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『キース様に重要なお知らせがあります』
何だ?
運営インフォメーションではなく、運営アバターを使った理由は何だ?
一貫しない対応というのは好ましくないぞ?
『u4マップに於けるイベント中断の件、お詫び致します』
「お詫びだけか?」
『お詫びの印として幾つか、ご提案がございます』
提案ね。
賠償?
魔神との対戦権をくれるとか、そういうのがいいな!
本音はそうなんだけど、ここは耐えよう。
「イベント進行が中断したのは、何故だ?」
『詳細は申し上げられませんが、運営側の不手際である事は否めません』
「どこまで説明可能かな?」
『端的に申し上げますと、準備不足となります』
何じゃそれ。
不手際なんてもんじゃないな!
「話を変えよう。ホーリーランド・オンラインってゲームは知っているか?」
『存じ上げております』
ほう。
知っているのか!
ならばその詳細を聞いてみてもいいかな?
「検索しても情報が得られないんだが、何で知っている?」
『大変申し訳ございませんが、お答え出来ません』
「質問を変えよう。検索しても情報が得られない理由は?」
『貴方様にとっては存在しないからです』
「じゃあ、誰にとってであれば存在するんだ?」
『大変申し訳ございませんが、お答え出来ません』
いかんな。
このパターン、具体的には何も情報が得られそうに無い。
即ち時間の無駄って事になる。
「話を戻そう。提案というのは?」
『はい。u4マップに於けるイベントですが設定を根本から変更、準備させて頂きました』
「それだけか?」
『連続するイベントがございますので、そちらは滞りなく進行するよう準備させて頂きます』
続き、あるんだ。
そこはネタバレしなくていいのに。
でも聞いてしまったのはもう仕方ない。
「他には」
『この闘技場の地形選択にu4マップと同じく鏡面環境を実装させて頂きます』
「ほう」
『検討段階でしたが、拠点強化メニューの拡大も実装させて頂きます』
鏡面環境をここの闘技場で再現出来るのか?
それは面白い。
召喚モンスター達を同時に多数、慣れさせる事も出来るだろう。
それに拠点強化メニューも拡大だって?
これは思っていた以上に興味があるぞ?
『如何でしょうか?』
「受けた、両方とも実装を頼めるか?」
『了解致しました。実装は即座に反映されます』
仕事が早いな!
ならば、試そう。
闘技場のメニューから地形メニューを見ると、鏡面がちゃんとあった。
選択して実行すると?
u4マップで見た、あの光景になった。
『如何でしょうか?』
「拠点強化もかな?」
『はい。但し拠点を強化した場合、即座に効果が反映されません』
「分かってる。相応に時間が要るんだろ?」
それはいいんだ、それは。
強化が進むって事が重要なのです。
『では引き続きアナザーリンク・サーガ・オンラインをお楽しみ下さい』
運営アバターはそう告げると去ってしまう。
定位置に戻るのだろう。
その後姿を見つつ、拠点メニューを見る。
各石版の強化が出来るようになってます。
中継ポータル設置の基本となる愚者の石版は勿論だが、他の石版も強化可能だ!
隠者の石版、節制の石版、教皇の石版、皇帝の石版、戦車の石版もです。
塔の石版は8つあるんだが、その各々にも強化が可能であるらしい。
しかも各々、魔結晶2個かよ!
合計で魔結晶28個とか、多大な支出になる。
それだけの数を賄えるストックがあるのも恐ろしいけどな!
容赦は皆無。
闘技場が更に酷い事になるのも承知だ。
それはオレが望んでいる事でもある。
やってしまおう。
中途半端が一番良くないのです。
では、サニアの町に行こう。
闘技大会の観戦がある。
布陣は?
ヴォルフ、テロメア、待宵、キレート、エルニドにしましょう。
アデルとイリーナ、そして与作と東雲は勝ち残れるかな?
そうなる事を期待したい所だ。
「キースさん、こっちです!」
観客席でヒョードルくんが呼んでいた。
しかしこれ、かなり混んでいるな!
試合場A面はサニアの町の中央広場に臨時で設営された代物だ。
観客席も当然、臨時になる。
ここまで勝ち上がったプレイヤー同士の戦闘になるのだから、どれも注目度は高い。
観客の7割以上がプレイヤーかな?
