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(ショート・ジャンプ!)
森の中、ヴォルフの先導に従って一気に駆けた。
そして次々と倒れる樹木が見えた所で足を止め、樹上へと跳ぶ。
無論、ヴォルフも一緒だ。
船岡は最初から小さいままオレの肩に留まり続けている。
樹上へ移動したオレの頭上にはルベル。
見えてないけど、オレがいる場所よりも更に上にはモジュラスと清姫もいる筈だ。
相変わらず姿を見せず、音も立てていない。
(シンクロセンス!)
モジュラスの見ている風景を確認する。
亀の数はまだかなりいるのだろう。
森を通過する為とはいえ、森林破壊が進んでいる。
まあ元々、ここには森林なんて無かった。
急速に造り上げてしまったものではある。
ある意味では惜しくはないのだが。
彼等はどう思うかな?
森の中に潜んでいたであろうバオバブエント達は次々と姿を見せていた。
センス・マジックでも確認出来る。
各々が急速に魔力を高まっているぞ?
その数、10体以上。
どうも各々のバオバブエントにはダークエルフも付き従っているようだ。
それだけではない。
上空にドラゴン!
フォレストドラゴン達で間違いないだろう。
そしてロック鳥もいる。
こっちはゲルタ婆様か。
どうやら亀の結界を無効化する現場を見る事が出来そうだ。
《フレンド登録者の転移があります。ご注意下さい!》
誰だろう?
跳んできたのは紅蓮くんでした。
オレが佇んでいた場所は太い枝の根元。
跳んできた紅蓮くんを含めて6名、1パーティ分をどうにか支える事が出来たみたいだ。
「どうした?」
「僕等も付き合いますよ」
「他の面々は?」
「後続で追って来ます。まあ半分はログアウトしちゃいますけど」
ユニオン申請が来ていたので早速受理する。
お喋りも静かにしないとね!
それにしても、だ。
奇妙なパーティを組んでる。
紅蓮くんと九重、眠りダムーまではまだいいんだが。
ガヴィとリディア、それに最後の1人は?
変装してるけど間違いない。
半ソロバードのデッカーだ!
いつの間に?
全員をいちいち【識別】してなかったから気付かなかったな!
「多分、いや間違い無く危険だと思うぞ?」
『ええ、分かってます』
『それでも見てみたい光景ってあると思いますよ?』
ふむ。
返す言葉は無い。
オレもそうだからだ。
『凄い魔力!風景がまるで認識出来ないわよ!』
『ああ。切り替えた方がいいかな?』
ガヴィの言う通り、センス・マジックで見える風景は真っ白にしか見えない。
マズい。
切り替えた光景も似たようなものだ!
『何かに掴まれ!』
「モジュラス!清姫!」
何が来るのかは分かっていた。
魔力の奔流?
おや、凄まじい風だ!
「無事か?」
『ど、どうにか』
『助かりました!』
ガヴィは清姫に巻き付かれた状態で、紅蓮くんとリディアはモジュラスの糸に絡め取られている。
オレも吹き飛ばされたが、ショート・ジャンプの連続使用でどうにか耐えた。
ヴォルフ、船岡、ルベルはオレと一緒にいたからどうにかなっている。
『亀が姿を見せてる!キムクイガーディアン・スレイブ!』
『カウント開始!スクショはもう撮った!』
『魔物の群れも確認!とんでもない規模だ!』
攻撃しに行くか?
いや、既にそのタイミングは逸したみたいだ。
既に魔物の群れへの先制攻撃が加えられつつある。
フォレストドラゴン達のブレス攻撃!
そしてダークエルフが召喚したであろう火の精霊、イフリートもいる!
今度は目の前の光景は爆炎で埋め尽くされていった。
『赤いマーカーは?』
『一気に減った!でもまだ半分以上残ってるぞ!』
『魔竜が空に飛び始めている!』
始まったか!
空中戦力はゲルタ婆様とフォレストドラゴン達に任せたらいい。
森の中に分散するであろう地上戦力は?
皆の獲物だ。
そして早い者勝ちでいいんだよね?
