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「後方はアラバスターに捕捉されたままだ!襲撃して来る様子は無し!」


『了解!』


『前方に魔物の戦列を確認!接触まで約1分!』


 アラバスタードラゴンは後方を追尾、オレ達は捕捉され続けているのだが。

 なのに襲って来る様子を見せていない。

 何故だ?

 だが今、優先すべきは進行方向の魔物の戦列を突破する事だ。

 そっちの空中戦力はビートルドラゴンだけになる。


 オレの今の役目は空中からの支援だ。

 状況に応じて自由裁量で動いていい事になっている。

 さあ。

 何を狙おうか?

 キムクイガード・スレイブの間に展開する魔物の戦列は?

 最前列にオブシディアンビースト。

 その後方にガルム、トライホーンリザードが控えている。

 大丈夫。

 先制出来さえすればオレの助けなど必要ない。

 突破はそう難しくないだろう。



「上空のビートルドラゴンを先に片付ける!いいか?」


『了解!』


 ビートルドラゴンか。

 正直、物足りないけど仕方ない。

 期待の星は後方から追って来ているアラバスタードラゴンであるのだが。

 早く!

 早く襲って来いって!



『呪文詠唱開始!タイミング合わせて!』


 さあ、そろそろだ。

 序盤に打つ手によっては展開がまるで違って来るだろう。

 【英霊召喚】も一気に投入される予定と聞く。

 きっと凄まじい光景になるのだろう。



『突撃、開始!』


『オォォォォォォォーーーーーーーッ』


 吶喊しながら駆ける速度を上げて行く地上戦力。

 そして彼等の頭上を竜騎兵が続く。

 無論、オレもだ!



『【英霊召喚】を!』


『太公釣魚!』


『緋炎聖女!』


『圧殺蹂躙!』


『天馬疾駆!』


 英霊達が一斉に出現、その先頭を駆けるのは聖女様だ。

 そしてプレイヤー全員に【英霊召喚】による効果が重なる。

 これ以上に無い支援だ!


 オレの右側にも天馬ペガサスに騎乗する英霊の姿が見える。

 この英霊こそが最大の競争相手になるだろう。

 負けていられない。

 ビートルドラゴンであっても逃してはいけません!



『上空、ビートルドラゴンが来ます!』


『先頭、接触!』


「続けて突っ込め!上空は気にするな!」


 オブシディアンビーストの戦列に聖女様が、続けて戦車を駆る英霊様が突っ込んで行く。

 あの重装甲のオブシディアンビーストが次々と吹き飛んでいる。

 見事だが見惚れている暇は無い。

 ビートルドラゴンの数は10体ほど。

 出来るだけ多くを狩って減らしておきたい所だ。








《只今の戦闘勝利で【魔法効果拡大】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【魔法範囲拡大】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『アイソトープ』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に2ポイントを加算して下さい》



「こちら最後尾、全員通過を確認!」


『了解!被害は?』


『現時点で死に戻り、ありません!』


『ステータス異常がいます!振り切ったらユニオンを抜けてテレポートさせて下さい!』


『了解!後方はどう?』


「まだアラバスターがいる!」


 そう。

 まだ後方にアラバスタードラゴンが追って来ている。

 スコーチの目をシンクロセンスで借り、確認した数は8体。

 多過ぎ!

 相変わらず、こっちを襲って来るような様子が無いのは不思議だ。

 こっちに追い付ける筈であるのに。


 かと言ってこっちから襲うのは無謀だろう。

 【英霊召喚】の太公釣魚をどれだけ注ぎ込めばいいんだ?

 とてもじゃないが狩れそうな感じがしない。


 魔物による防御陣は大苦戦していたものの、どうにか突破はしたんだが。

 キムクイガーディアン・スレイブを避けていた事を考慮してもおかしい。

 手薄に感じる。

 何らかの意図があるんじゃないのか、これ?



