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848

《ポータルガードにより配備の召喚モンスター『イソシアネート』がレベルアップしました!》

《『イソシアネート』のステータスを確認して下さい》


《ポータルガードにより配備の召喚モンスター『命婦』がレベルアップしました!》

《『命婦』のステータスを確認して下さい》


 ログインしました。

 時刻は午前5時10分なんだが。

 イソシアネートと命婦のレベルアップのインフォを聞いて、何かが抜けていた事に気付く。

 スケルトン組をポータルガードに配備するの、忘れてた!

 新しい武器を作成するのに夢中だったけど、それは理由にならない。

 狩りに出てた面々が戻って来たタイミングで気付いていなければならなかったのだ!


 だがもう手遅れ。

 スケルトン系3体をポータルガードに配備するには遅い。

 もうすぐ、夜明けになるからだ。



 イソシアネート 蜘蛛神Lv25→Lv29(↑4)

 器用値 70(↑3)

 敏捷値 65(↑1)

 知力値 28

 筋力値 61(↑2)

 生命力 58(↑2)

 精神力 26


 スキル

 噛付き 爪撃 跳躍 回避 登攀 掘削 奇襲

 隠蔽 危険察知 振動感知 魔力察知 気配遮断

 監視 夜目 出糸 罠作成 繭作成 自己回復[小]

 物理抵抗[中] 魔法抵抗[小] MP回復増加[小]

 闇属性 土属性 猛毒 麻痺 暗闇




 命婦 妖狐Lv25→Lv29(↑4)

 器用値 27

 敏捷値 69(↑2)

 知力値 92(↑3)

 筋力値 27

 生命力 26(↑1)

 精神力 69(↑2)


 スキル

 噛付き 回避 天駆 空中機動 天啓 霊能

 霊撃 夜目 MP回復増加[中] 魔法抵抗[大]

 物理抵抗[中] 自己回復[中] 時空属性 光属性

 闇属性 火属性 風属性 水属性 耐沈黙

 耐魅了 狐火



 確認終了。

 過ぎてしまった事は仕方ない。

 今度は忘れないようにしたいものだ。




「おはようございます!」


「朝食はもうちょっと待って下さいね」


「分かった、闘技場で待つから」


 厨房にはアデルとイリーナ、そしてスーラジ。

 食堂には誰もいない。

 他に来ている面々は闘技場で対戦をしているのだろう。


 短い時間でもいい。

 対戦をしておこうか。

 昨日のうちに作製した武器の調子を見たい。

 布陣は?

 ヴォルフ、護鬼、戦鬼、鞍馬、赤星だ。

 目的は軽く調子を見るだけです。

 戦鬼は鉄球禁止で。

 訳が分からなくなるからな!






《只今の戦闘勝利で【重棍】がレベルアップしました!》


 うーむ。

 蛇王の戟、蛇王のメイス、蛇王の双杵と試してみました。

 腐竜王の戟、腐竜王のメイス、腐竜王の双杵との差は?

 重量も使い勝手も変わっていない。

 性能で見ても破壊力にだって変化は無い。

 数字上では攻撃力が少し高まっているだけに見えるけどね。


 確実により強烈になっているようです。

 攻撃力と破壊力は掛け算で効く、とは聞いているけど、格段の差だ!

 しかも状態異常を与える確率も上がっているようです。

 実験台になったのはヴリトラの分身に幻影。

 結構、酷い事になってます。



「何だか魔物が可哀想に思えちゃいますね」


「そうか?」


 ゼータくんの意見には賛同しかねる。

 ヴリトラの分身も幻影も愛でられるような可愛い存在ではないからだ。



「次、いいぞ」


「よっし!行くよ此花ちゃん!」


「じゃあ私が捧げるわね」


 次は春菜と此花だ。

 その次はヒョードルくん、ヘラクレイオスくん、ゼータくん。

 そして駿河と野々村になる。

 3戦して蛇王の戟、蛇王のメイス、蛇王の双杵の調子は確認出来た。

 一応、ここで区切っていいのだろう。



「今日は常闇の牢獄から西へ移動ですか?」


「そうなるな」


「先にあるN3E14マップですが、ターニャの砦方面の攻略組も探索を始めているようです」


「ほう。どんな感じかな?」


「地形は砂漠ですね。どうも魔人との遭遇もあるようです。掲示板で情報が出始めてます」


 ふむ。

 つまり中々の相手がいるって訳か

 魔人が出現している、というのはいい情報だ。

 潰して通ろう。



《フレンド登録者からメッセージがあります》


 うん?