「さて、行くか」
『あの、タイミング的にどうかと思うんですが』
『森の中、分散した魔物を各個に撃破するって聞いてますけど?』
「無論、そうすべきだろうね」
だが。
まだ魔物が密集しているうちに大火力でダメージを与えておくのも選択肢としてアリだろう。
それが出来るのは?
今しかない!
「じゃあ、お先に!」
悪いけど先制しに行きます!
地面へと跳び降りると森の中を駆ける。
大体、敵の配置は把握した。
最初に狙うのは最後方にいた亀。
キムクイガーディアン・スレイブだ!
いい具合にフォレストドラゴン達のブレス攻撃を喰らってダメージを負っているだろう。
狙い目、だよね?
「シャッ!」
手にしているのは断鋼鳥のコラ。
レッドマンティスは満身創痍であるのに果敢にダークエルフを追っていた。
「森の奥へ、行け!」
ダークエルフに叫びながらレッドマンティスの首を吹き飛ばす。
戦況は?
恐らく半分は当初の目論見通り。
先制攻撃で地上戦力となる魔物は分散してしまっている。
プレイヤーの役目はその駆逐になるのだろう。
とんでもない数だけど、大丈夫か?
散っているなら大丈夫、と思いたい。
バオバブエント達は結界を無効化したからか、MPバーを大きく消耗していた。
次々と森に同化するかのように消えて行く。
残されたダークエルフは果敢にキムクイガーディアン・スレイブを攻めていた。
でも相手もまた並みの魔物じゃない。
そしてまだこの場に残っている他の魔物もいた。
森を一気に焼き払ったかのような状況ではダークエルフに不利だ。
いや、嘘だ。
正直に言おう。
キムクイガーディアン・スレイブをダークエルフに仕留められちゃ困る。
オレが仕留めたいんだ!
((((((八部封印!))))))
((((((九曜封印!))))))
((((((イビル・アイ!))))))
(ミラーリング!)
キムクイガーディアン・スレイブに封印は?
効いたみたいだ。
ブレス攻撃は直前に回避されたみたいです。
その大きな口はオレを誘っているね?
(ショート・ジャンプ!)
オレ自らが亀の口の中に突っ込む。
左肩に貼り付いたままの船岡が自ら、亀の口の中へと降り立った。
もう何を狙っているのかを分かっている動きだ。
投げようかと思ってたんだけどな。
まあ常に思い通りに戦闘が出来る訳が無い。
(ショート・ジャンプ!)
今度は別の亀の頭上に跳んだ。
目の前には赤いマーカー。
ドラゴン達のブレス攻撃を既に喰らっている筈なのに、HPバーは残り6割。
やっぱりタフなのね?
((((((八部封印!))))))
((((((九曜封印!))))))
((((((イビル・アイ!))))))
(ミラーリング!)
赤いマーカーに状態異常を示すマーカーが重なる。
良し。
「ルベル!」
ルベルはどこだ?
まあオレがショート・ジャンプで跳び回っているからな。
互いの位置を確認するにも時間は要る。
((((エナジードレイン!))))
((((ディメンション・ソード!))))
((((パルスレーザー・バースト!))))
(((フォースド・ドライング!)))
(((ディクレイ・ヒート!)))
(ミラーリング!)
ルベルを待つ間に接触型の攻撃呪文詰め合わせを喰らわせる。
周囲の様子は?
まだ亀はいずれも健在。
だがいずれも大きなダメージを喰らっている。
その筈だ。
だが、1匹だけ残りHPバーが8割をキープしている奴がいる。
もしかしてレベル高めか?
狙い目だろう。
(チェンジ・モンスター!)
足元の亀の口の中にルベルが突っ込んだ。
すかさずチェンジ・モンスターを使う。
交代したのはリグだ。
HPバーを既に大きく減らしている2匹の亀はもう任せてしまおう。
魔物の大半は森の中に散ってしまった。
それでいて魔物はたっぷり残っている。
魔人もいる。
そしてどこかに魔神がいておかしくない。
頭上を見上げる。
魔竜が凄まじい数となって空中戦を繰り広げている。
それでいてフォレストドラゴン達は拮抗どころか優勢を維持していた。
いや、フォレストドラゴン達だけじゃない。
ドラゴニュート、バードマンと思われる戦力もいる。
一方でグリフォンやヒッポグリフに騎乗する魔人の姿は見えない。
僅かな支援の有無だが、その差が出ているのかもしれないな。
オレの両翼に召喚モンスター達が並ぶ。
右にモジュラス。
左にヴォルフと清姫。
では、更なる混戦の坩堝の中に突っ込むぞ?
