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「順番でいいんだが」
「いえ、お先にどうぞ!」
アデルとイリーナは春菜と此花を相手に軽く対戦をするつもりらしい。
春菜と此花は布陣を組み替える事で鍛錬する形であるようだ。
色々と悩んでいるようです。
じゃあ遠慮無く、先に対戦を続けさせて貰おう。
パナールとアイソトープはここで帰還だ。
スコーチと出水を召喚しましょう。
闘技場の鏡面仕様は継続でいい。
但し、パナールを帰還させたから騎乗戦もここまでだ。
得物も切り替えよう。
今日の闘技大会は6試合しかない。
でも会場は試合場A面のみ、見逃す事はあるまい。
団体戦も個人戦も、準決勝戦の4試合は知り合いが出場するのだ。
今度こそ、しっかり応援したいものです。
《只今の戦闘勝利で【小剣】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【棍棒】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【看破】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【精密操作】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【平衡】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【二刀流】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『スコーチ』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
危なかった。
今の戦闘でいきなり闘技場の魔物の難易度が跳ね上がったぞ!
捧げたのは冥府の炭。
出現するのはギリシャ神話の面々であるんだが、2セットなのはまだいい。
十二神級は全部、2セットいませんでしたか?
ラドン・ゴールドガード、アマルテイア、トライコーンも増量だ!
ゴールドシープも1体だけ、いたように思う。
難易度、跳ね上がり過ぎだろうが!
十二神級の面々で格闘戦を楽しめそうなのは確かにいる。
ヘパイストスの化身は勿論、アレスの化身もいい相手だ。
得物で戦っても楽しそうな相手も多い。
だが、面倒なのもまた多いのだ!
自然と格闘戦を楽しめる余裕は無くなる。
残念。
数が増えるよりも個々の力量が跳ね上がる方がいいのに。
こういった所の融通はまるで効かない。
困ったものです。
スコーチのステータス値で既に上昇しているのは生命力でした。
もう1点のステータスアップは精神力を指定しましょう。
スコーチ ミネルヴァオウルLv58→Lv59(↑1)
器用値 46(-18)
敏捷値 101(-42)
知力値 60(-24)
筋力値 60(-24)
生命力 61(↑1)(-24)
精神力 46(↑1)(-18)
スキル
嘴撃 爪撃 無音飛翔 回避 遠視 広域探査
夜目 透視 反響定位 空中機動 監視 看破
強襲 隠蔽 追跡 気配遮断 気配察知 危険予知
天啓 睡眠 混乱 自己回復[中] 物理抵抗[中]
魔法抵抗[中] MP回復増加[小] 耐混乱 耐即死
耐魅了 耐睡眠
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『ロッソ』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
「キースさん、平気ですか!」
「私は大丈夫だが、召喚モンスターが平気じゃないな」
スコーチは早速、エルニドの祝福でスタータス異常の回復を受けている。
それでも全快には至らない。
出水も雪白も結構深刻なステータス異常になっている。
ここで区切らないといけません。
ポータルガードではハルヴァとシュカブラが軽度のステータス異常だ。
これは回復出来るだろう。
いずれにしてもエルニドには大きな負担になる。
祝福による回復を終えたらスラー酒を与えておくべきだ。
ロッソのステータス値で既に上昇しているのは敏捷値でした。
もう1点のステータスアップは生命力を指定しましょう。
ロッソ 紅竜Lv58→Lv59(↑1)
器用値 31
敏捷値 75(↑1)
知力値 31
筋力値 103
生命力 90(↑1)
精神力 31
スキル
噛付き 巻付 受け 回避 水中機動 水棲
飛翔 突撃 物理抵抗[中] 魔法抵抗[中]
自己回復[中] MP回復増加[中] 霊能 霊撃
熱感知 気配遮断 猛毒 ブレス 光属性
火属性 風属性 土属性 水属性 溶属性
毒耐性 ブレス無効 鬼竜変
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『雪白』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
オレ自身もリミッターカットの後遺症がある。
ソーマ酒を服用して解消しておこう。
それにしても、いきなりだったな。
インフォメーションか何かで事前に強化終了のお知らせがあればいいのに。
今の戦闘、序盤で少しでも躊躇してたら全滅しかかっていたぞ?
