724
港町サリナスは南側と東側から幾つものユニオンが進入して行く。
多くは2つから3つのパーティで組まれたユニオンだ。
それ以上になると統率が難しくなる。
深い森と事情は似たような構図だ。
それに頭上にはレッサードラゴンに騎乗する竜騎兵のパーティが警戒していた。
監視、それに支援を行う部隊だ。
でもオレには不要。
獲物を横取りするようであれば怒りますよ?
さて。
罠はどこだ?
傾向は分かっている。
まだ扉が開いていない、大きめの建物が怪しい。
全部、潰してやろう。
それに怪しいのは港湾にある倉庫の一角だ。
ヒョードルくんとヘラクレイオスくんが引っ掛かった罠も倉庫であったそうだし。
怪しい。
ならば先に直行してしまおう。
ドラゴンスペクター、いませんかね?
ベリルビースト Lv.28
魔物 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上 ???
レッドマンティス Lv.25
魔物 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上、空中???
ジャイアントセンチビート Lv.23
魔物 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上 ???
巴蛇 Lv.25
魔物 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上 ???
ビッグホーンリザード Lv.27
魔物 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:地上 ???
プリズムスラッグ Lv.11
魔物 討伐対象 パッシブ
戦闘位置:地上、壁面 ???
神魔蜂 Lv.22
魔物 討伐対象 アクティブ
戦闘位置:空中、地中 ???
最初の倉庫の中にこんなのが詰まってた。
何だ。
スウォームの呪文みたいだ。
でも規模が違う!
アンデッドだと思ってたのに!
【呪文融合】のそのつもりで準備してたのに!
全く、これはどうしたものか?
(プリズムライト!)
((フラッシュオーバー!))
((ライトニング・ブラスト!))
((パラレル・シムーン!))
((プリズムライト!))
((ミーティア・ストリーム!))
((アシッド・レイン!))
((ヘイルストーム!))
((スウォーム!))
急遽、別の【呪文融合】の組み合わせを使う。
相手はレベルが見えている相手だ。
【封印術】が後回しになったけど大丈夫か?
「ガハッ!」
オレと入れ替わりにアイソトープが扉の中へブレス攻撃を加えている。
倉庫の中は?
異臭で見たされている。
ああ、もう燃えろ!
何だか接近戦で片が付くような気がしません。
絶対に集られる。
それにしても昼夜で罠が変わってしまっているとか、何なの?
嫌がらせか?
まあいい。
ベリルビーストからは宝石類が剥げる。
それで妥協するとしましょう。
『今、大丈夫?』
「ええ」
倉庫の中は未だに異臭がしている。
ベリルビーストから宝石類の剥ぎ取り作業をしながらフィーナさんと会話中です。
魔物に集られる事は無かったが、気分は良くない。
巴蛇に飲み込まれたからだ。
分かった事は?
巴蛇は蟒蛇より大きいって事だけだ。
多分、巴蛇は蟒蛇の上位なのだろう。
飲み込まれたのは完全に油断だったけど、それはそれで面白い体験だったと思う。
中にいるだけでダメージを受け続ける極悪仕様だ。
ファイア・エクスプロージョン17連装で中から焼いて終わらせたけど、いいのかね?
それよりも気になる。
巴蛇ってどう読めばいいんだ?
蟒蛇はかろうじて読めたんですけど。
戦闘も終わってしまえば呆気ない。
最後の方でベリルビーストと巴蛇を殴れたのは多少は良かったけどね。
『モンスターハウスの罠が変わってるみたいよ。そっちは?』
「こっちも確認しました。今、後始末をしてますが」
『今の所、死に戻りは無いけど撤退パーティが出てるわ。孤立しないように、ね?』
「了解です」
孤立ですか。
このレベルの魔物が相手であれば孤立しても迎撃し続けられそうな気がします。
問題があるとしたらベリルビーストが多いと剥ぎ取り作業が大変そうな事だろう。
まさに時間泥棒。
宝石類が勿体無い、という思うがどうしてもある。
同じ程度に時間も勿体無いですけどね。
「そっちは今、どこに?」
『町の中央を確保しに行ってるわ』
「分かりました。私は港湾近くの倉庫を全部、確認してますので」
テレパスを切り上げる。
さて。
未確認の大きな倉庫はまだまだある。
もっとお楽しみはあって欲しいものです。
時刻は午前8時20分。
倉庫は全部、確認し終えたと思う。
今日、掛かってしまった罠は3つか。
もう少し上乗せしたい所なんだが。
港で蠢く何かがいる。
何でしょうね?
