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『各位へ!結界はありません!』


『コピー!』


『【英霊召喚】行けます!』


「よし、行け!」


 オレは後悔の念に苛まれていた。

 昨夜のうちに切り札を投入していたからだ!

 でもまだ残されたカードはある。



(ブーステッド・モンスターズ!!)


 町の中に黄色のマーカーが見えている。

 中には魔物と戦っている住民もいるようだ。

 本格的に支援したい所だが、厄介な戦力が残っている。

 キムクイガーディアン・スレイブだ!



「雷電!」


 結界の無い亀など楽勝?

 そんな事はない。

 どうやらどの個体もレベル高めと分かる。

 爆撃もしているのだが、甲羅で阻まれてしまえばほぼ効果が無い。



『天馬疾駆!』


『太公釣魚!』


『エクストラ・サモニング!』


 次々と援軍が出現する!

 それでも戦力的に足りるかどうか。

 制空権を確保するのが優先だが、間に合うかな?

 自信は無いけどやるしかない!



『フィーナさんより連絡!サニアに援軍が急行中!』


「了解!」


 これは良い知らせであるのか、悪い知らせであるのか。

 判断するのは難しい。

 だがやるべき事は変わらない。

 唯、戦え!



(((((ミーティア・ストリーム!)))))

(((((プラズマ・ブラスト!)))))

((((アシッド・レイン!))))

((((ヘイルストーム!))))

((((スウォーム!))))

(ミラーリング!)


 路地を埋めていた魔物の群れの上空を通過。

 広範囲に攻撃呪文を撒き散らしつつ周囲を見回す。

 アリョーシャが光の槍と闇の槍を次々と悪魔達に撃ち込んでいる。

 今、悪魔達の戦力は半減以下だ!

 仕留めるなら今のうち?



(アポーツ!)


 それでもアラバスタードラゴンは大きな脅威だ。

 建物を破壊しつつ、こっちに迫る奴がいる!

 近所迷惑だな!



「雷電!」


 投じた亜氷雪竜の投槍は確かにアラバスタードラゴンに命中。

 でも翼を貫通しただけです。

 もう、ダメダメだな!



(((プリズムライト!)))

((ダウンバースト!))

((キャタラクト!))

((グラビティ・プリズン!))

((ホーリー・プリズン!))

((ダーク・プリズン!))

((カーズド・ワーム!))

((ドラウト・ゾーン!))

((ブラックベルト・ラッピング!))

((レインボー・チェイン!))

(アイアン・メイデン!)

(ミラーリング!)


 取り敢えず、地上の亀は分断しておこう。

 少し待て。

 何しろアラバスタードラゴンも悪魔達も多いのだ。

 順番というものがあるのです!



「ガッ!」


 アリョーシャが脚でデーモンロード・バロンを捕獲、嘴で頭部を啄ばんでいる。

 デーモンロード・バロンに反撃の暇は無かった。

 あっという間に死体と化してしまっている!



(アポーツ!)


 何体かのアラバスタードラゴンがキムクイガーディアン・スレイブの甲羅の上に位置している。

 どうやら魔物達を指揮している存在が残っているようだ。

 魔人の姿は意外な程に少ない。

 名前持ちの魔人は戦闘をしながら【識別】出来る筈も無い。

 魔神も同様だ。

 センス・マジックも使ってはいるけど、戦場で当てになるかどうか怪しいものだ。



「雷電!」


 アイソトープに気を取られたアラバスタードラゴンに命中!

 しかも胴体だ!

 援軍はまだ、到着していない。

 今のうちに稼いでおくとしよう。




『援軍、来ました!ユニオン申請来てます!』


『申請受諾します!』


「了解!」


 仮想ウィンドウに援軍に来ているプレイヤーのリストが小さく表示された。

 個々の名前を確認している暇は無いが、嫌な予感がする。

 一番上が、リディアだと?

 これは思わぬ事故が起きそうな予感がする。



『介入します!』


『地上戦力の排除は西側の門からやるわ!上空支援、宜しく!』


『コピー!』


 アラバスタードラゴンの掃討は間に合ったか?

 全然、間に合っていない。

 それに空中を飛び回る戦力も援軍に来ている!

