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 テレポートで跳んだ先はレムトの町だ。

 久々に来て見たんだが、もうこれって都市と表現すべき?

 最外郭の城壁はまだまだ完成は先になりそうだけど、建築中。

 その内側にも新たな建屋が建設中であるようだ。

 レムトの町も徐々に拡大している。

 そして人も増えているのは確実だろう。


 周囲にはまだゲームを始めたばかりのプレイヤーを多く見掛ける。

 たまにだけどPK職もいたりして、少し緊張するけどね。

 基本スルーだ。

 PK職はPKK職の獲物でもあるのです。

 横取りはいけません。


 おっと。

 冒険者ギルドに急ごう。

 ゲルタ婆様はどこにいるのかな?

 まずはそこから聞き出さないといけません。



「おや、キースさん」


「ちょっと聞きたい事があるんですが」


「こちらへ。お話の続きは別室でしましょうか」


 窓口の中年の職員さんに顔を覚えられていたか。

 それよりも別室って何故?

 少々、不審に思えるが付いて行く事にしましょう。




「ここです」


「はあ」


 その部屋はギルド長の応接室でした。

 執務室でもある。

 質素でありながら立派な机の上に羊皮紙が積まれていた。

 肝心のギルド長は何やら書類を読んでいるように見えるけどね。

 管理職に書類仕事は不可避だ。

 これはどの世界でも共通のようです。



「おお、久しいの」


「ども」


 久しい、と言われる程でもないと思うけどね。

 闘技大会で会っているのであるし。



「最近、オレニューには会っておるかな?」


「いえ。あちこちを飛び回っていましたので」


「そうか。今は護国谷とターニャの砦を行き来しておる。本当はあ奴に頼みたかったんじゃがの」


 えっと。

 何でしょうね?

 嫌な予感しかしません。



「ターニャの砦に行ってくれんかな。ジュナ様だけでは手が足りんのでな」


「ゲルタお婆様ではダメですか?」


「アレも今は手が離せん。ポーションもマナポーションも足りんのではな」


 ああ、やっぱり。

 そういう展開になってますか。

 そしてオレとしてはそのゲルタ婆様に用事があるんですけど。



「そっちの手伝いも出来ます」


「む?それも助かる事は助かるんじゃが」


「以前からの約束があるんです。素材が欲しくば対価は労働で、だそうです」


「うーむ」


 少々、ギルド長が渋い顔になってしまいました。

 何か、問題でも?



「お主に任せてアレがこっちに来るのではなかろうな?」


「それはどうでしょう?」


「お主はまだアレの怖さを知らん!オレニューも逃げ回りジュナ様も扱いに苦慮するような奴じゃぞ?」


「でも色々と手を尽くしているようにも見えますね」


 そうなのだ。

 色々と扱いに困ったお婆ちゃんだけど、冷静に見れば実に助かっていると言える。

 苦労を厭わない姿勢は高く評価していい、と思うのだ。

 その姿勢を周囲にも求める所が嫌がられているんだと思います。



「うむ。アレを手伝うというお主は奇特じゃとは思うがな。それもいいじゃろ」


「はい。今、どこに?」


「この町にはおらん。今はターニャの砦に行っておる筈じゃ」


 何だ。

 行き先が同じじゃないの!



「分かりました、行ってみます」


「手助けするのも程々に頼む。余裕が出来たらこっちに怒鳴り込んで来るやもしれん」


「まさか」


 だが。

 ギルド長の様子は真剣だ。

 あの、まさかそれを怖がっているだけですか?



「ま、それはいいとして。オレニューにもジュナ様にも会っておくがいい」


「はい」


 ターニャの砦か。

 師匠も護国谷とターニャの砦の間を飛び回っているみたいだ。

 会えるかな?

 ジュナさんはサビーネ女王の護衛役として固定になっている筈。

 これも女王陛下がターニャの砦から動いていなければ会う事になるだろう。


 では、跳ぶか。

 今日のお手伝いでマジックマッシュルームは入手出来るだろうか?