周囲にある建屋の屋上にも観客がいたりして大盛況のようだ。
そして雛壇にはサビーネ王女といつもの面々がいる。
いるのはいいんだが、ジュナさんとゲルタ婆様に挟まれる形で元宮廷魔術師シルビオがいる。
アレはダメだ。
まさに虜囚。
生きた心地がしないだろうな。
オレが同じ立場だったら、そう思えます。
「与作の相手は?」
「エルフです、ちょっと困りました」
「何で?」
「知り合いでして。ちょっとした有名人でもあるんです」
試合場の対角線上にいるのは確かにエルフだ。
まだ兜を装着していないから表情も分かる。
多分だけど女性。
装備を見ても典型的な後衛型エルフだな。
職業はエレメンタル・メイジ『水』ですか。
「後衛でここまで勝ち残るとはな」
「1対1で試合をした事もあるんですが、強いって言うよりも試合巧者ですね」
「で、ヒョードルくんは勝ち越しているのか?」
「いえ、恥ずかしながら負け越してます」
ヒョードルくんを相手に勝ち越しているのか。
それは強敵間違いなしだね!
でも与作にしてみたらやる事は変わらないだろう。
距離を詰めに行く。
話はそれからって事になるだろう。
先制されるのは間違いないが、逆に一撃を加えたら決着が付く。
それまでの時間を相手がどう稼ぐか?
そこが見所だろう。
「長引いてますね」
「ああ。だがそろそろ、限界だろうな」
ダメージはここまで、与作の方がより多く喰らっている。
このまま時間切れ引き分けになれば、相手のエルフが勝利するだろう。
だが、残念。
MPバーに余裕はそう多くない。
ヒョードルくんによれば、相手のエルフ女性はキシリアと言うそうだ。
覚えておくべきかもしれないな。
「アイス・コフィンを使い過ぎたな。ソーン・フェンスで凌いだ方が良かっただろう」
「ソーン・フェンスは斧でぶった切られてますけど」
「それでもだ。リィクアファクションと組み合わせて使えば絡め取っていたよ」
確かに彼女はエレメンタル・メイジ『水』であり、主力となる呪文は水魔法だ。
でも他の系統も手広く取得していたのだし、その組み合わせを有効に使えたら良かったのだ。
与作のメインとなる魔法技能は火魔法で、他は装備で補っているような所がある。
地面を液状化する呪文、リィクアファクションが有効なのは序盤で判明してたんだけどな。
試合場が狭いのを気にし過ぎて連続で使っていないのもいけない。
ずっと優勢のままに見えるが、もう余裕が無い。
弓矢で加算したダメージもそう大きくない。
距離を詰められそうになる機会も増えている。
与作の全身を水が渦巻きとなって覆い、攻撃を加えている。
だがそれで止まるような与作じゃない。
足元がグチャグチャになっているのも構わず前進し続けている。
巨大な斧を肩に担いでいるその姿はまさに人間の形をした戦車のような威容だ!
そして右手に手斧を持っている。
ようやく使う気になったか。
「あ、手斧!」
「もう少しで決着するぞ」
与作はここまで、手斧を投擲せずに温存していた。
何故?
多分だけど、プレッシャーを与え続ける事を優先したかったからだろう。
必中の機会を窺っていたように思えます。
実際に与作が投じた手斧は太股に命中!
どうやらこれで終わりになりそうだ。
「泥だらけの勝利ね」
「ま、こういう事もあるでしょう」
与作の勝利は概ね前衛らしい勝利だっただろう。
正直、地味だ。
エフェクトも地味で、その上に全身が泥だらけだ。
敗者以上に散々な目に遭っているのは間違いない。
「次はアデルちゃんよ!」
「相手は?」
「うわ!ドラゴンナイトが3名もいる!」
アデルは両脇にパイロキメラと虎獣鵺を従えている。
後方に控えるのはケルベロスとインペリアルタイガーだ。
妖狐はアデルの両肩にいる。
相手を見ていないのは明らかだ。
モフモフを愛でている場合じゃないだろ?
「突撃して来るでしょうね」
「ああ。これは乱戦になるな」
前衛のドラゴンナイト3名は間違いなく、槍先を揃えて突撃して来るだろう。
それも繰り返しで、何度でもだ!
だが、それを気にして戦うようなアデルじゃあるまい。
何も考えずに走り回っていそうな気がする。
相手チームの戦力を考えるのであれば、支援役に回る後衛を気にすべきだろう。
杖持ちは1名、これはウィザード?