 このタイミング、誰だろう?

 春菜と此花の戦闘を観戦するのを中止してメッセージを見てみる。

 ジルドレからだった。



『依頼のあった装備が出来てます。今日の午前中は忘却の砦にいます、別途相談もしたいので来てくれると嬉しい』


 おお、鞍馬と赤星の分が出来上がったのか。

 これは行かねば!

 でも今すぐって訳に行かないようです。

 観客席にイリーナが来てます。



「食事、出来てます」


「了解!」


「待ってました!」


「ま、少し待とうか」


 男共は腰を浮かせているけどね。

 春菜と此花の対戦はもう少しで決着するだろう。

 相手は牛頭獄将に馬頭獄将。

 貪欲鬼、憤怒鬼、我執鬼、怠惰鬼、愚弄鬼、苛烈鬼もいたけど、既に沈んでいる。

 決着するまでもう少しなのだし待っていたらいいのだ。






「一旦、忘却の砦に寄るんですか?」


「ああ。依頼の品が出来たみたいなんでね」


 そこで会話が途切れる。

 小柱と三つ葉のみのかき揚げをそばと共に堪能する。

 お出汁は関西風?

 次は身欠きニシンで頂きたい所だ。



「ああ、以前に頼んでいたアレですね」


「冥府の炭の時に騒ぎになってた、アレ?」


「金属製の防具って聞いてますけど、納期早いですね」


「そうなの?」


「ええ、聞いた話ですが」


「魔法系の職業に金属製の装備は無用!」


 確かにそうだな。

 でも召喚モンスターの中には装備した方が有利と思えるのがいる。

 戦鬼とか。


 いや、待て。

 あんなのが金属鎧を装備したらマズいだろ?

 敏捷性を損なうようでは持ち味が活かせない。

 そもそもスキルに重鎧が無いのだ。



「じゃあ一旦、忘却の砦に跳んでから常闇の牢獄へ、ですね」


「先に常闇の牢獄に行っていていいんだが」


「ついでです、情報収集もありますし」


 情報収集、ですか。

 ガールズトーク、と読み換えていいんだろうな。



「じゃあ早速、行こうか」


「はい!」


 布陣は?

 このままでもいいけど戦鬼だけは不穏だ。

 帰還させておこう。

 どうせ常闇マップで騎乗戦になるのだ。

 パナールを召喚しておこうか。





 忘却の砦に到着。

 赤星はスキルに耐光がある事はあるんだが、日光を嫌ってはいる。

 さっさと砦の中に入るとしましょう。


 ここはいずれ戦争時の最前線になるのだろう。

 半円球の構造はドラゴンの吐くブレスにも耐えられそうな気がする。

 補修は必要だと思うけどね。


 中に入ると早速だけど生産職の面々があちこちに散見される。

 多くは石工だろう。

 補修は急ピッチに進みそうだ。

 通路には石材が積まれていて通り難い場所もあるけど、これはもう仕方ないか。


 そしてエリアポータル解放戦があった吹き抜けに到達。

 そこで見たのは?