「闘技場だが、また強化が進んだみたいだ」
「「えーーーーっ!」」
「「またですか?」」
うん。
またなんです。
やらかしたとは思ってます。
でも反省をする気は毛頭ございません!
雪白のステータス値で既に上昇しているのは筋力値でした。
もう1点のステータスアップは生命力を指定しましょう。
雪白 白竜Lv58→Lv59(↑1)
器用値 46(-30)
敏捷値 106(-64)
知力値 28(-17)
筋力値 75(↑1)(-45)
生命力 75(↑1)(-45)
精神力 28(-17)
スキル
噛付き 巻付 受け 回避 水中機動 空中機動
水棲 飛翔 物理抵抗[中] 魔法抵抗[中]
自己回復[中] MP回復増加[中] 強襲 霊能
遠視 夜目 広域探査 熱感知 振動感知
気配遮断 猛毒 風属性 土属性 水属性
氷属性 毒耐性 耐即死 共振波 高周波
鬼竜変
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『濡羽』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
剥ぎ取り作業を進めて行く。
不思議な事に戦闘時間はそう間延びせずに済んでます。
ゆっくりとしててもいいんだが。
現時刻は午前8時20分だ。
第一試合は午前9時からだった筈。
早めに切り上げた方がいいだろう。
濡羽のステータス値で既に上昇しているのは筋力値でした。
もう1点のステータスアップは生命力を指定しましょう。
濡羽 黒竜Lv58→Lv59(↑1)
器用値 31
敏捷値 68
知力値 31
筋力値 85(↑1)
生命力 108(↑1)
精神力 31
スキル
噛付き 巻付 受け 回避 水中機動 堅守
匂い感知 熱感知 振動感知 気配遮断
掘削 水棲 飛翔 物理抵抗[大] 魔法抵抗[大]
自己回復[中] MP回復増加[中] 霊能 心眼
夜目 猛毒 暗闇 石化 麻痺 混乱 即死
光属性 闇属性 土属性 水属性 木属性
毒耐性 鬼竜変
剥ぎ取りの結果は?
黄金の林檎が数個、そしてコルヌー・コピアイ。
だが何よりも金毛羊皮が確保したのは大きい。
「これってやっぱりゴールドシープの素材なんでしょうね」
「想像にお任せするよ」
アデルと春菜は金毛羊皮の手触りを堪能するのに夢中だ。
だが、イリーナと此花は気付いているだろう。
今の対戦で闘技場のオベリスクに何を捧げたのか、分かっている筈。
彼女達全員はd2マップでレウケーの化身達と戦っている。
冥府の白ポプラ、そして冥府の炭の存在にはもう手が届いているだろう。
後は地道にレベルアップ、クリエイト・モンスターのレシピ追加を待てばいい。
それにしても、積み残した課題がまだあったな。
コルヌー・コピアイだ。
結構な数が貯まってしまっている。
もうね、アイテム狙いは止めだ!
ログアウト前にでも派手に使ってしまおうか?
オレの勘だけど、これも危険物だ。
それも、世界樹蛇鶏の羽に匹敵するだろう。
その上、闘技場そのものの強化が進んでしまったらしい。
難儀な事だ。
思わず笑ってしまいそうになる。
だが今は耐えるんだ。
目の前にイリーナと此花がいるのです。
「じゃあ、サニアの町に移動しようか」
「観客席はきっと一杯!」
「ま、どうにかなるさ」
何だったらフライの呪文を使ってでも上空から観戦したっていい。
たまにだけど、そんなプレイヤーも見ているのだ。
『キースさん、こっちです!』
「ここか?」
『ここからなら見晴らしもいいですからね』
ヒョードルくんのフォレストアイに導かれて観客席に来たのはいい。
特等席だよ、ここ!
その場所は雛壇のすぐ横で見晴らしは確かにいい。
最高だ。
席の確保でどれだけ前から待機していたのか、そっちも気になってしまう。
観客席もかなり埋まっている。
プレイヤーとNPCは半々って所かな?