メイジの上位職と聞く。
それだけに手の内が豊富だろうし、傾向として継続戦闘能力は高いだろう。
弓矢持ちはワールドパイロット、それにレジェンダリーバード。
支援は手厚そうに思えるが、果たしてどうかな?
アデルは相手チームをまだ見ているように思えません。
モフモフを愛でるのにもう夢中だ。
ある意味、これって挑発しているのか?
「何だか心配になって来たんですが」
「そうか?」
もうね。
ここで心配したって仕方ないのです。
アデル配下の召喚モンスター達に期待しましょう。
「勝った!」
「やったね!」
ミオと春菜が喜んでいるのはいいんだが。
試合内容はもうね、どう評価していいものやら。
無欲の勝利、と表現するのは容易い。
いや、相手チームに言いたい。
アデルをいいように暴れさせ過ぎだ!
確かに召喚主を狙うのは常道だろう。
でもね、もう少し工夫して欲しかった。
ケルベロスとインペリアルタイガーの間隙を衝いてアデルに迫る予定だったのだろう。
だが、アデル自身が最初から動き回るとは思っていなかったようです。
ドラゴンナイト3名が戦列を組んで突撃してもその殆どがスカされているじゃないの!
後衛の支援がマズい。
足止めの呪文を優先しなさいって!
「意外と早期に決着しちゃいましたねー」
「内容がちょっと」
「ただの力押し?」
ヒョードルくんもヘラクレイオスくんも、ゼータくんも呆けるだけだ。
駿河と野々村は笑ってしまっている。
確かにどこか奇矯な決着になってしまった。
雛壇で観戦しているジュナさんなど大笑いしているのが分かる。
エルニドの目を借りるまでもない。
「次は個人戦ですね」
「その次がイリーナちゃんの出番よ!」
与作の試合、アデルの試合と続けて少し内容的に物足りなく感じる。
イリーナの試合はそうでない事を祈りたいものです。
イリーナの試合の前に個人戦だ。
大刀持ちの戦士だが、職業は剣聖。
ソードマスターの上位職は剣豪、その上は剣聖であるそうなんだが。
さあ、問題です。
剣豪と剣聖の差は何でしょう?
オレの認識では、戦いを通じて武名を轟かせたのが剣豪。
剣技の発展に貢献したのが剣聖。
そう思ってます。
それだけに剣聖が職業名に使われているのは少々納得出来ない。
まあゲームにあれこれ言うのは違うと思うんだけどね。
そして相手はインペリアルガード。
フェンサー系の上位職だ。
その重装甲は明らかにミスリル系の防具に見える。
得物は壁役に相応しく、メイスだ。
柄は短くはあるが、デカい!
間違いなく凶器だ。
この両者もまたここまで勝ち抜いた猛者だ。
いい戦いを期待していい筈。
いや、オレならどう戦う?
どうしても思考はそっちに傾いてしまう。
応援もいいけどね。
どの対戦も純粋に観戦を楽しみたいものです。
「相手ですけどどう思いますか?」
「アデルとは違って面白そうな展開になりそうだな」
イリーナの相手はちょっと面白そうです。
全員、エルフなのだ。
どうも今回はこういう尖った編成で挑むパーティが多い気がする。
「駆け引き次第では判定まで行きそうかな?」
「いや、時間切れを狙うようでは不利だよ。速攻にすべきだ」
ヒョードルくんの言う通りだろう。
相手はエルフ、基本的に魔法技能に優れている。
呪文を使わせる前に速攻を仕掛け、呪文の使い手を減らすのが得策だ。
だが、ゼータくんの判定という予想も有り得るから困る。
イリーナの戦い方が基本、迎撃であるからだ。
実際に闘技場でサモナー系同士で戦わせたら、判定になる確率は最も高いだろう。
イリーナ対此花に関して言えば、判定以外の決着を見る事が稀だ。
相手パーティのこれまでの戦い振りを見ていれば或いは違って来るだろう。
イリーナの場合、事前に幾通りか相手の手を読んでいるのが常だ。
大きく外れさえしなければ立て直すのも容易いのだが。
最初から判定狙いでは危うい。
防御面で捌き続けるのは至難だと思える。
青竜の鬼竜変が防御面で大きな武器になるのは知っているけど、アレにも不利な点がある。
周囲の状況を把握するには不向きであるのだ。
だが、どうやらオレの懸念も無用かな?
イリーナが考慮していないとは思えない。
「始まるよ!応援!」
「お、おう」
ミオに言われなくとも応援はしてますよ?