しかも亀の中にリグと船岡を残して進むのだ。
苦戦必至。
いや、大苦戦必至だろう。
だからこそ、突っ込むのだ!
「ヌンッ!」
亀の頭の上から跳び降りる。
ついでにベリルビーストの表皮を叩き割った。
仕留めた?
マーカーを確認せず、そのまま進む。
目指すのはHPバーが余っているキムクイガーディアン・スレイブだ。
魔物への対応は単純。
寄らば、斬る。
いや、叩き割る。
そして寄って来なくても周囲に攻撃呪文の詰め合わせをバラ撒く事になるだろう。
狙う必要も無い。
多分だが七面鳥撃ちよりも酷いぞ!
間違いないだろう。
((((((((((((((((((ディストーション・ジャベリン!))))))))))))))))))
(ミラーリング!)
周囲に攻撃を加えつつ進む。
魔物はベリルビーストが多い。
この攻撃呪文詰め合わせが最も効果が高いようだ。
((((((((((((((((((エナジードレイン!))))))))))))))))))
(ミラーリング!)
MPバーの回収も忘れちゃいけません。
目の前にいたベリルビーストのMPバーは一挙に枯渇する。
もうお前に用事は無い。
「カッ!」
ベリルビーストに思いっ切り一撃を加えて離脱する。
今日の断鋼鳥のコラは絶好調だ。
いや、絶好調なのはオレの方かな?
オレの後方ではカメが2匹、甲羅を下にしてひっくり返っている。
仕留めてはいない。
保留にしただけだ。
余裕があれば後で仕留めてみてもいい。
オレに向けて襲って来るのはガルムの群れ。
だが、土の中から蔦が伸びて絡め取って行く。
いきなり出現して来るのは奇妙な人影。
頭上のマーカーは黄色。
ミュルミドン達だ!
手にした短槍で次々とガルムを屠ってしまう。
そしてすぐに土の中に消えてしまった。
お礼を言う暇も無いな!
これは急がないといけない。
早い者勝ちの状況下でNPCに獲物をごっそりと持って行かれるのは避けたいものだが。
気になる。
魔人も屠っているけど魔神はまだいるのかな?
そしてサンタだ。
この場にいる奴がまだいる筈。
狙いたいものだ。
上空から亀の向けて幾つもの雷撃が加えられているのが見えた。
ロック鳥からの攻撃は間違いなくゲルタ婆様によるものだろう。
実に派手だ!
でも亀の頭上にも甲羅の上にも魔人が集結しているようである。
雷撃の幾つかは防がれてしまっているらしい。
そう、魔人が集結している、という事は?
サンタもいるよね?
「チェァァァァァァァァァァッーーーーー!」
では急ごう。
ベリルビーストを断鋼鳥のコラで文字通り叩き割って先を急ぐ。
魔人は逃がしちゃいけません。
それに魔人が集結している意味は?
魔神、いませんかね?
(ショート・ジャンプ!)
一気に距離を詰める。
目の前にはプリズムスラッグ。
でも気にしていられない。
(ショート・ジャンプ!)
すぐに跳ぶ。
今度は直接、亀の甲羅の上だ!
最初に目にした魔人は?
パントマイムメンターでした。
お前かよ!
「キィァァァァァァァァァァッーーーーー!」
肩口に向けて断鋼鳥のコラを撃ち込む。
だが両断は出来なかったみたいだ。
心に乱れがあったか?
断鋼鳥のコラから手を離す。
左手で抜き放ったのは呪魔蛇の小剣。
右手で腰の後ろにセットしてあった断鋼鳥のククリ刀を抜く。
左右から襲って来たのはソードダンサーとビーストメンター。
あのな。
邪魔だよ、お前等!
後ろでこそこそ動いている黒いサンタが見えている。
ほらね?
やっぱり、いた!
魔人の皆さん、ご機嫌よう。
でもすぐにさようなら。
全員、死ね。
サンタは死ね。
サンタを庇う奴も死ね。
死ぬがいい!
