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本日更新2回目です。

サモナーさんが行く Ⅰ〈下〉、発売しているみたいですよ?

『クソッ!』


「手伝おうか?」


『要らぬ!それに次はお前だ!』


 惜しいな。

 ドワーフの魔神は重武装である点を活かしたいのは当然なのだろう。

 だが、得物がいけない。

 長柄のポールウェポン。

 その攻撃が直撃したら、あの筋肉バカの魔神であっても吹き飛ばせる威力があるだろう。

 だが直撃してない。

 オレだって直撃させないよう、間合いを詰めて戦うだろう。


 そのポールウェポン、無い方がいいんじゃないの?

 腰ベルトから提げてあるメイスが見えている。

 そっちの方が断然いい。

 いや、格闘戦には格闘戦で挑めばいいのに。

 そう思えます。



『チッ!』


「手を貸そうか?」


『手出しするな!今、面白い所でな!』


 筋肉バカの魔神もまた惜しい。

 一方的に攻撃をしているのはいいんだが、楽しみ過ぎている。

 技量は明らかに筋肉バカの魔神の方が上だ。

 パワー、そして装備でドワーフの魔神がその差を埋めている。

 そんな感じに見えた。


 パワーとパワーの激突になるかと思ったんだけどな。

 ちょっと意外だ。

 そしてお互いに与えているダメージに差が生じている。

 筋肉バカのダメージが少しだけ大きい。

 重武装に構わず、殴る蹴るを繰返しているからだ!

 これもおかしい。

 パワー差は確かにあるだろう。

 だが筋肉バカの魔神はオレを遥かに超えるパワーの持ち主だ。

 投げ技、関節技を使わないというのが奇異に思える。


 余裕は筋肉バカの魔神に感じ取れた。

 凶悪とも言える笑い顔がその表情に貼り付いたままだ。

 まさに戦闘狂。

 ああはなりたくないものだ。



「これ、使わない方が良いんじゃない?」


『余計なお世話だ!』


 オレの近くにまでポールウェポンが吹き飛ばされ、ドワーフの魔神は転がりながら拾いに来る。

 その間合いの中に、オレはいた。

 来るか?

 直撃したら死亡確実の一撃が来るのか?

 手を出してくれていい。

 問答無用でオレも参戦出来る!

 筋肉バカの魔神も文句を言えた事ではなくなろだろう!


 だが。

 襲って来ない?

 いや、筋肉バカの魔神の放った蹴りを受け止めていた。

 チッ!

 余計な事を!



「ダメージ喰らっているけど、いいのか?」


『趣味だ!こうでなくては楽しめんのだよ!』


 そうですか。

 まあいいけど。

 趣味であるなら邪魔しちゃいけない。

 余計なアドバイスも無用だろう。


 それにしてもいいな。

 いいよね?

 暴れていられて満足だろうよ!

 あんた等はいいよ、楽しそうでさ。

 オレは観戦しているだけに、辛い。

 暴れる相手が、欲しい。

 それも戦うのが嫌になるような強敵が欲しい!

 その理想の相手同士が戦っているのを見ているだけとか、拷問ですよ?



「あのー」


『何だ!』


「雲母竜は?いつも一緒だったと思うけど」


『他の魔神共を追わせておる!適任なのでな!』


 ありがとう。

 律儀に答えてくれて、ありがとう。

 筋肉バカの魔神の様子は本当に楽しそうだ。

 躍動する動きは大きさこそまるで違うが戦鬼を見ているかのようだ!

 しかもより洗練されていて、無駄が無い。

 そして僅かに見える余裕。

 まだ底を見せていないのは明白だ!



「他の魔神と別行動なのか?」


『貴様を殺しに来たのだ!悪いか!』


「いえ、大歓迎です。ハイ」


 ドワーフの魔神も律儀に答えなくてもいいのに。

 こいつにはそう余裕が無い。

 オレを殺したがっているのは明白だが、筋肉バカの魔神にも思う所があるようだ。

 殺意が周囲に充満している。

 当然オレにも向けられている。

 だが、当面の相手は別だ。

 その意識が僅かに焦りになっているのかもしれない。

 ダメージで言えば優位になっているんだけどな。

 迎撃にしかなっていないんだし、もっと冷静になれたらいいのに。



「あのー」


『『黙れ!邪魔だ!』』


 ダメだこりゃ。

 観戦しているのも段々と厳しくなって来た。

 これ以上、こんな激戦を目の前で見せられて耐えられるか?