それ以上に対戦を楽しんでいるってだけなのです。
「トーチカにこんな使い方があるなんて!」
「いや、それ以上にスチーム・ミストが効いたみたいだな」
序盤のイリーナの選択は実に手堅いものだった。
矢筒に忍ばせてあった杖を手にして土魔法の呪文のトーチカを使い、試合場の端で防御を固めてしまった。
杖武技のマジック・フォートレス、マジック・ブースターを使い持久戦かと思わせた所が上手い!
灼魔法の呪文、スチーム・ミストで視界を奪いに行った所も面白い。
無論、風で吹き飛ばされてしまうような効果の小さい呪文ではある。
だが、その短い時間の間に試合場の別の角にショート・ジャンプで飛び、そこにもトーチカを作り上げてしまった!
戦闘が進むとトーチカの数は増え続け、どの中にイリーナがいるのか分からない有様だ!
ここまで、闘技場で見せなかった戦法だ。
温存していた切り札って所かな?
だがこの戦法もリスクがありそうです。
戦闘ログを見る限り、イリーナはスチーム・ミストが吹き飛ばされる度にショート・ジャンプを試みている。
その成功率が良くない。
3割程は失敗になっている。
トーチカ内部の座標を目視で捕捉し切れていないからだろう。
効果も高いが、リスクも相応に抱えているようだ。
「相手パーティの数はもう半分だ。そろそろ戦い方を切り替えるだろう」
「今のままでも勝てそうですが?」
「負担も大きいからな」
ここまで上手く戦えているがMPバーは最後まで持続しそうに無い。
召喚モンスター達のうち、マッドヒュドラが場外に弾き出されてしまっているのも影響している。
タロスとゴーレム・オブ・リキッドメタルは何度も落とし穴に嵌められてるのも気になるだろう。
戦力差が生じている今のうちに攻勢に出るべきだ。
イリーナは細かく戦況を見ている筈。
恐らくだが、そうなる。
「あ、攻勢に出るみたいですね」
この展開はもうイリーナのペースだ。
もう詰み将棋状態に近い。
イリーナ自身の左右に護衛としてタロスとゴーレム・オブ・リキッドメタルが位置する。
相手パーティも半分に減った事が幸いしたのか、混乱は無くなっていた。
だが、青竜が繰り出す水流の槍が雨のように降り注ぐ!
ここから挽回は難しいだろう。
イリーナは相変わらず、堅実だ。
安心して見ていられる。
イリーナが勝利し、これで試合場A面での第六回戦は全て終了だ。
他の試合会場も各々4試合が終った頃だろう。
第七回戦は団体戦が4試合、個人戦も4試合で、各々試合場A面とB面で行われる。
懸念すべきはアデルとイリーナ、与作と東雲が潰し合う組み合わせになるかどうかだが。
どうやらその心配は無いらしい。
各々、試合予定時刻は違っていたからだ。
「でもこれじゃあ両方を応援するのは無理ね」
「手分けして、応援!」
「そうするしかないみたいだな」
オレはどっちに行こうか?
アデルとイリーナはこのまま試合場A面になる。
与作と東雲は試合場B面だ。
どっちも捨て難い。
「キースさん、どうします?」
「アデルとイリーナの応援は任せるさ。試合場B面に行こう」
興味は当然、どちらにもある。
フィーナさん達女性陣は全員、アデルとイリーナの応援になるらしい。
ならば与作と東雲の応援に行くべきだ。
「応援に行く前に小休止、ログアウトして来ますね」
「そうだな。試合場B面で集合って事にしようか」
第七回戦の開始まで結構余裕がある。
オレはログアウトせずに、少し町中をブラブラしておこう。
誰かに襲われたい。
そんな気分になってます!
ああ、怖い。
PK職が怖い。
法騎士が怖い。
でもそれ以上にアダムカドモンが襲って来るとか、超絶に怖い!
オレって基本、小心者なのです。
周囲に人気が無い所で襲って来るとか、勘弁して欲しいものだ。
では。
以前に襲われた場所に行くとするか。
それにしても困ったな。
自然と足取りが軽くなるのは隠しようがありませんでした。
尾行されている。
尾行されている、よね?
