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723

 ノクトビジョンの調子は良好だ。

 それでも確保出来ている視界は限られる。

 油断は出来ない。


 インビジブル・ブラインドも展開しつつゆっくりと町の中を進む。

 戦闘が行われている気配は確かにある。

 だがオレの狙いは別だ。

 罠を狙う。

 モンスターハウスと呼ばれる罠だ。

 幾つかのパーティが全滅していると聞いている。

 面白い。

 そんな罠に掛かってみたい。

 力技で罠を食い破ってみたい。

 要するに苦戦が所望なだけだ。

 既に町の中にいる魔物は他のパーティの獲物に残していい。


 路地の瓦礫の向こうに魔物の気配。

 いいえ、クレヤボヤンスで見えてます。

 どうやらガルムが数匹って所だがついでだ。

 仕留めてから進もう。


 だが単に戦闘を仕掛けて屠るだけでは面白くない。

 縛りを入れましょう。

 出来るだけ音を生じさせずに仕留める。

 これなら難易度は跳ね上がってくれるだろう。


 オレの得物は左手の神樹石のトンファー。

 それに断鋼鳥のククリ刀までは使おうか。

 グレイプニルは使わない。

 アレがあると明らかに戦闘が楽になり過ぎる。


 召喚モンスターも同様だ。

 派手な攻撃は禁止で。

 テロメアもヘイフリックも爆炎攻撃はダメ!

 殴れ、殴れ!

 赤星も当然だ。

 モスリンは殴れないけど闇属性の攻撃なら目立たないから使っていい。

 フローリンは?

 普段通りでお願いします。

 この縛りに左右されないのはフローリンだけみたいだ。


 どこまでも静かに潜入する。

 そして狩る。

 中々のテーマだと思います。





「ッ!?」


 何度目だろう。

 ガルムの頭上に跳んでからの、撲殺。

 そう、撲殺。

 神樹石のトンファーには気絶と停滞が発生するんだが。

 その前にHPバーが砕け散ってしまう。

 手間要らずと言っていいのか?


 他のガルムも瞬殺。

 だが惜しい。

 ガルムの死体が倒れた所で瓦礫を崩してしまい、そこそこの音が発生。

 減点、だな。

 そこまで細かく気が回ってない。

 だってオレは暗殺者ではないのだ。


 召喚モンスター達は?

 大活躍だ。

 特にフローリンが奇襲しまくり!

 攻撃を受けたガルムは漏れなく麻痺してしまう。

 その上で毒、混乱、石化のどれかが重なる。

 棒立ちになるのは忘却だろう。

 恐ろしい事に他のガルムがフローリンの攻撃に気付かない事が多いのだ。

 大胆にも吸血までしているし。

 夜の住人って怖いな。


 ガルムは問題ない。

 だがトライホーンリザードはどうだろう?

 オブシディアンビーストになると更に厳しい筈だ。

 まあこれらの魔物は派手な戦闘をしている他のパーティに任せておこう。

 オレは罠を探すとしましょうか。


 アンデッドで手強い相手がいると聞いた。

 スペクターロード。

 赤星と同じか。

 レベル的にも匹敵して欲しい所だが。

 どこにいる?

 コール・モンスターも使っているけど場所が場所だけに困る。

 他の魔物が先に見付かるから、気が散る!


 まずは罠がありそうな建物を探そう。

 手付かずの所がいい。

 町の中心部を目指して、そこから探索範囲を拡げよう。

 どこかに強敵、いませんか?







 ベリルビーストがいた。

 だがこいつでも物足りない。

 相手をしているパーティも優勢であるようだし、手出しは無用だろう。

 ビッグホーンリザードもいた。

 トライホーンリザードも混じっていたけどこれもユニオン体制で迎撃していたようです。

 基本は壁呪文で動きを抑制した上で後衛火力でHPバーを削る形だ。

 建物の屋上から弓矢で支援してもいるし実に堅実。

 手を出して邪魔しちゃいけません。


 スペクターロードがいた、というのは本当だろうか?

 気になるのはどれ程のレベルなのかだが。

 どうもこの町の中に掃討しに来ているパーティだが、種族レベルで50を下回るプレイヤーがいない。

 大体は60を超えている。

 中には種族レベルで70に達しているプレイヤーもいた。

 80超えはいないようだが。


 今、プレイヤーの分布はどうなっているんだろう?