マーカー表示が凄い事になっていた。
まだ試合開始まで間があるんだがな。
いい席は先に確保したくなるのも分かるけど、ここまで盛況とは思わなかったな。
「応援はこれで全員か?」
「交代でログアウトしてますんで」
「フィーナさん達もすぐに来ますよ」
周囲はいつものメンバー、そしていつもの光景。
試合に出場するアデル、イリーナ、与作、東雲がいないだけだ。
すぐ近くにも見た事のあるプレイヤーが何名もいる。
戦隊チームは目立つし、漁師兄弟のパーティも装備を見たらすぐに分かる。
オレの周囲はサモナー系の面々が多いから召喚モンスターの姿も多い。
出来るだけ邪魔にならないよう、1人につき1体か2体だ。
それでも周囲には異様に見える事だろう。
近寄ろうとする者はそういない。
オレの布陣は?
ヴォルフ、黒曜、テロメア、待宵、キレートだ。
一見、ヴォルフと黒曜しかいないように見えるだろう。
テロメア、待宵、キレートはオレの影の中に潜んでいるから邪魔にならないけどね。
観戦は確かに大事だ。
でも何かが起きた際に即応出来る戦力は控えさせておきたい。
役に立たないのが一番?
確かに。
これから準決勝に出場する面々には悪いけど、何かが起きて欲しい。
そう思っているのも事実だ。
「最初の試合は?」
「与作。次は東雲ですね」
「その後がアデルちゃん、そしてイリーナちゃんだよ!」
4試合連続で見逃せない。
そんな時に限って、背中を駆け上がるような戦慄。
何か危険な存在が、迫っている!
ヴォルフも黒曜も、そしてここにいる全ての召喚モンスターも動かない。
いや、動けない。
それは巌のような影。
ローブ姿だが、堂々と顔を晒してやがる!
何だってこんな所に来たんだ?
『場所は空いているかな?』
魔神だった。
あの、筋肉バカだ!
どう答えろと?
いや、ここで仕掛けるつもりか?
「え?」
「おい!」
「動くな!」
周囲が騒ごうとするのをどうにか鎮める。
こいつは無差別に暴れて殺戮するような奴じゃない。
戦いに身を置くのを好んでいるだけだ。
自らを追い込むような激戦を望んでいる。
懸念すべきであるのはここで暴れる事じゃ無い。
試合場に乱入する方だろう。
それにここからだと雛壇も近い。
師匠とジュナさんがいるのは見えていた。
上空には水晶竜とブロンズドラゴンだっている。
魔神であっても介入するのは難しいだろう。
「何をしに来た?」
『半分は観戦だ。多少は興味があるのでな』
「もう半分は?」
『汝だ。そろそろ、奴等も来る頃なのでな。ここで待つ』
またか。
嫌な予告を聞いてしまった。
それは同時に朗報でもある。
あのドワーフの魔神が襲いに来る。
恐らく、他の魔神も同行しているに違いない。
「わざわざ、ここに姿を見せた理由は?」
『言う必要を感じない。それより、いいのか?』
「何?」
『試合だ。始まるようだぞ?』
試合場に一瞬だけ視線を飛ばす。
エレメンタル・マジシャン『雷』の姿が遠目に見える。
相手になる与作の後ろ姿もある。
だが、視線を逸らすのは危険だ!
目の前に立つ魔神は、どう動く?
筋肉バカの魔神はそのまま、空いてしまった席に座り込んでしまう。
おい。
まさか、ここに居座るつもりか?
『座れ』
「あんたなあ!」
『いいから、座れ。心配せんでも余計な真似はせん』
魔神が隣の席を叩いて座れと促してやがる。
クソッ!
挑発か?
これは挑発なのか?
「襲われるとは思わないのか?」
『我は一向に構わん。だが汝は違うであろうに』
見透かされている。
そしてどうする事も出来ない。
ここでいきなり派手に殴り合うのも迷惑になるだけだ!