 生産職の面々による基地が既に出来上がっている。

 様々な物資は当然あるけど、幾つかの机が並んでいる様子はどこかの作戦本部みたいに見える。

 フィーナさんが周囲に次々と指示を飛ばしているし、違和感が無い。



「おお、来たか」


「待たせましたか?」


「いや、こっちもここで色々とやるべき事もあったんでね」


 ジルドレだけじゃなく、カヤもいる。

 カヤはどこか苦笑の表情だが、ジルドレはどこか渋い顔だ。



「何か、あった?」


「あった。PK職に襲われてな」


「え?」


「こっちもだよ。全く、情報が漏れると碌な事がないねえ」


 カヤを見る。

 そうか、そんな事があったのか。

 気難しい顔になろうってものだ。



「お前さんが持ち込んだ炭だが実に有効なのは確定だ。でも敢えて入手先は問わん」


「それで、いいのかな?」


「お互いに危険だ。こっちにも累が及んでいる」


「今はまだ、身の丈に合っていないアイテムって事になるんだろうね」


 カヤの意見には少し同意出来ない部分もある。

 レア度10のアイテムは流通していておかしくないからだ。

 地下側マップにプレイヤーが増えてくれたらいいだけの話なのです。

 d2マップまで、となると時間が掛かるかもだけどね。



「騒ぎになるのも道理だ。作製時間が半分以下でこれが出来るのではな」


 ジルドレの視線の先には重厚な全身鎧に兜、方形の盾だ。

 鞍馬と赤星の分であるのだろう。



【防具アイテム:重鎧】ミスリルアーマー+ 品質A+ レア度9

 AP+10 Def+97 重量42+ 耐久値2300 破壊力低減-3

 物理抵抗[大] 魔法抵抗[小] ブレス耐性[小]

 器用値阻害[微] 敏捷値阻害[微] 属性なし

 ミスリル銀と鉄の合金製の全身鎧。魔法技能に干渉しない特性がある。

 その重量故に動きを阻害するが、その重さに比較して軽いと言える。

 筋力値と生命力が低い者には負担にしかならない装備でもある。

 [カスタム]

 内張に斧頭武竜の皮を使用し、軽量化と破壊力低減を両立している。




【防具アイテム:重盾】ミスリルタワーシールド+ 品質A+ レア度9

 Def+135 重量11+ 耐久値2420 破壊力低減-3

 物理抵抗[大] 魔法抵抗[小] ブレス耐性[小]

 器用値阻害[微] 敏捷値阻害[微]属性なし

 ミスリル銀と鉄の合金製の大型で方形の盾。

 魔法技能に干渉しない特性がある。

 通常の人間サイズであれば容易に身を隠す事が可能。

 重量がある故に使いこなすのは難しい。

 [カスタム]

 盾の裏にアンカーを装備、地面への固定用。




【武器アイテム:棍棒】ミスリルメイス 品質A+ レア度9

 AP+50 M・AP+0 破壊力6+ 重量6+ 耐久値1780

 魔力付与品 クリティカル発生確率上昇[中]

 ミスリル銀と鉄の合金製のメイス。

 魔法技能に干渉しない特性がある。



 何これ。

 レア度こそ9ではあるけど、単純な防御性能に攻撃力は中々のものだ。

 しかもどれも品質が上限になっているようです。



「この品質をミスリル銀の合金で出したのは初めてだよね?」


「ああ。これが漏れたら大騒ぎになるのは明白だ」


「早速、装備させてみていいかな?」


「勿論だよ」


 ジルドレとカヤが何やら話す一方でオレは新装備の出来が気になってます。

 何しろこの特性は大いに魅力だ。

 魔法技能に干渉しないだと?

 金属製の鎧って聞いていたんで心配してたけど、これなら文句無しだ。

 特に状態異常という言葉から最も遠い、アンデッドである赤星には好ましい。

 問題は?

 敏捷値の低下だろうか。

 器用値も低下するようだけど、それ以上に敏捷性が重要だ。



「着替えは一人じゃ無理だよ、手伝おうか?」


「どうにか出来る、と思う」


 鞍馬と赤星の装備は護鬼の手を借りつつ進める。

 オレも手にして持ち上げようとしてみたけど、重い!

 一瞬、オレも金属鎧を注文しようかと思っていたけどね。

 却下だな。

 動きが阻害され過ぎてまともな戦闘が出来そうに無い。

 では、ミスリルメイスはどうしよう?

 護鬼に渡しておこう。

 何しろ護鬼は三面六臂、得物は数多く与えていても無駄が少ない。


 どうにか、装備し終えたけど赤星は相変わらずだ。

 鎧を着込んでいるというよりも鎧に憑依しているかのように見える。

 鎧兜の各所から黒い霧状の何かが漏れている。


 その反面、鞍馬の場合はデザインそのものが変化してしまっている。

 洋風の全身鎧が一気に仏像の様相に。

 輝くような白銀の鎧だったのが、艶消しの黒に変化してます。

 まあ似合っているけどね。

 こうして見ると、菩薩様を護衛する神将そのものだ!

 いや、元から鞍馬は神将ですけどね。



「精算は?」


「フィーナが計算を終えている。そこで相談なんだが」


 ジルドレとカヤの手に、冥府の槌。

 欲しいのかな?