拳神シャコ ???
魔物 討伐対象 ???
??? ???
未見の魔物だ。
以前見ている拳豪シャコに似ている。
だがレベルが見えていない、だと?
上位種であるのだろう。
それに海から続々と上陸しているのが見えていた。
これは新たな強敵なんだろうか?
「真降魔闘法!」「エンチャントブレーカー!」
拳豪シャコとは海中で散々、戦ってはいる。
でも参考にならない。
ここは地上であって海中ではない。
で、拳神シャコってどんな奴だ?
表皮は虹色に輝く派手な色合いで非常に目立つ。
それでもシャコだ。
美味しい。
食べたら美味しそうだ。
でも下拵えで手を切る危険もあるんだよな。
(((((六芒封印!)))))
((((七星封印!))))
((((十王封印!))))
((((イビル・アイ!))))
それ所じゃない。
水の槍が次々と襲ってきている!
射程が長い。
数も多かったものだから掠ってるって!
しかも近寄ったから分かる。
こいつ、拳豪シャコよりかなり大きいぞ?
良かったな、アイソトープ。
きっとこいつは喰うと旨いぞ?
そして港湾内部に大きな島影。
隷獣・アスピドケロンか。
いい傾向だ!
魔人がいない分、脅威は下がる。
そこがちょっとだけ残念ですけど。
大いに殴って良さそうです。
(ダーク・フォール!)
影が生じる。
その中に沈みながらもこっちに迫る拳神シャコ。
いや、沈み込もうとしているシャコの上を足場にして別のシャコが迫って来る。
その繰り返しだ。
(((((((((((((((((ディストーション・ジャベリン!)))))))))))))))))
後続も纏めてダメージを与える。
遺憾だが、こいつを相手に格闘戦は危険だ。
繰り出される打撃が洒落にならない速さなのだ。
その攻撃は拳豪シャコのものよりも速く、間合いも長い。
何よりも予備動作が全く無い。
カウンターを取るだけの余地は無い。
(ダークネス・フィールド!)
だが殴る機会は作れる。
ダークネス・フィールドで視界を奪って接近、殴るのだが。
それでもリスクが減るだけで無くなる訳ではない。
それがいい。
直撃したら死ねそうな攻撃を凌ぎつつ、腐竜王のメイスで殴る。
中々の手応えだ!
まともに戦ったら大変そうな相手なのは間違いない。
隷獣・アスピドケロンはどうか?
港に着岸すると拳神シャコを召喚し続けている。
いいぞ。
もっと増量で頼む。
魔人がいないのは不満ではあるが、それだけにこっちの思惑通りの展開でもある。
足を止めつつ、ダメージを与え、接近して仕留める。
その繰り返しだ。
シャコの死体も続々と消えている。
間違いなく30分以上、戦っている訳だ。
そして隷獣・アスピドケロンだが、MPバーは残り2割以下になってます。
おいおい。
大丈夫ですか?
船岡はいつでも準備が出来ている。
小さくなって体内に侵入、元の大きさに戻る手順だ。
でも少し待っててね?
拳神シャコの群れとの戦いがいい調子なのだ。
楽しい。
このサリナスに来て久々にいい相手に当たった!
もうちょっと、楽しんでみていいのか?
召喚モンスター達も各々、いい戦いを続けているみたいですし。
特にシリウスとジンバルの動きは素晴らしいようだ。
目で追えてないけど。
だが、そろそろ区切るとしよう。
延々と戦うのもいいけど集中力の持続が怪しくなっている。
拳神シャコの正面に立ってしまい、何度か攻撃を喰らっている。
直撃は無く、掠った程度ではあるが危険な兆候だろう。
こいつとの戦いに慣れ始めている。
しかも悪い意味で、だ!