 恐らくはドラゴントルーパー系の面々だろう。

 特徴のある極端に長い槍は見間違えようがない。



「アラバスターは?」


『残り7体!亀は5体で変わらず!』


『援軍が追加になります!』


『西側の亀の排除を!援軍投入の邪魔になってます!』


『アデルちゃん!春菜ちゃん!支援お願い!』


『了解ッ!行っくよっーーーーーー!』


『オッケー!』


 戦場は基本、混乱したままだ。

 そんな中でやるべき事は変えるべきか?

 アラバスタードラゴンはもう半分以下に討ち減らしてあった。

 制空権は確保しつつある、と思う。

 確実にではないけど。

 そう、確実にしておこう。

 亀を屠りに行くのはその後だ。

 ご老人の英霊様の時間切れも迫っている。

 急がないと!







《只今の戦闘勝利で【投槍】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【土魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【灼魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【禁呪】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【馬術】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【呪文融合】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『ナインテイル』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



『町の広場は安全を確保!』


『了解!掃討は継続、パーティ単位で行動を徹底して!』


「戦況はどうだ?」


『東側で魔物の一部が逃走中!まだ亀が2体健在!』


 どうやら戦闘は終息しそうな雰囲気だ。

 オレがいるのは町の防壁の上です。

 その防壁もあちこちがボロボロにされている。

 キムクイガーディアン・スレイブが相手では時間稼ぎにしかならなかっただろう。



「魔人はいたか?」


『東側の門より逃走したのを見ました!追跡しますか?』


「町の中の掃討を優先しよう。上空から監視の継続を頼む」


『了解。フィーナさんへ、地上の指揮をお願いします』


『了解。NPCへの支援はこっちで引き受けます。町の外、頼むわよ?』


 言われるまでもない。

 もう狙い目となる魔物は町の中にいないのだ。

 キムクイガーディアン・スレイブを血祭りにしてくれよう。

 その後は?

 魔人が逃げたそうだから、追跡するのもいいかな?



 ナインテイルのステータス値で既に上昇しているのは敏捷値でした。

 もう1点のステータスアップは器用値を指定しましょう。



 ナインテイル 白狐Lv46→Lv47(↑1)

 器用値 36(↑1)(-29)

 敏捷値 85(↑1)(-68)

 知力値 78(-62)

 筋力値 35(-28)

 生命力 35(-28)

 精神力 78(-62)


 スキル

 噛付き 回避 天駆 空中機動 天啓 霊能

 霊撃 夜目 MP回復増加[大] 魔法抵抗[大]

 物理抵抗[小] 自己回復[小] 時空属性

 光属性 闇属性 風属性 水属性 土属性

 氷属性 木属性 耐即死 耐混乱 耐魅了

 陽炎




《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『言祝』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 ステータス操作を急ぎつつ、ソーマ酒を服用する。

 オレ自身のリミッターカットによるステータス異常は解消だ。


 オレの傍には召喚モンスター達が全員、集合している。

 激戦の跡は明白だ。

 HPバーは相応に減っている。

 その上、各自のステータス異常がある。

 ブーステッド・モンスターズによる後遺症だから仕方ないな。

 ここで全員、帰還させるべきだろう。



 言祝のステータス値で既に上昇しているのは精神力でした。

 もう1点のステータスアップは筋力値を指定しましょう。



 言祝 アークデーモンLv46→Lv47(↑1)

 器用値 36(-29)

 敏捷値 78(-62)

 知力値 78(-62)

 筋力値 36(↑1)(-29)

 生命力 36(-29)

 精神力 78(↑1)(-62)


 スキル

 刺突剣 槌 小盾 爪撃 飛翔 浮揚 回避 呪詛

 堕天 反響定位 空中機動 魔力遮断 自己回復[小]

 物理抵抗[小] 魔法抵抗[極大] MP回復増加[大]

 変化 時空属性 光属性 闇属性 火属性 風属性

 土属性 水属性 塵属性 氷属性 呪眼 耐即死

 耐魅了




《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『アリョーシャ』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 メジアンとパンタナールのレベルアップは無かったようだ。

 まあそれも仕方ない。

 それに今は急ぎたいのです。

 町の中での戦闘が終息するのは確実だ。

 狙い目の獲物は町の外にいる。

 早く仕留めに行かないと先を越されちゃうぞ!