『そんな顔をするな。汝とはいずれ戦う事になるだろう』
「今日でもいいぞ」
『今日はダメだ。理由は理解出来るであろう?』
この目の前にいる筋肉バカがオレとの戦闘を控える理由は何か?
消耗していられない相手との戦いを控えているからだ。
それが分かる。
分かってしまう。
『いいから、座れ』
その申し出を断る事は?
出来ない。
する理由も無かった。
ある意味、こいつがここで暴れないであろう事は信用していい。
そう思える自分も確かにいたのでした。
『ククッ!』
魔神が笑っている。
その理由も何となく分かる。
与作はHPバーを半分以下にされながらもどうにか勝利を収めていた。
終始、力押しである。
攻撃は一撃しか当たらなかったが、それで終わりだった。
斧の直撃では無い。
タックル一発で吹き飛んで相手が気絶してしまったのだ。
準決勝の試合内容としてはどうかと思う。
でも与作のHPバーをあそこまで減らすのは簡単じゃ無い。
健闘した、と言うよりも苦戦したと言っていい。
あのまま距離を置いた戦いが続いたら危なかっただろう。
そして今の試合だ。
東雲の相手は二刀流スタイルの剣聖です。
だがその試合内容は予想とかなり異なる展開になった。
東雲はポールウェポンを使わず、メイスと盾で挑んだからだ。
二刀流スタイルに対抗するならポールウェポンのままでもいいと思ったものです。
だが、東雲の狙いはまるで違っていた。
最初から格闘戦狙いで密着するのが目的であったようだ。
確かに間合いを詰めるつもりであるならポールウェポンでは邪魔だ。
結果、東雲は殴り勝っている。
無差別級個人戦決勝は与作と東雲になる訳だが。
応援のし甲斐があった、とは言い難い。
オレの隣には筋肉バカの魔神がいたのだ。
全身の筋肉が緊張で強張りそうになっている!
『汝以外にも面白そうな奴がいるようだな!』
「ああ」
つかさ、馴れ馴れしく話し掛けて来るんじゃない!
まるで仲良しに見えちゃうじゃねえか!
誤解されたらどうしてくれる?
雛壇には師匠もジュナさんもいるし、サビーネ女王もいるのだ。
洒落にならん!
『ところで、汝は参加せんのか?』
「最初から参加してない。殿堂入りって奴でね」
『ほう?』
「実質、出入り禁止だ」
筋肉バカめ。
全力で笑いを押し殺してやがる!
『そ、そうか!』
「腹筋は大丈夫か?」
『鍛えてあった筈だがな。危うい所であった』
そうですか。
次に戦う機会があったらその腹筋を崩壊させてやろう。
無論、笑わせてじゃない。
『ほう、団体戦もあるのか?』
「ああ」
何だろう。
意外に饒舌なんだな、この筋肉バカの魔神って。
自己顕示欲は強いのか?
寂しいだけなんだろうか?
そんな想像をしてしまう。
オレとしては色々と頭が痛い。
脳筋であって欲しい気がするんだが、今はそうであって欲しくない。
無分別に暴れて闘技大会がご破算になっては困る。
それに今日は鏑木達の件もある。
こいつを連れてというのは都合が悪くないだろうか?
いつまでこの状況は続くのか。
試合場にアデルが登場、応援したいのだが。
気が散る。
隣にどうしても意識が向いてしまう!
「キース、大丈夫なの?」
「大丈夫じゃ無いです。危ないんで近付かないようにして下さい」
オレと魔神の周囲には誰も寄って来ようとしていない。
例外はフィーナさんだけだった。
その表情も血の気が無い。
大丈夫?
そう自分に言い聞かせてみた所で無意味だ。
言霊でどうにか出来る状況じゃ無い。
試合場にシェルヴィ達のパーティが登場。
始まる。
始まってしまう!
なのにこの野郎、話し掛けて来る様子を見せる。
『そうだ、汝には今のうちに相談があるのだがな』
「何だ?」
『あのドワーフの魔神だが、汝に譲る訳にはいかんのだ』
試合場ではもうお互いに礼をしている所だ。
クソッ!