「船岡!」
蔦に絡まっているシャコを噛み砕いていた船岡に駆け寄る。
さあ、小さくなってくれ。
そろそろ、隷獣・アスピドケロンを仕留めに行こう。
一気に小さくなった船岡。
地面から拾い上げると隷獣・アスピドケロンのマーカーを確認する。
まだ封印は有効。
目の前にショート・ジャンプで跳び、口の中に船岡を送り込めばいい。
噛み付こうとする瞬間がチャンス。
逃してはいけません。
(ショート・ジャンプ!)
さあ、ここからが仕上げだ。
隷獣・アスピドケロンには感謝せねばなるまい。
拳神シャコはいい相手だった。
それに謝らないといけないな。
途中から惰性で戦っていた気がします。
もっと真面目に真剣に戦うべきでした。
《只今の戦闘勝利で【重棍】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【封印術】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【呪文融合】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『バンドル』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
隷獣・アスピドケロンは船岡だけで仕留めたようなものだ。
残敵掃討も順調、と言いたいが。
長々と戦闘を間延びさせ過ぎたかな?
ちょっと呆けてしまっている自覚がある。
緊張した。
拳神シャコの攻撃は掠るだけで体の芯に響く。
オレ自身もダメージはあったけど、それ以上に防具も心配だ。
少なくとも昼には修復が要るだろう。
忘れないようにしておこうか。
バンドルのステータス値で既に上昇しているの器用値でした。
もう1ポイント分のステータスアップは精神力を指定しましょう。
バンドル パイロヒュドラLv27→Lv28(↑1)
器用値 45(↑1)
敏捷値 58
知力値 27
筋力値 58
生命力 74
精神力 28(↑1)
スキル
噛付き 巻付 受け 回避 水棲 匂い感知 熱感知
気配遮断 威嚇 奇襲 自己回復[極大] 物理抵抗[微]
魔法抵抗[小] ブレス 猛毒 火属性 水属性 耐睡眠
耐即死 毒耐性
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『船岡』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
船岡もお疲れ様。
この隷獣・アスピドケロンはそれ相応にレベルが高めであったようだ。
レジアやソルトロック近郊で狩った個体に比べるとかなり大きい。
プリプレグよりも大きいのだ。
船岡を体内に送り込んだのはいいが、奥深くへ侵入するのに時間が掛かったみたいです。
それでもトータルで見たら戦闘時間は大幅な短縮になった筈だ。
疑問を差し挟む余地はないだろう。
船岡のステータス値で既に上昇しているのは知力値でした。
もう1点のステータスアップは器用値を指定しましょう。
船岡 玄武Lv27→Lv28(↑1)
器用値 35(↑1)
敏捷値 46
知力値 47(↑1)
筋力値 36
生命力 82
精神力 46
スキル
噛付き 巻付 回避 水棲 掘削 匂い感知 熱感知
振動感知 気配遮断 魔力遮断 堅守 変化 霊能
地脈操作 物理抵抗[大] 魔法抵抗[大] 自己回復[中]
MP回復増加[中] 猛毒 暗闇 石化 麻痺 即死
時空属性 光属性 闇属性 風属性 土属性 水属性
木属性 耐即死 毒無効
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『シリウス』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
シリウスとジンバルの戦い振りは残敵掃討でようやくまともに見る事になった。
確かに拳神シャコの攻撃は速く間合いも長い。
だがそれも真正面に限った話だ。
シリウスもジンバルも、後方に回り込んで背中へ攻撃を加える形で一貫してました。
お見事。
機動力で勝負するならそれが正解なのだろう。
オレの場合はどうか?