「やはり出所は問わない。買い取りたい」 


「いいですよ」


 即答です。

 何故ならば、追加するのはそう難しくないからだ。

 実際に余っている、

 まだ何個か売ってもいい程だ。

 だってオレには【槌】スキルは無いのだから。

 テロメア達の予備に過ぎない。



「いいの?このレア度の武器は簡単に売っていい代物じゃないと思うけど」


「いや、余っているし」


 カヤは目を丸くするけどね。

 オレは正直に答えただけだ。



「何か特殊な効果でもあった?」


「あった。【鍛冶】スキルの伸びに結構大きなボーナスもあるし、製品の出来もいい」


「正直、余っているなら追加で欲しい所だね。危険もあるけど」


「危険?」


「そう。PK職の連中にとっても垂涎の的だしね」


 ああ、そういう事ね。

 雪猿の骨の時と同じ構図がある訳だ。



「お待たせ。冥府の槌の件はどうなった?」


「買い取ることにした。材料費に加工費から差し引いた額で精算した方で取引だな」


「了解」


 フィーナさんも苦笑いだ。

 こうなる事を既に見越していたのだろう。

 間髪を入れずに提示された金額は?

 オレの支払い分は魔結晶2個で済んでます。

 安っ!



「聞いてたわ。冥府の槌、余っているって?」


「ええ」


「私の所にも欲しい所だけど。数が少ないとレンタルで回すにしても争いになるわね」


「数が無いと揉めるだろうな。修復も効かないようだし」


「その意味では妙見秘鎚だって未だに揉めてるしねえ」


 そうだったのか。

 オレの持っているアイテムで騒ぎになりそうなアイテムが結構多いな!

 特に危険と思われるのは何だろう?

 やっぱりグレイプニルだろうか。


 あ、そうだ。

 オレの手元にまだ未知なる金属素材がある。

 またしても騒ぎになるかもだけど、金属素材の加工は門外漢であるのだ。

 ここは専門家にお願いした方がいい。



「ちょうど良かった。更に依頼していいですか?」


「依頼?」


「武器か?それとも防具か?」


「量が限られてますけど、これを使って防具一式を。サイズはこのスペクターロードで」


 赤星のサイズは言わば標準サイズに近い。

 出来上がりがどうであれ、無駄になるとは思えないし、いいよね?



「同じ防具をか?」


「いえ。金属素材にこれを使って欲しいんですが」


 机の上に出したのは?

 そう、オリハルコンだ!





 オレの目の前でジルドレとカヤが膝を突き合わせて何やら相談している。

 どうやらテレパスで誰かと相談しているようなんだが。

 やっぱりオリハルコンは問題が大きかったかな?



「フィーナ、悪いが予定変更だ。ここには別の人員を回す」


「これの加工をするのね?ここに簡易設備を設置するのに立ち会って欲しかったんだけど」


「物がこれではな。どんな特性が付加されるか、検証するにも時間が要る」


「当然だけど、こっちも代理をここに送るから」


 ジルドレもカヤも興味の目をオリハルコンに注いでいる。

 あ、これはダメだ。

 新しい玩具を与えられた子供と一緒だ!

 オレとしてはいいけどね、出来れば暴走しないで欲しいものです。



「貴方達、趣味で弄りたいだけじゃないの?」


「否定はせんよ」


「ま、趣味だからねえ」


 ジルドレもカヤも悪びれたような様子は見せない。

 素直なものだ。



「情報の扱いは、いいのかしら?」


「今更だな。キースを襲えるPK職がいるとは思えん」


「でもこっちはそうじゃないんだよねえ。こっちにも伝手はあるけど、フィーナの方から頼めるかな?」


 カヤの言う所の伝手とは?

 恐らくだがPKK職の事だ。

 オリハルコンで一体どれだけのPK職が釣れるんだろう?

 そんな事を考えてしまいました。



「キース、追加に他に要望はあるか?もうこうなったらついでだ」


「ではこの馬用に防具を。鞍はそのまま活かす方向で」


 ジルドレとカヤの視線がパナールを射抜く。

 そう、パナールもまたスキルに重装がある。

 かなりの重装備が可能な筈なのだ。



「ウォーホース系で作った奴よりもボリュームが要るかな?」


「金属製の馬鎧か。オリハルコンを回せないかもしれんが、いいか?」


「ええ」


 費用は?