 ダメだ。

 そんなに長く、待てない!


 だが一方に加担するのはダメだ。

 オレにしても後味が悪い。

 では、どうやって解決したらいい?



「神降魔闘法!」「金剛法!」「エンチャントブレーカー!」「リミッターカット!」


『ヌッ?』


『何ッ!』


「オレにもやらせろーーーーーーーーーッ!」


 ああ、もうダメ!

 片方を攻撃せずに公平に両方、攻撃しちゃえばいいじゃないの!

 三竦みなんてさせません。

 両方ともオレの敵だ!



(フィジカルエンチャント・ファイア!)

(フィジカルエンチャント・アース!)

(フィジカルエンチャント・ウィンド!)

(フィジカルエンチャント・アクア!)

(メンタルエンチャント・ライト!)

(メンタルエンチャント・ダーク!)

(クロスドミナンス!)

(グラビティ・メイル!)

(サイコ・ポッド!)

(アクティベイション!)

(リジェネレート!)

(ボイド・スフィア!)

(ダーク・シールド!)

(ファイア・ヒール!)

(ヒート・ボディ!)

(レジスト・ファイア!)

(十二神将封印!)

(ミラーリング!)


 もうね、本気でいいよね?

 片方だけでも大変なのに両方とか無謀だとは思う。

 でもね、許せません。

 我慢ならん!

 こんな楽しそうな喧嘩に参加出来ないとか、酷過ぎるだろうが!







『貴様ッ!返せッ!』


「こんなのに頼っているからダメなんだよ!」


 問答無用だ!

 こんな不便な武器は没収!

 それにしてもこのポールウェポン、無茶苦茶重たいな!


 ドワーフの魔神が体当たりでぶつかって来る所を肩に手を置いてそのまま飛び越える。

 勢いが付き過ぎて転がってしまったけど、直撃されるよりもマシだ!



『邪魔するな!』


「ッ?」


 今度は筋肉バカの放った蹴りだ!

 前転して股間の間を抜け、後方に回り込む。

 筋肉バカの魔神はオレとドワーフの魔神に前後を挟まれてしまっている。



「ケェッ!」


『カァッ!』


 同時に襲い掛かるオレとドワーフの魔神。

 もう三竦みなんてもんじゃない!

 次々と攻防の構図が切り替わってしまう!

 もう何が何だか、訳が分からん!



『ダァァァァァーーーーッ!』


「クッ!」


『チッ!』


 回転しつつバックハンドブローを放つ筋肉バカ。

 その脇を抜けつつ、腹に肘打ちを与えた所に、今度はドワーフの魔神が目の前に!



「シャッ!」


『ムン!』


 お互いに頭尽きが激突する!

 溜めが無かったし出会い頭で威力はそう大きくない。

 それでも頭がクラクラする。

 たった3名でのバトルロイヤル。

 これをどう収拾したらいいんだ?


 安易に寝技に行くのも危険だ。

 もう1名に狙い撃ちにされてしまう!

 動きを止めている所を狙うのは当然だが、そもそもオレは介入している立場だ。

 漁夫の利を狙うような真似は出来ない。

 手近な奴に向けて攻撃あるのみ!



『シャァァァァァーーーーーーーッ!』


「フッ!」


 殴りかかって来る筋肉バカの腕を取り、たぐるとそのまま投げを打つ!

 相手の勢いがあったから投げるのは楽だが。

 追撃しようとしたら目の前にドワーフの魔神がいる。

 その手にはメイスだ。

 お前、いい所で邪魔するなよ!



『ヌンッ!』


「ハッ!」


 カウンターで肘を撃ち込むが微動もしやがらねえ!

 逆にオレの方が喰らっているダメージの方が大きくないか?

 こいつ相手に打撃と蹴りだけじゃダメだな!