 アリョーシャのステータス値で既に上昇しているのは敏捷値でした。

 もう1点のステータスアップは精神力を指定しましょう。



 アリョーシャ グリフォンロードLv46→Lv47(↑1)

 器用値 36(-29)

 敏捷値 85(↑1)(-68)

 知力値 35(-28)

 筋力値 66(-53)

 生命力 66(-53)

 精神力 36(↑1)(-29)


 スキル

 嘴撃 爪撃 体当たり 飛翔 回避 掘削 空中機動

 遠視 広域探査 夜目 威嚇 強襲 隠蔽 危険察知

 気配遮断 騎乗者回復[小] 自己回復[中] 物理抵抗[中]

 魔法抵抗[小] MP回復増加[微] ブレス 時空属性

 光属性 闇属性 火属性 土属性 風属性 毒耐性

 耐麻痺



 では、布陣変更だ。

 全員、帰還させる。

 召喚したのは?

 ヘザー、蒼月、折威、スコーチ、エルニドだ。

 空中戦で挑む点は変わらない。

 得物は双角猛蛇神の騎士槍になるだけです。

 いい機会だ。

 【馬上槍】の新たな武技、ストーム・アタックを試すとしよう。



「残敵を掃討する!制空権は?」


『町の上空はクリア!』


「アラバスターは?」


『残り4体!亀の護衛をしつつ退いてます!』


『攻略組が別途追撃中!』


 追撃戦をしているのか。

 楽しそうだな、それ。

 逃げ惑う敵を駆逐するとか、大好物です!


 もうオレの手の内に切り札は無い。

 でも援軍もいるしアデル達もいる。

 戦力は十分だろう。


 魔人を逃がす手は無い。

 名前持ちもいるかも知れません。

 どうも魔神がいるような雰囲気が無いのは残念だが。

 まあいい。

 今は深く考えず、目の前の敵を全滅させてしまおう。








《只今の戦闘勝利で【馬上槍】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【光魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【木魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『スコーチ』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



『全周警戒!敵影ありません!』


『逃走したアラバスターの姿が途中で消えました!』


 うーむ。

 アラバスタードラゴン2体を逃がしたみたいだ。

 それにデーモンロード・カウントとデーモンロード・カウンテスも何体か、討ち漏らしたみたいです。

 姿を消した連中の魔力を辿る事はセンス・マジックでも無理でした。

 ちょっと残念。

 ストーム・アタックをもう少し試してみたかった、というのは内緒です。

 周囲に風の刃を竜巻のように纏いつつ、突撃する武技であったのだ。

 評価するにはもう少し使ってみないといけないだろう。


 まあ、いいか。

 町を魔人の支配から解放出来たのは上々だろう。

 場当たり的な行動ではあったけど、結果的には良かったのかな?



 スコーチのステータス値で既に上昇しているのは知力値でした。

 もう1点のステータスアップは精神力を指定しましょう。



 スコーチ ミネルヴァオウルLv46→Lv47(↑1)

 器用値 42

 敏捷値 95

 知力値 57(↑1)

 筋力値 57

 生命力 57

 精神力 42(↑1)


 スキル

 嘴撃 無音飛翔 回避 遠視 広域探査 夜目

 透視 反響定位 空中機動 監視 看破 強襲

 隠蔽 追跡 気配遮断 危険予知 天啓 睡眠

 混乱 自己回復[小] 物理抵抗[小] 魔法抵抗[中]

 MP回復増加[小] 耐混乱 耐即死 耐魅了 耐睡眠



《N4E19のエリアポータル、サニアの町を奪還しました!》

《ボーナスポイントに2点、エクストラ評価で2点が加点され、ボーナスポイントは合計37点になりました!》


 イベント扱いなのかどうか分からないけどね。

 ボーナスポイントが得られたみたいだ。

 要するにここで一区切りって事?



『地上を逃げた魔人もいたそうですけど、追撃しますか?』


「今はいい。一旦、サニアの町に戻ろう」


 地上を逃げた連中をどうするか?

 匂いを辿れるならそうしてもいいけど、テレポートなりで跳ばれていたら困る。

 放っておこう。

 それよりもサニアの町が奪還されてしまった事を名前持ちの魔人に告げるがいい!

 魔神であれば尚良し。

 待ち構えて迎撃、出来ないかな?


 いかんいかん!

