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港町サリナスの周辺はまだ暗い。
地平線がやや明るくなっているんだが、何かの影が見えた。
遠過ぎてマーカーがまるで見えない。
巨大な何か、としか分からないな。
その数は8つ。
巨木のようにも見えるけど、動いているのもいる。
アレは一体?
どうもサリナスの防壁の上にもプレイヤーが大勢、いるようです。
NPCもだ。
でも特に緊張感が高まっているような雰囲気はしません。
何で?
その辺りの事情はフィーナさんに聞けばいいか。
嫌な予感がする。
どうもオレ好みの敵が迫っているように思えないのだ。
確信は無い。
どこかで見ているような気がするんですけど。
どこで見たんだっけ?
思い出せません。
「ああ、アレなら心配ないわ。味方だから」
「味方、ですか」
「そうガッカリしないで」
苦笑する声が漏れ聞こえている。
フィーナさんの隣に座るマルグリッドさんだ。
あの強大な影の正体は?
バオバブエント。
ダークエルフの守護精霊であるそうです。
「キースにも森の生長促進、手伝って貰ったら?」
「ファーマー系とランバージャック系の生産職プレイヤーが自信喪失しないかしら?」
「それもそうか」
「それにハンネスと与作に一任したんだし」
オレを放置したまま会話が続く。
でも気にしない。
オレの視線は目の前のラーメンに注がれている。
朝からラーメン?
あると思います。
静岡県藤枝周辺ではそう珍しくは無い。
「こっちから攻勢を、という話ですよね?」
「ええ」
「まあ牽制になるんだけど」
「王城攻略の主力はドラゴン達でやるみたいね」
「それ、ギルドの依頼ですか?」
大きく頷く2人。
彼女達の前にもラーメンが並べられる。
オレと同様に2杯。
温かいラーメンと冷たいラーメンだ。
但し量はオレが食べ進めている量の半分にもならないだろう。
「具体的には?」
「サモナー系のプレイヤーを中心にユニオンを組んで王城の南側から牽制になるんだけど」
「E12マップのエリアポータルはまだ未確認よ。出来ればその確認をお願いしたいわ」
「確保も、ですよね?」
「そこまで求めてないけど。正直言って、期待はしてるわ」
ふむ。
ラーメンを啜る音が響く。
カニ程ではないけど、美味いラーメンを前にすると会話は途絶えてしまうな。
先に片付けた方がいいんじゃないかな?
それにヴォルフ、マルグリッドさんが食べている様子を凝視しちゃダメ。
このラーメン、八王子系であるのかダマネギが結構使ってあるのだ。
「了解です。やってみましょう。メンバーは他にいますか?」
「ええ。貴方にとってお馴染みの面々と思ってくれていいわ」
「魔人側の浮き島ですが、残骸の調査もあったと思いますが」
「攻略組が既に確認に動いているわ。心配しなくていいわ」
「はあ」
さて。
スープを飲み干したら出発にするにはいい時間になりそうだ。
空がかなり明るくなってきている。
それにしても同行する事になるプレイヤーはどんな面々になるんだろう?
何となく、分かっちゃいますけどね。
「アデルも、だよな?」
「勿論!イリーナちゃんも一緒!」
オレがスープを飲み干したラーメン丼2つを片付けに来たアデルだが。
ちょっとだけ非難しているかのような視線が飛んでいる。
フィーナさんだ。
内緒にしていたのが台無しになっているからだろう。
まあそんなアデルもその視線に気付いていない。
ナインテイルを愛でるのにもう夢中です。
おい。
片付けはいいのかな?
「えー、そういう訳でこの面々でE12マップのエリアポータルを目指す事になったんだが」
『はい』
『何だか緊張しちゃいますね』
そうか?
此花の意見には賛成出来ない。
オレの話などそっちのけで召喚モンスター達を抱えて愛でている奴がいる。
約2名だけですけど。
他にもナイアスを遠目から眺めてニヤニヤしている連中もいる。
緊張感って何?