 腹案がある。

 どちらかと言えば真っ黒な腹案だけどね。

 冥府の槌、妙見秘鎚がある。

 放出するのに躊躇は無いのだ。



「納期だが、更に伸びる可能性がある」


「ミスリル銀の時みたいに検証するのね?」


「ああ、そうだ」


「合金にするにしても比率も見極めないとねえ」


「それに鉄だけと合金化するとも限らん。ミスリル銀も加えようと思う」


 ジルドレもカヤも楽しそうだ。

 うん。

 暴走のついでに想定以上の装備が出来上がりそうな予感がします。




「済まなかったな。少し急ごう」


「問題ありません!」


「いえ、こっちも情報収集出来てますし」


 まあ、そうだろうな。

 ミオと優香がアデル達に何かを振舞っていたのは視界の端で捉えていた。

 タコ焼きだろう?

 見てたぞ!

 オレの目を誤魔化す事は出来ない。

 食い物に関してはだけど。


 情報収集?

 優雅にお茶会だと思うぞ?





 N3E16マップのエリアポータル、常闇の牢獄に到着。

 ここは拠点だ。

 暗闇の中、不気味な雰囲気だけど拠点なのだ。

 選り好みは出来ません。



「では、布陣変更だ」


『夜の騎乗戦ですね』


『昨日の続きなら悩む事は無いかな?』


 さて、オレも布陣変更をしておこう。

 ヴォルフ、テロメア、フローリン、パナール、モスリンだ。

 得物は当然、蛇王の戟で。

 調子がいいようであれば腐竜王の戟は召魔の森の倉庫行きでいいだろう。

 売ってもいいけど、やっぱり予備があった方が心強い。

 オレは基本的に小心者なのだ。


 おっと、移動だ移動。

 狩りだ。

 西に移動、N3E15マップを目指すのだ!

 出来ればエリアポータルなり、中継ポータルなりにあって欲しいが。


 それに忘れてはいけない。

 魔人がまた出現し始めていると聞く。

 見付け次第、屠ろう。

 そこにも妥協は皆無なのだ。






《只今の戦闘勝利で【風魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【火魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【塵魔法】がレベルアップしました!》


 夜の騎乗戦は順調だ。

 順調に強敵とも戦えているけど、やはり物足りない感じがする。

 悪魔もアンデッドも増量していいんですよ?


 蛇王の戟はどうか?

 正直、感覚は同じだから変わったように感じません。

 ダメージは間違いなく、増えていると思う。

 特にクリティカルになったと思われる攻撃では凄まじい。

 スケルトンだろうが、関係なかった。

 頭蓋を砕き、胸郭を砕き、同時に人魂までををも散らせているようだった。

 ゾンビでも関係ない。

 周囲に血肉を撒き散らせて酷い事になってたけど。

 これは使える。

 

 腐竜王の戟は予備に回そう。

 召魔の森の倉庫行きは決定だ。

 そして今迄、ありがとう。

 感謝はすべきだな。



『そろそろ、N3E15マップですね』


「ああ。闇を抜けたらそうなるだろうな」


『ではもうすぐ空中戦?』


『少しは楽になるかな?』


 今のは誰だ?

 楽をしようなどと、思っていても口に出しちゃいけません。

 温い戦闘に慣れてしまっては妥協に妥協を重ねる事になってしまうぞ?

 それはいずれ怯懦となるだろう。


 時刻は午前8時20分だ。

 狩りのペースは明らかに早い。

 闇を抜けた所で小休止でいいかな?


 次は空中戦で蛇王の戟の使い勝手を確かめる事になるだろう。

 もう大体、分かってはいるんだけどね。

 念を入れておく事にしましょう。






「お待たせしました!」


「これで全員、揃いましたね」


 時刻は午前8時50分。

 インスタント・ポータルを展開して小休止だ。

 アデルが戻った所で全員揃った訳だが。


 待っている間、オレは何をしていたのか?

 冥府の白ポプラで実験をしてみました。

 これを加工して冥府の炭が作れそうな気がしたんですがね。


 失敗です。

 呪文を駆使してお手軽に、というのは甘かったようです。

 本格的に窯を使った方がいいのかな?