殴るのが楽しくてショート・ジャンプを使わなかったのがいけなかったかもな。
だがその分、楽しめたのだ。
妥協しましょう。
シリウスのステータス値で既に上昇しているのは敏捷値でした。
もう1点のステータスアップは器用値を指定しましょう。
シリウス ホワイトファングLv27→Lv28(↑1)
器用値 45(↑1)
敏捷値 81(↑1)
知力値 44
筋力値 51
生命力 51
精神力 44
スキル
噛付き 疾駆 跳躍 回避 威嚇 聞耳 隠蔽
強襲 危険察知 追跡 夜目 掘削 気配遮断
捕食吸収 自己回復[小] 物理抵抗[中] 魔法抵抗[中]
MP回復増加[微] 光属性 闇属性 氷属性
耐即死 耐魅了 ブレス 即死
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『ジンバル』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
さて。
このペースは召喚モンスターのレベルアップもパーフェクト?
最後の難関は次のアイソトープだろう。
そのアイソトープ、拳神シャコを喰っているんだが、殻ごと噛み砕いてます。
剥かなくていいのか。
殻の端は結構鋭角なんだけど平気みたいだ。
周囲には魔物の死体が散乱して酷い有様になっている。
これ、後始末が大変だぞ?
剥ぎ取り作業は難儀な事になりそうです。
ジンバルのステータス値で既に上昇しているのは敏捷値でした。
もう1点のステータスアップは知力値を指定しましょう。
ジンバル シュバルツレーヴェLv27→Lv28(↑1)
器用値 48
敏捷値 84(↑1)
知力値 30(↑1)
筋力値 61
生命力 61
精神力 30
スキル
噛付き 引裂き 激高 回避 疾駆 忍び足
跳躍 危険察知 夜目 遠目 隠蔽 追跡 監視
気配遮断 暗殺術 物理抵抗[小] 自己回復[小]
魔法抵抗[小] 強襲 闇属性 火属性 土属性
溶属性 麻痺 毒 毒耐性
インフォは?
続きは無い。
アイソトープのレベルアップは無しみたいです。
まあいいか。
次に期待しよう。
経験値を稼いだであろう事は間違いないのだ。
それよりも剥ぎ取り作業!
多数の拳神シャコの死体が転がっている。
何かいいアイテムが剥げますかね?
拳豪シャコからはアイテムが剥げた覚えは無い。
拳闘シャコからは何か剥げていた覚えがあるんだが。
まあいい。
何体か剥いでみましょう。
話はそれからだ。
急がないと死体が次々と消えてしまうぞ!
《これまでの行動経験で【鑑定】がレベルアップしました!》
隷獣・アスピドケロンからは鉄重石も確保してある。
これはまあ想定内だ。
意味が分からないのは拳神シャコです。
当たり外れの幅が大き過ぎます!
魔結晶が剥げた、と思ったら次は魔石。
そして魔水晶に魔晶石も剥げる。
挙句に水晶球もです。
どうなっているのやら。
そういう魔物と割り切るしかない。
確実に何かのアイテムが剥げる事だけはストレスが無くていいけど。
海を見る。
後続の魔物はいるのかいないのか。
おかわり、ないですかね?
まあそれはいい。
もう少し町の中の掃討を進めてみよう。
バンドル、船岡、シリウス、ジンバルは帰還だ。
召喚したのは逢魔、折威、スコーチ、ロジットです。
場合によってはチェンジ・モンスターでスコーチと船岡を入れ替える事になるかも?
そんな期待をしていたのは内緒です。
いや、待て。
ここは呟いておくべきなのだ。
拳神シャコ、怖いです。
アレに集られたら洒落にならん。
隷獣・アスピドケロンも怖い。
どれ程の戦力を投入してくるのか、まるで読めないしな。
怖い。
本気で怖い。
怖いです。
運営さん、聞こえてますか?
魔物が、怖いです!
《只今の戦闘勝利で【重棍】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『ロジット』がレベルアップしました!》
《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》
時刻は午前10時30分。
港湾から倉庫街を抜け、海沿いを移動しながら罠を探しているんですが。
潰した罠は1箇所だけ。
町中で遭遇する魔物も目に見えて減ってきてます。
まあ今のベリルビーストは災難だったな。
何も出来ずに麻痺してしまってましたから。
腐竜王の双杵って本当に便利。
そして召喚モンスター達って怖いな。
アイソトープは相応にMPバーが消耗していたんだが、全快近くまで回復していた。
ベリルビーストも強固な装甲を持っているんだが、噛み砕いてしまっている。
ロジットもMPバーが殆ど減っていない。
呪歌すら使っていないのだ。
温い。
これではいけない。
早く、早く罠に引っ掛かりたい!
