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本日更新1回目です。

サモナーさんが行く Ⅰ〈下〉、発売しているみたいですよ?

「ああ、そうそう。キースには聞いておかないと」


 フィーナさんが何かを思い出したかのように、オレの腕を引く。

 何でしょう?



「昨日、サニアの町の外で揉め事があったみたいなんだけど、何があったのか分かる?」


「えっと」


「魔神がドラゴンを引き連れて襲いに来たとしか情報がないんだけど」


 あ、済みません。

 オレって当事者です。

 いや、狙われてるみたいです。

 正直に話すのはどうだんだろう?

 過剰に怖がらせるのは得策じゃない。



「撃退されたようですが?」


「ええ。実際にサニアの町はこうして無事で闘技大会も続いているわね」


「大丈夫じゃないでしょうか?護衛もいますし」


「あの高位のドラゴン、それに強力なNPCもいるものね」


 納得したかな?

 有耶無耶にする方がいいかもしれません。



「イベントかしら?」


「そうかもしれませんし、そうじゃないのかも知れませんよ?」


「そうね。出来れば闘技大会は無事に終わって欲しい所だわ」


 何だろう。

 意味ありげな視線が突き刺さる。

 心配、という訳ではないらしい。

 何かを期待している様子だ。


 イベントが進行する事を待ち望んでいるかのようです。

 この人もどちらかと言えば波乱を望むような所がある。

 困った人だ。

 でもオレもその傾向が強いし、人の事をどうこう言えない。






「キースさん、ここです!」


「おや、今日は試合があったんじゃ?」


「午後からです。まだ余裕がありますから」


 試合場H面に来てみたら駿河と野々村がいた。

 勿論、ゼータくんの応援だろう。

 駿河は初戦敗退しているが、野々村は初戦を突破している。

 予定通りに試合が進行していれば被らずに観戦、応援出来る筈だ。

 試合が前倒しになればどうなるか分からないけどね。

 ゼータくんが既に試合場の外で待機していた。



「もう少しで前の試合が終わりそうです」


「相手はどうだ?」


「まだ出て来ませんけど」


「お?アレかな?」


 どうやらゼータくんの相手もサモナー系か?

 でも何だかその姿に見覚えがあるような、無いような。

 試合場だから【識別】は無効だ。

 それでも分かる事はある。

 職業はサモンメンターで女性。

 それだけではあるが、装備と布陣を見れば戦闘スタイルは想像出来る。


 ローブ姿で魔法使いらしい格好。

 大きめの杖を持っている所を見ると、典型的な後衛だ。

 布陣は?

 オーガロードを2体揃え、アラクネクイーン、オーディンガード、アークデーモンか。

 迎撃をするつもりは無さそうだ。

 攻勢に出るのは確実だろう。


 ゼータくんの布陣は当たり前だが初戦と同じだ。

 大神、オーガロード、ケルベロス、アークデーモン、神将。

 やはりこれも迎撃を前提にしていない。

 真正面から激突する場合、懸念されるのはゼータくんの位置だろう。

 彼は前衛にまで出て戦う事を厭わない。

 そこで相手のオーガロード2体とまともに戦うのは避けたいだろう。

 直接、召喚主を狙うべきだ。


 だが、それも読まれている筈。

 お互いの召喚モンスターで鍵になるのは?

 ゼータくんの布陣であれば、大神。

 そのスピードに単独で対抗するのは難しいだろう。

 隙を見出す事が出来れば一気に召喚主を単独で沈める事も可能だ。

 相手の布陣であれば、アラクネクイーン。

 糸でゼータくん自身が拘束されてしまったら一気に危うい事になる。



「こりゃあ早期決着になるか?」


「間違いなく秒殺コースだよなあ」


 駿河と野々村の意見が全てだ。

 ヒョードルくんもヘラクレイオスくんも試合場を凝視している。

 見逃した次の瞬間には試合が終わっておかしくない。


 実際、闘技場での対戦でもそうだ。

 ヒョードルくんとゼータくんの対戦など殆どが秒殺になっている。

 たまにヒョードルくんが例によって刺突剣を逆手に持って戦う時だけが長引くかな?