 どうしても普通の木炭のように上手く行かないよ。。

 木炭なら少量であれば稲藁ともみ殻で作った事があるんだけどな。

 どうも素材が生半可な存在じゃないのがいけないみたいです。


 まあいい。

 これは保留だ。

 窯なら召魔の森にある。

 機会を見て試してみよう。



「布陣は当然、空中戦ですよね?」


「そうだな」


 N3E15マップの地形は砂漠である事は既にこの目で確認してある。

 本格的な砂だらけの砂漠には程遠く荒地にも見えるけどね。

 砂塵が舞っている。

 そこだけは気にしておくべきだろう。


 布陣は?

 ナインテイル、ヘザー、メジアン、パンタナール、アリョーシャにしました。

 得物は継続で蛇王の戟だ。



「ピッ?」


「キュッ!キュッ!」


「ピピピッ!」


 ナインテイルだけじゃなく、更に妖狐4体と白狐4体がパンタナールの頭上に集まって来てます。

 サイズ的に言えば全部収まるだけの体格差があると思うのだが、特等席を巡って争っているみたいだ。

 傍目かた見たら尻尾が集まっているようにしか見えないけど。


 何でこんなにパンタナールの頭上は人気になるんだろう。

 他にもドラゴンが多数いるんだけどな。



「キュッ?」


 パンタナールがオレを見て不思議そうに首を傾げる。

 今日は久し振りに暴れて貰うからな?

 メジアンもいるし、ユニオン編成で他にもグレータードラゴンがいる。

 支援がメインになるだろうけど、その分喰って貰わないといけないのだ。

 食が細いのは分かるが、そこも頑張ってくれないと困るのです。



『出発準備、出来ました!』


「了解、先導は任せる」


『じゃあ、行っくよーーー!』


 アデルがモノペガサスを駆って舞い上がり、一気に上昇して行く。

 オレは最後尾だ。

 さて、このマップにはエリアポータルはあるのかな?

 既に昨日の段階で攻略組もここに進んでいるのは知っている。

 そして魔人が率いる魔物の群れもいる筈だ。


 ある意味、競争になるだろう。

 負けてはいられませんよ?







《只今の戦闘勝利で【光魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【土魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【氷魔法】がレベルアップしました!》


『キースさん、何だか様子がおかしくないですか?』


「確かに」


 何がおかしいかって?

 魔人が率いる魔物の群れは規模こそ少ないが戦力としては申し分ない。

 アラバスタードラゴンがいてくれる。

 悪魔の上位種もいる。

 厳選されている、というのは言い過ぎかな?

 魔人の戦力は格段に落ちるからだ。

 名前持ちの魔人でも脅威として見るならアラバスタードラゴンに及ばない。


 それでも見逃す事はしません。

 アラバスタードラゴンよりも先にマッドサンタは撲殺しに行くオレがいる。

 そして蛇王の戟が素晴らしい!

 マッドサンタはどいつもこいつも一撃で仕留めている。

 ソリも簡単に破壊しているし無駄がない。


 で、おかしい点は?

 低空飛行で飛び回っていても巨神が襲って来ない事。

 このマップの中央にエリアポータルらしき存在が無い、という事になるんだが。

 他にもある。

 途中で何回か、竜巻が生じているのは見えていた。

 魔力も感じなかったし、放置していたんだけどね。


 今は放置出来ない、と思えるようになってます。

 地上から遠目に見えるのは、幾つかの砂塵の竜巻。

 しかも動いていないように見えます。



『あの竜巻、何かあるんでしょうか?』


『突っ込むのはナシで!』


『罠かな?』


「一度、試してみるか」


 皆の視線がオレに集中する。

 罠?

 素敵な響きがある。

 罠であるならば、食い破れ!

 それがオレの基本になるんだが。



『本気、ですか?』


「割とね」


 そう、何事も試してみなければ分からない。

 見ているだけ、というのは面白くない。

 まあ呪文で強化して対策はするけどね。



「ま、軽く確かめるだけだ」


『軽く、ですか?』


 オレの希望としては何らかの形で魔物が出現してくれる事だ。

 どうだろう?

 希望通りであればいいんだが。





「何も、無かったな」


『何も、無かったですね』


『唯の竜巻かにゃ?』


『そうは思えないんだけどなー』


「何か条件があるのかもしれないな。今は保留にしよう」


 より厳密に言えばオレとアリョーシャは砂塵だらけになっているけどな!