ロジットのステータス値で既に上昇しているのは器用値でした。
もう1点のステータスアップは精神力を指定しましょう。
ロジット スキュラクイーンLv26→Lv27(↑1)
器用値 47(↑1)
敏捷値 70
知力値 45
筋力値 45
生命力 46
精神力 46(↑1)
スキル
両手槍 噛付き 巻付 打撃 回避 水中機動 水棲
変化 墨煙幕 毒無効 遠視 聞耳 危険察知 隠蔽
奇襲 夜目 怨歌 怨声 追跡 捕食融合 魔力察知
物理抵抗[大] 魔法抵抗[中] 自己回復[中] MP回復増加[中]
時空属性 光属性 闇属性 火属性 風属性 土属性
水属性 氷属性 呪眼
ロジットを見上げる。
槍を手にして周囲を警戒している様子は実に頼もしい。
そして獲物が不足なのは明白だ。
交代はせずにこのまま継続でいいだろう。
それにしても、そろそろサリナスの町の中も沈静化しそうな予感がする。
魔物に出会うよりもプレイヤーと出会う事の方が多くなっている。
いい傾向ではない。
もっとだ。
もっと強敵を寄越してくれませんかね?
異変は突然だった。
目の前にドラゴンが舞い降りたのだ!
但し頭上のマーカーは緑。
竜騎兵が駆るレッサードラゴンであるのは明白だ。
頭上を通過したのは?
間違いなくマーカーは赤だった。
【識別】は間に合わなかったけどな!
別のプレイヤーが空から舞い降りた。
偶然だろうけど顔見知りです。
えっと。
眠りダムー、だったかな?
「何があった?」
「大変だ!魔物に包囲されてる!」
「包囲?」
「海にも陸にも亀がいる!空にはドラゴンだ!」
「何だって?」
「それにテレポートの呪文も使えないって騒ぎになってます!」
ほう。
テレポートが使えない、だと?
空を通過する影。
ドラゴンだが【識別】するまでもない。
アラバスタードラゴンだ!
運営め!
有難う!
オレの願いは通じたんだね?
「包囲されている、か。ではどうする?」
「今、状況確認してます。空で哨戒している連中はここに逃げ込んでる所です」
「ふむ」
確かに他にも空からプレイヤーが降りてくる。
自前で飛んでいたプレイヤーもいたようだが、大抵は竜騎兵と同乗者だ。
騎乗竜もレッサードラゴンが主でドラゴンの数は少ない。
いや、グレータードラゴンであるアイソトープでも1対1でアラバスタードラゴンには敵わないだろう。
ニュートドラゴンを相手にするにも呪文の支援が要るのだ。
対抗するのは相当厳しいだろう。
「インスタント・ポータルは使えないのかな?」
「一時的に退避にはなるでしょうけど。包囲が続けば死に戻るまで出られませんね」
「それもそうか」
これは窮地か?
いや。
好機だ!
どれ程の戦力を寄越したのか、まずはそこから確認しよう。
情報が要る。
ならば情報通の元へ行くべきだろう。
町の中心部へ向かおう。
フィーナさん達がいる筈だ。
「あっ、キースさん!」
「こっち!こっち!」
「フィーナさんは?」
「今、問い合わせが殺到してて大変!」
アデルも春菜も顔色が悪い。
フィーナさんは?
不機嫌な様子で誰かと話をしてます。
危うかったな。
オレもテレパスを使う所だった!
「テレポートが使えない、というのは聞いたか?」
「はい!」
「リターン・ホームも駄目でした」
「インスタント・ポータルは使えるみたいですけど」
「そうか」
ああ、やっぱり使ってみたのね?