「ッ!」
サンタの首を折った感触は?
完璧だ。
HPバーもキッチリ砕け散っている。
ついでにエナジードレインでオレのMPバーも8割に達していた。
甲羅の上にはヴォルフもモジュラスも清姫も来ている。
では、次だ。
まだ亀の頭上にも魔人は残っている。
頭上を見るとロック鳥。
変わらず雷撃の槍が次々と降り注いでいるのだが。
その目標は明らかにこの亀の頭上にいる特定の奴だ。
まだ続いているという事は、間違いなく強いに違いない。
魔神かもしれないな。
【英霊召喚】は?
使える筈。
使うのであれば太公釣魚だろうか?
夢幻放浪を使う選択肢は厳しい。
その効果が不明だからだ。
今は悩むな。
感じ取れ!
(ショート・ジャンプ!)
ヴォルフの頭に軽く触れたまま跳ぶ。
亀の頭上に集まっていた魔人達の中だ!
右腕ですぐ傍の魔人を背後から首を抱える。
左手の呪魔蛇の小剣を脇から回り込ませて胸元を突く。
突いて、抉る。
呪魔蛇の小剣を抜くのと同時に右腕のロックを外し、断鋼鳥のククリ刀で喉元を薙いだ。
で、この魔人って誰?
サンタでした。
何だ、サンタか。
楽に死なせてしまった事に舌打ちをしながら周囲を見回す。
いた。
やはり魔神が、いた!
??? ???
魔神 ??? ???
??? ???
猟師姿の魔神だ!
筋肉バカとの戦いと途中で止められた事は忘れていない。
手にしているのは弓。
上空に向けて矢を放っている様子が見えた。
雷撃の直撃を喰らっているように見えて、手前で弾かれているようだ。
「ッ!」
ククリ刀で斬り付ける。
大きく後方へと跳んで避けられたのだが。
その口元には笑み。
こいつ、嗤ってやがる!
だが亀の頭上から地面へと落ちる形になったみたいだ。
魔神は?
オレに向けて恭しく一礼すると森の中へと消えてしまう。
舐めやがって!
「追うでない!」
「え?」
「あれは、魔神じゃ。」
亀の頭上にゲルタ婆様が来ていた。
結構、消耗している。
その黄色のマーカーには状態異常を示すマーカーが重なっていた。
待て!
背中に矢が何本か、突き刺さったままだ!
「矢が!」
「分かっておる!だがお主は触るな!呪いの力が込められておる!」
何と。
あの魔神が放ったのか?
ゲルタ婆様の弱りようはかなり酷い。
そのゲルタ婆様の両隣に人影が跳んで来た。
2人のゲルタ婆様。
いや、レプリカント?
そもそも目の前にいる3名のゲルタ婆様もどれが本物なのかが分からない。
困った仕様だ!
突き刺さった矢を引き抜かれるが、引き抜いたゲルタ婆様にも状態異常のマーカーが重なる。
危なかった。
触るだけで呪われちゃうのか?
しかもイビル・アイと同じ効果だ。
実に嫌らしい。
「ッ!」
無言でククリ刀を投げる。
サンタが背中を向けて逃げようとしていたのだ。
逃がす訳には行かないね!
「まずはここにおる魔物を掃討するぞ!手伝え!」
「その状態で大丈夫ですか?」
「まあ何とかなるじゃろ」
ゲルタ婆様がお怒りの様子を見せている。
やられっ放しではいられないのだろう。
うん、。
手伝います。
従わずに魔神を追い掛けたら後が怖そう。
何、オレにはヴォルフだっている。
追跡してみたらいいのだ。
それに今は周囲にサンタもいる。
こいつ等を残しておくのも寝覚めが悪い。
片付けますとも!
《只今の戦闘勝利で【小剣】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【小刀】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【刀】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【大刀】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【回避】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【光魔法】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【風魔法】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【土魔法】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【火魔法】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【溶魔法】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【灼魔法】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【二刀流】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『船岡』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
時刻は?