 消極的過ぎる。

 こっちから攻め込んで行く姿勢の方がいい。

 状況を整理したら索敵、狩りをしてみてもいいだろう。

 きっとまだ、魔人の戦力がいる筈。

 そこに期待したい。






 町の中は騒然としていた。

 住人にも怪我人がいるようであるけど、悲壮感は無い。

 むしろ弛緩した雰囲気すらある。

 だが。

 広場の一角だけはそうではないみたいです。

 町の住人が殺気立っているのが分かる。



「何です、あれ?」


「この町に残っていた法騎士とその従者、みたい!」


「町の住民が暴力を振るっているの。本当は止めたいんだけどね」


「あれを止めるのは危険!」


「魔人をこの町に引き込んだ張本人らしいわ」


 成程。

 レイナとフィーナさんは顔を顰めるけどね。

 住民の気持ちを考慮すると、止めるのは危険だろう。

 法騎士と従者は元の姿が想像出来ない有様だ。

 【識別】も効かない。

 ああはなりたくないものだ。



「突発的だったけど、どうにかなったわね」


「援軍、早かったですね」


「探索チームがこの町に迫っていたのよ。マーカーになってくれたわ」


「テレポートで跳べたのは幸運!」


 それにしても凄いな。

 この戦力糾合の手際は真似出来ない。

 人脈の勝利、と言える。



「これから、どうします?」


「まだこの町はエリアポータルとして機能してないわ。復旧の為に当分駐留したいわね」


 そこはお任せしたい所だ。

 いつの間にか来ていたアデル達を見る。

 追撃、行ってみるか?



「そろそろお昼になっちゃいますね」


「時間の制約もあるか」


「出来ればこの町の周囲の掃討もしておきたいわね。魔物が出入り出来ちゃう訳だし」


 仕方ない。

 昼食を摂り終えたら周辺の警戒ついでに掃討って事になるのだろう。



「臨時で炊き出し、やるよ!」


「オッケ!手伝う!」


「じゃあ交代でログアウトしましょうか」


 ミオ、アデル、イリーナも当面、やる事があっていいな。

 ところで、ミオはオレの依頼も進めているのかな?

 そこだけは気になったけど口に出せませんでした。

 だってホラ、小心者だし。


 当然だけど他の面々もインスタント・ポータルを使ってログアウトするみたいだ。

 オレはどうする?

 装備の修復をしておこうか。

 やるべき事はその程度だ。

 結構、時間が余りそうな予感がします。

 何をして過ごせばいいんだろう?

 ここの雰囲気で対戦、というのもやり辛い。


 まあ、たまにはゆっくりしてていいだろう。

 町の中を見て回るのもいい。

 住民と一緒に法騎士に投石してもいいのだ。


 いや、待て。

 反撃して来ない相手に酷い事をするのは止めておこうか。

 趣味じゃないのです。






 装備の修復を終えて、町の防壁の上を移動しつつ町の中と外を見て回る。

 町の被害は相当なものだ。

 復興にはかなりの時間を要するだろうな。

 だが、王城跡地よりもかなりマシだ。

 あっちは跡形も無く吹き飛んでいるし。


 町の外にも激戦の跡はまだ残っている。

 魔物の死体は無いけど、地形の変化はあるからだ。

 焼け焦げた樹木もあって生々しい。


 仮想ウィンドウではエルニドの見ている風景も表示してある。

 周囲に敵影は無い。

 センス・マジックに切り替えても同様だ。

 やはり問題はサニアの町がエリアポータルとして機能していない事か。

 ここに戦力を常駐させた方がいい、というのはそうなのだろう。

 でもね。

 行動の制約があると困るのです。


 そこはそれ、他の誰かにお任せしたい。

 そう護国谷のドラゴンとか。

 そうでなきゃ町の住人に自衛して欲しいものだが。



「いたぞ!」


「コンティの犬だ!追え!」


 どうやら町中でも狩りが行われているようだ。

 この町は敵国と思われるコンティ家の支配下にあった筈。

 それが魔人を引き込んだとなれば離反するのも道理だ。

 そして町の中を逃げ回っているであろう獲物を横取りしてはいけません。


 相手の立場になって、考えよう。

 横取りされたら怒るよね?