 それでも判定に持ち込めた事は無い。

 ゼータくんは前衛に出る場合、盾を上手に利用する。

 だが相手がオーガロードでは対抗出来ない。

 盾を持ったまま直接、召喚主を押し込む事を考えるだろう。



「例の手は使うかねえ」


「ショート・ジャンプは読まれていると思いますが」


「ああ。それでもきっと、やると思うよ」 


 恐らく、対策はお互いに考えているだろう。

 手の内の読み合いをしている筈だ。

 もう試合は始まっている。

 さあ、どっちの読みが当たるかな?






「確かにショート・ジャンプを使う事になりましたね」


「ああ。だがこの展開は予想外だね!」


 ゼータくんの勝利!

 それはいいけど、この展開は読めなかった。

 お互いにほぼ同時にショート・ジャンプを使って、お互いの位置を交代してしまったのだ!

 もうね、これは笑うしかない。



「しかも相当、粘られちゃいました」


「ルミリンナを使われたからな。そこから挽回出来たのは大きいよ」


 ゼータくんも反省半分か。

 まあ、一時は劣勢になったのは確かだ。

 それに相手も相手だったのです。


 ゼータくんの対戦相手の顔は最後の最後に見えた。

 黒曜の目を借りて確認したけど、見覚えがあった。

 PK職のブラックサモナー、レオノーラだろう。

 【変装】しているけど間違いない。

 今の戦い振りを見ていると、かなり鍛えているのだと分かる。

 ふむ。

 PK職の本業に戻って、襲ってくれないかな?


 そう言えば、今日はまだ殺気を感じ取れていない。

 つまらん。

 誰でもいいからお願い、襲って!

 優しく対応させて貰います!


 試合場A面へと移動しつつ思う。

 オレの周りにはヒョードルくん達がいて、それぞれ召喚モンスターだっている。

 オレを除いて闘技大会の本選に進んでいる猛者揃いでもある。

 これでは襲われそうな気がしない。

 やはり期待は、闘技大会の試合が終わってからなのか?


 町中を、それも人の少ない場所をウロウロしてみようか?

 それもいいかな?





「与作の試合は?」


「次よ。この試合場ではそんなに前倒しで進んでないみたいだし」


「でも、次はそうじゃないよ!」


 そりゃそうだ。

 与作を相手にそう長い時間、耐えられる相手はそうはいない。

 まともに真正面から相手になるのは重武装のドワーフ位のものだろう。

 それだって東雲を相手に何度も対戦済み、慣れている。

 相性が悪い対戦相手となれば、距離を置き続ける後衛系のプレイヤー全般だ。

 だが。

 試合時間を通して逃れられるとは思えない。

 与作はサブウェポンで手斧もある。

 アレも洒落じゃ済まない得物になるのだ!



「リック、ハンネス、試合は?」


「いやー、負けちゃってねえ」


「全員、場外で終了だよ。相手も強かったし仕方ないさ」


「ほう。どこのパーティかな?」


「九重の所だね。完敗だったよ」


「スピードで付いて行けたのは優香だけだったしなあ」


 ハンネスは単独でもかなり安定した戦いを見せる。

 オレも何度か、対戦で感じている事だ。

 弱い訳じゃない。

 リックだって目立たないが、ハンネスに近い戦闘スタイルで実に手堅い。

 これも簡単に攻略出来るとは思えない。


 フィーナさんによれば、注目の対戦動画は後で送って貰える事になっている。

 応援出来なかったけど、後で見ておこう。






「キース、どう思う?」


「見た通り、ショルダータックルだけで終わっちゃいましたから何とも」


「豪快!」


「秒殺にはなりませんでしたが、早期決着なのも間違いないですね」


 相手は両手に剣を持つ二刀流スタイル、しかも片方が刺突剣だった。

 普段は探索役、戦闘では遊撃であるのだろう。

 序盤の巧妙な駆け引きは苦戦を予想したものだ。


 だが、与作は気にしていなかったのだろう。

 快刀乱麻を断つ?

 斧だから違うな。

 肉を斬らせて骨を断つ?