「夜も明けた事であるし、空中移動を基本にする。布陣変更を終えたら早速出発だ」
『了解です』
『それにしても、結構な戦力になりそうですね』
ヒョードルくんの言う通り、相当な戦力であろう。
でも一抹の不安だってある。
アデルも春菜も、モフモフな召喚モンスターの成長に偏っている。
駿河、野々村は人魚系に偏っている。
ヘラクレイオスくんは仕方ない事ではあるが、アンデッドに偏っている。
バランスを考慮したら底上げが必要になるかもしれません。
いや、それにしても多い!
布陣がどうなるかなんて、把握出来ん!
「これ、一体何名いるんだ?」
『キースさんを入れてちょうど40名って所!』
『正確にカウントしたら42名ですね』
アデルは適当に。
イリーナは正確に答えてくれている。
オレにしてみたらどっちでも意味は大きく変わらない。
たくさん、という事で宜しいか?
「【英霊召喚】が使えるプレイヤーはどれだけいるかな?」
『キースさんを含めて13名になります』
『【精霊召喚】なら7名です』
やはり頼りになるのはイリーナに此花か。
そして【英霊召喚】を使えるプレイヤーがこれだけ多いと心強い。
同時に使って重ね掛けにしてしまえば相乗効果も高いからな。
「分かった。ああ、アデル!春菜!」
『ふへ?』
『何でしょう?』
「そろそろ、帰還させるから。愛でるのはそこまでだ」
アデルと春菜は2人掛かりでヴォルフをずっと愛でていたのです。
自前のがいるのに、どうして他のプレイヤーのモフモフを愛でたがるんだ?
困った奴等め。
では、布陣を見直しましょう。
ヴォルフ、ナインテイル、ナイアス、スコーチは帰還だ。
何故か盛大な溜息が聞こえたけど気にしません。
消える間際でもナイアスの笑顔に変化は無い。
いや、愛想が良過ぎて誤解が生まれちゃいそうです。
召喚するのは?
蒼月、スパッタ、イグニス、アイソトープです。
これに黒曜が加わる布陣だ。
『うおっ!やっぱ凄え!』
『キースさん、この子って第四段階?』
「ああ、そういう事になるかな」
『ドラゴンって第五段階は本当にあるのかねえ?』
『あったとしていつになるものやら』
それはオレも同意します。
アイソトープ達ドラゴン組は他の召喚モンスターと同様、通常進化のパターンであると思う。
次のクラスチェンジがあるとしたらレベル32だ。
現在、アイソトープがレベル8です。
いかん。
ちょっと気が遠くなった。
『ドラゴンも増えているけどクラスチェンジはまだ遠そうです』
「確かにグレータードラゴンはいないな」
それに第五段階の召喚モンスターの姿も少ない。
プレイヤーにしても種族レベルで80を超えているのも数名のみ。
アデル、イリーナ、春菜、此花、ヒョードルくん、ヘラクレイオスくん、ゼータくんだけです。
エクストラ・サモニングが使える面々も彼等だけだ。
駿河と野々村はもうちょっと、経験値を稼げば到達出来そうです。
他のサモナー系プレイヤーも種族レベルで60を下回っているプレイヤーはいないようだ。
大変結構。
サモンマスター、セインツ、デスマスターに到達していないプレイヤーもいるけど心配はしてません。
ちょっと鍛えたらクラスチェンジしちゃうと思う。
ちょっと面白いのは2名のドワーフだ。
装備を見たら、完全に前衛です。
ヒョードルくんとゼータくんの場合、エルフなのに前衛で活躍しているのはどうかと思う。
ドワーフの場合はそもそも前衛向けであるのにサモナーを選択するのはどうかと思うのだ。
以前からドワーフでサモナー系はレアではあっても見掛ける事はあった。
それでも後衛であったように思ったんだが。
彼等は間違いなく前衛。
両者とも手にしているのはポールウェポン級の長柄武器です。
まあ多彩な面々がいて面白いが、そんな中で注目の召喚モンスターがいます。
ロック鳥、それにガルーダがいる!