 アイソトープのステータス値で既に上昇しているのは筋力値でした。

 もう2点のステータスアップは敏捷値と生命力を指定しましょう。



 アイソトープ ウラノスドラゴンLv7→Lv8(↑1)

 器用値 36

 敏捷値 72(↑1)

 知力値 36

 筋力値 57(↑1)

 生命力 57(↑1)

 精神力 36


 スキル

 噛付き 引裂き 頭突き 飛翔 回避 跳躍 疾駆

 夜目 水棲 空中機動 水中機動 自己回復[中]

 物理抵抗[小] 魔法抵抗[中] MP回復増加[小]

 捕食吸収 ブレス 時空属性 光属性 闇属性

 火属性 風属性 水属性 塵属性 毒耐性 耐即死



『ダメだ!テレポートがまだ出来ない!』


 だが問題発生。

 アラバスタードラゴンに捕捉されているからなのか、テレポートはまだ使えないみたいだ。

 これは痛い。

 結構、距離は離れていると思うのだが。

 何か別の仕掛けでもあるのか?



『インビジブル・ブラインドを使って分散して逃げるか?』


『ダメだ!両翼にも魔物が来てるぞ!』


「正面!ドラゴンだ!」


 マズい。

 正面から来るのはドラゴンの群れ。

 ニュートドラゴンにアラバスタードラゴン。

 だがそれだけではなかった。


 雲母竜、だと?

 まさかと思うが、あの魔神もいるのか?





『どこかに突破口は?』


『ダメだ!完全に包囲されてる!』


 完全に嵌められた。

 統率もとれなくなってしまい、独自に逃げようとしたプレイヤーまでいる。

 包囲の輪をインビジブル・ブラインドで抜けようとしたみたいだが。

 オレ達の目の前でブレス攻撃を喰らって死に戻ってしまっていた。

 あれは酷い。

 トラウマものだろう。


 周囲はどうか?

 地上を囲むのはアラバスタードラゴン。

 上空は無数のニュートドラゴンが旋回していた。

 そして目の前には雲母竜までいる。

 無理!

 【英霊召喚】を使っても勝てる可能性は皆無!

 かと言ってドラゴン達は包囲するだけで攻撃するつもりは無いらしい。

 逃げようとしたら容赦なく攻撃してるけど、それだけとも言える。



 こっちの空中戦力も今は地面に降りてしまっている。

 完全に詰んだ?

 いや。

 ピットフォールとトンネルで地下を逃げる手はあるんだが。

 だが使う気になれない理由が出来たみたいだ。


 雲母竜の頭の上に、あの魔神がいた。

 あの筋肉バカがだ!

 だが魔神は他にもいたようだ。


 一人は妙齢の女性。

 一人は猟師の男性。

 前回と同様に幻影であるのかどうかは不明だが。

 正直、どうでもいい。

 筋肉バカの動きを目が追ってしまう。


 ああ、ダメ。

 今すぐに殴りに行きたい!



『そこにいるのは分かっておる。出て来るがいい!』


 大音声でオレを呼んでいるようだ。

 言われるまでも無い。

 オレは既に蒼月から降りていた。

 召喚モンスター達を待機させて前に進む。

 誘われるように。

 いや、オレの体が望んでいるみたいだ。



『キース?』


『あれ、何?』


『どうなっているの?』


「魔神、ですね。因縁の相手でして」


 フィーナさん達が話し掛けるけど、どこか遠い所から話し掛けられているのか?

 現実味が無い。

 もうオレの心は魔神に向いてしまっているらしかった。



「あいつが用件があるのはどうも私みたいです」


『え?』


「済みません。ちょっと話をしてみます」


 嘘だ。

 話をする為にあの筋肉バカがオレを呼び止める筈も無い。

 語るとしたら拳で、という事になるだろう。






『ふむ、やはりいたか』


「ああ」


 両脇にいる魔神を残して前へと進み出た筋肉バカだが。

 やけに嬉しそうな顔をしている。

 ああ、もうダメ。

 今すぐにでも殴りたくなる!



「用件は?まあ分かっているけど」


『お前だ。そろそろ頃合いであろうかと思ったが』


「嘘だな?退屈だっただけだろう?」


 魔神は答えなかった。

 その代わりに僅かに右足を前へ。

 重心の位置も僅かに落としている。

 その笑顔に肉食獣の気配が加わって行く。

 そうか。

 殴り合いを待ちきれないらしい。



『後ろの連中に助力を頼んでもいいが、どうする?』


「あんたは仲間の魔神や雲母竜に助けを求めるか?」


『いや、それは無い』


「下らない事を聞くな。答えは知っているだろう?」


 答えは無い。

 笑っているだけだ。

 こいつめ。

 どうしてくれようか?