 統計データは見なくなって久しい。

 もっと気になる事が多いから見てないだけだ。

 仕方が無かったんです。

 今度、ゆっくりと眺めてみるのもいいかもしれません。

 でもスルーしているであろう自信がある。

 他人の動向を気にしてどうする?





 ドラゴンスペクター  Lv.18

 魔物 アンデッド 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上、空中 ???



 スペクターロード  Lv.24

 魔物 アンデッド 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上 ???



 いた!

 レベルが見えているけどそこはそれ。

 強いであろう事は間違いない。

 いや、その前に難儀しているプレイヤーがいるぞ!

 HPバーが半分を下回っているしスペクターロードに肉薄されている!



((((((八部封印!))))))

((((((九曜封印!))))))

(((((イビル・アイ!)))))


 足を止めたスペクターロード。

 こいつとは闘技場や地下洞窟で相手をしている。

 同じ手順でいい。

 インビジブル・ブラインドを飛び出て召喚モンスター達が攻撃を開始する。

 だが、召喚モンスターの数が多い?

 いや。

 スペクターロードに襲われていたのは知り合いだったみたいです。

 ヘラクレイオスくん?



「無事か!?」


「え?」


 ちょっと状況が飲み込めていないようだな。

 すぐにオレだと気が付いていなかったみたいだ。

 ユニオン申請を出しておこう。



(サンシティフィ・アンデッド!)

(サンシャイン!)

(ホーリー・ライト!)

(((六芒封印!)))

(((七星封印!)))

(((十王封印!)))

(ホーリー・プリズン!)

(グラビティ・プリズン!)

(ファイア・エクスプロージョン!)

(ミーティア・ストリーム!)

(バックドラフト!)


 スペクターロードが迫っていた。

 しかも後続にドラゴンスペクター。

 別のスペクターロードもいたけどそれだけじゃない。



 スケルトンドラゴンロード Lv.20

 魔物 アンデッド 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上、空中 ???



 ドラゴンゾンビロード Lv.19

 魔物 アンデッド 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上、空中 ???



 スカルロード Lv.28

 魔物 アンデッド 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上 ???



 スカルアサシン Lv.24

 魔物 アンデッド 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上 ???



 スカルウィザード Lv.24

 魔物 アンデッド 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上 ???



 スケルトンガード Lv.23

 魔物 アンデッド 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上 ???



 スケルトンハーミット Lv.25

 魔物 アンデッド 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上 ???



 スケルトンセージ Lv.24

 魔物 アンデッド 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:地上 ???



 数は?

 知らん!

 何にせよ獲物だ。

 有難い事です。



『き、キースさん?』


「そうだ!今のうちに立て直せ!」


『は、はい!』


 ヘラクレイオスくんの傍に彼の召喚モンスター達が集結しつつある。

 バンパイアダッチェス、それにバンパイアナイト。

 急に出現したのはスペクターだがマーカーは緑色。

 召喚モンスターのようです。

 危ない危ない、攻撃しかけてたよ!



(((((((((((((((((ファイア・エクスプロージョン!)))))))))))))))))


 火力の壁を築くが相手はアンデッド。

 ダメージに構わず前に進んで来る!

 ドラゴン系アンデッドも空へと浮こうとしているが動きは鈍い。

 でもそれ、いい的ですよ?



(ショート・ジャンプ!)


 ドラゴンゾンビロードの背中に跳ぶ。

 周囲ではテロメアとモスリンが追撃で爆炎攻撃を始めている。

 もう今までが地味だっただけに派手だな!



「真降魔闘法!」「エンチャントブレーカー!」


 武技を使って戦力を底上げ。

 しかし相変わらず酷い匂いだ。

 まあすぐに焼いてしまうんだけどな!



(サンシティフィ・アンデッド!)

(サンシャイン!)

(ホーリー・ライト!)

(ホーリー・プリズン!)

(グラビティ・プリズン!)

(((ディメンション・ソード!)))

(((パルスレーザー・バースト!)))

(((ディクレイ・ヒート!)))

(スチーム・タービン!)

(フレイム・ウィップ!)