 ある意味で狩りよりも緊張する。

 戦う訳じゃないけど、相手が相手だ。

 ゲルタ婆様か。

 やっぱり、苦手だ。




 テレポートで跳んだ先はN2E14マップのエリアポータル、ターニャの砦だ。

 ここも久々になるのかな?



『ほう、久しいな』


「ども、ご無沙汰してます」


 門衛代わりであるのか、森の中に溶け込むようにブロンズドラゴンがいる。

 その隣に水晶竜。

 彼等の威容も相変わらずだ。

 他にもブラックドラゴンとフォレストドラゴンもいた。

 彼等も森の中に埋まるような形になっていて目立っていません。

 蔦を全身に纏って偽装しているらしい。

 これならギリースーツも要らないだろう。


 周囲を行き来するプレイヤーにNPCも多い。

 ドラゴニュートが門を通過する度に丁寧に礼をして敬意を示しているのが目立つ。

 彼等にとっては崇拝の対象だから仕方ないけど、時間を掛け過ぎじゃないですかね?



「お役目、お疲れ様です」


『うむ、退屈であるがな』


『そう言うな。いずれ我等にも戦う機会はあるだろうよ』


 ブロンズドラゴンが苦笑しつつ水晶竜を慰めているようです。

 まあ、そうだよな。

 水晶竜にしてみたらサビーネ女王の護衛役から解放される事は無い。

 そしてサビーネ女王の近くでしか戦う事は出来ないのだ。

 自然、退屈な時間を過ごす事になっているのだろう。



「お暇ですか?」


『暇であるな。体を動かしたくて堪らん!』


『こう見えて近くに寄って来ている魔竜を狩っているのだがな』


『あれでは物足りん!しかも最近は戦う機会も減っておる!』


 そうですか。

 そうでしょうね。

 最前線が北東側に移動し、その内側は掃討が進んでいる。

 そうなるのも道理だ。



「最前線に行けたらいいですね」


『うむ。汝からもサビーネ女王に上奏してくれんかな?最前線に行ってくれるようにだ』


『護衛である事を忘れてはいかんぞ?』


 今度は窘められてしまう水晶竜。

 まあね。

 護衛ですからね。


 どうにか笑いを噛み殺してその場を辞去する。

 水晶竜と相方のブロンズドラゴンがいる時点でサビーネ女王は確実にここにいる。

 そしてジュナさんもいるだろう。

 色々と情報も得られるかも知れません。





「おお、キース殿」


「ども」


 広場の周囲はNPCだらけだ。

 規模こそそう大きくないけど、広場は広場、これだけの数がいると圧巻だ。

 整列している面々は皆、若い男達。

 教官役は竜騎士プリムラか。

 調練中であったようです。



「ジュナさんはいますか?」 


「ええ。来客中ですが」


「来客?」


 プリムラの視線が広場の一角を見ていた。

 そこにいたのは、白馬が3頭。

 でも黄色のマーカーを見たら分かる。

 ペガサスだ!

 いや、どうやら1頭、モノペガサスが混じっているようです。



「ペガサスを騎乗馬に?」


「ええ。それも召喚モンスターではありません」


「ほう」


「天馬騎士の騎乗馬なのです」


 天馬騎士?

 そんな存在もいたのですか。

 だがそんな存在がここに来ている事が奇異に感じられる。

 何の用件だろう。



「まさか、敵ではないでしょうね?」


「いえ。どちらかと言えばベルジック家とコンティ家の間の仲裁でしょうな」


 仲裁、ねえ。

 法騎士の連中は魔神と帯同して何かしているのはもう明白だ。

 仲裁も何も、お互いになあなあで済む話じゃないと思うのですけど。



「じゃあ少し待ってみますか」


「キース殿であれば大丈夫かと思いますが」


「邪魔してもいけませんからね。ところでゲルタお婆様は?」


「来客との話し合いに出ておられたかと。ジュナ様もですが」


 あちゃ。

 じゃあ待つしか無いな。

 でも待っている時間が勿体無い。



「ちょっと場所をお借りしても?」


「あの、対戦ですか?」


「ええ、まあ」


 竜騎士プリムラの目が細くなっている。

 あ、いい傾向じゃない。

 対戦したがってる?