 関節技は厳しいかもだが、投げならどうだろう?

 重たいけど、崩せば何とか出来そうな気がする。


 でもね。

 ゆっくり狙える状況じゃねえ!



『カッ!』


 筋肉バカの膝蹴りがドワーフの魔神の頭部に直撃する!

 その膝を抱えてドワーフの魔神が投げを打つ!

 オレは筋肉バカを踏み台にしてドワーフの魔神の腕を引き込んで投げを狙う!

 だが、不発。

 逆に振り回され、起き上がった筋肉バカと激突してしまった!



『ええい!面倒な!』


「同感だ!」


『お前が言うな!』


 もうね、どうしてこうなった?

 あ、オレのせい?

 多分、魔神達はそう思うだろう。

 でもね、オレを蚊帳の外に置いて戦い始めたあんた等も悪いよ?

 我慢出来る訳がないじゃないですか!








《只今の戦闘で【打撃】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘で【蹴り】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘で【召喚魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘で【時空魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘で【封印術】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘で【光魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘で【風魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘で【土魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘で【水魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘で【火魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘で【闇魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘で【禁呪】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘で【跳躍】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘で【軽業】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘で【耐久走】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘で【追跡】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘で【気配察知】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘で【身体強化】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘で【精神強化】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘で【武技強化】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘で【魔法効果拡大】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘で【魔法範囲拡大】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘で【呪文融合】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘で【限界突破】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘で【獣魔化】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘で職業レベルがアップしました!》

《只今の戦闘で種族レベルがアップしました!任意のステータス値2つに1ポイントを加算して下さい》



 瓦礫の上に座り込んで戦場だった場所を見る。

 ドワーフの魔神の姿は無い。

 盛大な舌打ちを残して消えてしまった。

 筋肉バカの魔神の姿も無い。

 忌々しい怨嗟の声を残して消えてしまっていた。


 オレの心境も同様だ。

 何だってこうなった?

 大いに暴れた事はいいんだが、ちょっと後味が悪過ぎます!



 基礎ステータス

 器用値  66(↑1)(-59)

 敏捷値  66(↑1)(-59)

 知力値 100(-90)

 筋力値  65(-59)

 生命力  65(-59)

 精神力 100(-90)



《ボーナスポイントに2ポイント加算されます。合計で31ポイントになりました》


 取り敢えず生で。

 いや、ソーマ酒で。

 ステータス異常を解消、周囲を見る。

 瓦礫が増えたような気がする。

 半壊していた建物が2つ、粉々になったかのような有様だ!

 オレは関与していない。

 魔神達が壊したのだ。

 その筈だ。


 今のは戦闘とも対戦とも言えない、唯の喧嘩だ。

 誰かに見られていたような雰囲気は無い。

 あの魔方陣と魔法円の効果であるのだろう。

 しかし謎だ。

 このサニアの町はエリアポータルとしての機能を回復していた筈。

 そこに魔神に侵入されているとか、マズくないか?


 ヴォルフと黒曜を見る。

 影の中からテロメアが頭部だけを見せていた。

 あの魔神達を追えるか?

 だが追跡は無理であるようだ。

 何という事だ!

 好機を逸した?

 多分、そうなのだろう。


 どうしたら正解であったのか。

 思い返すと腹立たしくなる。

 同時に悩んでしまいそうです。

 あいつ等を個別に捕捉する事って出来ないのか?

 どうもオレの知らない所で鬼ごっこみたいな構図になっているみたいなんだが。

 オレも参加出来ないかな?

 参加資格があるなら教えて欲しいものです。








「キース、どこ行ってたの?」


「済みません、試合はどうなりました?」


「イリーナちゃんは勝ったよ!」


「アデルちゃんの試合は今、終わりました。僅差ですけど勝ってますよー」


「カヤの所の団体戦は負けちゃってるわ」


 アデルもイリーナも既にフィーナさん達と合流してました。

 あれ?

 勝ったんだったら次の対戦、あるんじゃないの?



