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98

 遠目に動く物体をジーンが見付けていた。

 その存在に黒曜も気が付いている。

 戦鬼と護鬼も身構えた。

 何が来るのかは明白だ。

 闇の中に電撃が走っている。


 ブリッツだ。



 ブリッツ Lv.3

 魔物 討伐対象 アクティブ



 もう1匹も【識別】したがこっちも同レベルの個体らしい。



「レジスト・サンダー!」


 オレ自身に抵抗呪文を掛けておく。

 1匹ならこれだけで十分かもしれないのだが。

 相手は2匹いる。

 しかもただの2匹ではない。

 オレの感覚で言えば、あの電撃攻撃はユキヒョウ以上に厄介に思える。

 なんと言ってもこいつらって速いのだ。


「レジスト・サンダー!」


 戦鬼にも抵抗呪文を掛ける。

 もうすぐ、魔物がここに来るだろう。



 2匹の間には、1本の電撃光で出来たロープが繋がっているように見える。

 そのロープでこっちを絡め取るような動きをしてくるのだが。

 右側の1匹に戦鬼が襲い掛かった。

 オレは左側に向かう。

 護鬼と黒曜は戦鬼のフォロー。

 ジーンはオレのフォローだ。


 雷撃は最初から喰らうつもりである。

 レジスト・サンダーがあればこその作戦であった。


 雷撃が全身を襲う。

 効いてる。

 ダメージは喰らってはいるものの、大した事はない。

 痺れて動けなくなる事もない。

 いけるか?


 魔物はこっちの事情などお構い無しに襲ってくる。

 来い!

 単純だが効果的な攻撃が。

 来た。

 頭からオレに突っ込んで来る。


 だがその攻撃は既に読んでいた攻撃だった。

 前にこいつとは戦っているのが大きい。

 ジーンがヤギの頭を掠るように攻撃を加える。

 一瞬、魔物に隙が生まれていた。

 好機。


 僅かに半身に避け、魔物の首を右脇に抱え込んだ。

 左手で角を掴んで捻り気味にして軽く極める。

 左右の膝蹴りを交互に叩き込んでいった。

 何撃も。

 何撃も。


 暴れまくるヤギだが、頭を大きく振ろうと力を入れた瞬間が狙い目だった。

 体重を一気に首に掛けて地面に転がす。

 無論、首を手放す事はしない。

 オレは魔物ごと回転してヤギの首を極めながら投げていた。

 ヤギが力を込めた方向を察知できたのが大きい。

 その力を利用すれば投げるのも楽だ。


 地面に軽く叩き付けられた状態から右手だけでヤギの首を大きく持ち上げた。

 左拳を叩き込む。

 その拳には隠し爪が握られている。

 ベルトに挿してあった疾風虎の隠し爪だ。

 そのまま喉を引き裂く。 

 それでヤギを仕留めきった。


 もう1匹は?

 心配無用でした。

 戦鬼が地面に叩き付けたヤギはそのまま死んでいったようだ。

 その体には矢が何本が突き刺さっている。

 さすがだ。


「ゲヒッ」


「グヒヒッ」


 戦鬼と護鬼が嬉しそうに声を上げる。

 戦鬼の表情は邪悪にも見えるのだが。

 護鬼も兜の下で同様の顔をしているのだろう。

 間違いない。



 久々にブリッツから剥いで見ると、以前と同じく腿肉が2つだった。

 レア物は出ない。

 惜しいな。

 その代わりに角が1個、入手できている。

 何かに使えるのかね?

 


【素材アイテム】雷山羊の腿肉 原料 品質C レア度2 重量1

 ブリッツの腿肉。筋肉質で脂肪分が少なく美しいピンク色をしている。



【素材アイテム】雷山羊の角 原料 品質C レア度3 重量1

 ブリッツの角。太くて軽く、やや湾曲している。



 角は槍の穂先にでもするとか?

 アリだと思います。


 剥ぎ終えると再び周囲の警戒を続けていく。

 ダメージはポーションだけで賄えたのも大きい。

 最初の獲物としては上々だろう。

 だがブリッツだけで済むとは思っていない。

 他に何かの魔物がいる筈なのだ。



 5分ほど待つ事になった。

 コール・モンスターでも使おうか?と思っていたらジーンが反応を見せた。

 だが黒曜には見えていないようだ。

 何だ?