 こうします。



「真降魔闘法!」「エンチャントブレーカー!」「リミッターカット!」


『ハハッ!そうだ!いいぞ!全力で来るがいい!』


(フィジカルエンチャント・ファイア!)

(フィジカルエンチャント・アース!)

(フィジカルエンチャント・ウィンド!)

(フィジカルエンチャント・アクア!)

(メンタルエンチャント・ライト!)

(メンタルエンチャント・ダーク!)

(グラビティ・メイル!)

(サイコ・ポッド!)

(アクティベイション!)

(リジェネレート!)

(ファイア・ヒール!)

(クロスドミナンス!)


 呪文の強化は継ぎ足しておこう。

 長丁場になりそうだ。

 以前からこいつを相手にする事を想定して組んであった【呪文融合】の組み合わせではある。

 こうもすぐに使うとは思わなかったけどな。


 だがまだブーステッドパワーは使わずに様子を見たい。

 どこまで通じるかな?

 ブーステッドパワーの副作用はリスクが高い。

 武技はまだいいが呪文まで使えなくなるのだから。


 一気に前へ。

 さあ。

 取り敢えずその顔を殴らせろ!






『ガハッ!』


「チィッ!」


 ダメか。

 足の甲を踏み付けて下腹に肘打ち。

 まともに入っているけど感触は良くない。

 引き換えに背中に衝撃。

 肘が落とされたのだろうが、大きな岩か何かか?

 全く、どの攻撃も重たい!

 それに鋭い。

 ついでに痛いって!


 今度は膝蹴りが迫ってきた。

 前蹴りで対抗するが吹き飛ばされる。

 地面を転がりながら思う。

 リスク?

 そんな事を考えているから及ばないのだ。

 覚悟が足りない。

 そして狂気が足りていない。

 これでは全くダメだ!



(ファイア・ヒール!)


 どうにかHPバーを回復させる。

 だが。

 回復手段がある事に甘えてはならない。

 そうだ。

 スッキリ、してみようか?



「ブーステッドパワー!」


 さあ使った。

 使ってしまった。

 これで当面は武技も呪文も使えない。

 ああ、後は目の前のバカを殴るだけだ。

 殴るだけで済ませるつもりもない。

 蹴ってやろう。

 極めて、そして折ってやろう。

 投げてやろう。

 毟ってやろう。

 どんな汚い攻撃でも通じるものであるなら、やろう。


 体の中に込めるのは、気迫か?

 それとも狂気か?

 何でもいい。

 目の前にいるのは敵だ。

 敵なのだ。

 ならば倒せ!

 今はそれだけでいいのだ!






『ヌッ!?』


「シャァァァァァァァァーーーーーッ!」


 脇を差す。

 いや、脇の下に手刀を打ち込みそのまま持ち上げた。

 足を飛ばして体勢を崩そうとしたが転がる筈もない。

 どうせ牽制だ。



『フンッ!』


「ッ!」


 頭突きを脳天に喰らいつつも顎の下に手刀。

 いや掌底。

 どっちでもいい。

 頚動脈狙いだ。

 顎骨を思いっ切り掴むとそのまま引っ張ってやった!

 痛いか?

 痛いだろう?

 ついでに顎鬚も毟ったみたいだが。



『ケェェェェェェーーーーーーッ!』


「ッ!」


 魔神の蹴りが肩口に炸裂。

 防具があるけど衝撃が全て無くなる訳じゃない。

 ついでに体の軸がズレる。

 いや、体が浮き上がって吹き飛ばされた!

 防御も何も無い。

 堪える事すら出来ていない。!


 起き上がって目にしたのは?

 魔神の拳。

 頭を下げるついでに低空タックル。

 だがタイミングが遅かったようだ。

 膝が当たっていたが構わない。

 そのまま脚を抱え込んで、捻った

 捻りながら、投げる。

 どうにか体の軸を捉えて強引に投げる。

 倒れ込んだついでに股間に膝を落とした。

 そのまま膝固め。

 いや、膝十字固めに移行する。



『ヌヌッ?』


「フンッ!」


 力を込める以上にタイミングだ。

 それに体重も利用する。

 梃子の原理は偉大なのです。

 支点、力点、作用点があれば理論上で動かせない物など存在しないのだ!