「キースさん、第五回戦はちゃんと応援してよね!」


「お、おう」


 イリーナは苦笑するのみだが、アデルは怒った様子を隠そうとしない。

 いいじゃないの。

 勝っているんだし。

 だがここはおとなしくしておく事が肝要だ。

 そこまでオレも空気が読めない訳じゃないのです。



「ゼータくんは?」


「勝ってます。僅差の判定でしたけど」


「問題は次ですね」


 ゼータくんの視線が泳いでいる。

 ちょっと困った表情に見えるけど、どうした?

 急にアデルが真面目な顔でゼータくんを指差す。



「容赦しないよ!」


「はいはい、覚悟してます」


「おい、次の対戦相手なのか!」


「そ!」


 アデルとゼータくんの対決か!

 確かに勝ち進んで行けば、いずれはぶつかるのは必至ではあるが。

 サモナー系の潰し合いは正直、惜しい。

 出来れば準々決勝からであって欲しかったな!



「観戦ツアーはどうなりますか?」


「ちょっと待って。一旦、ログアウトして小休止してからになるから」


「はあ」


 そんな訳で、少し待つ事にしました。

 アデル、イリーナ、ゼータくん、春菜、与作、東雲も小休止を終えたら試合場に行くらしい。

 他の面々も一旦ログアウトして、第五回戦に備えるみたいだ。

 無論、観戦にだけどね。



「最初はどこですか?」


「試合場F面ですね」


「アデルちゃんとゼータの対戦です」


 それは見逃せないな。

 先に席を確保しておこう。



「じゃあ先に観客席に行ってますんで」


「了解。ちょっと待っててね?」


 ではオレだけで移動だ。

 出来るだけ対戦は見ておきたい。

 どんな対戦にだって見るべき点があると思うのです。






 試合場F面の個人戦は高機動戦の展開になっていた。

 片方はホバーダッシュを使って弓矢で攻撃を組み立てている。

 もう片方は刺突剣の武技を効果的に使い、攻防を展開しているようだ。

 お互いに与えているダメージはそう大きくないから長引いているけど、面白い。

 結構、楽しめているんだが。

 オレの隣に座ったプレイヤーが問題だ。



 デッカー 種族Lv.117 人間 男性

 ブラックバード/レジェンダリーバードLv.6

 待機中 反撃許可あり 戦闘位置:地上


 おいおい!

 反撃許可、出てるぞ!

 だがオレの隣に来たのは分かっていた上での行動なのだろう。

 異様に緊張しているのが分かる。

 オレだけじゃなく、召喚モンスターのヴォルフと黒曜にも警戒しているようです。


 ま、それだけじゃ甘いけどね。

 テロメア、待宵、キレートだっていつでも襲えるぞ?



「大胆だな」


「危害を加える気はありませんよ。それにどうこう出来るとは思ってませんから」


 おや?

 今回も中身は違っているようだ。

 この感じ、誰だろう?

 今までの印象とかなり違う。



「初めて、かな?中身の話だ」


「分かりますか。ええ、その通りです」


「用件は?」


「ここではちょっと。一緒に来てくれたら有難いんですけど」


 ちょっと違和感が大きい。

 変装しているけど、明らかにデッカー。

 会話の受け答えがどこか女性みたいに感じられる。

 その可能性はあるだろう。

 男女の差があっても操れるかどうかなんて瑣末な事だ。


 それ以上に何の用件だ?

 襲うつもりであって欲しい。

 反撃するだけであるのだし、その備えは既にある。

 是非、襲ってくれ!



「場所を変えるって事になるのかな?」


「ええ。同行願えますか?」


 デッカーの中の人は怯えた様子を隠せていない。

 何だろう、この悲壮感。

 まあオレの知った事ではないけどな。



「いいだろう。同行するよ」


「済みませんね」


 移動しながらフィーナさんにメッセージを出すとするか。

 今日はどうやら闘技大会以外で色々と起きる日であるらしい。

 面白い。

 罠でもいいぞ?

 むしろそうであってくれ!

 今日のオレはツイている。

 これはきっと神様のご褒美だ!





 そこは廃墟だ。

 何かが焼ける匂いがしているが、それは気にしないでおこう。

 周囲に幾つか、プレイヤーらしき人影がいる。

 警戒しているのは分かるんだが、中には失礼な奴もいた。



「おいっ!何て奴を連れて来たんだ!」


「だって反対すると思ったし」


「当たり前だ!」


 視線を転じると?