そしてデモンズスレイブ?
こいつは未見だが、似たような存在は知っている。
デモンズアポストルだ。
このデモンズスレイブはその威容で格落ちであるものと知れる。
恐らくだがクラスチェンジしたらデモンズアポストルになるのだろう。
鳥と昆虫が合体したかのような奇妙な姿をしてます。
それにしてもおかしい。
ロック鳥とガルーダは魔物として既に狩っている相手で知らない訳じゃない。
師匠のロック鳥、あれって大き過ぎるんじゃないの?
ここにいる召喚モンスターのロック鳥はドラゴンをやや上回る程度です。
グレータードラゴンには及ばないだろう。
だが師匠のロック鳥はそんなグレータードラゴンより明らかに大きいのだ。
レベルアップするに従って大きくなるパターンかな?
アスピドケロンのプリプレグみたいに。
まあいい。
空中を移動しながら互いの召喚モンスターを見比べる事になるだろう。
これも臨時の交流会かな?
今更だけど、オレにも新鮮な驚きがある。
『雑談はここまで!お互いの召喚モンスを見比べるのは空中でも出来ますよー!』
おっと。
此花の言う通りです。
オレも見比べている場合じゃない。
移動だ。
目指す場所はE12マップになる。
一旦、南東へ向かおう。
E10マップに行って、そこから東だ。
その前に、眼下にいるバオバブエントも観賞しておこう。
港町サリナスを防御する構えであるそうですけど。
どれ程の戦力なんでしょうね?
『凄い!凄い!』
「まさか、こんな短期間で地形を森にしたのか」
『ファーマー系、それにランバージャック系のプレイヤーが頑張ってるみたいですね』
おかしい。
昨日までは小さな森がありはしたが、ほぼ平原だった筈。
それが今や森、森、森だ!
しかも結構深いようです。
バオバブエントがゆっくりと、森の中を移動する様子はどこか現実離れした光景だ。
その頭上にはバードマンとドラゴニュートが編隊を組んで警護する構えのようです。
一体、どれ程のマンパワーがあればこんな真似が出来るのだろう?
きっと魔法による成果なんだろうけどさ。
森の帯は港町サリナスを中心とした半円状に広がっている。
これ、まだまだ大きくなって行きそうだ。
「少し速度を上げよう。ついでに高度もだ!」
『了解!』
コール・モンスターで見える範囲に魔物は?
いる。
いるけど碌な相手がいないようだ。
魔人が引き連れていたであろう魔物の姿は無い。
(カーム・モンスターズ!)
さて。
E10マップに行こうか。
良く考えたらE10マップは行った事が無いんだが。
どんな場所でしょうかね?
眼下に広がるのは丘陵地。
中々、牧歌的な光景と言えるのかも?
だが、出現する魔物は牧歌的とは程遠い。
ドラゴンが、いる!
『追加が来ます!東からビートル7とスタッグ3!』
『北東からニュートが1頭、来ます!』
「いい知らせじゃないな!」
全く、悪い知らせだ。
質、それに量の両方の面で不足しているぞ!
アラバスターを寄越せよ!
『キースさん!【英霊召喚】は?』
「大丈夫だ!まだ切り札無しで狩れる!」
『上空へ!地表近くに滞空すると危険だ!』
「次を落とすぞ!急降下攻撃のタイミングは任せる!」
『ヤァ!』
カーズド・シャドウ17連装ミラーリング付だとビートルドラゴンであれば一気に瀕死に出来る。
だが今は封印だ。
簡単に仕留めてしまったのでは面白くない。
本格的な強敵と戦う前の肩慣らしにはいい相手になってくれるだろう。
次の相手は?
ニュートドラゴン、お前だ!
((ダウンバースト!))
((キャタラクト!))
((グラビティ・プリズン!))
((ホーリー・プリズン!))
((ダーク・プリズン!))