 調練はどうするのよ?



「是非、対戦を!」


「訓練はどうするんです?」


「何、見て学ぶ事も出来ましょう」


 うん。

 そこには同意しますけどね。

 どう見ても後付けの理由じゃないでしょうか?



「まあいいですけど」


「あ、有難い!」


 あ、読めた。

 このプリムラも水晶竜と一緒だ。

 戦いから離れているから身の置き場が無いのだろう。


 プリムラの得物は木剣。

 だが頭に直撃などしたら昏倒必至の代物だ。

 兜を装備してあっても安心出来ない。

 オレはどうする?

 得物はやはり木剣にした。

 但し両手剣サイズだけど。

 それでもプリムラが手にしている剣よりも間合いは短い。


 対戦か。

 周囲に観衆が多いのも闘技大会で慣れているし今更だけどね。

 観戦して見本になるような対戦に、果たしてなるかどうか。

 相手は女性だけど体格はオレを大きく上回る。

 まともに剣の撃ち合いだけで勝てるとは限らないのだ。





「何事か!」


「こ、これはラーフェン様」


 対戦に熱中し過ぎたかね?

 竜騎士ラーフェンに見付かってしまった。

 まあ普通なら怒られるような事じゃない、と思うけどね。

 来客の前であるならば控えるべきであっただろう。



 天馬騎士 アントン Lv.18

 ペガサスナイト 待機中

 ???



 天馬騎士 ヤーノシュ Lv.13

 ペガサスガード 待機中

 ???



 天馬騎士 バルバラ Lv.12

 ペガサスガード 待機中

 ???



 竜騎士ラーフェンの後方に客人がいた。

 天馬騎士。

 竜騎士以上の軽装、得物は腰に短剣があるだけだ。



「これはお見苦しい所を」


「いえ。両者共に見事な力量、感服致しました」


 社交辞令はいい。

 そっちの力量はどうなんだ?

 何だったらここで対戦したっていい。

 でも天馬騎士バルバラはダメかな?

 オレよりも小さな体格の女性だし。

 竜騎士プリムラは別格だからいいのです。



「それでは我等はここで。女王陛下から色良い御返事を期待致します」


 各々の天馬騎士の様子に敵意は感じない。

 天馬騎士バルバラは驚愕の視線を竜騎士プリムラに向けているようだが。

 どこか紅潮しているように見えるのは気のせいかね?


 それはそれとして。

 彼等はそれぞれ、己の騎乗馬の手綱を取り騎乗せずに砦を出て行くようだ。

 唯一のペガサスナイト、アントンがモノペガサスを連れている。

 やっぱりそうなるか。

 この天馬騎士、対戦したら中々面白そうだ。

 壮年で細身であるように見えるけど騙されてはいけない。

 革鎧の上からでも分かる。

 首元からか肩、腕にかけての筋肉のボリュームは尋常じゃない。


 背の高さなら天馬騎士ヤーノシュが上だけどね。

 こっちはまだまだ、鍛え足りていない雰囲気が残っている。

 そして天馬騎士バルバラも同様であった。



「キース殿、今の御三方をどう見ますかな?」


「対戦してみたいのが1名、いますね」


「やはり、そうなりますか」


 竜騎士ラーフェンの表情もどこか厳しい。

 どうも雰囲気的にいい話だったように思えないのだが。



「仲裁と聞きましたが?」


「ええ。ですが女王陛下には停戦の意思は皆無です。魔人とその戦力が法騎士と連携しているのは明らかですからな」


「でしょうねえ」


 やはり仲裁の余地は無いか。

 ま、そうなるよね?