 だが。

 この魔神は物理法則を無視してやがる。

 耐えた、だと?

 一体、どんな筋力をしている?

 いや、どんな骨格をしているんだろう。

 解剖してみたいよ、本当に。






「ケェェェェェェェェッ!」


 叫んでいるのは、誰だ?

 オレみたいだ。

 どうも頭がクラクラする。


 痛みは確かにある。

 痛みの上に痛みが重なるのだが、もうどうでも良く感じられる。

 疲労も確かにある。

 むしろ心地良い程だ。

 狂気は未だに持続していた。

 いや、更にオレを戦いに駆り立てていた。


 まだ、足りない。

 殴り合いだけでは不利。

 まだどこかで冷静なオレが残っていて、そんな事を考えていたみたいだ。



『シャッ!』


「ッ!」


 腕を取られた、と思ったら次の瞬間には空中へと引っこ抜かれていた。

 一本背負い。

 だが投げられながらも左膝を魔神の後頭部に合わせる。

 いい感触。

 僅かに動きが止まった?


 そのまま投げられつつも左腕が魔神の首に巻き付く。

 地面に激突。

 だがオレの左手はオレ自身の右腕を掴んでいた。

 ダメージ?

 くれてやる。

 引き換えに得たのは裸絞めの好機!



『ヌッ?!』


「チェァッ!」


 魔神の耳元で囁く言葉など無い。

 獣の叫ぶような声が漏れるだけだ。

 絞める。

 そして頭を押し付けながら捻る。

 骨を伝って確かに聞こえたのは骨が砕けた音。

 だが。

 まだ、終わってない?



『カハッ!』


「ッ?!」


 オレに絞められたまま魔神が立ち上がる。

 HPバーは一気に減った筈。

 確かに減っていたが、まだまだ半分以上を余してやがる!

 こいつ。

 どこまで化け物なんだよ!



『ヒュ~~~~~~~~~~ァァァァァアアアッ!』


 笛が鳴るような声。

 断末魔、ではない。

 捻れたままの魔神の首に更なる力が籠められてゆく。

 まだ底があったらしい。



『カッ!!』


「ッ?」


 体が吹き飛ばされた。

 一体どうやって?

 だが今は考えるな。

 疑念を振り払い地面から立ち上がると魔神に迫る。


 いや、待て。

 あの猟師姿の魔神が、いる。

 オレへと右手を伸ばし掌を開いていた。

 制止してるつもりなのか?



「どけぇぇぇぇぇぇッ!」


『そこまで』


 オレの拳は顔を直撃する筈だったんだが。

 次の瞬間には後方へと弾き飛んでいた。

 同時に衝撃。

 ああ、クソッ!

 邪魔すんなよ!

 いい所なのに邪魔するなって!



『貴様ッ!どういうつもりだ!』


『時間切れだよ』


『そうそう、それに貴方の趣味にどこまでも付き合う義理もないもの』


 魔神同士が睨み合っている。

 筋肉バカは他の2名を見る目は仲間に向けるものではない。

 猟師風の魔神も妙齢の女性の魔神も平然としているけど。



『貴様等、死にたいか!』


『まさか』


『貴方とまともに戦って死にたくはないわね。私、綺麗なままで死にたいわあ』


『それにもうお迎えが来ているよ』


 お迎え?

 何の事かと思ったら新たなドラゴンが舞い降りつつある。

 琥珀竜、モスドラゴンだ!

 その頭上に浮かんでいる人物は?

 あの老人だ。

 魔神だ。

 相変わらず不気味な奴。

 だが、おかしい。

 老齢の魔神はHPバーこそ全快だがMPバーは半分以下になっている。

 琥珀竜もだ。

 何かと戦ってきた後なのか?



『ここまでにせよ。別の用件があるでな』


『知らぬ!我が意は押し通す、それも誓約のうちであった筈!』


『然り。だが今は退くのだ』


『断る!』


『ここで汝と問答をするつもりはない』


 老齢の魔神の魔力が徐々に膨らみつつある。

 ヤバい。

 あの攻撃が来るのか?

 カタストロフィ、でしたっけ?