でもログインする場所はここになってしまう。
確かにこの状況は打開すべきだな。
サキさんとマルグリッドさんも誰かとテレパスで話をしているみたいだ。
リックやハンネスもだ。
こっちはどうも様子が違う。
情報収集をしているみたいだな
一方で与作と東雲は装備の確認をしてます。
戦う事を決意した顔だ。
そうか。
やっぱり戦う事になるんだろう。
「全員、聞いて!」
「注目!」
サキさんとマルグリッドさんが周辺のプレイヤーに声を掛けている。
フィーナさんはまだ話をしているようだが。
何だ?
「収集した情報の共有化をします!出来るだけユニオンに参加して下さい!」
そうか。
状況が聞けるなら否はない。
ユニオン申請を出しておきましょうか。
『戦闘になる可能性が高い?』
『すぐに動く様子は無いみたいだけど、どうかな?』
『時間が時間です。プレイ継続が難しいプレイヤーはインスタント・ポータルで退避ですね』
『そうなるか』
会話が頭上を飛び交っているけどオレの興味はそこにない。
戦力の確認だ。
いや、獲物の確認だ。
だがこれは思っていた以上に大規模です。
港町サリナスは完全に包囲されているように見える。
海上に展開する隷獣・アスピドケロンは5体。
陸上にはキムクイガーディアン・スレイブが少なくとも10体。
空中にはアラバスタードラゴンがどうやら複数いるようだ。
各々、ビートルドラゴンやスタッグドラゴン、ニュートドラゴンを従えている。
海側の主力はエアーマンタ。
陸側の主力はガルム、トライホーンリザード、オブシディアンビースト。
空中の主力は各種のドラゴン達って事になるだろう。
気になるのは魔人の姿が見えない事だ。
今の所、襲って来る様子は無い。
だがサリナスから逃がさない構えであるようだ。
問題になるのは?
空中戦力のアラバスタードラゴンになるだろう。
数によるけどアレを屠るのは難事であるのだ。
『採るべき方針は限られます。この町に留まり防御戦か、包囲を突破して撤退戦か、どっちかですね』
『どっちも厳しい!』
最初の発言は紅蓮のものだった。
他のプレイヤーから異論は出てないけどオレにはある。
殲滅戦を加えちゃダメですか?
『キースさんはどう思いますか?』
「うん?」
イリーナが話を振る。
町の中央の広場にいるプレイヤーの視線全てがオレに集中している気がします。
あらやだ、恥ずかしい!
「全部、仕留めたらいいんだが。アラバスタードラゴンの数次第だなあ」
溜息が合唱になって聞こえてきた。
何か変な事を言ったかな?
まあアレだ。
現実的な所から話をするか。
「防御戦をするにしても防壁は穴だらけだ。しかも全方位となると手数が足りない」
『では包囲のどこかに戦力を集中して突破、撤退ですか?』
「その方がまだいいかな?」
『インスタント・ポータルでログアウトしちゃうのは?』
『夜を待って逃げるのはどうなの?』
『逃げられるとは限らないぞ?』
意見が色々と出始めた。
あの戦力を相手に突破とか、躊躇する気持ちは分かる。
凄く、分かります。
でもやってみたら意外といけるかもよ?
『お待たせ!状況を再確認したら再編成をするわ。何とか現状を打開しないと!』
フィーナさんがようやくどこかとの会話を切り上げたみたいだ。
さて。
どんな方針になりますかね?
逃げの姿勢は面白くない。
単に逃げるだけであれば策はあるのだが。
プリプレグだ。
その甲羅の上にここにいる全員を乗せて移動するのは可能だろう。
アスピドケロンの特性からして、海へと逃れる事が出来るかもしれないが。
それも面白くない。
面白くないのです。
当然だが提案するつもりなど無いのです。
『では包囲を突破して撤退戦でいいですね?』
『応ッ!』
『こうなったらやってやる!』
やる気になってて結構。
空元気も元気のうちだ。
意気消沈するよりも遥かにマシだろう。
オレの周囲にはサモナー系プレイヤーが集まっている。
アデル、イリーナ、春菜、此花。
他にも3名。
いずれも空中戦を前提にした布陣へと変更しつつある。
オレもそうしましょう。
そして変更後の布陣は?