((カーズド・ワーム!))
((ドラウト・ゾーン!))
(ブラックベルト・ラッピング!)
(レインボー・チェイン!)
(アイアン・メイデン!)
(ミラーリング!)
ブレスが飛んで来るのに構わずニュートドラゴンを分断する。
そのまま地表に落下するけど、仕留めには行かない。
アレは皆の獲物だ。
次に狙うのは?
ビートルドラゴンです。
温い相手にはさっさと退場して貰おう。
「マキシマム・チャージ!」
交錯するついでに蒼月を駆って突撃。
胴体を削る形で直撃、ついでに片方の翼を抉り吹き飛ばしたようだ。
落ちるビートルドラゴンのマーカーを確認。
HPバーは既に砕け散ってしまっていた。
おい。
一撃で沈むな!
オレが楽しくないだろうが!
『急降下第一陣、行きまーーーーーーーーーっす!』
『おう、いてまえ!』
『第二陣、編隊組んで!すぐに行くよ!』
アデルとイリーナが中心となった急降下部隊は火力重視の召喚モンスターが揃っている。
ドラゴン、それにキメラ系に鵺系の召喚モンスターだ。
鉄の棺桶を突破した次の瞬間には大火力の壁で押し潰す事になる。
まあ、アレだ。
急降下爆撃機みたいな存在になるだろう。
『急降下第二陣も行きます!』
『ヒョードル!フォローよろしく!』
『了解!』
ヒョードルくんとヘラクレイオスくんが率いるのはフェアリー系の召喚モンスター達。
各種、多彩な属性を備えており万事に於いて支援を手厚く出来る。
例えるなら戦闘攻撃機?
ちょっと違うような気がするけどね。
そして空中戦の主役はホーク系とフクロウ系の召喚モンスター達。
完全に戦闘機、いや迎撃機だ!
高い空中機動力を駆使して襲って来るドラゴンを翻弄し続けていた。
『キースさん!ニュートが上がってきます!』
『封印が外れてます!』
「任せろ!回避優先で!」
『了解!』
ふむ。
氷の棺桶で氷漬けにしてやった奴がもう復活か。
鉄の棺桶で分断じている奴と組まれて暴れられても面倒だ。
再度、地表に墜落して貰おうか!
(((((((((((((((((アイス・コフィン!)))))))))))))))))
(ミラーリング!)
ああ、ダメだ。
やっぱりアラバスタードラゴンが要る。
どこにいる?
きっと、いる。
ニュートドラゴンがいるならアラバスタードラゴンがいてもいいじゃないの。
『アラバスターです!』
『何?』
『キースさん!』
「何頭いる?」
『1頭です!接触まで1分ありません!』
『【英霊召喚】なら、行けます!』
ああ、此花ちゃん。
準備を既にしていたのは分かる。
でもね。
アラバスタードラゴン1頭で【英霊召喚】を使うのは勿体無いよ!
「ダメだ!温存しておけ!」
『まだ使わないんですか?』
「ギリギリまで待て!大丈夫、狩れる!」
凄まじい勢いで突っ込んでくるアラバスタードラゴン。
その周囲で召喚モンスター達が一気に散る。
ブレス攻撃を細かく周囲に吐きながら迫るその威容は強敵の予感。
【識別】する余裕も無さそうだ。
((((((八部封印!))))))
((((((九曜封印!))))))
(((((イビル・アイ!)))))
(ミラーリング!)
交錯しつつ封印を試みる。
マーカーは?
見えないよ!
「アラバスターのマーカー確認!」
『九曜が効いてません!八部とイビル・アイは確認!』
大規模ユニオンによる戦闘で最も大事な事は何か?
戦況をリアルタイムで把握出来るかどうかだろう。
高空に位置して戦況を確認しているのは春菜と此花。
共にシンクロセンスを使って広域の警戒とアラバスタードラゴンのマーカー確認をしてくれている。
実に有難い!
(((((((((((((((((プラズマ・ブラスト!)))))))))))))))))