 やってはいけない。

 例え逃げ惑う奴を見付けたとしてもだ。



「防壁側にいるぞ!」


 大声で叫んでおく。

 どうやら逃げていたのはバトルマスター、法騎士の従者であるようだ。

 足を止め、こっちを見上げているけど手を振って応えておく。

 しっかり、逃げて欲しい。

 捕まったら死が待っているだろう。


 怒りの住人の戦列が眼下の路地に溢れるかのようだ!

 そのバトルマスターは人の波に埋もれてしまい、すぐに見えなくなってしまう。

 南無。

 成仏してくれよ?





 広場に戻るといい匂いが充満していた。

 生産職の面々は資材を確認していたりして、既に拠点としての補修に向け準備を進めていた。

 攻略組もいる。

 思ったより人数が少なく感じるけど、早くも町の周辺で掃討を始めているのかな?

 遅れてなるか。

 強敵がまだまだ残っている可能性はある。

 捕捉して撃滅すべし!



「どうぞ」


「ああ、ありがとう」


 イリーナから受け取った丼には山のように盛られた焼肉に野菜炒め。

 ご飯が発掘しなければ見えない量だ。

 基本は焼肉丼か。

 申し分ない。



「攻略組、少なくないですかね?」


「ええ。既に周辺の警戒に出ているパーティもいるみたいよ?」


 やっぱりか。

 攻略組で見知っている面々は例の戦隊チームだけだ。



「私達も参加、ですよね?」


「ああ。でも攻略組がいる。競争になるなあ」


 イリーナは苦笑するだけだが、オレの意図は分かっているだろう。

 攻略組とは別行動で何かを仕掛ける。

 オレとしてはそっちの方が好ましいのだ。



「高度を取って偵察しますか?」


「まあ、最初はそうだな」


「残り時間の制約もありますけど」


「可能な範囲でいいさ」


 魔人が逃げた痕跡を追うとなれば匂いを辿るのが確実だろう。

 でも、迂遠だ。

 一気に北東方面へ空中を移動、探索範囲を拡げよう。

 狙い目は当然、アラバスタードラゴン。

 姿を消して移動しているのだろうけど、どこかで姿を現している可能性はある。

 そこに賭けよう。




 布陣は?

 スコーチを帰還させノワールを召喚しました。

 ヘザー、蒼月、折威、ノワール、エルニドとなる。

 オレの布陣にはドラゴン組はいない。

 機動力を優先すべきであるのだし、これでいいのだ。


 アデル達もオレの意図を汲んだのか、機動力を優先する布陣となっているようだ。

 グレータードラゴンはいない。

 午前中の戦闘でブレス攻撃を使い果たしているのだから仕方ない。

 キムクイガーディアン・スレイブの肉をゆっくり喰えていたら少しは違っていただろうけどね。

 そんな余裕は無かったのだ。



「ログアウト予定の時間は?」


『私達は午後2時半!』


『僕等は午後3時目処ですね』


『同じく!』


「了解だ。少し、急ぐぞ!」


 蒼月を駆り、一気に空中を舞う。

 アデル達も続く。

 さて、限られた時間で戦果があるかな?

 あって欲しいものだ。






『キースさん!【英霊召喚】なら行けます!』


「もう少し、待て!」


 地上に姿を現していたアラバスタードラゴン2体は見えていた。

 追従する悪魔達もです。

 魔人もいたけど、その数は少なかった。

 いい感じの苦戦が出来ると思えたものです。


 奇襲で先制、主導権を握り続けるのは比較的簡単と思ったんだが。

 見通しが甘かったようです。

 援軍がいたのだ!

 共工の影と相柳です。

 魔人との組み合わせは初かな?



「ストーム・アタック!」


 相柳は確かに邪魔であり、仕留めるのは手間だ。

 でも時間さえ掛けたら仕留められるのも間違いない。

 主力は飽くまでも共工の影にアラバスタードラゴン2体。

 相柳達は今の突撃で何体かが一気に吹き飛んだ!


 この【馬上槍】の武技、ストーム・アタックはいいな。

 ようやく特性が把握出来たと思う。

 貫通力ならマキシマム・チャージに分がある。

 だが攻撃範囲の広さはストーム・アタックが遥かに上であるようだ。

 どうやら群れに対して突撃を敢行するのに向くようです。


 最も必要となるのは突っ込む勇気、そこは共通している。

 つまり使い勝手はこれまでと変わっていないって事だ!