これでは試合に集中出来ない!
「で?邪魔をするなとでも?」
『そうは言わん。代わりに他の魔神を全て譲ろう。どうだ?』
「断る」
『強情な奴め』
どうもこの筋肉バカめ、試合に興味を示していない。
好みのプレイヤーが試合場にいないって意味なのか?
試合開始と同時にアデルが召喚モンスター達と共に前進。
いや、突っ込んでいる様子を見せる!
応援すべきなのだが、これではな!
『戦ってみたら分かると思うがな。汝のみでどうにか出来る相手ではない』
「承知しているさ」
『汝のみでは辺獄より戻る奴等を迎え撃つより他ないぞ?』
「その辺獄ってのは何だ?」
筋肉バカが悩む様子を見せる。
結構、真剣だ。
『済まんがな、頭が悪いので説明し難いが』
「そうだろうな」
『全ての事象の果て、世界の果て、認識可能な領域の限界、そんな所だろう』
頭が悪い?
そう自称する割に難しい事を言ってるぞ!
理解出来る言葉で喋ってくれ!
「そんな所ってのは、何だ?」
『上手く表現出来ん。頭が悪いのでな』
「そうかい」
アデルがパイロキメラと虎獣鵺と共に突撃!
シェルヴィ達のパーティは迎撃を得意としているのに無謀だろ?
考え無しに突っ込むのはどうかと思うぞ?
だが両翼から大きく回り込む形でケルベロスとインペリアルタイガーが迫る!
一時的にだが、半包囲?
あれ?
もしかしてアデルが優勢なのか?
試合開始直後から妖狐の放つ攻撃は壁呪文で防がれていたんだが。
どうやら無謀とも言える程に攻撃を重ね続けているのが効いている?
怪我の功名?
『魔神はどいつも辺獄に自らの命を預けているようなものだ』
「へえ」
『だから屠ってみた所で復活するだけだ』
そうですか。
ある意味で死に戻りがあるって事だ。
回数制限でもあるのかね?
無いなら無いでもいい。
復活したのを後悔させてやるさ!
「あんたもなのか?」
『まあな』
「それで死ぬのが怖くないのか」
『それは少し違うな。表現するのは難しいが』
シェルヴィ達がより一層、防御を固めて行くのが分かる。
それに構わず、攻撃を続けるアデル達。
しかし凄いな!
シェルヴィはその大きな盾を地面に固定しているのだろう。
インペリアルタイガーの攻撃を何度も防ぎきっている!
体格の差は明白だ。
どれだけ防具が優秀であっても限度がある。
あれ、どこまで保つんだ?
『以前にも言わなかったかな?退屈なのが困る』
「そんな事も言ってたかな?」
『死ぬ事よりも退屈なのが怖い』
「戦うのに適当な相手が出来たみたいじゃないか」
『以前の奴には杖があったであろう?アレに頼っているのではな』
ああ、そう言えばそうだっけ?
あのドワーフの魔神はどちらかと言えば後衛みたいなスタイルだった。
今は全く違う。
完全に前衛だ。
『そういう意味では汝には感謝せねばならんな』
「そりゃどうも」
アデルを護衛していたパイロキメラと虎獣鵺が空中に飛ぶ。
空中位置の優位は確かにある。
だが、それはアデル自身の防御が手薄になる事にも通じる。
大丈夫か?
攻勢を維持出来なくなったら一気に詰むぞ?
「相棒の雲母竜はどうした?」
『奴等を追跡している。ここに到達するのはそう遠くあるまい』
「おい!」
『心配せずともこの町には入れん』
筋肉バカめ、いい笑顔をしやがる!
そして後ろへ視線を投げかけていた。
オレもその視線の先を見る。
そこにはジュナさんがいた。
『そうであろう?』
「そう願いたいわね」
いつからオレ達の会話を聞いていたんだろう?
仲良しだと思われないといいんだが。
「何が来たかと思ったら厄介な事だわ」
『心配無用。物見遊山も同然なのでな』
おっと、いかん!