「その上、コンティ家からフレデリク王子を陛下の王配になどと!」


「人質に差し出すって意味ですかね?」


「まさか。それに陛下の意思は魔人の掃討が最優先、その魔人と通じておるような家と縁を結ぶなど!」


 ありゃ。

 結構、怒りが溜まっていたもんどえあるらしい。

 普段から冷静沈着な竜騎士ラーフェンだが、こういう様子は新鮮だな。



「おっと、失礼」


「いえ」


「ではこちらへ。陛下も心強く思われる事でしょう」


 えっと、女王陛下に会う為にここに来たんじゃないけどね。

 まあいいか。

 挨拶はしておいてもいいのだろう。




「お久しゅうございます、キース様」


「陛下におかれましてもご機嫌麗しゅう」


「そうありたかったんですけどね」


 女王陛下は苦笑気味だ。

 何しろ挨拶しているオレはと言えば、ジュナさんにいきなり投げ飛ばされて抑え込まれているのだ。

 もう最初からまともに抵抗する気分ではない。



「何で無抵抗?」


「陛下の前ですよ?普通は暴れたりしていちゃいけないのでは?」


「そうなの?」


「私であれば問題ありません」


 ジュナさんがサビーネ女王を見て確認する。

 ああ!

 そんな事、言っちゃダメ!



「じゃあ、続きね!」


「ッ?」


 ここまでの攻防は?

 袈裟固め、別名おっぱい固めをどうにか抜け出したのは幸運だった。

 上四方固め、別名おっぱい窒息固めも体を捻ってどうにか回避出来た。

 背後に回り込まれないよう寝技の攻防を経た後、肩固めで抑え込まれている訳だ。

 まあどうにか、首を極められないよう肘を使って絞まるのを防いではいます。

 でも気が抜けません。

 腕を浮かしている所を狙って来る気配がする。

 次はアームロックか?

 腕拉十字固めか?



「よっと!」


「ッ!?」


 腕拉十字固めか!

 両手を組んで腕を伸ばされないように防御しつつ、上半身を引っ張り上げる。

 右足を跳ね上げ、振り下ろす勢いを借りて立ち上がったんだが。

 左足首を抱えられた?

 いかん、ヒールを狙われている。



「そりゃ!」


「ッ!?」


 ジュナさんは体を反転。

 ヒール狙いはどうやら牽制。

 右足首を払われて転がった所で左脚を抱えられているのが分かる。

 膝十字固め。

 いや本当にこの人、何者なんだ?




「ジュナ様、その辺りで止めて頂けますかの?」


「えー?今がいい所なのに!」


「キース、お主もまともに相手をするでない!女王陛下の御前じゃぞ?」


「はあ」


 いや、ゲルタ婆様の言い分が正しいのは分かる。

 でもね。

 降りかかる火の粉は払わねば!

 お互いに腰を落として組み合おうとしている所で水入りとなったみたいです。

 それにオレは防御に徹していただけだ。

 そういう展開だったのです。



「で、キースよ。お主がここに何の用件も無しに来た訳ではあるまい」


「はい。実は例の素材が足りなくなってまして」


「例の、素材?」


「ええ。マナポーションのです」


 ゲルタ婆様の表情が激変する。

 笑顔だ。

 獲物を見付けた、猛獣の笑みだ!

 戦慄するしかない。

 どこまでコキ使われる事になるんだろうか?