 問題ない。

 ドカ灰に比べたらどうって事は無いのだ。


 さて。

 こうなると選択肢に困る。

 このまま西へ直進してもN3E14マップ、既にエリアポータルは無い事が判明している。

 魔人の群れもいるようだが、攻略組による掃討が進んでいるようだ。

 いずれここにも攻略組が来るのだと思う。

 今日はまだ見掛けないけどね。


 南は?

 N2E15マップもN3E14マップと同様だ。

 そうなると進むべき方位は自然と定まる。

 北だ。

 N4E15マップを目指すべきだろう。



『北に向かうべき?』


『北、よね?』


「そうだな。北に向かってみよう」


 他の意見がある筈も無かった。

 では、北へ転進だ。

 巨神がいない謎も放置になるけど、一気に高度を上げて北に向かってしまおう。

 エリアポータルがあるようなら有難い。

 あって欲しいものです。







《只今の戦闘勝利で【木魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【灼魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【識別】がレベルアップしました!》


 時刻は?

 午前10時20分になってます。

 N4E15マップだけどN3E15マップと同様の砂漠になってます。

 但し竜巻は一切、存在しません。

 それに空中を移動していた間に海が見えていた。


 駿河と野々村が勇躍していたのは明らかだ。

 海を見るだけで安心出来るものであるらしい。



『マップの中央がもうすぐですね』


「ああ。エリアポータルがあればいいんだがな」


 それもすぐに分かるだろう。

 気分的に言えば、あって欲しいものだ。

 これだけの戦力があるのです。

 出来れば空中戦で解放出来ればいい。

 ドラゴンがこれだけの数がいる、というのは非常に有利に働くのだ。





 そこは岬だった。

 灯台を建設するにはいい環境だが、そこには何も無い。

 人魂も無かった。

 もしかして、このマップもエリアポータルが無いのかな?



「どうだ?」


『岬の根元の所ですが洞窟がありますね。半ば海に沈んでますけど』


『大きさはそこそこみたいです。でも大き過ぎはしませんね』


『スキュラクイーンなら行けます、ジュエルキャンサーも大丈夫でしょう』


『途中で完全に水没してる可能性がありそうですね』


「海中戦になるか可能性があるか」


 洞窟か。

 策に進めばまた状況は違っているかもしれません。

 それでも海中で戦闘になるつもりで進むべきだろう。



『布陣変更して先に進みましょうか』


「そうだな」


『インスタント・ポータルを使いましょう。防具の着替えもありますし』


『では私が』


 洞窟の先に進む事には誰からも異論は無かった。

 ならば、先に進もう。

 海中戦になる前提で布陣変更だ!

 でも洞窟はハイアムスに騎乗して駆け回れるような規模でもない。

 そこは考慮すべきだろう。


 ゼータくんがインスタント・ポータルを展開、皆が布陣変更を進めて行く。

 防具も水中対応に着替えている。

 女の子もいるけど、チラ見はしないよ!


 おっと、オレも布陣を変更しておこう。

 ナイアス、ストランド、ロッソ、雪白、濡羽だ。


 アデル達も次々と布陣変更を進めている。

 駿河と野々村は人魚系で埋まっているのはもう今更だな!

 共にスキュラクイーンにオーケアニス2体にサイレンクイーン2体です。

 徹底し過ぎていてバランス的にどうなのよって思う。


 バランスはどうやらイリーナに此花、ヒョードルくんとゼータくんが取ってくれそうだ。

 布陣にステラキャンサーを加えている。

 壁役は十分。

 生体アーマーとなるスライム系も投入されている。

 レッドジェル、ブループディング、グリーンムース、クリアウーズ、ホワイトゼラチン、ブラックプリンか。

 惜しい!

 イエロージャムのリグがいたら全色が揃って綺麗だったのに!

 残念だけど、今は召魔の森のポータルガードにしてしまっている。


 前衛で攻撃を担う主戦力は青竜になる。

 壁役がいるからそれだけで十分だが、オレも駿河も野々村も前衛に加わる形だ。

 十分、と思えます。



「私が先導する、支援は頼むぞ?」


『『『『了解!』』』』


 オレの左右には駿河と野々村が位置した。

 ステラキャンサーの傍にいてもいいんだが。

 まあ、いいか。

 彼等の肩にある投網はこういった場所では有効だろう。


 オレの得物は?