(ファイア・ホイール!)


 足元で光と炎が炸裂する。

 もう何が何やら。

 オレも上空へ吹き飛ぶが気にしない。

 タイミングはもう知っているからだ。 



(ショート・ジャンプ!)


 今度はスケルトンドラゴンロードの頭部へ跳ぶ。

 同じ手順で攻撃するからだ!

 惜しいのはドラゴンスペクターだな。

 この手順を使うのは危険だ。

 【封印術】の呪文がレジストされていたら触れるだけで即死判定がある。

 他にも触れるだけで毒やら麻痺やらの状態異常を喰らう可能性がある。

 まあそれでも神樹石のトンファーで属性破壊狙いで殴るけどさ。

 雲散霧消が使えないうちにダメージを与えておく必要がある。


 いや。

 赤星がドラゴンスペクターに貼り付くように攻撃を開始した。

 スケルトンガードとゴーストも攻撃に参加してます。

 ヘラクレイオスくんの召喚モンスター達も戦闘に参加し始めている。

 HPバーは少ないけど復活しつつあるようだな。

 タフで継続戦闘能力に長けているのがアンデッドのいい所だが。


 でも残念。

 アンデッドを相手にMPバーの吸収は効きが悪い。

 赤星も消耗が進んでしまうだろう。

 早めに倒して戦闘を終わらせた方がいい。



(サンシティフィ・アンデッド!)

(サンシャイン!)

(ホーリー・ライト!)

(ホーリー・プリズン!)

(グラビティ・プリズン!)

(((ディメンション・ソード!)))

(((パルスレーザー・バースト!)))

(((ディクレイ・ヒート!)))

(スチーム・タービン!)

(フレイム・ウィップ!)

(ファイア・ホイール!)


 さて。

 この一帯だけ派手な事になってるけどいいのか?

 潜入ですか。

 そんなものは無かったみたいです。







《只今の戦闘勝利で【耐沈黙】がレベルアップしました!》


 ふむ。

 全滅出来たのはいいがスキルのレベルアップがあっただけか。

 切ない。

 まあいい感じで派手に暴れたから気は晴れた。

 音を立てずに仕留めるにしても相手が相手です。

 仕方ないよね?



「平気か?」


『ええ、助かりました』


「ここには単独で?」


『ヒョードルと組んでたんですが途中ではぐれてしまって』


 ふむ。

 ヒョードルくんも来ているのか。



「テレパスで連絡して合流しよう。私がやるから回復を」


『は、はい』


 さて。

 合流するにしてもこの港町サリナスは結構広い。

 どこがいいかね?

 港湾なら迷わないし、そこでいいかな?




『今なら大丈夫です。こっちからテレポートで跳べます』


「そっちは大丈夫か?」


『召喚モンスが結構、死に戻りましたけど僕は平気です』


「了解だ」


『少々お待ちを』


 テレパスを切る。

 ヘラクレイオスくんは?

 HPバーは全快だがMPバーは3割。

 ステータス異常も喰らってしまっているようだ。

 かなりの消耗に相当するけど大丈夫かな?


 だが召喚モンスターに変化がある。

 スケルトンソルジャーがスカルロードに。

 スペクターがスペクターロードになってます。

 バンパイアナイトとゴーストはもう少し鍛えたらクラスチェンジしそうだ。



「少し待つとしよう。すぐにヒョードルくんも来る」


『は、はい』


 それにしても酷い罠もあったものだ。

 ヒョードルくんは召喚モンスターが死に戻っていると言うし。

 ヘラクレイオスくんもここまで消耗しているとは!

 種族レベルは76、職業もデスマスターのレベル14になっているんだが。


 それでも先刻のアンデッドはちょっと手強いだろう。

 数も多いし何しろドラゴンまでいたのだ。

 ユニオンを組んで挑むべき規模でもある。





「キースさん、お待たせしました!そっちは平気か?」


『ああ、どうにか』


 ヒョードルくんとヘラクレイオスくんが合流出来たか。

 そのヒョードルくんもまた軽くであるようだがステータス異常に陥っている。

 かなりの激闘を経ていたのだろう。

 まあ彼等はここで離脱すべきだ。

 この港町サリナスは現在、エリアポータルとして機能していない。

 その反面、戦闘に巻き込まれさえしなければテレポートで離脱出来る。


 だが離脱する前にやるべき事がある。

 ユニオンにヒョードルくんが加わった所で少し話を聞こう。

 何があった?