蒼月、折威、スコーチ、アイソトープ、ビアンカになってます。
あのアラバスタードラゴンがいる。
それにこの包囲陣を魔物だけで構築している筈も無い。
どこかに指揮している魔人がいると思うのだが。
或いは魔神だ。
いるなら堂々と出て来て欲しいものです。
優しく応対してあげるんですけど。
『よろしくお願いします』
「ああ、こっちこそ」
同行するのはサモナー系プレイヤーだけではない。
竜騎兵を中心とした空中戦力も同行する。
中々の戦力になるだろうがアラバスタードラゴンが相手だと果たしてどうか。
特殊能力を封じ続けていられなければオレだって危うい。
中には自前でフライの呪文を使うプレイヤーも加わるようだ。
あの眠りダムーもいる。
以前にユニオンを組んで浮遊する島を攻撃した事もあったが、その時よりも数は少ない。
少し、いや、かなり心配だ。
大半のプレイヤーは馬での移動だ。
空中戦力の役目はその支援って事になる。
移動する方位は南。
包囲陣はどこも似たような状況だが、南のE9マップへと抜ければ生贄の神殿もある。
心理的にこれは大きい。
魔物を振り切ったらテレポートで移動も可能だし、どの方位でもいいと思うんだけどね。
プレイヤーの数が少なめである一方で有利な点もある。
【英霊召喚】が使えるプレイヤーが増えている事だろう。
使う順番と担当の割り振りは紅蓮くんが調整してくれていた。
オレの順番は決まっていない。
使い果たした時の状況によりオレ自身の裁量で使ってくれていいそうだが。
厳しい判断になるだろう。
さて。
単に包囲陣を突破して撤退するだけでは面白くないな。
どうせならアラバスタードラゴンを1体、仕留めてみたいものだ。
手ならある。
問題があるとしたらその数だな。
『出発します!一気に駆け抜けますよ!』
『了解!』
騎馬の一団が南へと駆け始めた。
その数はパーティ数にして80といった所だと聞いている。
正直、少ない。
それを追うように竜騎兵を中心にした戦力が空へと飛ぶ。
これもパーティ数にして5つ。
漏れなく同乗者がいるから騎乗竜の数は15頭だ。
ドラゴンは5頭で残りはレッサードラゴン。
やはり心許ない。
「よし。こっちも行こうか」
『はい!』
『先行します!』
サモナー系プレイヤーはオレを含めて8名。
やはり少なく感じてしまう。
殲滅戦は無理か。
でも本当に無理なんだろうか?
ああ、ダメだ。
殲滅戦、やってみたい。
体が大苦戦を求めてしまっていた。
麻薬を求めるように戦闘を求めてしまう体になっている。
今更、ですけど。
いかんいかん。
まずは包囲陣を突破する事だけを考えよう。
話はそれからでいい筈だ。
主人公 キース
種族 人間 男 種族Lv108
職業 サモンマスターLv46(召喚魔法修師)
ボーナスポイント残 10
セットスキル
小剣Lv81 剣Lv82 両手剣Lv80 両手槍Lv84 馬上槍Lv86
棍棒Lv82 重棍Lv83(↑2)小刀Lv82 刀Lv83 大刀Lv83
刺突剣Lv82 捕縄術Lv86 投槍Lv85 ポールウェポンLv87
杖Lv92 打撃Lv99 蹴りLv99 関節技Lv99
投げ技Lv99 回避Lv106 受けLv106
召喚魔法Lv108 時空魔法Lv95 封印術Lv94(↑1)
光魔法Lv89 風魔法Lv89 土魔法Lv89 水魔法Lv89
火魔法Lv89 闇魔法Lv89 氷魔法Lv89 雷魔法Lv89
木魔法Lv89 塵魔法Lv89 溶魔法Lv89 灼魔法Lv89
英霊召喚Lv5 禁呪Lv93