 転生獅子のレイピアだ。

 天沼矛は長柄に過ぎてここでは論外だ。

 双角猛蛇神の長槍でも扱えなくはないけど、周囲に配慮すべきだろう。

 短槍サイズなら問題ないと思えるが、いっそレイピアの方がいい。

 気兼ねする事も無いからな。


 さて。

 洞窟の奥に人魂はあるのか?

 あるのだと信じましょう。

主人公 キース


種族 人間 男 種族Lv130

職業 サモンメンターLv19(召喚魔法導師)

ボーナスポイント残 13


セットスキル

小剣Lv96 剣Lv98 両手剣Lv100 両手槍Lv105

馬上槍Lv108 棍棒Lv98 重棍Lv96(↑1)小刀Lv97

刀Lv99 大刀Lv97 手斧Lv88 両手斧Lv73

刺突剣Lv97 捕縄術Lv103 投槍Lv105

ポールウェポンLv108

杖Lv112 打撃Lv121 蹴りLv121 関節技Lv120

投げ技Lv120 回避Lv128 受けLv128

召喚魔法Lv130 時空魔法Lv118 封印術Lv117

光魔法Lv114(↑1)風魔法Lv114(↑1)土魔法Lv114(↑1)

水魔法Lv114 火魔法Lv114(↑1)闇魔法Lv114

氷魔法Lv114(↑1)雷魔法Lv114 木魔法Lv114(↑1)

塵魔法Lv114(↑1)溶魔法Lv114 灼魔法Lv114(↑1)

英霊召喚Lv6 禁呪Lv117

錬金術Lv101 薬師Lv24 ガラス工Lv27 木工Lv59

連携Lv100e 鑑定Lv97 識別Lv108(↑1)看破Lv100e

耐寒Lv80e

掴みLv80e 馬術Lv108 精密操作Lv80e

ロープワークLv100e 跳躍Lv50e 軽業Lv50e

耐暑Lv80e 登攀Lv60e 平衡Lv100e

二刀流Lv100e 解体Lv97 水泳Lv66 潜水Lv80e

投擲Lv50e

ダッシュLv60e 耐久走Lv60e 追跡Lv100e 隠蔽Lv99

気配察知Lv100e 気配遮断Lv99 暗殺術Lv60e

身体強化Lv60e 精神強化Lv60e 高速詠唱Lv50e

無音詠唱Lv60e 詠唱破棄Lv60e 武技強化Lv106

魔法効果拡大Lv105 魔法範囲拡大Lv105

呪文融合Lv105

耐石化Lv80e 耐睡眠Lv80e 耐麻痺Lv80e 耐混乱Lv80e

耐暗闇Lv80e 耐気絶Lv80e 耐魅了Lv80e 耐毒Lv80e

耐沈黙Lv80e 耐即死Lv80e 全耐性Lv38

獣魔化Lv28


召喚モンスター

イソシアネート 蜘蛛神Lv25→Lv29(↑4)

 器用値 70(↑3)

 敏捷値 65(↑1)

 知力値 28

 筋力値 61(↑2)

 生命力 58(↑2)

 精神力 26

 スキル

 噛付き 爪撃 跳躍 回避 登攀 掘削 奇襲

 隠蔽 危険察知 振動感知 魔力察知 気配遮断

 監視 夜目 出糸 罠作成 繭作成 自己回復[小]

 物理抵抗[中] 魔法抵抗[小] MP回復増加[小]

 闇属性 土属性 猛毒 麻痺 暗闇


命婦 妖狐Lv25→Lv29(↑4)

 器用値 27

 敏捷値 69(↑2)

 知力値 92(↑3)

 筋力値 27

 生命力 26(↑1)

 精神力 69(↑2)

 スキル

 噛付き 回避 天駆 空中機動 天啓 霊能

 霊撃 夜目 MP回復増加[中] 魔法抵抗[大]

 物理抵抗[中] 自己回復[中] 時空属性 光属性

 闇属性 火属性 風属性 水属性 耐沈黙

 耐魅了 狐火


召魔の森 ポータルガード

ジェリコ、リグ、クーチュリエ、バンドル、スコーチ、守屋、スーラジ

久重、テフラ、岩鉄、待宵、虎斑、キレート、蝶丸、網代、スパーク

クラック、出水、オーロ、プラータ、エルニド、イソシアネート、命婦

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― 新着の感想 ―
魔法技能に干渉しないミスリル防具ができたのに直後にオリハルコン… これは完全上位互換になりそうな予感
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