「ギキィ!」


 ジーンが珍しく威嚇音をその口から放った。

 警告。

 ジーンが向いている方向はオレの後方だ。

 何がいる?


 振り返ってみるがそこに何も見えない。

 だが。

 ジーンには見えている。

 間違いない。


 ジーンが何もない空間に向けて攻撃を加えている、ように見える。

 何かに当たったようにも見える。

 マーカーはまだ見えない。

 何がいるんだ?


 戦鬼も護鬼も黒曜までも対応ができない。

 まさか。

 透明化する魔物とか?

 そんな奴にどうしろというのか。


 だが目印はある。

 地面に血が落ちているのが見えていた。

 何かがいるのは間違いない。


 ジーンが戦っているであろう相手に近寄ってみる。

 このままでは埒が明かない。

 両手にトンファーを持って構える。

 頭をガードする構えだ。

 さあ、どこを狙ってくる?


 痛みは脚に来ていた。

 何かに左足の膝下あたりを噛まれたような感覚。

 そのまま足を持ち上げられて転がされた。

 オレの上半身に重量のある何かが乗っかってくる。

 噛み付き攻撃をするような獣なら何処を狙う?

 喉だ。


 喉元を左腕でガードするのと魔物が噛み付いてくるのは同時だっただろう。

 確かに噛み付いてきている。

 トンファーがある分、腕に走る痛みはそれほどではなかった。

 オレに圧し掛かってくる重量は人間並み、といった所だ。

 右手のトンファーを離して魔物の体を触ってみる。


 意外に手触りの良い毛並みだな。

 アデルあたりが喜びそうだ。


 いや。

 それ所ではないって!


 少し別の場所も手で触っていくが、どうも体格は人間ではないようだ。

 かと言ってユキヒョウやブリッツのようにも思えない。

 だがハッキリしている事がある。

 顎を持つ獣であり、頭が確実にあるって事だ。



 ジーンが魔物の背中に攻撃を加える。

 魔物の顎が離れたようだ。

 ここを逃してはならない。

 左手のトンファーも手放す。

 魔物の頭がある辺りを手探りで掴む。

 その頭を両足で挟み込んだ。

 どうも魔物の前脚らしきもので顔を叩かれた。

 好都合だ。

 その脚を掴むと引っ張って捻りあげた。

 魔物の頭がオレの腹の上でなんとか噛み付こうと暴れているようだ。

 構うものか。

 魔物の脚をより引っ張り上げて両足に力を込めて行った。


 三角絞め。

 多分、魔物相手に極まっていると思うのだが。

 何かの骨が折れる音が聞こえたようだ。

 魔物の姿はまだ見えず、マーカーもまだ見えない。

 何かの特殊能力か?


「ディスペル・マジック!」


 ダメ元で対抗呪文を掛けてみた。

 魔法関係の能力ならば解除できると思ったのだ。

 ビンゴである。

 オレの目の前には獣の体が現れてきていた。


 なんと言うべきだろうか。

 この魔物はまるで狼男のような獣人らしい。

 犬?

 狼?

 だがマーカーを識別すると、その疑問も氷解していった。



 コボルトアサシン Lv.7

 魔物 討伐対象 戦闘中



 コボルトかよ!



 正体がバレてしまえばこちらのものだ。

 動けない魔物の背中に黒曜とジーンが攻撃を加えていく。

 オレも魔物の首を絞め上げていった。

 骨が、折れた。

 魔物の肩の辺りで腕が変な角度に曲がっている。

 それで魔物が事切れた。



 改めて魔物を観察する。

 コボルトだ。

 でもアサシン、つまり暗殺者って事だ。

 全裸である。

 呪文でそうなっていたのか、特殊能力なのかは分からない。

 接触してディスペル・マジックを掛けないと視認できないというのは厄介過ぎる。

 今の所、対抗手段はジーンだけって事になるのか?

 反響定位だ。

 あってよかった反響定位。



 こいつにも剥ぎ取りナイフを突き立ててみる。

 そうしたらこんなのが取れました。



【素材アイテム】渋柿の実 原料 品質C レア度2 重量0+

 渋柿の実。品種は不明。



 おい。

 なんじゃこれは?