錬金術Lv77 薬師Lv17 ガラス工Lv24 木工Lv47
連携Lv89 鑑定Lv79(↑1)識別Lv89 看破Lv77 耐寒Lv80e
掴みLv80e 馬術Lv89 精密操作Lv80e ロープワークLv86
跳躍Lv50e 軽業Lv50e 耐暑Lv80e 登攀Lv60e
平衡Lv89
二刀流Lv83 解体Lv79 水泳Lv34 潜水Lv72
投擲Lv50e
ダッシュLv60e 耐久走Lv60e 追跡Lv64 隠蔽Lv78
気配察知Lv79 気配遮断Lv78 暗殺術Lv60e
身体強化Lv60e 精神強化Lv60e 高速詠唱Lv50e
無音詠唱Lv60e 詠唱破棄Lv60e 武技強化Lv82
魔法効果拡大Lv80 魔法範囲拡大Lv80
呪文融合Lv81(↑1)
耐石化Lv77 耐睡眠Lv77 耐麻痺Lv80e 耐混乱Lv78
耐暗闇Lv78 耐気絶Lv80e 耐魅了Lv77 耐毒Lv80e
耐沈黙Lv78 耐即死Lv77
獣魔化Lv8
召喚モンスター
バンドル パイロヒュドラLv27→Lv28(↑1)
器用値 45(↑1)
敏捷値 58
知力値 27
筋力値 58
生命力 74
精神力 28(↑1)
スキル
噛付き 巻付 受け 回避 水棲 匂い感知 熱感知
気配遮断 威嚇 奇襲 自己回復[極大] 物理抵抗[微]
魔法抵抗[小] ブレス 猛毒 火属性 水属性 耐睡眠
耐即死 毒耐性
ロジット スキュラクイーンLv26→Lv27(↑1)
器用値 47(↑1)
敏捷値 70
知力値 45
筋力値 45
生命力 46
精神力 46(↑1)
スキル
両手槍 噛付き 巻付 打撃 回避 水中機動 水棲
変化 墨煙幕 毒無効 遠視 聞耳 危険察知 隠蔽
奇襲 夜目 怨歌 怨声 追跡 捕食融合 魔力察知
物理抵抗[大] 魔法抵抗[中] 自己回復[中] MP回復増加[中]
時空属性 光属性 闇属性 火属性 風属性 土属性
水属性 氷属性 呪眼
船岡 玄武Lv27→Lv28(↑1)
器用値 35(↑1)
敏捷値 46
知力値 47(↑1)
筋力値 36
生命力 82
精神力 46
スキル
噛付き 巻付 回避 水棲 掘削 匂い感知 熱感知
振動感知 気配遮断 魔力遮断 堅守 変化 霊能
地脈操作 物理抵抗[大] 魔法抵抗[大] 自己回復[中]
MP回復増加[中] 猛毒 暗闇 石化 麻痺 即死
時空属性 光属性 闇属性 風属性 土属性 水属性
木属性 耐即死 毒無効
シリウス ホワイトファングLv27→Lv28(↑1)
器用値 45(↑1)
敏捷値 81(↑1)
知力値 44
筋力値 51
生命力 51
精神力 44
スキル
噛付き 疾駆 跳躍 回避 威嚇 聞耳 隠蔽 強襲
危険察知 追跡 夜目 掘削 気配遮断 捕食吸収
自己回復[小] 物理抵抗[中] 魔法抵抗[中] MP回復増加[微]
光属性 闇属性 氷属性 耐即死 耐魅了 ブレス
即死
ジンバル シュバルツレーヴェLv27→Lv28(↑1)
器用値 48
敏捷値 84(↑1)
知力値 30(↑1)
筋力値 61
生命力 61
精神力 30
スキル
噛付き 引裂き 激高 回避 疾駆 忍び足
跳躍 危険察知 夜目 遠目 隠蔽 追跡 監視
気配遮断 暗殺術 物理抵抗[小] 自己回復[小]
魔法抵抗[小] 強襲 闇属性 火属性 土属性
溶属性 麻痺 毒 毒耐性
召魔の森 ポータルガード
ジェリコ、リグ、クーチュリエ、獅子吼、モジュラス、雷文
清姫、守屋、スーラジ、久重、テフラ、岩鉄、ルベル、虎斑
蝶丸、網代、スパーク、クラック