午後2時20分です。
周囲を見回すと死屍累々。
でも序盤で仕留めた魔物の死体はもう消えてしまって久しい。
周囲に残っているのはキムクイガーディアン・スレイブの死体。
それに魔竜の死体だ。
その中の何頭かはオレと召喚モンスター達が仕留めた奴も混じっている筈。
だが魔竜の死体はフォレストドラゴン達が始末して回っている。
ああ、やっぱり勿体無い!
船岡のステータス値で既に上昇しているのは精神力でした。
もう1点のステータスアップは知力値を指定しましょう。
船岡 玄武Lv33→Lv34(↑1)
器用値 37
敏捷値 48
知力値 48(↑1)
筋力値 37
生命力 85
精神力 49(↑1)
スキル
噛付き 巻付 回避 水棲 掘削 匂い感知 熱感知
振動感知 気配遮断 魔力遮断 堅守 変化 霊能
地脈操作 物理抵抗[大] 魔法抵抗[大] 自己回復[大]
MP回復増加[中] 猛毒 暗闇 石化 麻痺 即死
時空属性 光属性 闇属性 風属性 土属性 水属性
木属性 耐即死 毒無効
「どうかの?」
『半分は分散して逃げ去った。目論見以上の数だったのは確かだが残念な事だ』
「地上戦力は半分も潰せんかったじゃろ」
『魔神がいたのは少々目論見から外れたかな?』
「かなり本気で攻めて来ていたと見える。意外であった」
『老錬金術師よ。我等は魔竜の掃討を続けるが汝はどうする?』
「続けるとも。手が足りぬのであろう?」
『魔神は?』
「奴だけではサリナスの結界は抜けられぬ。それに遠くに逃げ去っておるであろうよ」
ふむ。
本当に、そうかな?
森の中に逃げた跡を追跡してみようか?
テレポートで跳んでしまっているかもだが。
まあ確認はいるだろう。
そして森に中にはまだ魔物が数多く放たれている。
大物となるキムクイガーディアン・スレイブは全滅したが、まだ狙い目は残っている筈。
魔人だ。
その中にはあのサンタだっているのだ。
「では私は残敵の掃討をします」
「分かっていようがな。無茶はするでないぞ?」
「ええ」
意外だ。
大いに励めとか言われると思ってました。
結構、優しい所もあるのかもしれません。
では、布陣変更だ。
リグと船岡は帰還で。
ルベルは戻そう。
そしてバンドルを召喚しました。
さあ、まだまだ獲物は多い。
そして森も広い。
競争相手も多いのはちょっと気になるけど。
やはり確かめに行こうか。
魔神の匂いは辿れると思う。
目印になるキムクイガーディアン・スレイブの死体はまだ残っていた。
では。
追跡してみよう。
魔物も寄って来てくれていい。
寄らば殺るだけだ。
(アポーツ!)
断鋼鳥のコラを回収する。
だがここからは追跡になるのだ。
重たい武器は使わずに済ませたい。
左手に神樹石のトンファー。
それだけでいい。
「リカバリー!」
魔力の回収をする武技を使ってみる。
MPバーは?
何と全快になってしまっている!
一体、どれ程も魔力がこの戦場で使われていたのか。
全く想像出来ないな!
(フォレスト・ウォーク!)
呪文を継ぎ足して先を急ぐ。
魔神の匂いは?
まだ残っているようだ。
ヴォルフの移動速度は落ちてない。
確実に捕捉出来そうな雰囲気なんだが、魔物が途中で襲って来るのが痛い!
気分的にはカーム・モンスターズを使いたいけど、それもまたイベント的に好ましくない。
寄らば斬る。
いや、寄らば殴る!
((((((((((((((((((ヒート・ウォール!))))))))))))))))))
(ミラーリング!)
しかし面倒なのは神魔蜂と神魔蜂女王。
ヒート・ウォール18連装ミラーリング付きは効果が高いが完璧でもない。
後背を衝かれる事があるのだ!
そんな蜂もモジュラスの張り巡らせている雲の巣の罠に掛かりまくっている。
確実に数を減らすのはいいんだが。
たまに周囲にプレイヤーの姿も見掛ける。
済まない。
邪魔している訳じゃないんだ!