 柿の実、か。

 しかも渋柿とか。

 どうするんだ、これ?

 食べるとか?

 いや、渋柿なんだし干し柿にするとか?

 もしくは種を使って木になるまで育てるとか?

 桃栗三年柿八年という諺もあったよな?

 すぐにモノに出来るとは思えないんだが。


 いや、待て。

 木魔法の呪文、グロウ・プラントを使えって事なのか?

 恐らくはそうなのだろう。

 このゲーム世界で柿はまだ見ていない。

 ちょっとだけワクワクしてきた。



 上空で警戒をしていた黒曜が何かの群れを見付けたようだ。

 いかん。

 さっさと回復呪文のファイア・ヒールを掛けてHPバーを8割あたりまで回復させておく。

 魔物は黒曜に見えている、と言う事はコボルトアサシンではあるまい。

 何だ?

 目視で確認できたのはこんな奴でした。



 コボルト Lv.4

 魔物 討伐対象 アクティブ



 ふむ。

 どうしようか?

 群れの数は10匹といった所だろう。

 得物は棍棒か槍だ。

 1匹だけ石斧らしき物を持っている。

 その個体は普通のコボルトではないようだ。



 コボルトファイター Lv.2

 魔物 討伐対象 アクティブ



 それだけではない。

 杖を持っている個体もいる。



 コボルトシャーマン Lv.4

 魔物 討伐対象 アクティブ



 さて、どうするかね?

 逃げる、という選択肢は不思議となかった。

 頭に血が上っている。

 先刻のコボルトアサシン、あいつらの斥候か何かなのだろう。

 まあ同じコボルトだし。

 逃してなるものか。

 オレが受けた痛みの分は復讐させて貰おうか。



 両手にトンファーを持つ。

 魔物の群れに向けて駆け出した。

 呪文を選択して実行。

 戦鬼がオレの横に並んで駆けていく。

 あっという間に追い抜かれてしまった。

 その戦鬼すらも追い抜いて黒曜とジーンが魔物に迫る。

 最初に狙うべき魔物がどれか、オレの意図は伝わっているだろう。

 厄介そうな奴は最初に片付けておくべきだ。


 黒曜とジーンがコボルトシャーマンに襲い掛かっているのが見えていた。

 よし、いいぞ。

 戦鬼が群れの中央に突っ込んで大声で吼えた。


「グラァァァァァァ!」


 周囲のコボルトが一斉に戦鬼に殺到しようとしたが。

 戦鬼の方が速い。

 1匹のコボルトの両足を掴むと振り回し始めた。

 ジャイアント・スイングかよ。

 どこで覚えたんだ?そんな技。


 だがこれは好機だ。

 混乱に乗じて魔物の数を減らしてやる。


 護鬼の矢も援護で飛んできている。

 さっさと面倒そうな奴を片付けよう。

 コボルトシャーマンの隣に何かが出現しようとしていた。

 何だ?



 サラマンダー Lv.2

 精霊 討伐可 待機中



 【識別】してみたら精霊のようだ。

 それはトカゲの形状をとりつつある。

 だがそれに構わずオレはコボルトシャーマンとの距離を詰める。

 魔物の頭部をジーンが噛み付き、それを振り払おうとした所で間に合った。

 前蹴りが腹に直撃。

 左のトンファーで杖を払って右のトンファーで側頭部を直撃させた。

 魔物のHPバーが消滅する。


 サラマンダーは?