「ここが臨時の作業場でな」


「広いですね」


「だが人員が多い訳ではない。分かるな?」


 女王陛下との挨拶もそこそこに連行されてしまいました。

 そこは結構な広さのある部屋だ。

 NPCであろう薬師と錬金術師は各々5名。

 それでも作業場は半分以上、余らせている。



「ジュナ様にも手伝って頂いておるがな。陛下の傍を離れていられる時間は限られてしまうのでな」


「師匠は?」


「たまに作らせておるが量は少ない。別の役目もあるし無理をさせられん」


「成程」


「慣れない場所に慣れない道具かもじゃが手伝うかの?個人的な依頼にしても良い」


「量は?」


「素材はそこにある。全部、マナポーションに、品質は揃えて貰おう。出来上がった代物はこの《アイテム・ボックス》に入れておけ」


「報酬は?」


「ま、出来次第じゃな」



《個人指名依頼が入りました。依頼を受けますか?》


 素材であるマジックマッシュルームが入っているであろう麻袋は2つか。

 そして出来上がったマナポーションは革鞄状の《アイテム・ボックス》に入れる形になるのか。

 ちょっと量が多いか?

 でもここは悩みません。

 報酬はオレの腕次第。

 それならそれで挑み甲斐がある。



「受けましょう」


《個人指名依頼を受けました!麻袋の素材分のマナポーションを納品して下さい》


 さて、やるか。

 そう思ったけど何かが足りない。

 そう、肝心の瓶はどこだ?



「あの、瓶は?」


「この部屋の隣がガラス工房になっておる。自前で何とかするのじゃ」


「は?」


 いかん。

 これは嵌められたか?



「まあ良く鍛えておるようじゃがな。こっちはどうなのか、見極めさせて貰おうかの」


 そう言うゲルタ婆様の肩にはエルニドが止まっている。

 エルニドは鸞だ。

 師匠、ジュナさん、ゲルタ婆様が召喚した所は見た事が無い。



「召喚モンスターに手伝わせるのはいいですか?」


「いいとも」


 そう言えばゲルタ婆様は召喚モンスターを連れていない。

 レプリカントであればジュナさんなりゲルタ婆様なりの姿を写し取らせて色々と出来るだろうに。


 あ、そうだ。

 オレもそうしよう!

 ヴォルフ、黒曜、エルニドはここで帰還だ。

 ナイアス、待宵、キレートを召喚しましょう。

 これにオーロとプラータが加わる形だ。

 待宵にはオレの姿を写し取らせたらいい。

 マジックマッシュルームからマナポーションを作成するまで、前準備もある。

 液を瓶に注ぐ作業だって軽くは無い。

 単純作業の連続というのは苦行であるのだ。

 その点、オーロやプラータのような存在は有難い。


 オレはどうするか?

 先に瓶の作成を優先しよう。

 素材さえあれば短縮再現で量産が出来る。

 さっさと次の工程に進めてしまいたいのでした。








《これまでの行動経験で【錬金術】がレベルアップしました!》

《これまでの行動経験で【ガラス工】がレベルアップしました!》


 ガラス瓶の数は?

 オレに割り当てられた机の上に一杯になるまで、量産したと思う。

 そう、これは量産であるのだ。

 瓶の場合はそう品質に気を使わなくていい。

 それでも品質Cに9割以上が入っている筈だ。


 窯を前にして作業を続けるガラス工の面々を尻目に作業場へ戻る。

 オレは加減というものを知らなかったようだ。

 瓶が机の上に隙間無く並んでいる!


 では全部、マナポーションにしてしまおう。

 これで麻袋1つ分にもならないのは承知している。

 でも、やる!

 やらずにどうする?






《これまでの行動経験で【錬金術】がレベルアップしました!》

《これまでの行動経験で【薬師】がレベルアップしました!》


 時刻は?

 午後2時20分になったみたいだ。

 昼食は簡単におにぎりをナイアスに作って貰い、さっさと済ませている。


 瓶の作製とマナポーション液の作製を繰り返した訳だ。

 瓶に液を注ぐ作業は全部、召喚モンスター達にお任せしました。

 それだけに作業効率は良かったと思う。

 今も召喚モンスター達が手分けして最後に作製した液を瓶に注いでいる。

 まだ作業は済んでいません。

 品質を見極め、品質Cから外れたマナポーションは分けておかないといけないのだ。


 これで【錬金術】のレベルアップは2回目になる。

 そして【薬師】は一気にレベル31に急上昇!