 いや、骨を砕くって言うべきなんだろう。



「おっと、私はここで失礼。昼食を済ませて控え室に行きます!」


「え?」


「試合が前倒しで進んでるようなので早めに待機しときます」


「じゃあこっちも付き合うよ」


 時刻はまだ午前10時50分にもなっていない。

 野々村の試合は午後だった筈だが。

 どうも今回の闘技大会、積極的に前倒しで進行してしまうらしい。

 選手が揃っていたら、試合予定を前後する事もあるようだ。

 実際、イリーナも初戦はそうだったみたいだし。


 駿河と野々村が移動になったが、他の面々はそのまま観戦を続ける事になった。

 此花の試合は今やっている対戦の次だ。

 それにしても試合場A面は本当に注目のカードなんだな!

 与作の次の対戦では例の戦隊チームであるようだ。

 対戦を前に決めポーズを披露している。

 もしかして駿河はこれを見たくなかったのかな?

 彼の初戦の相手だった訳だし。

 不意にそんな事を考えてしまいました。





「キースさん、此花の相手、厳しくないですか?」


「厳しいさ。だが、戦い方は敢えて変えなくていいだろうな」


 嫌な予感は当たったか。

 此花の対戦相手はシェルヴィのパーティだ。

 間違いなく、無差別級団体戦の優勝候補になる。



「タロスを軸に押し切れたら勝ち!」


「そうさせまいと動くさ」


 アデルの言う通りであれば楽だ。

 シェルヴィとて真正面からぶつかってタロスのような重量級に拮抗出来る訳じゃない。

 此花としては召喚モンスター達の長所を活かす戦い方をするだけでいいのだ。

 サモナー系として、正統派の戦い方を貫く方が勝利に近いだろう。


 逆にシェルヴィ達の方が困るだろう。

 プレイヤーだけのパーティであれば、戦い方を変えるとは思えない。

 だが、此花配下の召喚モンスターを相手にするには戦い方を変えないと対応は不可能だ。

 少なくとも、タロスの足を止めるか、迂回しないと厳しい。


 タロスは厄介だ。

 パワーはあるから攻撃は受けていてはダメ、回避が必須。

 攻撃命中率が低め、機動力にも難がある傾向だが、運用次第で強烈な戦果を期待出来る。

 シェルヴィ達も戦った事はあるだろうが、支援しているのは此花、他の召喚モンスター達もいる。

 即応出来るかどうか、そこが見所になるだろう。


 ピットフォール、それに壁呪文で動きを止めようとしても時間稼ぎにしかならない。

 シェルヴィ達はどんな工夫をするかな?

 楽しみにしておこう。






「あーん!惜しいっ!」


「途中まで優勢だったのに!」


 悔しがるアデルと春菜だが。

 確かに惜しかった。

 シェルヴィのパーティで試合場に残っているのは2名だけだ。

 普段、シェルヴィの脇を固めている前衛と後衛の弓矢持ちだけ。

 シェルヴィは場外です。


 此花配下の召喚モンスター達は全員、試合場に残っている。

 でも肝心の此花が大ダメージを喰らい、一瞬動きが止まってしまった。

 そして此花のHPバーは大きく減ってしまい戦闘除外扱いになっている。


 内容の良し悪しは置くとして、最後の最後で逆転を許してしまった。

 これがあるからサモナー系は厳しい。

 狙われる前提で対応しても、完璧とは行かない。

 此花はほぼ、完璧に近かったと思う。


 まさか全員がタイミングを合わせてショート・ジャンプで跳ぶとは思わなかった!

 だが、ショート・ジャンプそのものは此花の読みにあった筈。

 驚きはあっただろうが、混乱はしなかった。

 だからこそシェルヴィを含め、4名までを場外に出来たのだ。


 惜しい。

 運が悪かったと言えばそれまでだが、惜しかった!



「じゃあ次は野々村の試合だな」


「私は昼食を済ませたら対戦!応援、よろしく!」


「分かっているって」


 今日の試合の最後を飾るのはアデルだ。

 予定では、ですけど。



「東雲の個人戦は午後だよな?」


「ああ。試合場はここ、A面だ。午後になってすぐになりそうだな」


 与作は今のうちにログアウト、昼食も済ませるみたいだ。

 オレはどうする?

 野々村の試合に間に合えばいいんだが。





「野々村はどうだ?」


「苦戦中です!」


 試合場G面で野々村の試合は既に始まってしまっていた。

 応援する駿河の表情には余裕が無い。

 苦戦?