 まだ健在でした。



 サラマンダー Lv.2

 精霊 討伐可 混乱



 混乱、とあるようだが。

 害がないなら放置でいいだろう。

 次だ。


 コボルトが繰り出す槍を避け、そのまま接近する。

 側頭部に一撃。

 顎に一撃。

 足を引っ掛けて転がすと腹のあたりを思いっきり蹴ってやる。

 HPバーで死亡確認。

 どうやら平のコボルトは結構弱いようである。

 オーク並みだろう。

 では次だ。


 コボルトファイターに向かう。

 ジーンを相手に右往左往している時点で小物か、と思ったのだが。

 こいつがそこそこであるが強かった。


 トンファーがまともに顎に命中したのだが、HPバーの減りは大したものではなかった。

 石斧は振り回すだけで大して脅威には感じなかったのだが。

 噛み付き攻撃が速い。

 武術で噛み付き攻撃を認めているものは少ない。

 いや、効果的な噛み付き攻撃の前提が難しい。

 武装している相手に噛み付く余地は少ないからだ。

 指を噛む、耳を噛むといった技とも言えないものならあるけどね。


 それにコボルト共は犬の頭を持ち、人間では不可能な動きもしてくるようだ。

 油断ならない。

 そしてこのコボルトファイター、膂力がオレよりも間違いなくある。

 転がそうと足を蹴るのだが、その感触が凄い。

 筋肉、ムキムキです。

 敏捷値もオレより上だろう。

 どう見てもスペックはオレよりも上です。


 残念なのは動きが単調で読み易い事だな。

 それで助かってはいるんですが。

 モーションも大きいからカウンターが簡単に決まっている。


 戦鬼達が他の魔物を片付けてしまっているのは分かっていた。

 だがこいつには手を出させない。

 いい所ですから。

 邪魔しないでね。


 斧を持つ手首をトンファーで交差して受ける。

 そのまま挟んで引っ張り込むと、肘に膝蹴りを撃ち込んだ。

 キレイに折れた。

 膂力があっても折れる時はこんなものか。


「ゴルァ!」


 短く吠えてくるがもう気にならない。

 既に魔物のHPバーは半分を割っている。

 そしてもう片腕しかないのだ。

 気をつけるべきは噛み付き攻撃だけ。

 魔物をサンドバックのように殴る蹴るでHPバーを徐々に削ってやった。

 うむ。

 いい稽古になったかもな。



 コボルトファイターを仕留めた所で異変が起きた。

 サラマンダーだ。

 いきなりオレ達に襲い掛かってきていた。


 戦鬼に炎の弾が飛ぶ。

 オレには舌が鞭のように襲ってくる。

 共に直撃である。

 クソッ。

 こいつめ、どうなってやがる?



 サラマンダー Lv.2

 精霊 討伐可 戦闘中



 コボルトシャーマンが召喚した精霊なのだが、使役者がいなくなって暴走でもしているのか?

 普通、消えてなくなったりしないのかね?

 疑問はあるが、襲ってくるのであれば仕方がない。

 戦うまでだ。


 試しに蹴ってみたが効果なしだ。

 それ所かこっちにダメージがある。

 こいつめ。


「エンチャンテッド・ウェポン!」

 

 今度はオレ自身に魔力付与の呪文を掛けてから攻撃してみる。

 蹴り一発で半分近くまでHPバーを削る事ができた。

 全く。

 強いんだか弱いんだか、分かったものじゃない。

 もしかすると?と思ってフォース・バレットも使ってみた。

 呪文が至近距離で直撃すると、もう瀕死になっている。

 精霊は厄介だな。

 このサラマンダーはエリアポータルの番人だった連中より弱いが、面倒という点で共通している。

 雑談では聞いているが、エルフはこういった精霊を使役できるそうだ。

 そう、召喚モンスターのように、である。

 但し、召喚モンスターとは異なり、【精霊召喚】という形で別技能扱いになっているそうだが。

 まあ使えば使うほど強化されていく点は変わってないようである。

 大きく異なるのは、パーティメンバーの人数にカウントされない点だろう。

 精霊も便利そうである。



《只今の戦闘勝利で【二刀流】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【精神強化】がレベルアップしました!》



 まあ苦戦の甲斐はあった、と思うことにしておこう。

 剥ぎ取りナイフを突き立ててみよう。

 なんとなく、そんな気はしてたが、またこんなのが取れた。



【素材アイテム】梅の実 原料 品質C レア度1 重量0+

 梅の実。品種は不明。



【素材アイテム】桃の実 原料 品質C レア度3 重量0+

 桃の実。品種は不明。



 コボルトの1匹から梅、コボルトファイターから桃、コボルトシャーマンからは何も取れなかった。

 えっと。

 オークと様相がまるで違っている。

 ゴブリンやスケルトンとも無論違っている訳だが。

 何かに利用しろって事なんだろうな。



 さて、これからどうする?