 でも今のオレには呪文は使えない。

 だから出来る事を、した。

 無言のまま老齢の魔神に迫る。


 間に合うか?

 間に合うのか?

 魔神との距離を詰めながら思う。

 老齢の魔神が不気味に嗤っている。


 魔力がオレの目前で弾けた。

 あの衝撃を覚悟したが、来ない。

 拳が魔神の顔を直撃したか、と思ったが手応えが無い。

 消えてしまっていた。


 周囲を見回す。

 筋肉バカの魔神は?

 いない。

 魔神は誰も残っていない。

 それだけではない。

 雲母竜がいない。

 琥珀竜もいない。

 アラバスタードラゴンもニュートドラゴンもいなくなっていた。


 おい。

 ちょっと待て。

 お前等、戻って来いって!







《只今の戦闘勝利で【打撃】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【蹴り】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【関節技】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【投げ技】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【回避】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【受け】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【召喚魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【時空魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【光魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【風魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【土魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【水魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【火魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【闇魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【雷魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【平衡】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【武技強化】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【呪文融合】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【獣魔化】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で職業レベルがアップしました!》

《只今の戦闘勝利で種族レベルがアップしました!任意のステータス値2つに1ポイントを加算して下さい》



 色々とレベルアップしているけどさ。

 これで何かが満たされている訳ではない。

 体の芯に残る重い痛みだけが今の戦闘の残滓に思える。

 決着してません。

 お楽しみを邪魔された!

 その思いが強過ぎてもう何が何やら。

 冷静でいられない!



 基礎ステータス

 器用値 45(-36)

 敏捷値 45(-36)

 知力値 70(↑1)(-56)

 筋力値 45(-36)

 生命力 45(-36)

 精神力 70(↑1)(-56)



《ボーナスポイントに2ポイント加算されます。合計で12ポイントになりました》

《ボーナスポイントに2点、エクストラ評価で4点が加点され、ボーナスポイントは合計18点になりました!》


 嬉しくない。

 あの魔神相手に戦闘勝利の判定になったのも不満だ。

 最後までやらせて欲しかった。

 あの筋肉バカは格闘戦で仕留めないと気が済まない。

 だが他の魔神は別だ。

 この恨み、晴らさせてもらおう。

 邪魔しやがって。

 プロレスじゃあるまいし、対戦の途中で介入するとは無礼ではないか!



『キース!大丈夫なの?』


「え?ああ、大丈夫です」


 おっと、いけね。

 ユニオンを組んだままだった。

 色々と見られちゃったか?

 ユニオン状態を持続していると仮想ウィンドウは共有化される筈だ。

 それに今の戦闘も動画で録画されているかも?


 改めて時刻を見る。

 まだ午前11時30分だ。

 まだ、午前中だったの?

 延々と数時間、戦っていたような気がしてたんだが。

 おかしい。

 時間感覚がおかしい。


 それはいいとしてソーマ酒だ。

 ステータス異常を解消しておかないと!





「一旦、ここで解散します?時間も時間ですし」


「ステ異常組はログアウトしたいでしょ?それでいいと思う」


「了解!」


 会話が右から左へと、左から右へと交錯する。

 時間的にログアウトしたがっているプレイヤーが多いみたいだ。


 時間が惜しい状況であったから、インスタント・ポータルを展開している。

 うん。

 戦いの余韻を味わっているんだが思い出したくない。

 どうにも収まってくれません。

 あの筋肉バカの魔神だが、またここに戻ってくれませんかね?

 今ならインスタント・ポータルを飛び出して挑みに行くのに。



「お料理、出来ました!」


「じゃあ各自、昼食を摂って交代でログアウト!」


「午後は有志で再度、サリナスを偵察する予定です!出発時刻は暫定で午後1時!」


 そう。

 有志を募って港町サリナスへ行くらしい。

 数は時間も遅くなる事から半分以下になるみたいだが。

 オレはどうする?

 勿論、同行しますよ?


 サリナスで仕掛けられたのは恐らくは罠。

 自信過剰であるかもだが、あの筋肉バカがオレを誘い出したかったのだ、と思う。

 再度、襲ってくれるかな?