「魔人は?」


『今、全滅しました!』


「アラバスターの牽制を!無理はするなよ?」


『ハイッ!』


 イリーナが何か言い掛けたように思えたが気にしない。

 無理をするような役目は召喚モンスター達に任せておけばいい。

 本来ならそこで終わる話だ。

 でもオレはそうじゃない。

 自ら突っ込んでます。

 そんなオレに無理をするなって言われたくないだろうな。



((((((((八部封印!))))))))

(((((((九曜封印!)))))))

(((((((イビル・アイ!)))))))

(ミラーリング!)


 共工の影を封じつつ高度を下げて行く。

 蒼月の狙いは明白、鉄の棺桶を突破しようとしているアラバスタードラゴンだ!

 両翼に雷撃の槍が生じ、撃ち込むタイミングを待っている。

 その点はオレも同様だ。

 腰溜めに双角猛蛇神の騎士槍を構える。

 鉄の棺桶が周囲に弾け飛ぶように破壊され、アラバスタードラゴンが出現する!


 では。

 行け!



「マキシマム・チャージ!」


 これは挑戦だ。

 アラバスタードラゴン、しかもレベル高めの相手の胴体を貫通出来るか?

 自信なんて無い。

 無いけど試したくなるのが漢なのである!



「ッ?」


 手に確かな感触!

 だが体に感じる圧迫感の正体は?

 アラバスタードラゴンの肉であろう。

 ダメでしたか。

 でも以前よりもより深く、侵入出来たかも?



(((((エナジードレイン!)))))

(((((ディメンション・ソード!)))))

((((パルスレーザー・バースト!))))

((((フォースド・ドライング!))))

((((ディクレイ・ヒート!))))

(ミラーリング!)


 ついでに攻撃をしておく。

 この手順も定番化してます!



(ショート・ジャンプ!)


 肉の中から脱出、周囲を確認する。

 今はアラバスタードラゴンを仕留める事に集中したい。

 共工の影と相柳は制空権を確保してみた所で大苦戦する相手なのも確かだ。

 それでも主導権を握り続ける事には意味がある。

 【英霊召喚】を使わずに戦って勝っている実績があるからだ!


 アラバスタードラゴンにヘザーが突撃、折威とノワールがその支援に回っている。

 エルニドは遠距離からの攻撃に終始している筈だ。

 祝福がある。

 ステータス異常があっても軽度であるなら回復は可能だ。

 戦闘を継続するのに大きな支えになるだろう。

 オレと蒼月、そしてヘザーも思いっ切り突撃出来ている理由でもある。



((((((((((((((((((((((ケラウノス・ジャベリン!))))))))))))))))))))))

(ミラーリング!)


 追撃を加える。

 距離があるのに肉が焦げる臭いが鼻を衝く。

 もう一撃、要るかな?



「マキシマム・チャージ!」


 偶然だったと思うが、腹部を直撃した!

 さっきと同じ箇所だ。

 今度はそう長い助走距離が無かったけど、貫通する!

 半分だけ、野望を達成したような気がした。



『アラバスター沈みました!残り1体!』


『残存数確認!共工が1体!相柳は4体!』


「アラバスターを狙う!距離を置いて相柳から削れ!」


『『『了解!』』』


 ゼータくんと共に駿河と野々村も距離を詰めつつ戦い始めていた。

 ジリジリとだが戦況はこちらへと有利に傾きつつある。

 問題は、時間だ。

 相柳はそう大きな脅威ではないけど、時間泥棒な奴だ。

 沈んでも復活するからな。


 共工の影と組まれたら面倒です。

 でもそこがいい。

 その連携を崩す手はある。

 こっちの連携だって中々のものがあるんですよ?


 おっと、急がないと!

 アラバスタードラゴンは火の精霊、フェニックスと化したホーライを相手にして貰っている。

 放っておくと仕留められちゃうかも?

 それは避けたいものだ。







《只今の戦闘勝利で【封印術】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【魔法効果拡大】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【魔法範囲拡大】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『ヘザー』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



『どうにか、勝てましたね』


『危なっ!』


 今回の邪結晶も一際大きかった。

 砕け散るのはこれまでと同様か。

 砕け散る邪結晶だけど、どうやら魔物の強さに比例しているものと思える。

 そうであるなら得心出来ます。


 だがこれは問題だ。

 こんなのを相手に連戦とか、時間が掛かり過ぎる!