 無論、狩るのだ。

 コボルトアサシンが脅威である事には変わりはない。

 だがより効果的に狩る方法を探っておく意味はあるだろう。

 もう少し粘ってみたい。



 最初に試したのがコール・モンスターである。

 事前に居場所を確認できれば、と思ったのだが。

 コボルトアサシンは引っ掛からない。

 平のコボルト、コボルトファイター、コボルトシャーマンはちゃんといる。

 いや、いる、というより群れで確認できた。

 多すぎだろコボルト。

 ここまで多いと例え雑魚であっても厄介だな。


 せっかく使ったコール・モンスターだ。

 一番近くの群れのコボルトファイターだけを呼んでみる。

 群れごと来ちゃってます。

 その群れにはコボルトシャーマンはおらず、コボルト7匹、コボルトファイター1匹だけだ。

 比較的楽に倒せそうだ、と思ってたのだが。

 ジーンが反応している。

 オレの肩から飛び立つと、何かに襲い掛かっていた。

 まさか。

 コボルトアサシン?

 どうやら間違いないようだ。


 ジーンが襲い掛かっている周囲に何かがいるのは分かっている。

 接触してディスペル・マジックを掛けるのもいいだろう。

 だがもっとお手軽な方法ってないのか?


 予想通りならば上手く行くであろう手段は既に思い付いていた。

 呪文を選択して実行する。

 【高速詠唱】の補助もあってか、詠唱が短かった気がする。


「フラッシュ・ライト!」


 ジーンが襲っている周辺を照らすが、魔物の姿は見えない。

 それでも効果はあった。

 不自然な影が地面に出来上がっていたのだ。

 おお。

 これは便利だ。

 いや、最初から視界確保にフラッシュ・ライトを使ってたら良かったのかよ!

 なんだ。

 ちょっと脱力してしまいました。


 おっと、魔物を始末しないと。

 魔物に襲い掛かると足払いを仕掛ける。

 転がっていく魔物にジーンが追撃、黒曜もそれに倣うように攻撃を加えていく。

 戦鬼が魔物を掴むと持ち上げて、そのまま地面に投げつけた。

 影は動かなくなる。

 徐々にだが魔物の姿が現れてきていた。



 コボルトアサシン Lv.2

 魔物 討伐対象 死体



 【識別】してみるとやはりコボルトアサシンだ。

 あっさりと死亡してたが、レベルが低めだったせいもあるのか?

 まあそれもいい。

 コボルトの群れが近寄っている。

 それに黒曜の目が別のコボルトの群れを捉えてるいた。

 こいつらも仲間を呼ぶのかよ。

 長い戦いになりそうな予感がしていた。






《只今の戦闘勝利で【連携】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『ジーン』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》


 一体、いくつの群れを全滅させたのか。

 記憶にありません。

 サラマンダーまで含めたら何匹になったかな?

 数えたくなくない。


 まあそれはそれとして、ジーンのステータス画面に集中しよう。

 ジーンのステータス値で既に上昇しているのは精神力だ。

 もう1点のステータスアップは筋力値を指定しておく。



 召喚モンスター ジーン バットLv5→Lv6(↑1)

 器用値 15

 敏捷値 18

 知力値 12

 筋力値 11(↑1)

 生命力 11

 精神力 12(↑1)


 スキル

 噛付き 飛翔 反響定位 回避 奇襲 吸血



 さて。

 死体の山からアイテム剥ぎを行うとするか。

 ただのコボルトには興味ないんだが、まあ念のためだ。

 全部、剥いで行こう。


 戦鬼と護鬼に死体を集めて貰いながら剥ぎ取り作業を進めていく。

 もうね。

 流れ作業です。

 それでも終わるまで10分以上はかけただろう。

 コボルトファイター、コボルトシャーマン、コボルトアサシンからは必ずアイテムが剥げる訳ではないようだ。

 でも取得率は比較的いい。

 渋柿の実、桃の実、そして栗の実、杏の実、綿の実、椿の実が新たに取れている。

 果実ばかりではないらしいな。


 平のコボルトは拾える確率が低い。

 拾えたとしても梅の実だ。

 梅の実は10個以上あるだろう。



《これまでの行動経験で【鑑定】がレベルアップしました!》



 鑑定がレベルアップしてきている。

 まあそれはいいとして。

 桃あたりはそのまま食べてみてもいいのだろうが、これは生産職にお任せしちゃった方がいいんだろうな。

 現時点では保留にしておこう。



 情報を整理しておこう。

 コボルト共の中で最も警戒すべきはコボルトアサシンなのは間違いない。

 総合的な戦闘能力はコボルトファイターが上だろう。

 だが姿を消して迫ってくるし、捕捉が非常に難しい。

 後方から迫られて首元を噛まれたら?