アデルの試合はどうなった?
壁呪文も駆使して迎撃に徹していたシェルヴィ達が動く!
アデルを狙っているのだろう。
だが、反応に僅かなズレがあったようだ。
そこを衝いたのは何と妖狐!
密集隊形の中央に飛び込んで、無差別に攻撃を始めている!
後衛の足が止まる。
そこに横合いからケルベロス!
一気に3枚、後衛が減ったのはいい。
勢い余ってケルベロスも場外になったのはちょっとどうかと思う。
だが、これでかなり優勢だ。
優勢なんだが。
アデル自身が沈んだら意味が無い。
シェルヴィに肉薄されているぞ!
「このまま去ってくれないかしら?」
『そうしてやっても良い。この小僧を借り受けたいが』
ああ、もう!
筋肉バカの魔神め、余計な事を言うなよ!
「どういう事?」
「どうも魔神達に狙われているみたいでして」
『我はそれを待っている。面倒が無いのでな』
「ここで暴れられたら迷惑なんだけど?」
『心配であるなら汝もここにいる事だ。席なら空いている』
いや、空いているのはあんたのせいだよ!
魔力は遮断しているのだろうが、剣呑な雰囲気は隠せていない。
プレイヤーは当然、近寄れない。
NPCだってジュナさん以外、近寄ろうともしない。
ローブ姿でもこいつの体躯は目立つ。
どうしても、目立つ。
潜入しているつもりなんだろうか?
「じゃあ、そうするわ」
『そうするがいい』
だが。
ジュナさんが座ったのはオレの隣でした。
そう。
オレは筋肉バカの魔神とジュナさんに挟まれた形になる。
これでは逃げ場が無い!
そして試合場でもシェルヴィが逃げ場を無くしているようだ。
残っていた前衛3名は背後をインペリアルタイガーに襲われていた。
頭上からはパイロキメラと虎獣鵺の攻撃が重ねられる。
アデルに迫るまで、もう少し!
武技を使おうとした所にアデルが壁呪文を使う。
絶妙のタイミングだったな。
機先を制した形で突撃を防いだのは上々。
その壁を一気に突破したシェルヴィもどうかと思う。
だが、距離を詰める事は叶わなかった。
転んだ所にパイロキメラと虎獣鵺に襲われてしまっている。
あそこから挽回するのは困難を極めるだろう。
いや、ちょっと無理?
アデルの勝利は動きそうに無い。
「あら?終わっちゃった?」
『ふむ』
ジュナさんはヴォルフを抱えるようにしてオレの隣に座る。
いいんだろうか?
「警護はいいんですか?」
「いいのよ。ちゃんと残してあるし、オレニューちゃんもいるし!」
「はあ」
もうね。
気の休まるような状況じゃ無い。
殺伐としている。
いつ両隣から戦いが始まってもおかしくない。
奇妙な緊張を強いられている!
『次も召喚モンスターがいるのか』
「お気に召さない?」
『まあな』
ジュナさんの口調は普段通りだ。
でもどこか挑発しているようにも感じる。
筋肉バカの口調にも特に怒気は含まれていない。
でも心配だ。
脳筋なのだし、どこでスイッチが入るか分からない。
もしかしてオレ、こんな状況のまま観戦するの?
気が休まらないとはこの事だよ!
『単調であるな』
「堅実、とも言えるわね」
『然り。だが物事は常に表もあれば裏もある』
「確かにそうね」
もうね。
背筋がゾクゾクし続けてます。
どっちが先に仕掛けるのか?
そんな雰囲気にも思えてしまう!
お願いだからお互いに挑発しないで!
《これまでの行動経験で【看破】がレベルアップしました!》
《これまでの行動経験で【気配察知】がレベルアップしました!》
何もしていないのに!
それなのにスキルまで上がっちゃっている!
もうね、戦っていた方がマシだ。
ここまで明確にプレッシャーが掛かっていたんじゃ息が詰まりそう!
それでもイリーナの試合なのだ。
見ない訳には行かない。
応援だってしないといけない。
それが例え心の中だけで留まっていたのだとしてもだ!