(ミラーリング!)
再び交錯。
蒼月がギリギリ、回避してくれている。
そして至近距離から攻撃呪文を叩き込む。
片翼の一部がボロボロになって消失しているけど仕留め切れない!
おお?
いい感じでかなりタフな奴。
レベル高めであるのは間違いないだろう。
『ニュートは沈めました!』
「残りは?」
『スタッグは3、ビートルは2、ニュートなし!』
「で、加えてこいつか」
メインディッシュは目の前のアラバスタードラゴン。
こいつは逃す事はないけどね。
少し、待つがいい。
その死に様はもう決まっている。
お前はここにいる全員に集られて死ぬのです。
そういう運命なのだ。
(((((((((((((((((アイス・コフィン!)))))))))))))))))
(ミラーリング!)
氷の棺に封じられたアラバスタードラゴンが地表に落下する。
まあ大した時間稼ぎにはならない。
だがその僅かな時間が貴重だ!
「スタッグドラゴンを先に仕留める!戦力を集中!」
『急降下部隊は上空へ再集結中!もう少し時間を下さい!』
『ヒョードル!右へ旋回、支援に回って!』
『右だな?了解!』
『ゼータ!そろそろ支援を開始して!』
『もう始めたよ!』
天空に歌声が響く。
ゼータくんが預かっているのは天使達。
独自判断で【精霊召喚】を使う事も任せてあったが、まだ精霊の姿は無い。
いや、フェアリークイーンがフェニックスを召喚しているようですよ?
「誰かダメージを喰らっているのか?」
『ビートルのブレス攻撃です!どうにか凌ぎます!』
『編隊を組んで壁呪文を!』
『駿河!野々村!後方注意!』
数は減っている。
それは間違いないのだが、生き残っているドラゴンは各々、奮戦してくれているようだ。
うん。
それでいい。
皆も楽しめている事だろう。
(((((((((((((((((プラズマ・ブラスト!)))))))))))))))))
(ミラーリング!)
スタッグドラゴンに迫るとプラズマ・ブラスト17連装ミラーリング付きを喰らわせる。
同時に蒼月も雷撃の雨を降らせ、勢いのままに突撃する!
双角猛蛇神の騎士槍に伝わる手応えは確かなものだ。
スタッグドラゴンは腹に大穴を空けてしまい、そのまま墜落。
沈んだみたいだな。
『数は減ってるよ!もう少し!』
「今のうちに高度を取って集中攻撃の用意だ!アラバスターは全員で一気に仕留めるぞ!」
『ヤァ!』
ビートルドラゴンの翼に突撃で大穴を空けつつ旋回。
そのオレの両翼に黒曜、スパッタ、イグニスが位置する。
アイソトープは?
地表でビートルドラゴンを解体中でした。
そう、解体。
バラバラ死体にしなくていいから、こっちに来い!
さあ、まだまだお楽しみはこれからだ。
宴だ。
どれ程、強力なドラゴンであっても倒す手段はある。
保険もある。
イビル・アイで弱体化をさせ続け、封印が効いているうちは大丈夫。
狩れる。
消耗はある、と思うけどね!
《只今の戦闘勝利で【気配察知】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『黒曜』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
『被害状況、確認終えました!』
『プレイヤーに死に戻りやステ異常はいません。不思議な事に』
『召喚モンスの死に戻りはありません。ステ異常はいますけど』
「そうか。剥ぎ取り作業が終わったら移動でいいな?」
『それは大丈夫、だと思います』
剥ぎ取り作業は進んでいません。
何故ならば、全員が何かしらのステータス操作をしているからだ。
中にはクラスチェンジ操作もあるようだ。
ほらね?
皆で幸せになれて良かったではないか!