 併せて【ガラス工】もレベル32になっているけどね。

 他のスキルが先を行き過ぎているから疑問に思えないけど、これって凄いんじゃないかな?


 課題とされていた麻袋は全部、空になっている。

 問題の歩留まり率は?

 品質Cは確実に9割以上になっていると思う。

 そこから外れている品質C+と品質C-のマナポーションは机の上に分けてある。



《これまでの行動経験で【鑑定】がレベルアップしました!》


 今回の作製ロットは全部品質Cだったようだ。

 良かった。

 本当に、良かった!


 品質Cを外れたマナポーションは50本程度かな?

 だが作製した数を思えば以前よりもいい成績なのは明白だ。

 ゲルタ婆様はどう評価するだろう?

 きっと厳しいと思う。



「ほう、終わったようじゃな」


「ええ」


 机の上には《アイテム・ボックス》となっている革鞄がある。

 ゲルタ婆様は革鞄に手を当てて目を閉じていた。

 中身を確認しているのだろう。



「ふむ。まあまあじゃな」


「そうですか」


 相手はゲルタ婆様であるのだ。

 これでも高評価とせねばなるまい。



《個人指名依頼をクリアしました!》

《ボーナスポイントに1点、エクストラ評価で1点が加点され、ボーナスポイントは合計17点になりました!》


 むう。

 これは美味しい?

 ボーナスポイントも稼げるようならもっと依頼を受けてもいいんだけどな。

 朝からこの時間まで、戦闘もせずに過ごしてしまっている。

 これではいけません!

 心と体に禁断症状ががががががががっ!



「ふむ、もう少し手伝うかね?」


「いえ。また明日、出直します」


「殊勝じゃな。まあそれもいいじゃろ」


 ゲルタ婆様は何かを考え込んでいる様子だったが、その口元に不気味な笑みが浮かんでいるのが分かる。

 分かってしまう。

 あ、これって悪事を思い付いた顔だ!



「そうじゃな。明日の朝、必ずここに来て貰おうかの」


「必ず、ですか?」


「お主の師匠がおらんのでは弟子が代行するのは当然、ちょっと手伝って貰おうか」


「マナポーション作製ですか?」


「明日になれば分かる」


 ゲルタ婆様は明言を避けたか。

 もう、意地悪!

 そう言いたいけど小心者のオレには言えません。


 仕方ない。

 明日、来ないという選択肢もあるけど後が怖い。

 顔を出しておく事にしよう。






 品質Cを外したマナポーションはそのまま貰える事になった。

 マジックマッシュルームは?

 麻袋1つ分、中身はパンパンではないけれど、8割方って所だろう。

 十分だ。

 これだけあれば当面は凌げるだろう。


 一旦、召魔の森に戻ろう。

 オーロとプラータはポータルガードに戻しておきたい。

 空瓶を置いておけば、プラータがマナポーションを作ってくれるに違いない。

 数を稼ぐには向かないがそれでいい。

 コンスタントに高い品質で作ってくれた方が有難いのだ。


 それが終わったら?

 天空マップに行こう。

 現時点ではまだエクストラ・サモニング、メタモルフォーゼ、ブーステッド・モンスターズはまだ使えない。

 でも【英霊召喚】は使えるのだ。

 マナポーションにも余裕が出来たし、いい感じで挑めると思う。


 どこに行く?

 もう決めてある。

 予想通りであればW1u2マップの中央で天使達を相手に大変な空中戦をする事になると思う。

 うん。

 挑もう。

 今日は朝からまともな狩りをやっていないのだ!




 召魔の森に到着。

 ポータルガードは全員、揃っているな?

 宜しい、すぐに入れ替えよう。

 ポータルガードから言祝と折威を外そう。

 オーロとプラータを戻しました。

 ポータルガードは?