 アデル達の予定時間を考慮すると、そろそろユニオンは解消すべきだろう。

 惜しいけどね。


 仮にオレだけで相手をするならどうだろう?

 勝てる、という確信は無い。

 使える切り札も無い。

 そう思うと、体が震えてしまった。


 そうか。

 挑み甲斐がある、よね?

 そう思ってしまいました。

 ならば継続だ。

 そう、決めました!



 ヘザーのステータス値で既に上昇しているのは知力値でした。

 もう1点のステータスアップは敏捷値を指定しましょう。



 ヘザー オーディンガードLv46→Lv47(↑1)

 器用値 40

 敏捷値 72(↑1)

 知力値 72(↑1)

 筋力値 40

 生命力 40

 精神力 72


 スキル

 剣 馬上槍 弓 小盾 受け 飛翔 心眼 降神

 霊能 浮揚 空中機動 自己回復[中] 物理抵抗[中]

 魔法抵抗[大] MP回復増加[中] 時空属性 光属性

 闇属性 風属性 土属性 水属性 雷属性 氷属性

 耐麻痺 耐混乱



『時間、どうする?』


『もうちょっと、続けたいなー』


「今の戦闘みたいなのが続くと酷だろう。無理はしない方がいい」


 またしてもイリーナが何かを言いたげだったけど無視だ。

 此花も、そしてゼータくんまでも同じ表情だったけど気にしない。

 無理、無茶、無駄は嫌いだ。

 嫌いだけど、困難に挑むのは大好きだ。

 大いなる矛盾。

 でも人間は少なからず、矛盾を抱えているのだと思うのです。



『ここで失礼しましょ?』


『仕方ないかー』


「明日もあるさ」


 そう明日がある。

 お楽しみはまだまだ続く。

 そこには半ば以上、確信があるのでした。




 アデル達が全員、テレポートで跳んでしまった訳だが。

 ここからが本番だ。

 まだまだ、探索を続けてみよう。

 時刻は午後1時50分。

 場所はN4E19マップの北東、まだ未確認の領域も残っている。

 高度を取るか?

 いいえ、低空飛行で挑もう。


 これは明確な挑発だ。

 挑発に乗ってくれるかどうかは分からない。

 それでも戦闘にならない事の方が遥かに怖い。

 そう、退屈程に恐ろしいものは無いのだ!


主人公 キース


種族 人間 男 種族Lv139

職業 サモンメンターLv28(召喚魔法導師)

ボーナスポイント残 37


セットスキル

小剣Lv103 剣Lv101 両手剣Lv105 両手槍Lv112

馬上槍Lv116(↑1)棍棒Lv101 重棍Lv101 小刀Lv102

刀Lv101 大刀Lv104 手斧Lv95 両手斧Lv90

刺突剣Lv101 捕縄術Lv112 投槍Lv116(↑1)

ポールウェポンLv116

杖Lv119 打撃Lv130 蹴りLv130 関節技Lv129

投げ技Lv129 回避Lv136 受けLv136

召喚魔法Lv139 時空魔法Lv125 封印術Lv125(↑1)

光魔法Lv123(↑1)風魔法Lv123 土魔法Lv123(↑1)

水魔法Lv123 火魔法Lv123 闇魔法Lv123

氷魔法Lv123 雷魔法Lv123 木魔法Lv123(↑1)

塵魔法Lv123 溶魔法Lv123 灼魔法Lv123(↑1)

英霊召喚Lv6 禁呪Lv125(↑1)

錬金術Lv112 薬師Lv33 ガラス工Lv33 木工Lv67

連携Lv100e 鑑定Lv104 識別Lv115 看破Lv100e

耐寒Lv80e

掴みLv80e 馬術Lv116(↑1)精密操作Lv80e

ロープワークLv100e 跳躍Lv50e 軽業Lv50e

耐暑Lv80e 登攀Lv60e 平衡Lv100e

二刀流Lv100e 解体Lv103 水泳Lv75 潜水Lv80e

投擲Lv50e

ダッシュLv60e 耐久走Lv60e 追跡Lv100e 隠蔽Lv100e

気配察知Lv100e 気配遮断Lv100e 暗殺術Lv60e

身体強化Lv60e 精神強化Lv60e 高速詠唱Lv50e

無音詠唱Lv60e 詠唱破棄Lv60e 武技強化Lv113

魔法効果拡大Lv113(↑1)魔法範囲拡大Lv113(↑1)