下手したら全滅の危険があったのは気にしちゃいけません。
黒曜のステータス値で既に上昇しているのは知力値でした。
もう1点のステータスアップは精神力を指定しましょう。
黒曜 フォレストアイLv31→Lv32(↑1)
器用値 38
敏捷値 83
知力値 61(↑1)
筋力値 38
生命力 38
精神力 61(↑1)
スキル
嘴撃 爪撃 無音飛翔 回避 遠視 広域探査 夜目
反響定位 奇襲 危険察知 気配遮断 魔力遮断
空中機動 天耳 自己回復[微] 物理抵抗[微]
魔法抵抗[中] MP回復増加[大] 時空属性 光属性
闇属性 火属性 風属性 水属性 氷属性 呪眼
即死 耐即死
インフォに続きはない。
これだけか。
あのアラバスタードラゴンは中々の強さであったのだが。
もっと大苦戦しなきゃダメなのかね?
『うわ!また大きくなってる?』
『大き過ぎて困っちゃわない?』
春菜と此花の会話だが。
ちょっとイケナイ妄想をしてしまったのは内緒だ。
彼女達が見ている先にはロック鳥。
そのレベルは35になっている。
おや?
クラスチェンジ、してないの?
すぐ傍にいるのはヒョードルくんだ。
彼の配下となる召喚モンスターであるらしい。
「ロック鳥か」
『ええ。また巨大化しちゃってます』
「もっと大きな個体を見た事はあるよ。それにこれなら背中に乗る事も出来そうだね」
『それ、出来るんですけど、空中戦になったら酷い事になるんですよ』
ああ、それもそうか。
オレも師匠のロック鳥に乗った事はあるけど、その状態で空中戦に巻き込まれた経験は無い。
確かに大変だろうな。
鞍みたいなものを装備させるにしても、成長を続けるタイプだと新調する方が大変だ。
「クラスチェンジしないタイプか」
『ええ。そろそろドラゴンの大きさを超えちゃいそうですねえ』
そう。
ロック鳥の隣にはアイソトープがいる。
胴体の太さで言えばヒョードルくんのロック鳥の方が大きいだろう。
HPバーは6割程にまで減っていて、結構なダメージを喰らっているようだ。
でも回復している様子が分かる。
戦鬼みたいに極端な回復具合じゃないけど、かなり早い!
そしてアイソトープの向こう側に並んでいるのはガルーダだ。
対比がおかしいけど、こっちも大きい。
やはりオレが配下に加えていない召喚モンスターに目が向いてしまう。
エンジェルナイト、デモンズスレイブ、狒々面鵺、妖狐。
フラッシュキメラ、エルダーキメラ、フラッシュキメラ、ラーヴァキメラといったキメラ軍団。
モノペガサス、そしてヒッポグリフ。
壮観だ!
こうして佇んでいると、別にオレ自身が全ての召喚モンスターを揃える必要は感じない。
このまま鍛えて成長する様子を見ているだけでも楽しい。
満足です。
だが。
こうなったらここにいるプレイヤーも全員、種族レベル70をクリア出来ないかな?
今の戦闘を何度か、繰り返せば今日のうちに達成できそうだけど。
まあ人それぞれに用事もあるだろうからな。
無理強いはしません。
それだけにE12マップへ行くまでの間、楽な戦闘はしないように心掛けたい。
問題は?
積極的に、魔物を殲滅するのはいいんだが温い相手はお断りだ。
アラバスタードラゴンを所望する!
もっと数がいませんかね?
『小休止は何時頃にしましょうか?』
「午前9時前後でインスタント・ポータルを使えばいいんじゃないかな?」
『それまでに移動距離が稼げたらいいんですけど』
「カーム・モンスターズを使おう。弱い魔物との遭遇は減るだろう」
『それ、ビートルドラゴンやスタッグドラゴンまで寄らなくなりませんか?』
「まさか」
本音を言えばそうであって欲しいけどね。
ドラゴンはどれもコール・モンスターもまともに効いていない相手なのだ。
面倒かもだけど、相手をするしかない。
カーム・モンスターズも無意味ではあるまい。
このマップにいる空中担当の魔物はコール・モンスターで把握済みだ。
ワイバーン。
もうここにいるプレイヤーであれば誰であっても温い相手だろう。
『布陣変更は今のうちに!もう少し経ったら出発しますよー!』
おっと。
オレも布陣変更をしておこうか。
黒曜は帰還、メジアンを召喚しておこう。
アラバスタードラゴン対策?