 ジェリコ、ティグリス、クーチュリエ、獅子吼、極夜、雷文。

 バンドル、スコーチ、守屋、シリウス、スーラジ、久重、テフラ。

 岩鉄、ジンバル、虎斑、蝶丸、網代、スパーク、クラック。

 それにオーロ、プラータ、イソシアネートです。


 では、留守番を宜しく!

 オレは天空側のマップに狩りに行くぞ!

 夕方まで時間は少ない。

 急がないといけないな!



 浮き島灯台の中継ポータルに到着。

 布陣は?

 アイソトープ、ビアンカ、アリョーシャ、バイヨネット、エルニドです。

 向かう先はE1u2マップの中央だが、空中戦をせずに辿り着ける訳が無い。

 明るいうちに天使の群れに逢いたいものだ。

 出来ればE1u2マップとS1E1u2マップの境界も探索しておきたい。

 きっとそこに中継ポータルはある。

 ある筈なのだ。







《只今の戦闘勝利で【投槍】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【封印術】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【全耐性】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『エルニド』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 時刻は?

 午後4時50分だ。

 少し時間を掛けてしまったかな?


 広域マップで確認する。

 そろそろ、E1u2マップが近い。

 天使の群れが出現するとしたら、もう少しだ。

 エルニドは交代させるのはいいとして、天使の群れにどう対抗するか?

 ここは火力を一時的に上げる工夫をしましょう。



 エルニドのステータス値で既に上昇しているのは精神力でした。

 もう1点のステータスアップは器用値を指定しましょう。



 エルニド 鸞Lv42→Lv43(↑1)

 器用値 51(↑1)

 敏捷値 88

 知力値 60

 筋力値 43

 生命力 43

 精神力 51(↑1)


 スキル

 嘴撃 飛翔 水棲 回避 霊能 遠視 夜目

 広域探査 強襲 危険察知 空中機動 水中機動

 天耳 自己回復[中] 物理抵抗[小] 魔法抵抗[大]

 MP回復増加[小] 火属性 風属性 土属性

 水属性 木属性 祝福 瑞鳥変 毒耐性



 では、ここでビアンカ、バイヨネット、エルニドは帰還だ。

 黒曜、ルベル、キュアノスを召喚しましょう。

 ルベルには精霊門、キュアノスには精霊変化と共鳴がある。

 黒曜であれば祝福で軽度のステータス異常は回復させられる。

 これで行こう。


 さあ、呪文の強化を進めて先に進むぞ?

 もう覚悟は出来ている。

 天使さん、天使さん!

 そろそろ出て来ていいですよ?

 得物も亜氷雪竜の投槍から断鋼鳥のデスサイズに切り替えておこう。

 天使狩りになるかな?

 きっとそうなる。

 オレの日頃の行いはいいからな!

 きっと望みが叶うと思うのだ。





 ドミニオン ???

 天使 ??? ???

 ??? ???



 ヴァーチャー ???

 天使 討伐対象 ???

 ??? ???



 パワー ???

 天使 討伐対象 アクティブ

 ??? ???



 さあ来た!

 天使の群れだ!

 経験値だ経験値!

 当然のようにプリンシパリティ、アークエンジェル、エンジェルナイトも舞い降りて来る!

 これも既に想定済みだ。

 対抗策は?

 まずは、これだ!



「人馬一体!」「エンチャントブレーカー!」「リミッターカット!」



 基本から始めましょう。

 次は?

 もう先に使ってしまえ!



(天馬疾駆!)


 天馬を駆る英霊様が出現する。

 既に黒曜とアイソトープは天使の群れに向かっている。

 おいおい!

 オレを置いて行くんじゃないって!


 ルベルは?

 既に空中に魔法円と魔方陣を描き、精霊門を開いていた!

 真っ先に出現するのは風の精霊シルフ。

 それに合わせるかのようにキュアノスも姿を変える。

 風の上位精霊、ジンニーヤだ!