「君等でも苦戦したみたいだな」


『恥ずかしながら罠に引っ掛かりまして』


『港湾側の倉庫でアンデッドのモンスターハウスがあったんです』


「その戦力が先刻の連中か」


 何とまあ。

 町の中を跋扈する魔物との戦力差は明らかだ。

 確かに罠。

 幾つかのパーティが死に戻ったというのも納得だ。



「もうちょっとで夜が明ける。そうなったら状況は変わるだろうな」


『まだアンデッドはいます。夜明けまでに死に戻りがもっと出ますよ?』


「そうだろうな」


 うん。

 逃す手は無い。

 積極的に助ける?

 そんな訳は無い。

 単に経験値的に狙いたいだけだ。

 アンデッドの中でもドラゴンスペクターは逃したくない強敵なのです。

 アイテムだって剥げるし。

 邪結晶ですけどね!



「もう少し周辺を掃討して来るよ」


『大丈夫ですか?』


「まあどうにかするさ」


 ヒョードルくんは心配そうな様子だが。

 いや、数が多かったけど闘技場でも地下洞窟でも戦っている相手だ。

 対策はある。

 それに建物の幾つかにモンスターハウスの罠があると聞いた。

 しかもセンス・マジックで魔力を感知出来ないという。

 面白い。

 罠に引っ掛かってみたい!



 ヒョードルくんとヘラクレイオスくんがテレポートで跳ぶのを見送ると早速狩りだ。

 まずは夜明けまで、アンデッドを求めて狩り続けるとしよう。

 それに扉が開け放たれていない建物は全部、開け放ってみよう。

 罠なら歓迎致します!

 是非、襲ってくれ。

 それが強敵であるのなら文句無しだ!







《只今の戦闘勝利で【受け】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【追跡】がレベルアップしました!》



 時刻は?

 午前6時ちょうどです。

 夜が明けてしまったみたいだ。

 惜しい。

 罠をもう幾つか、踏み潰してみたいんだが。


 建物は片っ端から突入して罠かどうかを確かめながら進んでみたんですけどね。

 罠である確率は正直、高くない。

 傾向としては大き目の建物が罠である確率が高そうだ。

 そんな訳で倉庫の集まる港湾近くの一角に来たんだが、路上にもアンデッドがウヨウヨといてもうね。

 喜んで蹂躙してますが何か?

 適度にトライホーンリザードやビッグホーンリザードも餌食にしてます。

 オブシディアンビーストにベリルビーストも、ですね。

 主にMPの供給源として、ですけど。


 ガルムはダメだ。

 エナジードレインで吸い上げても大してMPバーの補充になりません。

 自然、ガルム相手には攻撃呪文も使わずに仕留め続けているんだが。

 やはり罠がいいな。

 そして飽き始めている。

 もう少し別の魔物と戦いたい所なんですけど。


 そんな風に思っていたらテレパスが来ている。

 フィーナさんだ。



『夜が明けたけど一旦ここで区切らない?状況も知りたいし』


「了解です。そっちに跳びます」


『朝食の用意、してあるわ』


 そうか。

 もう夜明けだ。

 つまり朝飯の時間なのであった。

 気分的にはこのまま罠に掛かり続けたい所だったんだが。

 アンデッドではあるけど日光の下でも活動が可能な召喚モンスターもいる。

 向いていない事も確かなのだ。

 朝食を挟んで布陣を変更して罠を食い破ってみてもいい。

 昼間もアンデッドのモンスターハウスばかりなら有利に戦えそうだし。

 ドラゴンスペクターは昼間でも行動可能な相手だけど嫌がっている素振りもあるのです。

 朝食後は本格的にこの町の攻略が進むだろう。

 それはそれで痛し痒しだ。

 他のプレイヤーも大いに経験値を持ち去る事に他ならないからだ。


 まあ、いいさ。

 楽しめる相手は他にもいる。

 この町でイベントらしき何かが進行しているのであれば付き合うのもいいだろう。







 フィーナさんと合流。

 プレイヤーの姿は意外に少なかった。

 何箇所かに分かれてインスタント・ポータルを展開しているらしい。

 そのうちの1つに案内された。

 当然、町中の様子を聞かれたんだが。

 簡単に報告だけはしておいた。

 何故かフィーナさんは頭が痛そうな様子だったが大丈夫だろうか?