 しかも劣勢だ!



「後衛にエレメンタル系が3名、風と時空、雷といるんですが」


「ホバーダッシュだな?」


「ええ。機動力で圧倒されてます」


 野々村自身、迎撃するだけで手一杯のようだ。

 ここまで追い込まれるとか、どうした?



「最初にアイス・フィールドを使ったのが無意味にされてます!」


「事実上、無力化されたか。野々村に木属性はあった筈だな?」


「ええ!」


 野々村は壁呪文のアイス・ウォールやファイア・ウォールで分断しようとしている。

 同時に接敵されたくない意識があるからだろう。

 だがそれではダメだ!

 僅かでも召喚モンスター達との連携を取れる壁呪文がある。

 ソーン・フェンスの方がいい。

 スキュラクイーンが2体もいるのだから、動きを止めさえしたら優位になれるって!



「いけない!もう逃げ場が無い!」


「囲まれたか」


 既にサイレンクイーン、オーケアニスも場外に、護衛になれる位置にいるのはホーライだけだ。

 だが3方向から迫る前衛が3名、槍と剣、それに大刀を持つ面々か!

 野々村の位置は試合場の角で逃げ場は無い。

 ショート・ジャンプで逃げる?

 そこまでの余裕が果たしてあるのか?

 殺到する相手を前にしても、冷静でいられたら跳べる。

 跳べる筈なのだが。

 どうやら詰んでいるのかな?

 爆炎攻撃が先に直撃、野々村の全身を叩く。

 その衝撃で場外に吹き飛んでしまっていた。





「しかし攻略組が相手だと勝手が違いますね」


「生産職だともっと差を感じるわよ?」


「それを言ったら与作と東雲はどうなっているんです?化け物ですよ!」


「そうは思わないけどなあ」


 屋台裏で食事を摂りつつ、動画を視聴してます。

 リック達の戦闘も、結果は敗北だが悪い内容じゃない。

 対戦相手が単純に連携面で上回っていたのだと分かる。

 リック、ハンネスの奮戦も目を惹いたが、優香が見事だ!


 他にも観戦できなかった試合も視聴してます。

 ジルドレの試合はリック達と時間が重なっていて見てなかった。

 これがまた面白い。

 ジルドレのパーティは全員がドワーフ。

 全員が重装備、しかもミスリル系と分かる。

 装備で勝ったと言えなくもないけど、まともに動いている事そのものが恐ろしい。

 ピットフォールで嵌められてもお構いなし、まさに腕力で勝ってるよ!


 そのジルドレはオレの正面でハンバーガーを食っている。

 午後の観戦は一緒に回る事になるからだ。



「で、例の武器の調子はどうだ?不具合は無いだろうな?」


「絶好調ですよ、命中すれば」


「ふむ、やはり重い分だけ使い難そうだな」


「もう少しレベルアップしたらいい塩梅になると思うけど」


 ジルドレは何も言わないが、カヤからは聞いている。

 岩鉄、虎斑、ムレータの武器だ。

 かなり無茶な仕様、趣味同然、ネタとして鍛えた代物であるのだと。

 その心意気は大好きだ。

 作品に思い入れがあった方がいい。

 その方が愛着だって湧く。



「使い勝手は召喚モンスが相手じゃ正確には分からんか」


「出来なくはないでしょうけどねえ」


 そう、手間を掛けたら出来る。

 シンクロセンスの呪文があるのだから。

 単にそうするだけの手間も省いて来ているだけだ。


 それにオレ自身、ジルドレとカヤが作製した装備に不満は無い。

 あるとしたなら納期をもう少し短くして欲しい程度だろう。



「防具はどうかな?」


「そっちはもう、文句なしですね」


「ふむ」


「装備の修復も手間が低減出来ているのは助かりますよ」


 防具については本音で語っていい。

 実際に助かっている。

 オレ自身はどうか?

 オリハルコン系の武器や防具でオレが使っているのはオリハルコン球だけだ。

 その使い勝手はいい。

 戦果も素晴らしいのだ。




 食事を摂り終えたら試合場A面に移動だ。

 東雲の試合の次がアデルになる。

 どっちも注目の試合になるんだろう。



「ジルドレの装備と東雲の装備って似てないか?」


「仕様は全く同じだ」


「ドワーフだからか?」


「職業は鍛冶屋と石工で違うが、体格は一緒だし戦い方はそう変わらんからな」


 与作を見る。

 彼はミスリル系の防具は使っていない。

 但し得物の斧は全部、ミスリル製だ。

 揃える気はないのかね?