 続いて雷の精霊ライオット、時空の精霊ズーム、闇の精霊シェイド。

 少し遅れて光の精霊ウィル・オ・ウィスプ、灼の精霊ガスクラウドか

 十分な追加戦力だね!



(((((((六芒封印!)))))))

(((((((七星封印!)))))))

(((((((十王封印!)))))))

(ミラーリング!)


 支援も忘れちゃいけません。

 天使の数は?

 気にしちゃいけません。

 英霊様もいるし下位ではあるけど精霊も数多くいる。

 今は空中戦を楽しもう!

主人公 キース


種族 人間 男 種族Lv131

職業 サモンメンターLv20(召喚魔法導師)

ボーナスポイント残 17


セットスキル

小剣Lv97 剣Lv99 両手剣Lv100 両手槍Lv107

馬上槍Lv110 棍棒Lv100 重棍Lv100 小刀Lv101

刀Lv100 大刀Lv99 手斧Lv88 両手斧Lv77

刺突剣Lv98 捕縄術Lv105 投槍Lv108(↑1)

ポールウェポンLv110

杖Lv113 打撃Lv123 蹴りLv123 関節技Lv122

投げ技Lv122 回避Lv130 受けLv130

召喚魔法Lv131 時空魔法Lv119 封印術Lv119(↑1)

光魔法Lv115 風魔法Lv115 土魔法Lv115

水魔法Lv115 火魔法Lv115 闇魔法Lv116

氷魔法Lv115 雷魔法Lv115 木魔法Lv115

塵魔法Lv115 溶魔法Lv115 灼魔法Lv115

英霊召喚Lv6 禁呪Lv119

錬金術Lv105(↑2)薬師Lv31(↑7)ガラス工Lv32(↑5)

木工Lv60

連携Lv100e 鑑定Lv99(↑1)識別Lv109 看破Lv100e

耐寒Lv80e

掴みLv80e 馬術Lv110 精密操作Lv80e

ロープワークLv100e 跳躍Lv50e 軽業Lv50e

耐暑Lv80e 登攀Lv60e 平衡Lv100e

二刀流Lv100e 解体Lv98 水泳Lv68 潜水Lv80e

投擲Lv50e

ダッシュLv60e 耐久走Lv60e 追跡Lv100e 隠蔽Lv100e

気配察知Lv100e 気配遮断Lv100e 暗殺術Lv60e

身体強化Lv60e 精神強化Lv60e 高速詠唱Lv50e

無音詠唱Lv60e 詠唱破棄Lv60e 武技強化Lv107

魔法効果拡大Lv106 魔法範囲拡大Lv106

呪文融合Lv106

耐石化Lv80e 耐睡眠Lv80e 耐麻痺Lv80e 耐混乱Lv80e

耐暗闇Lv80e 耐気絶Lv80e 耐魅了Lv80e 耐毒Lv80e

耐沈黙Lv80e 耐即死Lv80e 全耐性Lv43(↑1)

獣魔化Lv29


召喚モンスター

エルニド 鸞Lv42→Lv43(↑1)

 器用値 51(↑1)

 敏捷値 88

 知力値 60

 筋力値 43

 生命力 43

 精神力 51(↑1)

 スキル

 嘴撃 飛翔 水棲 回避 霊能 遠視 夜目

 広域探査 強襲 危険察知 空中機動 水中機動

 天耳 自己回復[中] 物理抵抗[小] 魔法抵抗[大]

 MP回復増加[小] 火属性 風属性 土属性

 水属性 木属性 祝福 瑞鳥変 毒耐性


召魔の森 ポータルガード

ジェリコ、ティグリス、クーチュリエ、獅子吼、極夜、雷文

バンドル、スコーチ、守屋、シリウス、スーラジ、久重、テフラ

岩鉄、ジンバル、虎斑、蝶丸、網代、スパーク、クラック

オーロ、プラータ、イソシアネート

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