やっぱりオレって小心者?
『勝敗が見えたな』
「あら、まだ拮抗していると思うけど?」
『どうかな?』
ああ、もう集中出来ない!
イリーナは堅実に壁呪文も併用して攻撃を捌き、距離を詰めつつある。
前衛の召喚モンスター達の支援に徹している。
自らの護衛役はキングバジリスクと青竜。
1枚を外して遊撃に使ってもいいと思うのだが、何か考えがあるのだろう。
ガヴィの遊撃を警戒しているのか?
リディアのエイリアスへの対策は何もしていない分、火力では不利だ。
それでも防御に徹する理由は何だろう?
今は拮抗しているように見えるが、ジリジリとMPバーに差が生じつつある。
『そろそろ、仕掛けるだろうよ』
イリーナが、仕掛けた。
マッドヒュドラのブレス!
同時にゴーレム・オブ・リキッドメタルの姿が消える。
いや、液状化した?
ブレス攻撃はもしかして、目眩ましか?
だがタロスはピットフォールに片足が嵌まって動けなくなっている。
イリーナの仕掛けは果たして間に合うのか?
「確かに仕掛けたみたいね」
『時間を掛け過ぎたな。勝機を逸したも同然』
「まだ分からないわよ?」
『勝機は自ら作るものだ。無理をしてでも攻勢を強めるべきだったな』
どうも筋肉バカはイリーナ有利と見ているのか?
そんな感じもする。
そのイリーナだが、護衛役の2枚を攻撃に加えていた!
キングバジリスクと青竜が前に出る。
イリーナ自身は?
何とタロスの肩の上に跳び、矢を放ち続けている。
一種の高台だな!
「いい判断ね」
『だが我の趣味では無い』
「どういうのがお好みなのかしら?」
『汝もまた我の趣味では無いな』
「あらそう?残念だわ」
ああ、この位置を誰か代わって!
生きた心地がしない。
段々と挑発が酷くなっている気がする。
それでいてオレは動く事が出来ないでいる。
誰か、助けて!
一方で試合場では決着の時が近い。
遊撃に位置していたガヴィを除いて、場外に弾き出されてしまっていた。
地面から迫っていたゴーレム・オブ・リキッドメタルの仕業だ!
いや、鬼竜変を使った青竜もです。
ブレス攻撃を防御させた所で攻撃を重ねた訳か。
残るはガヴィのみ。
イリーナの背後から乾坤一擲の一撃を狙っているようだが。
既にキングバジリスクがイリーナの壁役に戻っている。
どうやらここから先は詰め将棋になりそうです。
ガヴィも機動力を使って粘れるだろうが、それにも限界がある。
勝敗はほぼ動かないだろう。
主人公 キース
種族 人間 男 種族Lv172
職業 サモンメンターLv61(召喚魔法導師)
ボーナスポイント残 35
セットスキル
小剣Lv137(↑3)剣Lv136 両手剣Lv136 両手槍Lv141
馬上槍Lv141 棍棒Lv138(↑2)重棍Lv136 小刀Lv135
刀Lv138 大刀Lv140 手斧Lv135 両手斧Lv139
刺突剣Lv141 捕縄術Lv139 投槍Lv140
ポールウェポンLv141
杖Lv155 打撃Lv161 蹴りLv161 関節技Lv161
投げ技Lv161 回避Lv170 受けLv170
召喚魔法Lv172 時空魔法Lv157 封印術Lv157
光魔法Lv155 風魔法Lv155 土魔法Lv155
水魔法Lv155 火魔法Lv155 闇魔法Lv155
氷魔法Lv155 雷魔法Lv155 木魔法Lv155
塵魔法Lv155 溶魔法Lv155 灼魔法Lv155
英霊召喚Lv6 禁呪Lv157
錬金術Lv143 薬師Lv34 ガラス工Lv33
木工Lv79 連携Lv146 鑑定Lv124 識別Lv139