「与作はミスリル系の防具は使わないのか?」


「これでも樵だから。木に登る時に重たいのは困る」


 それもどうかと思うな。

 与作なら重装備でもそこそこ動けるだろう。

 闘技大会に限って言えば、確実に有利だと思うのだが。



「キース、今回は誰が優勝すると思う?」


「団体戦はもう分からないな。個人戦もだけど」


「そりゃまたどうして?」


「呪文もより強力になったけど、それ以上に装備の影響は大きいよ。特に防具がね」


 ジルドレは少しだけ、笑ったのかな?

 お世辞じゃない。

 実際、今回の大会を通して思うのは、前衛がより耐えていられる事だ。

 場外が多いのも、体当たりだけで大きく弾き飛ばされるからだろう。

 総じて鍛冶職の影響が如実に現れている。



「オリハルコン系の武器に防具が行き渡るようになったら、また違ってくると思うよ」


「それは相当、かなり先になりそうだな。素材が無い」


 それはどうかな?

 既にアデル達はレウケーの化身が出現するd2マップに到達している。

 いずれオリハルコン鉱も入手するだろう。

 後続だっていずれはd2マップに到達する。

 オリハルコン系の装備はいずれ、増えて行くのは確実であるのだ。





「装備の差が出たか?」


「そうとも言えるけど、危なかったな」


 東雲の相手はドワーフ、しかもグラップラー系の戦闘スタイルだった。

 装備では確実に東雲が上であっただろう。

 だが、いいように打撃に蹴りを食らっている。

 勝負では東雲が勝ったが、果たして内容ではどうであっただろうか。


 装備の差は確かにあった。

 重たい分、動きでは相手に先手を打たれ過ぎだ!

 密着した状態でも相手はドワーフ、装備の分で重量差があったものの、パワーでは互角。

 押し切れなかったのが痛い。


 だが、相手のドワーフにも大きなミスがあった。

 打撃に蹴りで攻勢に出ていたのは分かる。

 だが、装備の差を考慮するなら、関節技をもっと活用したら良かったのに!

 2度、肘を極めようと動いていたけど断念してしまっている。

 惜しい。

 そこは妥協すべきじゃなかった!



「関節を極めに行ってけど、アレは惜しかったな」


「肘なら防具に干渉したと思うぞ?」


「捻っていたらまた違っていたかな?投げに行っても良かった」


 どっちにしても東雲にとっては肝が冷えた事だろう。

 オレとの対戦でも接近されて同様に打撃と蹴りを浴びせ続けられた事はある。

 与作と対戦した場合も似た状況はあったが、重心の低さが有利になっていた。

 どちらの場面でも自らの重量とパワーが活かされていたと思う。

 だが、同じドワーフでは対抗するのは容易い。

 そこが違う。

 僅かな差?

 いいえ、結構大きな影響になる。

 断言していい。



「アデルちゃんの出番はもう次ですよ!応援ッ!」


「お、おう」


 春菜に怒られちゃいました。

 そうそう、次はアデルの出番だ。

 既に召喚モンスター達を引き連れて試合場に登場、こっちに手を振っている。

 妖狐、ケルベロス、パイロキメラ、虎獣鵺、インペリアルタイガーは普段通り?

 大丈夫、落ち着いている。

 アデルもまた、戦い方は普段と変えないだろう。

 それでいいと思う。


 相手の編成は前衛4枚、盾を持つ重装備の壁役2枚に槍持ちが2枚。

 後衛は両方とも杖持ちか。

 前衛が手厚いけど、アデルを相手に通用するかな?

 ケルベロスとインペリアルタイガーの両方を止めるのは難しい。

 後衛が2名では支援が薄くなる可能性が高いだろう。



「どうなる?」


「蹂躙するさ。賭けてもいい」


「賭けになりそうもないな」


 与作とハンネスも予想は一致するようだな。

 アデルはどの対戦でも考え無しに突っ込んでいるように見える。

 実際、感性だけで突っ込んでいる。

 オレが相手でも躊躇しないのだ。

 罠があっても気にせず、そのまま喰い破ってしまうような所が素敵過ぎる。


 懸念されるのは槍衾かな?