バンドルが蜘蛛の巣に捉えられた神魔蜂と神魔蜂女王を一気に片付けている。
うむ。
先を急ごう。
魔神の匂いは確実にある。
相手は猟師の格好をしていた。
森の中では有利な戦闘スタイルなのだろう。
いや、そもそも魔神の力量は底が知れない。
どうにか切り札を使ってでも拮抗出来ればいいんだが。
今は悩むな。
魔神を追うのだ!
魔神はいた。
樹上の枝に腰掛けてこっちを睥睨している。
口元には笑み。
嗤ってやがる。
お前もオレにとっては許しておけない相手なんだが。
忘れてませんよ?
まあ罠に引っ掛かったと言えなくもない。
周囲の木々には魔人達が数多くいる。
サンタの姿もあった。
殺意が急上昇している。
まだだ。
もう少し、抑えろ。
『君か。装備が変わっていたから気付くのが少し遅れたよ』
「あの時、途中で戦うのを邪魔したろう?その事は忘れてないぞ」
『なら、どうする?』
「私と、戦え」
『まさか格闘戦で、と言うんじゃないだろうね?お断りだよ』
さて。
【英霊召喚】を使うなら何を選択する?
かなり難しい。
太公釣魚を使いたい所だが完全に包囲されている。
英霊のご老人には戦闘力は無いから使いたくない。
緋炎聖女、圧殺蹂躙も樹上にいる相手には相性が悪い。
天馬疾駆も森の中では使う意味は無いに等しい。
剣豪降臨か?
相手は全員、樹上にいるから相性がいいとは言い切れない。
夢幻放浪?
ある意味で賭けだな。
『君は魔神を倒したと聞いている。改めて聞こうか。魔神になるつもりは?』
「くどい」
『それじゃあ仕方ないね』
猟師姿の魔神の表情は見えない。
仮面をしているからだ。
だがまだ戦う気は無いらしい。
弓は肩に引っ掛けたままで手にしてない。
両手に得物は何も持っていません。
「真降魔闘法!」「エンチャントブレーカー!」「リミッターカット!」
「メディテート!」「ブレス!」「インテリジェンス・アタック!」
『交渉の余地は無い、か』
魔神の独白に構うな。
もう戦いは、始まっている!
((((((六芒封印!))))))
((((((七星封印!))))))
((((((十王封印!))))))
(ミラーリング!)
モジュラスと清姫には地の利がある。
ある程度、任せていい。
バンドルは巨躯であるが森の中でも器用に戦える。
しかも今はルベルの支援だってある。
ヴォルフはそのスピードを活かして大いに暴れてくれるだろう。
それでも数の不利を覆すのは厳しそうだ。
賭けに出よう。
(夢幻放浪!)
さあ、何が援軍になるんだ?
それもいいけど、サンタが色々と投げて来ている。
トーチジャグラーやソードダンサーもだ。
ちょっと待て。
やっぱり数が多いって!
(ルミリンナ!)
氷の城を出現させる。
壁を前に爆発が続くが気にしていられない。
城壁の上に英霊様達が立っているのが見えた。
スカピーノ ???
英霊 戦闘中
??? ???
タルタリア ???
英霊 戦闘中
??? ???
イル・カピターノ ???
英霊 戦闘中
??? ???
ラ・ルッフィアーナ ???
英霊 戦闘中
??? ???
プルチネッラ ???
英霊 戦闘中
??? ???
パンタローネ ???
英霊 戦闘中
??? ???
おい。
名前付きの魔人じゃねえか!
だが頭上のマーカーは確かに緑。
緑なのだ。
そして英霊、となっている。
何で?、
出現したのは6名。
だが各々の様子を確認している暇は無かった。
流れる弦楽器の調べが勇敢そのもの。
演奏しているのは、誰だ?
未見の魔人、スカピーノだ。
いや、この場合は英霊様?
どうにも混乱してしまいそうだ。
(エクストラ・サモニング!)
追加で召喚したのはスコーチだ。
状態異常に期待しての事だのだが。
それでも数の差は明らかだ。
城壁の上で見た風景は、魔物の群れ。
いつの間にか向こうも戦力を増量していたようです。
インセクトメンターらしき奴が指笛を吹いているみたいだ。
音は聞こえないけど。
ビーストメンターもビッグホーンリザードに騎乗して氷の城に迫って来る。
バカめ。
氷の城を築いた利はかなり大きいぞ?