 僅かな期待がある。

 あの様子では襲って来ないような気がするけどね。

 それに毒食わば皿まで。

 最後まで参加はしましょう。

 それも礼儀のうちだと思うのです。





《これまでの行動経験で【錬金術】がレベルアップしました!》


 食事は簡単なサンドイッチだった。

 3人分程を摂り終えたら装備の修復をしておいた。

 やっぱり結構、喰らってたみたいだ。

 危ない。

 ぶっ壊れてるかと思ったよ!


 だがまだ時間はある。

 アイソトープは帰還させよう。

 召喚するのは鞍馬だ。

 クールダウン、ではない。

 あの魔神との戦いを体がまだ覚えてくれている。

 この感触を忘れてはならない。


 もう少し格闘戦をして感触を確かめよう。

 鞍馬には悪いけどね。

 相手をして貰いましょう。





「それにしても先刻の魔神、何の用件だったの?」


「話があったみたいです」


「肉体言語で?」


「どうもお互いに不器用みたいでして」


 観戦していたフィーナさんはそう言うと呆れてますけど。

 オレはオレで先刻の戦闘と比較しながら反芻している。

 色々と感覚は違う。

 だが再度、イメージを強く肉体に刻み込めたと思う。

 これでいい。

 鞍馬を相手にして想定筋肉バカの対戦は出来そうだ。

 スピードは問題だけど、そこは補正出来る。

 呪文や武技の強化無しで対戦したらちょうどいい難易度になりそうだ。



「まあ、いいわ。結果的に全員が死に戻りする最悪の事態にならなかったんだし」


「はあ」


 それはいいとして。

 オレとしては色々とまた溜め込んでしまいましたけど。

 どこかで発散したい。

 同行するのもその為であるのだ。



「どこか遠くに行かないでね?」


「遠く、ですか」


「別に距離的な話じゃないわよ?」


「はあ」


 どういう意味だ?

 確かに遠い場所のマップへ進んでたりしますけど。


 まあそんな事より魔神だ。

 僅かな可能性でもいい。

 出て来ないかな?

 今度は筋肉バカじゃなくてもいい。

 そうであれば最初から【英霊召喚】を使ってやるからな!






 再度、港町サリナスへと向かう事になったんだが。

 さすがに数が減ったようです。

 サモナー系だけでもオレを含めて5名。

 他にはアデル、イリーナ、春菜、此花。

 竜騎兵のパーティも2つだけだし、地上戦力も加えても全部で20パーティに相当する数だ。

 かなり減ってしまった。

 それも仕方ないか。

 時間帯的にプレイヤーが少なくなり始めるからな。


 布陣変更はどうしよう?

 鞍馬は帰還させてメジアンを召喚しました。

 僅かな期待は魔神であるんだが。

 目的は飽くまでも港町サリナスの状況確認だ。

 まだ罠や魔物が残っているかも?

 そっちにも期待しておこう。





『ここまで魔物と遭遇無いって不気味!』


『やっぱり、罠?』


「まあそれもすぐに分かるだろうな」


 時刻は午後1時30分。

 警戒しながらの移動でありながら結構早く港町サリナスに到着してしまった。

 既に地上戦力は町の中へと進んでいる。

 罠か?

 フィーナさん達は罠がある事を前提に進んでいる筈だが。

 地上に降りて同行すべき?



『広場に人魂があります!』


『何だって?』


『まさか!エリアポータル解放戦になるの?』


 これは想定外。

 どういう事になっているんだか。



「場所はどこだ?」


『港です。午前中は確かに何も無かったんですけど』


「地上戦になりそうか」


『どうでしょう?何が相手になるかが読めませんし』


 ふむ。

 それはどうかな?