恐らくは複数。
そして殺気は無い。
センス・マジックでも反応が無いのは黒のローブがあるからだろう。
オレですら気付いているのだ。
ヴォルフもエルニドも気付いている。
影の中にいるテロメア、待宵、キレートも準備が出来ているだろう。
残るのは襲われるだけだ。
もうね、こっちは期待に満ちているのに殺気を感じ取れないのが惜しい。
隙をもっと見せないとダメなのかな?
どうも感覚としては法騎士の手の者のように思える。
相応に強敵であるなら早々に襲ってくれているだろう。
どうも距離を置いてオレの動向を監視しているだけのようだ。
このままでは埒が明かない。
強行するか?
だがそれには少し工夫が要るだろう。
そうだ、黒のローブを使おう!
接敵するにはいいアイテムなのだ。
逆にオレの方から追尾したっていいと思います。
廃墟の中で黒のローブを羽織ってインビジブル・ブラインドを展開。
布陣も一部変更、魔力遮断が無いエルニドからスコーチに交代させてます。
一気に廃屋の屋根の上にショート・ジャンプで跳び、周囲の様子を窺う。
オレの姿をいきなり見失った連中の数を確認したかったのだが。
ローブ姿は3つ、いや、4つか?
いやいやいやいや!
まだ増えて6つ?
どうやら彼等もインビジブル・ブラインドを使っていたようだ。
何やらヒソヒソ話をそている様子を見せている。
表情は見えないし、会話も聞き取れない。
当然のように【識別】は効いていない。
さあ、どうする?
そろそろ試合が始まる頃だが。
仕方ないな。
こっちを優先させてしまおう。
メッセージでお詫びの連絡をしておこうか。
宛先は一緒に応援する事になっている面々、全員だ。
それにフィーナさんも追加しておこう。
観戦するよりも楽しい展開がありそうです。
では、追跡だ。
追う相手も姿を消しているようだが、こっちにはヴォルフもいる。
匂いを追う事になるだろう。
逃がしはしない。
捕捉出来たら?
即時に殲滅、と言いたいがそうするなら先刻にだって出来た。
そうしなかったのは当然、大元が狙いだ。
黒幕がきっといる。
法騎士だと思うんだけど、どうだろう?
それを確認してみたいと思います。
《これまでの行動経験で【追跡】がレベルアップしました!》
どうも風向きが怪しくなってます。
オレを尾行していた連中はサニアの町を出て、テレポートもせずに姿を消したまま、移動していた。
この周辺には確かに、強力な魔物はいない。
厳重な警戒を継続していると言えるだろう。
どこまで行くつもりであるのか?
それが分かれば苦労はしない。
遠くなきゃいいんだけどな。
闘技大会は明日が第八回戦の準決勝、そして第九回戦の決勝戦だ。
そこまで長引くと困る。
それに鏑木達もいつ来るのか?
分からない。
今日、来るとしたら?
しまった!
ちょっと困った事になるだろう。
これは少々、急いだ方がいいかもしれない。
今、襲っちゃおうか?
場合によっては説得だ!
グレイプニルを手にして距離を詰める。
姿を隠していても、微かに移動する気配がオレにも分かるようになった。
じゃあ手っ取り早く、やるか?
((((((((((六芒封印!))))))))))
(((((((((七星封印!)))))))))
(((((((((十王封印!)))))))))
(ミラーリング!)
これを攻撃と言うべきか?
違うよね?
【封印術】の呪文だけではダメージを与える事は出来ない。
十王封印で行動が阻害され、転ぶ程度だろう。
転がったついでに姿を現し始めたようだ。
こいつ等、何者だ?
インナモラート ???
イベントモンスター 魔人 ???
???
インナモラータ ???
イベントモンスター 魔人 ???
???
バリアッチオ ???
イベントモンスター 魔人 ???
???
イル・カピターノ ???
イベントモンスター 魔人 ???
???
ザンニ ???
イベントモンスター 魔人 ???
???
ブリゲッラ ???
イベントモンスター 魔人 ???
???
法騎士が雇った冒険者か傭兵かと思ったんだが、違ったようだ。
プレイヤーでもない。
明らかに、魔人!
予定変更だね!
本当はサニアの町にどうやって進入したのかを聞きたい所だけどね。
きっとオレの説得に耳を貸してくれそうにない。
それに時間も惜しい。
殺意も急上昇している!
理由はまあ、アレだ。
イル・カピターノ、お前だ!
(ショート・ジャンプ!)