ラ・ルッフィアーナが右手を掲げる。
その指には幾つかの指輪。
そのうちの1つの魔力が弾けるように高まっていた!
放たれたのは豪炎。
しかも幾つも放たれ、魔物の群れの中で炸裂して行く。
いや、有難いけどね。
氷の城を溶かさないでね?
((フラッシュオーバー!))
(((ライトニング・ブラスト!)))
((パラレル・シムーン!))
((プリズムライト!))
((ミーティア・ストリーム!))
((アシッド・レイン!))
((ヘイルストーム!))
((スウォーム!))
(ミラーリング!)
それでも押し寄せてくる魔物の群れ。
だが氷の城の城壁は強固だ。
一気に城壁の上に到達される事は無かった。
当面はこの氷の城を利用して迎撃すべきだろう。
で、魔神はどこだ?
それにサンタだ。
許すつもりは皆無なのです。
全員、ここで死ね!
主人公 キース
種族 人間 男 種族Lv117
職業 サモンメンターLv6(召喚魔法導師)
ボーナスポイント残 41
セットスキル
小剣Lv87(↑1)剣Lv88 両手剣Lv88 両手槍Lv92 馬上槍Lv95
棍棒Lv87 重棍Lv88 小刀Lv87(↑1)刀Lv89(↑1)大刀Lv87(↑1)
刺突剣Lv86 捕縄術Lv94 投槍Lv94 ポールウェポンLv95
杖Lv99 打撃Lv105 蹴りLv106 関節技Lv106
投げ技Lv105 回避Lv115(↑1)受けLv114
召喚魔法Lv117 時空魔法Lv104 封印術Lv103
光魔法Lv100(↑1)風魔法Lv100(↑1)土魔法Lv100(↑1)水魔法Lv100
火魔法Lv100(↑1)闇魔法Lv100 氷魔法Lv100 雷魔法Lv100
木魔法Lv100 塵魔法Lv100 溶魔法Lv100(↑1)灼魔法Lv100(↑1)
英霊召喚Lv6 禁呪Lv102
錬金術Lv87 薬師Lv17 ガラス工Lv24 木工Lv48
連携Lv97 鑑定Lv86 識別Lv96 看破Lv84 耐寒Lv80e
掴みLv80e 馬術Lv97 精密操作Lv80e ロープワークLv94
跳躍Lv50e 軽業Lv50e 耐暑Lv80e 登攀Lv60e
平衡Lv97
二刀流Lv89(↑1)解体Lv86 水泳Lv48 潜水Lv78
投擲Lv50e
ダッシュLv60e 耐久走Lv60e 追跡Lv84 隠蔽Lv85
気配察知Lv86 気配遮断Lv85 暗殺術Lv60e
身体強化Lv60e 精神強化Lv60e 高速詠唱Lv50e
無音詠唱Lv60e 詠唱破棄Lv60e 武技強化Lv91
魔法効果拡大Lv90 魔法範囲拡大Lv90
呪文融合Lv90
耐石化Lv80e 耐睡眠Lv80e 耐麻痺Lv80e 耐混乱Lv80e
耐暗闇Lv80e 耐気絶Lv80e 耐魅了Lv80e 耐毒Lv80e
耐沈黙Lv80e 耐即死Lv80e
獣魔化Lv16
召喚モンスター
船岡 玄武Lv33→Lv34(↑1)
器用値 37
敏捷値 48
知力値 48(↑1)
筋力値 37
生命力 85
精神力 49(↑1)
スキル
噛付き 巻付 回避 水棲 掘削 匂い感知 熱感知
振動感知 気配遮断 魔力遮断 堅守 変化 霊能
地脈操作 物理抵抗[大] 魔法抵抗[大] 自己回復[大]
MP回復増加[中] 猛毒 暗闇 石化 麻痺 即死
時空属性 光属性 闇属性 風属性 土属性 水属性
木属性 耐即死 毒無効
召魔の森 ポータルガード
ジェリコ、ティグリス、クーチュリエ、獅子吼、逢魔、極夜、雷文、守屋
シリウス、スーラジ、久重、テフラ、岩鉄、ジンバル、ビアンカ、虎斑
蝶丸、網代、スパーク、クラック