 いるわいるわ!

 PK職だらけだ。

 30名程度はいるかな?

 パーティにして5つ分だ。

 襲ってくれるならいい感じで大苦戦になりそうな予感がする。


 いや、もっといるかな?

 ブラックサモナーがいるよね?

 召喚モンスター達もいる。

 いきなり怯えた様子を見せるシュバルツレーヴェと闇鬼狼、白狐。

 オレが怖いのではないだろう。

 ヴォルフと黒曜を怖がっているんだよね?



「何で私を連れて来ようと思ったんだ?」


「どうも目的が貴方だったみたいなんで」


「目的?」


「いっそ対面して貰った方がいいでしょう」


 それにここにいるのはPK職だけじゃないみたいだ。

 PKK職の面々も2チーム程、いるらしい。

 そんな彼等よりも尚、異質なのが6名のNPCだ。

 マーカーは黄色。

 どこまでも、黄色だ。

 その格好は薄汚れているけど、装備は冒険者として恥ずかしくない代物だと分かる。

 全員、縛られていた。

 その縄にも見覚えがある。

 獄卒の黒縄だろう。


 酷い事をするなあ。

 HPバーは半分程になっている。

 何かが焼けた匂いは獄卒の黒縄のせいだろう。



(((((ダーク・ヒール!)))))

(ミラーリング!)


「え?」


「いやあ、酷い目に遭ったようだね」


 癒して差し上げましょう。

 そうすべきだ。

 オレって優しいよね?

 6名のうち3名は女性だ。

 出来るだけ優しい対応に終始すべきだろう。


 だがそのNPCの顔は怯えを通り越し、この世の地獄にいるかのような有様だ。

 えっと。

 どうかしたのかな?



「彼等は何者?」


「間者ですよ。どうも貴方の動向を探っていたようでして」


「へえ、それはそれは」


「中々、口を割りませんので。いっそ彼等のお目当ての貴方を呼んでみました」


「で、私に何をしろと?」


「尋問でも拷問でもご自由に」


 人聞きが悪いな。

 そこは正確に表現して欲しいものです。



「少し説得してみるか」


「説得?」


「尋問も拷問も趣味じゃないんでね」


 ちょっと意外そうな顔をされてしまった。

 何でだろうね?



「君達、私に何か用があったのかな?」


 返事は無い。

 しかもオレと視線を合わせようとしません。

 あ、そういう態度なのね?

 これは説得し甲斐がある。

 では、始めようかね?





「じゃあ蜂蜜を追加で、どうかな?」


「や、やめ、あっ!あっ!」


 蜂蜜をあげよう。

 これはヴォルフに対するご褒美ではない。

 どのダークサモナーの配下であるのか知らないけど、モフモフな召喚モンスター全員にだ。

 オレ自身は痛みを与えていない。

 蜂蜜を肌に塗っているだけだ。


 ダメージを与えているのは飽くまでも獄卒の黒縄だ。

 オレじゃない。

 それに適宜、ダーク・ヒールで回復させている。

 オレって優しいね!



「どうして私の周囲を探ってたのか、教えてくれないかな?」


「そ、それはっ!」


 身悶える度に獄卒の黒縄から炎が吹き上がっている。

 中には呪文を使おうと試みる者もいるが、呪文は失敗に終わるだけだ。

 それが獄卒の黒縄のせいであるのか、蜂蜜が原因になっているのかが分からない。

 まあ、どっちでもいいか。

 それに6名もいるからHPバーを途切れさせちゃいけない。

 結構、大変だぞ?



「も、もうダメだッ!」


 その声はNPCの男の1人だった。

 悶絶するその姿は獄卒の黒縄を残して消えた。

 以前にも見た現象だ!



「えっ?」


「まさか強制ログアウトか?」


 どうもこの現象を初めて見たプレイヤーもいたみたいだ。

 そう、これは強制ログアウトと思われる現象になる。

 謎だ。

 それも聞きだせるかな?