呪文融合Lv113(↑1)

耐石化Lv80e 耐睡眠Lv80e 耐麻痺Lv80e 耐混乱Lv80e

耐暗闇Lv80e 耐気絶Lv80e 耐魅了Lv80e 耐毒Lv80e

耐沈黙Lv80e 耐即死Lv80e 全耐性Lv58

獣魔化Lv37


召喚モンスター

ナインテイル 白狐Lv46→Lv47(↑1)

 器用値 36(↑1)(-29)

 敏捷値 85(↑1)(-68)

 知力値 78(-62)

 筋力値 35(-28)

 生命力 35(-28)

 精神力 78(-62)

 スキル

 噛付き 回避 天駆 空中機動 天啓 霊能 霊撃

 夜目 MP回復増加[大] 魔法抵抗[大] 物理抵抗[小]

 自己回復[小] 時空属性 光属性 闇属性 風属性

 水属性 土属性 氷属性 木属性 耐即死 耐混乱

 耐魅了 陽炎


ヘザー オーディンガードLv46→Lv47(↑1)

 器用値 40

 敏捷値 72(↑1)

 知力値 72(↑1)

 筋力値 40

 生命力 40

 精神力 72

 スキル

 剣 馬上槍 弓 小盾 受け 飛翔 心眼 降神

 霊能 浮揚 空中機動 自己回復[中] 物理抵抗[中]

 魔法抵抗[大] MP回復増加[中] 時空属性 光属性

 闇属性 風属性 土属性 水属性 雷属性 氷属性

 耐麻痺 耐混乱


言祝 アークデーモンLv46→Lv47(↑1)

 器用値 36(-29)

 敏捷値 78(-62)

 知力値 78(-62)

 筋力値 36(↑1)(-29)

 生命力 36(-29)

 精神力 78(↑1)(-62)

 スキル

 刺突剣 槌 小盾 爪撃 飛翔 浮揚 回避 呪詛

 堕天 反響定位 空中機動 魔力遮断 自己回復[小]

 物理抵抗[小] 魔法抵抗[極大] MP回復増加[大]

 変化 時空属性 光属性 闇属性 火属性 風属性

 土属性 水属性 塵属性 氷属性 呪眼 耐即死

 耐魅了


スコーチ ミネルヴァオウルLv46→Lv47(↑1)

 器用値 42

 敏捷値 95

 知力値 57(↑1)

 筋力値 57

 生命力 57

 精神力 42(↑1)

 スキル

 嘴撃 無音飛翔 回避 遠視 広域探査 夜目

 透視 反響定位 空中機動 監視 看破 強襲

 隠蔽 追跡 気配遮断 危険予知 天啓 睡眠

 混乱 自己回復[小] 物理抵抗[小] 魔法抵抗[中]

 MP回復増加[小] 耐混乱 耐即死 耐魅了 耐睡眠


アリョーシャ グリフォンロードLv46→Lv47(↑1)

 器用値 36(-29)

 敏捷値 85(↑1)(-68)

 知力値 35(-28)

 筋力値 66(-53)

 生命力 66(-53)

 精神力 36(↑1)(-29)

 スキル

 嘴撃 爪撃 体当たり 飛翔 回避 掘削 空中機動

 遠視 広域探査 夜目 威嚇 強襲 隠蔽 危険察知

 気配遮断 騎乗者回復[小] 自己回復[中] 物理抵抗[中]

 魔法抵抗[小] MP回復増加[微] ブレス 時空属性

 光属性 闇属性 火属性 土属性 風属性 毒耐性

 耐麻痺


召魔の森 ポータルガード

ジェリコ、ティグリス、クーチュリエ、獅子吼、極夜、モジュラス

雷文、清姫、守屋、シリウス、スーラジ、久重、テフラ、岩鉄

ジンバル、虎斑、蝶丸、網代、スパーク、クラック、オーロ

プラータ、イソシアネート、タペタム、風花


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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公が本当に社会人か?てくらい報連相をしない これは作者が未成年だからか?
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