 突っ込んで来る所を迎撃されたら厳しい。

 槍持ち2名だけでも警戒すべきだ。

 だが、それで躊躇するようなアデルではない。

 それだけに相手パーティにも勝機がある。

 おかしな話だが、それも確かであるのだ。





「今の試合、時間は計ってたか?」


「30秒、無かったです!」


 試合場の上に残っているのはアデルと妖狐だけだ。

 他の召喚モンスター達は場外にいる。

 相手パーティは全員、場外だ。

 HPバーはお互い、碌に減っていません。



「場外狙いか!考えたな!」


 ジルドレの感想は過大評価だろう。

 きっと意図してやった事じゃない。

 突っ込んで噛み付いて、一緒に転がって場外に出てしまっただけだ。

 その原因は相手チームが仕掛けた氷魔法の呪文、アイス・フィールド。

 どうやら突っ込んで来るであろうケルベロスとインペリアルタイガー対策だったんだろうな。

 完全に裏目になってしまっていた。


 こう言ってはアレだが、運だけで勝ったようなものだ。

 内容も無いよ!

 評価も何も、無い。

 結果だけが全てだ。


 雛壇を見る。

 サビーネ女王は表情を崩していないようだが、ジュナさんは大笑いしている!

 まあ、そうなるよね。

 オレだって呆れるか笑うしかない。



「この後はどうします?他の試合会場はもう終わっている所もありますが」


「ここの試合を全部見た後、狩りにでも行こうかなあ」


「あ、キースさんの所の闘技場、借りてもいいですか?」


「勿論、いいさ」


 どうやらゼータくんは明日の第三回戦に向けて対戦をしたいようだ。

 ヒョードルくんとヘラクレイオスくんも対戦相手をするようです。

 駿河と野々村もかな?

 闘技大会は魔物相手の狩りとはやはり違うのです。

 色んな編成を相手に戦ってみる事も無駄にはならないだろう。





 試合場A面の残り試合も楽しめた。

 それはいいんだが。

 今日は殺意が飛んでくるような事が無い。

 つまらん。

 実につまらん!


 闘技大会の日程は今日で3日目、明日は第三回戦だけだ。

 予定では午前中で試合日程が終わる筈。

 サニアの町にいて狙われる機会は減るかもしれない。

 何かイベントとして仕掛けがあるなら決勝戦がある7日目、最終日かな?

 気の長い話だ。

 そこまで待っていていいのかどうか、疑問が残る。



「じゃあ、また明日!」


「ああ。優勝目指して勝ち上がれよ」


「「ハイ!」」


 アデル、イリーナ、春菜は勝ち上がっているのだが、生産職の面々のお手伝いみたいだ。

 ゼータくんはヒョードルくん達と共に召魔の森へ、対戦をする筈。

 オレはどうする?

 少しサニアの町を散策して、何かが起きないか確認したい。

 何も無ければ、そのまま狩りに行こう。

 時刻は午後2時30分だ。

 日付を跨ぐまで時間はあるようで短い。

 その間に色々と楽しめたらいいんだが。

 まずは町中で襲われたいものです。

 相手は問わない。

 誰であっても歓迎なのです。





『どうした?小さき友よ。元気が無いようだが』


「いえ、何でもないです」


 町の外に出て大きく溜息。

 それをブロンズドラゴンに見付かっていたようです。



「ところで昨日のダメージは大丈夫だったので?」


『無論だ』


『認めたくはないが、あの雲母竜もいたのでな』


 水晶竜の様子は悔しそうに見える。

 あの琥珀竜への攻撃が通じていなかった事も悔しいのだろう。

 でもそれ以上に雲母竜に助けられた形なのが気に食わないらしい。

 まあ気持ちは分かる。

 雲母竜の水晶竜に対する態度は若造扱いだった。

 それだけの実力差もあるのだと思えるけどね。

 水晶竜はどうやら自覚しているらしい。

 暴れ者ではあるけど、冷静な面もあるようで良かった。

 水晶竜もまだ成長する余地がある筈だ。

 紫晶竜、アメジストドラゴンのような存在もいる。

 それにはこのマップにいる魔物では不足するだろうな。



「まだ女王はここに?」


『少なくとも祭典が終わるまでは滞在するであろうな』


「他に何か狙いがありそうですね」


 オレの問いに水晶竜もブロンズドラゴンも答えない。

 ただ、僅かに笑っているような雰囲気が漂っていた。




 サニアの町からテレポートで跳んだ先は?