2頭以上の数を相手にするならこれでも足りない。
やはりオレも手数を掛けねばならないだろう。
だが。
戦況を見てくれている仲間がいてくれるのは心強い。
意外と2頭までなら【英霊召喚】等の切り札無しで倒せるかも?
それに今の戦闘で皆、レベルアップしているし。
来てくれないかな、アラバスタードラゴン2頭。
しかも同時にだ。
期待して、いいよね?
《只今の戦闘勝利で【呪文融合】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『スパッタ』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
E10マップの中央はアッサりと通過です。
理由は単純、エリアポータルが無かったからだ。
そこに不満は無い。
移動目標は飽くまでもE12マップ。
まだまだ先があるのです。
いや、文句を言いたい事ならある。
もっとアラバスタードラゴンっていないの?
魔人側の浮き島を護衛していた奴とか、そこそこの数がいたと思うのだが。
出し惜しみしないで欲しいものです。
スパッタのステータス値で既に上昇しているのは知力値でした。
もう1点のステータスアップは精神力を指定しましょう。
スパッタ オーロラウィングLv31→Lv32(↑1)
器用値 37
敏捷値 103
知力値 51(↑1)
筋力値 37
生命力 37
精神力 51(↑1)
スキル
嘴撃 飛翔 回避 遠視 広域探査 看破 追跡
強襲 危険察知 空中機動 自己回復[小] 物理抵抗[小]
魔法抵抗[中] MP回復増加[中] 光属性 風属性
土属性 雷属性 電離 分解 分身 耐即死 耐混乱
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『イグニス』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
そしてE11マップに突入。
やはり牧歌的な風景。
牧場がずっと、続いているようです。
所々で畜舎やサイロみたいな建物もあった。
もしかして、元々は魔物が出現しないマップであるのかも?
家畜の姿もいたりするし。
魔物は?
ドラゴンしかいない。
カーム・モンスターズを使うまでも無かった。
アラバスタードラゴンが少ないのはちょっと不満だけど。
いないわけじゃないみたいだ。
それにしても、このマップにもエリアポータルが無い。
こうなると心配だ。
E12マップまでもう少し。
そこにエリアポータルがあるのか?
ちょっと心配になる。
イグニスのステータス値で既に上昇しているのは敏捷値でした。
もう1点のステータスアップは器用値を指定しましょう。
イグニス 朱雀Lv31→Lv32(↑1)
器用値 41(↑1)
敏捷値 86(↑1)
知力値 55
筋力値 47
生命力 47
精神力 40
スキル
嘴撃 蹴り 飛翔 回避 霊能 霊撃 遠視 夜目
広域探査 強襲 天啓 空中機動 自己回復[大]
物理抵抗[小] 魔法抵抗[小] MP回復増加[中]
火属性 風属性 土属性 溶属性 耐即死 毒無効
『午前9時10分になりました。小休止にします?』
「いい頃合いだな」
E12マップに突入する前に休憩ですね。
他のプレイヤーへの配慮も要る。
ユニオンを組んでの移動になると、どうしても距離を稼ぎ難い。
まあ、いい。
この先に何が待ち構えているか、知れたものではない。
これだけの戦力と共にいるのは安心感もある。
気分だけで言えばこのまま王城に攻め込んでもいい程なのだ。
いや、割と本気でそうしてみたくなっているけど。
危ない。
目的を見失ってはいけない。
目指すべき場所はE12マップの中央なのだ。
忘れてませんよ、フィーナさん!