 当然、説得してですけど。



「い、今、何て言った?」


 地面で転がって苦悶しつつ、NPCの1人がそう言う。

 おや?

 少しだけ、饒舌になりそうな気配がする。

 その男のうなじと耳元に塗ってある蜂蜜を狙うヴォルフを手で制する。

 済まないな。

 今は色々と話を聞きたい。



「何で、強制ログアウトを、知っている?」


「それはこっちも聞きたいんだけど」


「え?え?」


 話が噛み合わない。

 何だろう、この違和感。

 何かが、おかしい。






「NPCじゃない、だって?」


「こっちからもあんた等はNPCに見えているよ」


「じゃあアレは本当に強制ログアウトか!」


「どうなってる?」


 ここにいる全員が混乱していた。

 オレも例外じゃない。

 人数が多いから様々な意見が飛び交ってしまい、収拾がつかなくなっているぞ?



「静かに!考えが纏まらない!」


「いやそう言われても!」


 そのシーフの口を塞ぐとそのまま裸絞めにする。

 暴れるのも構わず、本気で絞めた。

 タップした所で地面に投げ捨て、蹴りを加える。

 手間を取らせるな!



「全員の縄を解くんだ」


「え?」


「いいから。落ち着いて話も聞けないだろ?」


 声が止んだ。

 変な動きをする奴はいないだろうな?

 まだテロメアは影の中に待機している筈だ。

 待宵とキレートは姿を消したまま、オレの傍にいると分かる。

 気配は皆無だ。

 ここにいる誰にも存在を悟られているように思えない。

 オレでも無理なのだ。



「意見があるなら挙手をしてから。それを徹底してくれ」


「でも」


 勝手に意見を言おうとしたアサシンがいきなり転がってしまう。

 待宵か、キレートの仕業だ。

 いいぞ、それを続けてくれ。



「邪魔するなって。それにここから逃げるなよ?」


 PKK職の連中に手を出すのはアレだがPK職に関しては大丈夫だ。

 反撃許可がある。

 かなり過激な所まで、踏み込んでいいだろう。


 いきなり挙手しているのはデッカーだ。

 何だ?



「意見があるならいいよ」


「思うにこれ、別サーバーのプレイヤーじゃないですかね?」


 縄を解かれたNPC達を見る。

 少し落ち着いたかな?



「その前に、だ。君等は全員、プレイヤーって事でいいのかな?」


「ああ」


 目の前の男は冷静さをキープ出来ているようだ。

 どうやら普通に会話が出来そうです。

 女性3名はまだ混乱していて、不安そうな表情を見せている。

 どうやって安心させていいものやら。

 笑ってあげてもきっと逆効果だろう。

 そこが残念だ。



 鏑木 種族Lv.58 人間 男性

 シーフ/メイズパイロットLv.25

 待機中 反撃許可あり 戦闘位置:地上



 マレーヴァ 種族Lv.55 人間 女性

 ハンターキラー/アマゾネスレディLv.22

 待機中 反撃許可あり 戦闘位置:地上



 ソフィー 種族Lv.58 人間 女性

 アサシン/スティングファイターLv.27

 待機中 反撃許可あり 戦闘位置:地上



 オットー 種族Lv.56 人間 男性

 アサシン/スナイパーLv.23

 待機中 反撃許可あり 戦闘位置:地上



 イブリン 種族Lv.57 人間 女性

 ブラックソーサラー/エレメンタル・マグス『時空』Lv.24

 待機中 反撃許可あり 戦闘位置:地上



 【識別】が効いてくれたみたいだ。

 どうも種族レベルで言えば中堅って所か?

 ここにいる面々の誰と比べても格下と言えるだろう。



「じゃあ基本的な事から確認しようか。いいかな?」


「ああ」


「君等もアナザーリンク・サーガ・オンラインのプレイヤーって事なのか?」


「えっ」


 何で驚くんだ?

 えっと。

 まさか、そこから違うのか?



「いや、こっちがやっているのはホーリーランド・オンラインだけど」


 今度はこっちが呆けてしまう番だった。

 デッカーを見る。

 彼も驚きを隠そうとしていない。



「聞いた事が無いですね」


「検索してみた!該当しそうなゲームは無かった!」


 今度は鏑木を見る。

 彼等も外部リンクを辿って検索出来るかな?



