」
減らず口など不要。
首を抱え直して、捻り上げた。
魔神の首はあり得ない角度になって沈んでしまう。
全く、手間を掛けさせやがる!
魔神の死体を放り捨てて周囲を見る。
戦闘は?
まだ続いている。
ルベルが召喚した精霊達はもう半分といない。
ドワーフの魔神と筋肉バカの魔神の戦いは変わらず続いているようだ。
そして上空は?
雲母竜がアラバスタードラゴンに集られているかのようだ。
だが、雲母竜はまるで気にしていない。
徹頭徹尾、琥珀竜に迫っている。
その琥珀竜は防御に徹しているようで、戦況は拮抗しているようだ。
さて、オレはどうする?
邪魔そうなアラバスタードラゴンから減らしてしまおう。
鉄の棺桶なり、氷の棺桶なりを使えば分断は可能だ。
鏡面となっている地表に墜落させてしまえ!
影の中にいる魔神2名は?
後回しでいい。
警戒という名の保険でテロメアにも潜ませてある。
ルーズリーフの魔神の死体が目の前で消え、指輪が残ったようだ。
拾い上げて《アイテム・ボックス》に放り込む。
まだオレの状態異常は回復している訳じゃ無い。
変わらずHPバーは4割までしか回復してくれないようだ。
これ、先に狩人の魔神を屠らないとダメなのかね?
そうも思えるけど、今は時間が惜しい。
アラバスタードラゴンを始末しよう。
結果的に雲母竜の手助けをする形になるけどね。
雲母竜にまで獲物を譲っていられません。
ドワーフの魔神以外、早い者勝ちでいい筈だ!
((((((八部封印!))))))
((((((九曜封印!))))))
((((((イビル・アイ!))))))
((((((メテオ・クラッシュ!))))))
(((((アイアン・メイデン!)))))
(ミラーリング!)
アラバスタードラゴンはこれで最後か?
ついでに魔人の魔竜使いも最後になる筈だ。
地表に墜落した鉄の棺桶はダーク・フォールに嵌まってしまう。
鉄の棺桶を突破されても先制は出来る。
そうはしないけどな!
((((((エナジードレイン!))))))
((((((フォースド・メルト!))))))
((((((カーボニゼーション!))))))
((((((フォースド・エバポレーション!))))))
(((((サーマル・ニュートロン!)))))
(ミラーリング!)
【呪文融合】は30連装、29連装の時との差はそんなに感じない。
まあ回数を重ねたら相応の差になるんだろうな。
そんな事を考えてました。
いや、これでオレが狙える目標は自然と絞られてしまう訳だ。
ドワーフの魔神。
これは筋肉バカの魔神が戦っている相手だ。
オレが勝手に介入していい相手じゃない。
そもそも、消耗しているドワーフの魔神を相手に勝ってみた所で面白くない。
そうなると残る獲物は琥珀竜とあの老人姿の魔神だ。
きっと介入したら雲母竜は怒るだろうな。
そこは確信していい。
それにしても雲母竜め、よくやる!
MPバーを相応に減ってはいるが、琥珀竜を相手に押し込んでいるのだ。
空中戦ではない。
地上戦になっている。
巨躯のドラゴン同士の格闘戦みたいなものだ!
これはこれで観戦する価値がありそうだが、オレにはその気は無い。
琥珀竜はどうも防御に重点を置いているようだ。
攻撃は老人姿の魔神に任せている様子が分かる。
老人姿の魔神は例の呪文をまだ繰り出していない。
呪文の名称は確か、カタストロフィ。
何故、使っていないのか?
何となくだが理由が分かる。
ドワーフの魔神にまで累が及ぶからだろう。
先に狩人の魔神と女魔神の息の根を止めておこうかな?
オレのHPバーが4割程度のまま、雲母竜と琥珀竜の戦闘に介入するのは無茶だ。
待っているがいい。
その戦いの輪の中にオレも加わるからな!
今は最後のアラバスタードラゴンと魔竜使いを仕留めることに専念しよう。
次はグレイプニルで梱包済みの魔神2名だ。
そして本命の老人姿の魔神と琥珀竜です。
全部、美味しく頂こう。
雲母竜が敵になる可能性は?
当然、あるだろうな。
だが雲母竜は元々、味方では無い。
敵であるのだ。
そこは勘違いしちゃいけません。
主人公 キース
種族 人間 男 種族Lv172
職業 サモンメンターLv61(召喚魔法導師)
ボーナスポイント残 35
セットスキル
小剣Lv137 剣Lv136 両手剣Lv136 両手槍Lv141
馬上槍Lv141 棍棒Lv138 重棍Lv136 小刀Lv135
刀Lv138 大刀Lv140 手斧Lv135 両手斧Lv139
刺突剣Lv141 捕縄術Lv139 投槍Lv140
ポールウェポンLv141
杖Lv155 打撃Lv162(↑1)蹴りLv162(↑1)
関節技Lv162(↑1)投げ技Lv162(↑1)
回避Lv171(↑1)受けLv171(↑1)
召喚魔法Lv172 時空魔法Lv158(↑1)
封印術Lv158(↑1)
光魔法Lv156(↑1)風魔法Lv156(↑1)土魔法Lv156(↑1)
水魔法Lv156(↑1)火魔法Lv156(↑1)闇魔法Lv156(↑1)
氷魔法Lv155 雷魔法Lv156(↑1)木魔法Lv155
塵魔法Lv155 溶魔法Lv155 灼魔法Lv155
英霊召喚Lv6 禁呪Lv157
錬金術Lv144(↑1)薬師Lv34 ガラス工Lv33
木工Lv79 連携Lv146 鑑定Lv124 識別Lv139
看破Lv106 耐寒Lv80e
掴みLv153(↑1)馬術Lv145 精密操作Lv153(↑1)
ロープワークLv100e 跳躍Lv151(↑1)軽業Lv152(↑1)
耐暑Lv80e 登攀Lv60e 平衡Lv118(↑1)
二刀流Lv135 解体Lv124 水泳Lv80e 潜水Lv80e
投擲Lv151
ダッシュLv150 耐久走Lv147(↑1)追跡Lv130
隠蔽Lv131 気配察知Lv149(↑1)気配遮断Lv139(↑1)
魔力察知Lv148(↑1)暗殺術Lv152(↑1)
身体強化Lv150(↑1)精神強化Lv150(↑1)高速詠唱Lv50e
無音詠唱Lv60e 詠唱破棄Lv60e 武技強化Lv147(↑1)
魔法効果拡大Lv145 魔法範囲拡大Lv145
呪文融合Lv145
耐石化Lv80e 耐睡眠Lv80e 耐麻痺Lv80e 耐混乱Lv80e
耐暗闇Lv80e 耐気絶Lv80e 耐魅了Lv80e 耐毒Lv80e
耐沈黙Lv80e 耐即死Lv80e 全耐性Lv92(↑1)
限界突破Lv38(↑1)獣魔化Lv68(↑1)
召魔の森 ポータルガード
ジェリコ、リグ、クーチュリエ、逢魔、守屋、スーラジ
久重、テフラ、岩鉄、虎斑、蝶丸、網代、スパーク、クラック
オーロ、プラータ、エルニド、ムレータ、ハルヴァ、アルケン
酒船、コールサック、シュカブラ、シルフラ、葛切、スコヴィル
デミタス、白磁、マラカイト、トラフ
獣魔の森 ポータルガード
ティグリス