それに今回、未見の魔人もいる。
ブリゲッラだ。
姿は違うけど、手にしているハリセンは見間違える事は無い。
【英霊召喚】の呪文では味方として活躍しているからその特性は知っている。
アレは危険だ。
ダメージ付で呪文や武技の効果を打ち消してしまうぞ!
だから真っ先に梱包しに行った訳だ。
手にしているのはグレイプニル。
悪いけど手っ取り早く終らせましょう。
《只今の戦闘勝利で【小剣】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【捕縄術】がレベルアップしました!》
呆気ない奴等だ。
それだけにレベルアップも物足りない。
テロメアなどあからさまに不満そうな顔をしている。
死体は次々と消えて行く。
残るのは魔人の指輪だけだ。
僅かに期待していたブリゲッラのハリセンは残らないようです。
そこが惜しい。
会話も無かった。
インナモラート、それにインナモラータが口汚く罵ってただけだ。
すぐに待宵とキレートに口を塞がれたが、何を言ってたんだっけ?
覚えていません。
覚えておくだけの価値も無い。
まあ、いいさ。
一気に魔人を6名、間引く事が出来たのは僥倖と言えるだろう。
魔人の指輪も6つ増えた。
さて、これをどうする?
闘技場のオベリスクに捧げたら魔人が相手をしてくれる。
きっと、そうなる。
その中にイル・カピターノがいたら冷静でいられる自信は無い。
《フレンド登録者からテレパスです!会話が可能となります》
リックからだ。
多分だけど闘技大会の試合が始まっちゃっているんだろうな。
「はい?」
『ああ、繋がって良かった。試合が始まっったんで連絡だよ』
「急いでそっちに行くよ」
全く、魔人共め!
お前等のせいで試合に間に合わなかったじゃないか!
懲罰ものだよ、本当に。
もう全員、死んでますけど。
おっと、舌打ちしている時間も惜しい。
テレポートでサニアの町に移動、試合場B面に急ぎましょう。
「試合は?」
「2試合、終った所だよ」
与作も観客席にいる。
もう試合、終ったのか?
「与作は勝ったのか?」
「ま、何とかね」
「何を言ってるんだ?秒殺だったくせに」
そうか。
秒殺だったのか。
そして試合場B面に目を向ける。
東雲の相手はドワーフ。
しかも重装甲、これは期待出来る!
同系統のドワーフ同士で削り合う形になりそうだ。
「間合いで東雲が有利だな」
「その間合いを詰められた時にどうなるかが問題だな」
東雲の得物はポールウェポン、長柄であるだけに間合いを維持出来れば確かに有利だ。
相手は分厚い片手斧に防具と思えないような突起を備えた盾。
盾武技で距離を詰める事は可能であるのだ。
「呪文、使うかな?」
「自己強化は使うだろうさ」
「かなり派手な殴り合いになってくれそうだねえ」
ここに応援に来ているのは男性陣ばかりだ。
その気安さ故に少々血の気が多い意見がポンポンと出てくる。
血が騒いでいるのが分かる。
皆が期待している通りの戦いになるだろう。
もうそうなるとしか思えない組み合わせだ。
これは見逃せないですよ?
「これはちょっと意外だったな」
「本当に殴り合いになりましたね」
「ああ」
試合場で予想外の事が起きている。
重装備のドワーフ同士の格闘戦だ!
東雲の手にポールウェポンは無い。
相手も片手斧は試合場の外に弾かれている。
かろうじて盾は手にしているが、それがいけない。
防御の役に立っているのは分かるが、東雲にとって有利になっているぞ?
それに東雲はオレや与作と格闘戦を何度もやっている。
受身になる事が多いが、重装備のドワーフをどう攻略すべきか、分かっている動きだ。
綺麗に投げる事は出来ていないが、そこは重要じゃない。
関節を狙っているのは明らかだ。
密着していると言っていい距離での不利をようやく悟ったのか、相手のドワーフも盾を手放した。
だが、もう遅い。
盾を持っていなかった方の腕の腕がアームロックに極められている。
両腕を組んでディフェンスするには盾が邪魔だったな!
「これで決まるかな?」
「ああ、アレは外せない」
肘と肩の関節を通して与えられるダメージに防具は関係ない
それは東雲も召魔の森でオレとの対戦を通じて身に沁みている事だろう。
今、それが活かされている形だ。
「これで個人戦のベスト4は残り1名か」
「与作に東雲は確定だね」
「最後の1名はこれから決まるとして、もう1人はどんなプレイヤーだったんだ?」
与作が微妙な顔をしている。
あれ?