 拳神シャコとか、可能性はあると思う。


 それに今回は比較的楽だろう。

 ユニオンを組んだ状態のままエリアポータル解放戦になりそうだからだ。

 その上で【英霊召喚】の保険ならある。

 エクストラ・サモニングもある。

 スコーチがいるからチャンジ・モンスターも使える。

 戦力は十分に揃っているのだ。



「私は地上で挑むが、どうする?」


『私はこのまま、空中から支援します』


『私も!』


「そうか、ならそっちは任せる」


『了解!』


 元々、サモナー系は後衛だ。

 アデルとイリーナはメイン武器が弓矢で杖は予備にしている。

 春菜と此花は逆で杖がメインで弓矢を補助的に使っている。

 わざわざ地上で走り回るよりも空中から支援して貰った方が有利だろう。


 フィーナさんの傍に着陸すると布陣を変更する。

 蒼月、折威、ビアンカは帰還だ。

 ヴォルフ、護鬼、戦鬼を召喚する。

 これにスコーチ、メジアンが加わる布陣だ。


 懸念すべき点がある。

 いや、この場合は期待だ。

 港、という事は海が近い。

 期待している相手は拳神シャコ。

 そう。

 アレと延々と戦うのは楽しそうだ。

 色々と発散出来そうです。


 きっとそうだ。

 そうであって欲しいものです。


主人公 キース


種族 人間 男 種族Lv109(↑1)

職業 サモンマスターLv47(召喚魔法修師)(↑1)

ボーナスポイント残 18


セットスキル

小剣Lv81 剣Lv82 両手剣Lv80 両手槍Lv84 馬上槍Lv86

棍棒Lv82 重棍Lv83 小刀Lv82 刀Lv83 大刀Lv83

刺突剣Lv82 捕縄術Lv86 投槍Lv85 ポールウェポンLv87

杖Lv92 打撃Lv100(↑1)蹴りLv100(↑1)関節技Lv100(↑1)

投げ技Lv100(↑1)回避Lv107(↑1)受けLv107(↑1)

召喚魔法Lv109(↑1)時空魔法Lv96(↑1)封印術Lv94

光魔法Lv90(↑1)風魔法Lv90(↑1)土魔法Lv90(↑1)

水魔法Lv90(↑1)火魔法Lv90(↑1)闇魔法Lv90(↑1)

氷魔法Lv89 雷魔法Lv90(↑1)木魔法Lv89 塵魔法Lv89

溶魔法Lv89 灼魔法Lv89

英霊召喚Lv5 禁呪Lv93

錬金術Lv78(↑1)薬師Lv17 ガラス工Lv24 木工Lv47

連携Lv89 鑑定Lv79 識別Lv89 看破Lv77 耐寒Lv80e

掴みLv80e 馬術Lv89 精密操作Lv80e ロープワークLv86

跳躍Lv50e 軽業Lv50e 耐暑Lv80e 登攀Lv60e

平衡Lv90(↑1)

二刀流Lv83 解体Lv79 水泳Lv34 潜水Lv72

投擲Lv50e

ダッシュLv60e 耐久走Lv60e 追跡Lv64 隠蔽Lv78

気配察知Lv79 気配遮断Lv78 暗殺術Lv60e

身体強化Lv60e 精神強化Lv60e 高速詠唱Lv50e

無音詠唱Lv60e 詠唱破棄Lv60e 武技強化Lv83(↑1)

魔法効果拡大Lv81(↑1)魔法範囲拡大Lv81(↑1)

呪文融合Lv82(↑1)

耐石化Lv77 耐睡眠Lv77 耐麻痺Lv80e 耐混乱Lv78

耐暗闇Lv78 耐気絶Lv80e 耐魅了Lv77 耐毒Lv80e

耐沈黙Lv78 耐即死Lv77

獣魔化Lv9(↑1)


基礎ステータス

 器用値 45

 敏捷値 45

 知力値 70(↑1)

 筋力値 45

 生命力 45

 精神力 70(↑1)


召喚モンスター

アイソトープ ウラノスドラゴンLv7→Lv8(↑1)

 器用値 36

 敏捷値 72(↑1)

 知力値 36

 筋力値 57(↑1)

 生命力 57(↑1)

 精神力 36

 スキル

 噛付き 引裂き 頭突き 飛翔 回避 跳躍 疾駆

 夜目 水棲 空中機動 水中機動 自己回復[中]

 物理抵抗[小] 魔法抵抗[中] MP回復増加[小]

 捕食吸収 ブレス 時空属性 光属性 闇属性

 火属性 風属性 水属性 塵属性 毒耐性 耐即死


召魔の森 ポータルガード

ジェリコ、リグ、クーチュリエ、獅子吼、モジュラス、雷文

清姫、守屋、スーラジ、久重、テフラ、岩鉄、ルベル、虎斑

蝶丸、網代、スパーク、クラック

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周目の前でエキシビジョンマッチ再びw
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