 朝焼け灯台の中継ポータルだ。

 ここでから西に向かいつつ空中戦、狙うのは天使狩りだ。

 無論、他の魔物との遭遇も大歓迎です。

 空中戦の布陣は?

 言祝、蒼月、スコーチ、ノワール、トラフだ。

 目的はトラフの経験値稼ぎになる。

 それだけに天使の群れにはより多く、遭遇したい。

 駆逐するつもりで狩り続けるとしましょう。

 より多くの経験値を稼ぐなら、そうするしかないのだ!






《只今の戦闘勝利で【馬上槍】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【追跡】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【気配遮断】がレベルアップしました!》



 結構、簡単にスローンを中心とした天使の群れに遭遇出来たのはいいんだが。

 大苦戦の結果がこれだけか。

 どうもいけない。

 召喚モンスターのレベルアップが無いってどうなのよ?

 それだけ戦力の底上げが順調だと思えばいいのか?


 少し目先を変えよう。

 u2マップのエリアポータル、宝輪寺院からu3マップに行くとしよう。

 ヴィゾーヴニルの影や女神様達を相手に空中戦だ。

 難易度はスローンが率いる天使の群れが上だろうが、遭遇出来るかどうかは運任せだ。

 より安定して経験値を稼ぐなら、u3マップの方がいい。

 時刻は午後4時20分か。

 夕方になったら、どこに行こう?

 それを悩むのは少し早いかも?


 出来れば格闘戦成分の補充もしたいけどね。

 海中戦もいいな。

 トラフのレベルアップを狙うのであれば、それでいい。

 格闘戦成分はログアウト前までに補充出来ればいいと思う。

 優先はトラフでいいのだ!








 グリゴリの転生者 ???

 イベントモンスター ???

 ??? ???

 ??? ???



 最初は女神様達かと思ったものです。

 でも違った。

 黒い翼の天使、その翼から虹色の光が放たれている。

 その数は20体以上いるだろう。

 あれ?

 こいつ、このマップで出現してましたっけ?



 ネフィリムの末裔 ???

 イベントモンスター ???

 ??? ???

 ??? ???



 グリゴリの転生者がいるならこの巨人もいて納得だ。

 しかも4体もか!

 眼下の森は大丈夫だろうか?

 オレもヴィゾーヴニルの影、フギンの影、ムニンの影を墜落させて散々破壊している。

 非難する立場にはないな。

 それにこの組み合わせなら堕天使達やマスティマがいても不思議じゃない。



 アダムカドモン ???

 イベントモンスター ???

 ??? ???

 ??? ???



 ナヘモトの影を始め、堕天使達が10体1セット揃ってネフィリムの末裔達の間に出現。

 だが、その中央に未見の存在がいた。

 全身、真っ白に光り輝くマネキン人形のような外見。

 翼は無いが空中を浮いているのが少々奇異に見える。


 魔力は感じ取れない。

 周囲にいる連中の魔力が強烈なのが影響しているのか?

 それでもこいつが総大将格なのだと分かる。

 未見だから、という理由だからじゃない。

 危険な匂いがする!



 メルカバー ???

 イベントモンスター ???

 ??? ???

 ??? ???



 上空にも未見の何かがいる!

 その大きさは天使のスローンに匹敵するだろう。

 いや、形状もよく似ている。

 天使の頭部に相当する場所には巨大な牛の頭部があるように見える。


 名前が気になる。

 某国の戦車かよ!



《第五の封印は解除シークエンスへ、停止は不可能です》


《設定は既存プランの変更案を採用、特定監視対象の排除を行います》


《戦力配置を確認して下さい》


《予備戦力は待機状態を維持して下さい。追加投入は可能です》


《設定終了》


《記録を開始します》


 インフォが頭上から降り注いでいる。

 おい!