「アナザーリンク・サーガ・オンライン、で間違ってない?」


「ああ」


「こっちでも検索してみた。該当する情報が無い」


 おかしい。

 お互いに何かに化かされたような気分だ。

 もう少し、お互いに情報を交換した方がいい。

 そう思えます。

主人公 キース


種族 人間 男 種族Lv170(↑1)

職業 サモンメンターLv59(召喚魔法導師)(↑1)

ボーナスポイント残 31


セットスキル

小剣Lv131 剣Lv133 両手剣Lv134 両手槍Lv140

馬上槍Lv140 棍棒Lv137 重棍Lv135 小刀Lv132

刀Lv135 大刀Lv132 手斧Lv134 両手斧Lv133

刺突剣Lv141 捕縄術Lv134 投槍Lv140

ポールウェポンLv140

杖Lv155 打撃Lv159(↑1)蹴りLv159(↑1)関節技Lv159

投げ技Lv159 回避Lv168 受けLv168

召喚魔法Lv170(↑1)時空魔法Lv156(↑1)封印術Lv155(↑1)

光魔法Lv153(↑1)風魔法Lv153(↑1)土魔法Lv153(↑1)

水魔法Lv153(↑1)火魔法Lv153(↑1)闇魔法Lv154(↑1)

氷魔法Lv152 雷魔法Lv153(↑1)木魔法Lv152

塵魔法Lv152 溶魔法Lv152 灼魔法Lv152

英霊召喚Lv6 禁呪Lv155(↑1)

錬金術Lv141 薬師Lv34 ガラス工Lv33 木工Lv78

連携Lv142 鑑定Lv123 識別Lv137 看破Lv100e

耐寒Lv80e

掴みLv150 馬術Lv144 精密操作Lv150

ロープワークLv100e 跳躍Lv147(↑1)軽業Lv148(↑1)

耐暑Lv80e 登攀Lv60e 平衡Lv100e

二刀流Lv133 解体Lv123 水泳Lv80e 潜水Lv80e

投擲Lv148

ダッシュLv149 耐久走Lv143(↑1)追跡Lv123(↑1)

隠蔽Lv128 気配察知Lv144(↑1)気配遮断Lv130

魔力察知Lv144 暗殺術Lv150

身体強化Lv147(↑1)精神強化Lv147(↑1)高速詠唱Lv50e

無音詠唱Lv60e 詠唱破棄Lv60e 武技強化Lv144(↑1)

魔法効果拡大Lv143(↑1)魔法範囲拡大Lv143(↑1)

呪文融合Lv143(↑1)

耐石化Lv80e 耐睡眠Lv80e 耐麻痺Lv80e 耐混乱Lv80e

耐暗闇Lv80e 耐気絶Lv80e 耐魅了Lv80e 耐毒Lv80e

耐沈黙Lv80e 耐即死Lv80e 全耐性Lv89

限界突破Lv35(↑1)獣魔化Lv65(↑1)


基礎ステータス

 器用値  66(↑1)

 敏捷値  66(↑1)

 知力値 100

 筋力値  65

 生命力  65

 精神力 100


召魔の森 ポータルガード

ジェリコ、リグ、クーチュリエ、獅子吼、逢魔、雷文、船岡

守屋、スーラジ、久重、テフラ、岩鉄、虎斑、蝶丸、網代

スパーク、クラック、オーロ、プラータ、エルニド、ムレータ

酒船、コールサック、シュカブラ、シルフラ、葛切、スコヴィル

デミタス、白磁、マラカイト


獣魔の森 ポータルガード

ティグリス

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― 新着の感想 ―
何度も読んでるがここだけは自分の自制心足りずに乱入かましといて後味が悪い云々ゆってて酷すぎる。他の人の『薄着の女性を前にした性欲異常者の行動みたいだww』に吹き出したわ。
薄着の女性を前にした性欲異常者の 行動みたいだww
とりあえず戦闘狂達のバトルロイヤルはおいといて… さてさて何事ですかね?
感想一覧
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