 何に襲われたのか、確認する間もなく一方的に屠られる可能性は大きいだろう。

 戦士系ほど分厚い装備をしていない魔法使い系なら一撃死もあるな。

 噛み付き攻撃はなかなか強力だ。


 平のコボルトもオークに比べたら手強いと言える。

 武器は粗末なナイフだったり棍棒だったりするが、こいつらも噛み付いてくるからだ。

 オレも乱戦の中で腕を何回かやられている。

 何気に噛み付き攻撃のタイミングが計り難いし、数も多かった。

 やはり数の暴力は怖いな。



 さて、狩りはどうする?

 まだ時刻は午後9時前だ。

 MPバーもまだ半分近くある。

 今度は祠から少し離れた場所で狩りを進めていこう。



 ここのマップの夜の様相は最初からこうなのか。

 もしくはイベントの影響でこうなのか。

 それは分からない。

 それに魔物の数は多い。

 だがリスクはある分、実入りも多い筈なのだが。

 コボルト相手に連戦するも得られるのは実ばかりである。

 《アイテム・ボックス》は十分に余裕があるんだが、一向に埋まってくれないのだ。


 結局、午後11時になるまで狩りを続けてみた。

 コボルトの群ればかりだ。

 ブリッツは1匹だけの奴に遭遇したのだが、パッシブ状態のまま逃げられてしまった。

 得物はと言えば梅の実がたくさん。

 他の実もそこそこ。

 新たな実としてはトチの実が剥ぎ取れている。


 転移しても良かったのだが、明日はここで《アイテム・ボックス》がそこそこ埋まる程度に稼いでおきたい。

 祠に戻ってテントを設営するとログアウトする事にしよう。

主人公 キース

種族 人間 男 種族Lv11

職業 サモナー(召喚術師)Lv11

ボーナスポイント残12


セットスキル

杖Lv9 打撃Lv6 蹴りLv7 関節技Lv6 投げ技Lv6

回避Lv6 受けLv6 召喚魔法Lv11 時空魔法Lv5

光魔法Lv6 風魔法Lv6 土魔法Lv6 水魔法Lv6

火魔法Lv6 闇魔法Lv6 氷魔法Lv4 雷魔法Lv4

木魔法Lv4 塵魔法Lv4 溶魔法Lv4 灼魔法Lv4

錬金術Lv6 薬師Lv5 ガラス工Lv3 木工Lv4

連携Lv9(↑1)鑑定Lv8(↑1)識別Lv8 看破Lv3 耐寒Lv5

掴みLv7 馬術Lv7 精密操作Lv8 跳躍Lv3

耐暑Lv4 登攀Lv4 二刀流Lv6(↑1)解体Lv4

身体強化Lv4 精神強化Lv5(↑1)高速詠唱Lv6


装備 カヤのロッド×1 カヤのトンファー×2 怒りのツルハシ+×2

   白銀の首飾り+ 雪豹の隠し爪×1 疾風虎の隠し爪×2 

   野生馬の革鎧+ 雪猿の腕カバー 野生馬のブーツ+

   雪猿の革兜 暴れ馬のベルト+ 背負袋 アイテムボックス×2


所持アイテム 剥ぎ取りナイフ 木工道具一式


称号 老召喚術師の弟子、森守の紋章 中庸を望む者

   呪文目録


召喚モンスター

ヴォルフ グレイウルフLv1

残月 ホースLv6

ヘリックス ホークLv6

黒曜 フクロウLv6

ジーン バットLv5→Lv6(↑1)

 器用値 15

 敏捷値 18

 知力値 12

 筋力値 11(↑1)

 生命力 11

 精神力 12(↑1)

 スキル

 噛付き 飛翔 反響定位 回避 奇襲 吸血

ジェリコ ウッドゴーレムLv5

護鬼 鬼Lv5

戦鬼 ビーストエイプLv6

リグ スライムLv4

文楽 ウッドパペットLv3

無明 スケルトンLv2

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