看破Lv106(↑2)耐寒Lv80e
掴みLv152 馬術Lv145 精密操作Lv152(↑1)
ロープワークLv100e 跳躍Lv150 軽業Lv151
耐暑Lv80e 登攀Lv60e 平衡Lv117(↑2)
二刀流Lv135(↑1)解体Lv124 水泳Lv80e 潜水Lv80e
投擲Lv151
ダッシュLv150 耐久走Lv146 追跡Lv130
隠蔽Lv131 気配察知Lv148(↑1)気配遮断Lv138
魔力察知Lv147 暗殺術Lv151
身体強化Lv149 精神強化Lv149 高速詠唱Lv50e
無音詠唱Lv60e 詠唱破棄Lv60e 武技強化Lv146
魔法効果拡大Lv145 魔法範囲拡大Lv145
呪文融合Lv145
耐石化Lv80e 耐睡眠Lv80e 耐麻痺Lv80e 耐混乱Lv80e
耐暗闇Lv80e 耐気絶Lv80e 耐魅了Lv80e 耐毒Lv80e
耐沈黙Lv80e 耐即死Lv80e 全耐性Lv91
限界突破Lv37 獣魔化Lv67
召喚モンスター
スコーチ ミネルヴァオウルLv58→Lv59(↑1)
器用値 46(-18)
敏捷値 101(-42)
知力値 60(-24)
筋力値 60(-24)
生命力 61(↑1)(-24)
精神力 46(↑1)(-18)
スキル
嘴撃 爪撃 無音飛翔 回避 遠視 広域探査
夜目 透視 反響定位 空中機動 監視 看破
強襲 隠蔽 追跡 気配遮断 気配察知 危険予知
天啓 睡眠 混乱 自己回復[中] 物理抵抗[中]
魔法抵抗[中] MP回復増加[小] 耐混乱 耐即死
耐魅了 耐睡眠
ロッソ 紅竜Lv58→Lv59(↑1)
器用値 31
敏捷値 75(↑1)
知力値 31
筋力値 103
生命力 90(↑1)
精神力 31
スキル
噛付き 巻付 受け 回避 水中機動 水棲
飛翔 突撃 物理抵抗[中] 魔法抵抗[中]
自己回復[中] MP回復増加[中] 霊能 霊撃
熱感知 気配遮断 猛毒 ブレス 光属性
火属性 風属性 土属性 水属性 溶属性
毒耐性 ブレス無効 鬼竜変
雪白 白竜Lv58→Lv59(↑1)
器用値 46(-30)
敏捷値 106(-64)
知力値 28(-17)
筋力値 75(↑1)(-45)
生命力 75(↑1)(-45)
精神力 28(-17)
スキル
噛付き 巻付 受け 回避 水中機動 空中機動
水棲 飛翔 物理抵抗[中] 魔法抵抗[中]
自己回復[中] MP回復増加[中] 強襲 霊能
遠視 夜目 広域探査 熱感知 振動感知
気配遮断 猛毒 風属性 土属性 水属性
氷属性 毒耐性 耐即死 共振波 高周波
鬼竜変
濡羽 黒竜Lv58→Lv59(↑1)
器用値 31
敏捷値 68
知力値 31
筋力値 85(↑1)
生命力 108(↑1)
精神力 31
スキル
噛付き 巻付 受け 回避 水中機動 堅守
匂い感知 熱感知 振動感知 気配遮断
掘削 水棲 飛翔 物理抵抗[大] 魔法抵抗[大]
自己回復[中] MP回復増加[中] 霊能 心眼
夜目 猛毒 暗闇 石化 麻痺 混乱 即死
光属性 闇属性 土属性 水属性 木属性
毒耐性 鬼竜変
召魔の森 ポータルガード
ジェリコ、リグ、クーチュリエ、逢魔、守屋、スーラジ
久重、テフラ、岩鉄、虎斑、蝶丸、網代、スパーク、クラック
オーロ、プラータ、エルニド、ムレータ、ハルヴァ、アルケン
酒船、コールサック、シュカブラ、シルフラ、葛切、スコヴィル
デミタス、白磁、マラカイト、トラフ
獣魔の森 ポータルガード
ティグリス