主人公 キース
種族 人間 男 種族Lv113
職業 サモンメンターLv2(召喚魔法導師)
ボーナスポイント残 29
セットスキル
小剣Lv84 剣Lv86 両手剣Lv86 両手槍Lv89 馬上槍Lv90
棍棒Lv83 重棍Lv84 小刀Lv84 刀Lv86 大刀Lv86
刺突剣Lv84 捕縄術Lv90 投槍Lv88 ポールウェポンLv90
杖Lv95 打撃Lv102 蹴りLv102 関節技Lv103
投げ技Lv103 回避Lv111 受けLv111
召喚魔法Lv113 時空魔法Lv100 封印術Lv99
光魔法Lv95 風魔法Lv95 土魔法Lv95 水魔法Lv95
火魔法Lv95 闇魔法Lv95 氷魔法Lv95 雷魔法Lv95
木魔法Lv95 塵魔法Lv95 溶魔法Lv95 灼魔法Lv95
英霊召喚Lv5 禁呪Lv98
錬金術Lv82 薬師Lv17 ガラス工Lv24 木工Lv47
連携Lv93 鑑定Lv83 識別Lv93 看破Lv79 耐寒Lv80e
掴みLv80e 馬術Lv93 精密操作Lv80e ロープワークLv90
跳躍Lv50e 軽業Lv50e 耐暑Lv80e 登攀Lv60e
平衡Lv94
二刀流Lv87 解体Lv84 水泳Lv44 潜水Lv76
投擲Lv50e
ダッシュLv60e 耐久走Lv60e 追跡Lv72 隠蔽Lv81
気配察知Lv82(↑1)気配遮断Lv81 暗殺術Lv60e
身体強化Lv60e 精神強化Lv60e 高速詠唱Lv50e
無音詠唱Lv60e 詠唱破棄Lv60e 武技強化Lv87
魔法効果拡大Lv85 魔法範囲拡大Lv85
呪文融合Lv86(↑1)
耐石化Lv80e 耐睡眠Lv80e 耐麻痺Lv80e 耐混乱Lv80e
耐暗闇Lv80e 耐気絶Lv80e 耐魅了Lv80e 耐毒Lv80e
耐沈黙Lv80e 耐即死Lv80e
獣魔化Lv13
召喚モンスター
黒曜 フォレストアイLv31→Lv32(↑1)
器用値 38
敏捷値 83
知力値 61(↑1)
筋力値 38
生命力 38
精神力 61(↑1)
スキル
嘴撃 爪撃 無音飛翔 回避 遠視 広域探査 夜目
反響定位 奇襲 危険察知 気配遮断 魔力遮断
空中機動 天耳 自己回復[微] 物理抵抗[微]
魔法抵抗[中] MP回復増加[大] 時空属性 光属性
闇属性 火属性 風属性 水属性 氷属性 呪眼
即死 耐即死
スパッタ オーロラウィングLv31→Lv32(↑1)
器用値 37
敏捷値 103
知力値 51(↑1)
筋力値 37
生命力 37
精神力 51(↑1)
スキル
嘴撃 飛翔 回避 遠視 広域探査 看破 追跡
強襲 危険察知 空中機動 自己回復[小] 物理抵抗[小]
魔法抵抗[中] MP回復増加[中] 光属性 風属性
土属性 雷属性 電離 分解 分身 耐即死 耐混乱
イグニス 朱雀Lv31→Lv32(↑1)
器用値 41(↑1)
敏捷値 86(↑1)
知力値 55
筋力値 47
生命力 47
精神力 40
スキル
嘴撃 蹴り 飛翔 回避 霊能 霊撃 遠視 夜目
広域探査 強襲 天啓 空中機動 自己回復[大]
物理抵抗[小] 魔法抵抗[小] MP回復増加[中]
火属性 風属性 土属性 溶属性 耐即死 毒無効
召魔の森 ポータルガード
ジェリコ、クーチュリエ、極夜、バンドル、ロジット、船岡
守屋、スーラジ、久重、テフラ、岩鉄、キュアノス、ノワール
ビアンカ、虎斑、蝶丸、網代、スパーク、クラック