 イベントモンスターの文字があるから変だと思ったけど、いきなりかよ!



「人馬一体!」「金剛法!」「エンチャントブレーカー!」「リミッターカット!」


 事態は最悪か?

 上空にも、地上にも戦力がいてサンドイッチ状態だよ!

 メルカバーはオレ達の頭上を覆うかのようにゆっくり移動している。

 その巨体の各所から球体の何かが撃ち込まれているけど、マスティマだ!

 これは厳しい。

 いや、死地かな?



(天馬疾駆!)


 空中戦だ。

 しかもここは全力で挑むしかない!

 【英霊召喚】の選択肢は悩まず投入すべきだろう。

 幸運にも配下の召喚モンスター達への呪文の強化はまだ有効だ。

 それでも不安が残る。

 打てる手は全部、打て!



(エクストラ・サモニング!)


 召喚したのはアイソトープ。

 空中戦で安定の戦力だ!



(フィジカルエンチャント・ファイア!)

(フィジカルエンチャント・アース!)

(フィジカルエンチャント・ウィンド!)

(フィジカルエンチャント・アクア!)

(メンタルエンチャント・ライト!)

(メンタルエンチャント・ダーク!)

(クロスドミナンス!)

(アクロバティック・フライト!)

(グラビティ・メイル!)

(サイコ・ポッド!)

(アクティベイション!)

(リジェネレート!)

(ボイド・スフィア!)

(ダーク・シールド!)

(ファイア・ヒール!)

(ヒート・ボディ!)

(レジスト・ファイア!)

(十二神将封印!)

(ミラーリング!)


 アイソトープを強化しつつ、手にした双角猛蛇神の騎士槍を握り直す。

 上下左右にマスティマが展開、どれから狙えばいいんだ?

 迷ってしまうではないか!

 これは大苦戦になる。

 それだけは間違いないようです!

主人公 キース


種族 人間 男 種族Lv168

職業 サモンメンターLv57(召喚魔法導師)

ボーナスポイント残 27


セットスキル

小剣Lv131 剣Lv130 両手剣Lv131 両手槍Lv140

馬上槍Lv139(↑1)棍棒Lv137 重棍Lv130 小刀Lv130

刀Lv135 大刀Lv132 手斧Lv134 両手斧Lv133

刺突剣Lv141 捕縄術Lv133 投槍Lv138

ポールウェポンLv139

杖Lv152 打撃Lv157 蹴りLv157 関節技Lv157

投げ技Lv157 回避Lv166 受けLv166

召喚魔法Lv168 時空魔法Lv153 封印術Lv153

光魔法Lv151 風魔法Lv151 土魔法Lv151

水魔法Lv151 火魔法Lv151 闇魔法Lv151

氷魔法Lv151 雷魔法Lv151 木魔法Lv151

塵魔法Lv151 溶魔法Lv151 灼魔法Lv151

英霊召喚Lv6 禁呪Lv153

錬金術Lv141 薬師Lv34 ガラス工Lv33 木工Lv78

連携Lv139 鑑定Lv122 識別Lv136 看破Lv100e

耐寒Lv80e

掴みLv148 馬術Lv142 精密操作Lv149

ロープワークLv100e 跳躍Lv145 軽業Lv146

耐暑Lv80e 登攀Lv60e 平衡Lv100e

二刀流Lv132 解体Lv122 水泳Lv80e 潜水Lv80e

投擲Lv147

ダッシュLv148 耐久走Lv139 追跡Lv107(↑1)

隠蔽Lv126 気配察知Lv140 気配遮断Lv113(↑2)

魔力察知Lv141 暗殺術Lv149

身体強化Lv145 精神強化Lv145 高速詠唱Lv50e

無音詠唱Lv60e 詠唱破棄Lv60e 武技強化Lv142

魔法効果拡大Lv141 魔法範囲拡大Lv141

呪文融合Lv141

耐石化Lv80e 耐睡眠Lv80e 耐麻痺Lv80e 耐混乱Lv80e

耐暗闇Lv80e 耐気絶Lv80e 耐魅了Lv80e 耐毒Lv80e

耐沈黙Lv80e 耐即死Lv80e 全耐性Lv89

限界突破Lv33 獣魔化Lv63

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