もしかして知り合いか?
「女性のエレメンタル・マジシャン『雷』でね」
「前の大会で対戦した相手だ。やり難いったらないよ」
「確か名前はココアってプレイヤーですね」
「次の試合の相手になるって決まった訳じゃない。組み合わせ次第だって」
エレメンタル・マジシャンか。
これはエレメンタル・メイジの更に上位職、見かける事は少ない。
雷魔法に限って言えば、かなりの火力があるだろう。
そしてエレメンタル系専門の呪文がある筈だ。
それが何であるのか、オレは知らない。
「エレメンタル系には専門の呪文もあるよな?どんな呪文なんだ?」
「オーバーカレントって呪文でしたっけ?雷魔法の呪文の効果を高めるそうですが」
「全身に雷撃を纏うような感じです。接近戦になったら結構、ビリビリ来るって噂です」
オーバーカレント?
過電流って意味だったっけ?
ブレーカー無しで使っていいんだろうか。
呪文を使っている本人は大丈夫なのかね?
「最後の試合が始まるようだな」
「どちらも有名人ですね」
試合場に視線を移す。
既に次の試合の控えたプレイヤーがいる。
片方はまたしてもドワーフ。
但し得物は独特だ。
両肩からぶら下がっているのはヌンチャク?
但しその太さが尋常じゃない。
腕の太さがある。
それもドワーフの腕の太さですよ?
あんなの、扱えるのか?
少なくともオレには無理だ。
「どこかで見た事があるような」
「ホルティって名前だったと思います。ネタプレイで有名です」
「それにキースさん、以前の闘技大会で対戦してますよ?」
そうそう、思い出した。
以前に戦ったヌンチャク使いのドワーフだ!
思い出したぞ!
「もう片方は都並、二刀流スタイルの剣豪です」
「今の職業は剣聖になったみたいだね」
ほう。
二刀流スタイルで剣聖だと?
面白そうだ。
出来ればオレ自身が対戦してみたくなる!
主人公 キース
種族 人間 男 種族Lv171
職業 サモンメンターLv60(召喚魔法導師)
ボーナスポイント残 33
セットスキル
小剣Lv133(↑1)剣Lv136 両手剣Lv136 両手槍Lv141
馬上槍Lv140 棍棒Lv137 重棍Lv136 小刀Lv133
刀Lv137 大刀Lv136 手斧Lv135 両手斧Lv135
刺突剣Lv141 捕縄術Lv137(↑1)投槍Lv140
ポールウェポンLv140
杖Lv155 打撃Lv160 蹴りLv160 関節技Lv160
投げ技Lv160 回避Lv169 受けLv169
召喚魔法Lv171 時空魔法Lv156 封印術Lv156
光魔法Lv154 風魔法Lv154 土魔法Lv154
水魔法Lv154 火魔法Lv154 闇魔法Lv154
氷魔法Lv154 雷魔法Lv154 木魔法Lv154
塵魔法Lv154 溶魔法Lv154 灼魔法Lv154
英霊召喚Lv6 禁呪Lv156
錬金術Lv142 薬師Lv34 ガラス工Lv33 木工Lv78
連携Lv145 鑑定Lv124 識別Lv138 看破Lv100e
耐寒Lv80e
掴みLv151 馬術Lv144 精密操作Lv151
ロープワークLv100e 跳躍Lv149 軽業Lv150
耐暑Lv80e 登攀Lv60e 平衡Lv100e
二刀流Lv134 解体Lv123 水泳Lv80e 潜水Lv80e
投擲Lv150
ダッシュLv150 耐久走Lv146 追跡Lv128(↑1)
隠蔽Lv130 気配察知Lv146 気配遮断Lv134
魔力察知Lv146 暗殺術Lv151
身体強化Lv148 精神強化Lv148 高速詠唱Lv50e
無音詠唱Lv60e 詠唱破棄Lv60e 武技強化Lv145
魔法効果拡大Lv144 魔法範囲拡大Lv144
呪文融合Lv144
耐石化Lv80e 耐睡眠Lv80e 耐麻痺Lv80e 耐混乱Lv80e
耐暗闇Lv80e 耐気絶Lv80e 耐魅了Lv80e 耐毒Lv80e
耐沈黙Lv80e 耐即死Lv80e 全耐性Lv90
限界突破Lv36 獣魔化Lv66