「貴方だけで町の中の魔物を一掃出来そうね」


「それはちょっとご勘弁を」


 正直、手間なのですよ。

 建物が罠じゃなかった時の悲しさときたらもうね。

 感知出来ないのが本当に痛い。

 いや、罠が簡単に感知出来るようでは罠ではあるまい。


 それにフィーナさんからも概況も聞けました。

 プレイヤーも徐々に増えつつあるようだ。

 別働部隊が東方面の警戒に出ているそうだが。

 その中にはアデルやイリーナもいるみたいです。

 何だか思っていたより大掛かりな事になってますか?


 食事を兼ねた小休止の後は戦力の再編成。

 そして町の中の魔物を一掃、という手順になるらしい。

 当然だけど幾つかの大規模ユニオンが組まれる事になる。

 どうも経験値的には美味しくなさそうな気がします。



「食事が終わったら例の物を渡さないとねえ」


「ああ、そうそう。紙もあったわね」


「そっちが本題だったと思いますけど?」


 うん。

 釣り餌である事は百も承知なんですけど。

 まあ釣られてみるのも一興。

 実際、そこそこの強敵と戦えて満足なのです。




 食事は旨かった。

 朝からトンカツとか、縁起を担いているのかな?

 金耀猪の肉を使ってあるようで実にいい。

 文句などないのでした。


 さて。

 朝から町へ、というのはいいんだが布陣はどうしよう?

 相手は悪い意味で戦い慣れている。

 罠は美味しいけどアンデッド。

 昼間に戦うには面白くない相手だ。

 別の魔物に切り替わっていたらいいんだが。

 選択肢は多い。

 どうしようか?

 まあ今は召喚モンスター達は全員帰還させるだけでいいけどね。



「戻りました!」


「東で動きがあります!」


「東、なの?」


「魔人が率いる魔物の群れがいました!」


 インスタント・ポータル内部に飛び込んできたのはアデルとイリーナだ。

 それに春菜と此花もいる。

 東で動きがある、だと?

 しかも魔人ですか。

 魔神じゃないと思うけど。


 いずれにしても強敵ですか?

 強敵、ですよね?

 フィーナさんの所で話は聞けるだろう。

 どんな相手であるのか?

 場合によってはサリナスの町中で掃討戦をするよりも楽しいかもしれないな。





『また、亀?』


『また、亀です!』


『亀だけじゃないですけど、亀ですね』


 周囲に溜息が漏れるのが分かった。

 そうか、亀か。

 苦労して得たであろう情報によればキムクイガーディアン・スレイブのようだが。

 それで終わる訳ではなさそうだ。

 未見の魔物がいたからです。




 レッドマンティス ???

 魔物 討伐対象 移動中

 ??? ???



 ジャイアントセンチビート ???

 魔物 討伐対象 移動中

 ??? ???



 巴蛇 ???

 魔物 討伐対象 移動中

 ??? ???



 仮想ウィンドウを共有化して魔物の【識別】結果と姿を見ているんですが。

 カマキリ、ムカデ、ヘビになる。

 対比物がないと大きさが実感し難いが、トライホーンリザードとの対比でどうにか把握するしかない。

 どれもトライホーンリザード大きいって!


 ドラゴンの姿もあるけどニュートドラゴン、アラバスタードラゴンは未確認であるようだ。

 でもね。

 これまでの例を考えたらいてもおかしくはない。

 期待していいのかね?



『他にもいそう?』


『いる、と思いますけど』


『姿を消して行動しているパターンは地上を丹念に調べてみないと!』


 そうだよな。

 姿を消して迫っている可能性すらある。

 キムクイガーディアン・スレイブも姿を見せて迫っているのだって囮であるのかも?

 魔人もどんな手を使っているんだか。

 それに気になるのは魔神。

 いるんだろうか?

 いるようなら現時点のオレで対抗出来るのか?


 自信なんて無い。

 無いけど魔物が迫っているなら否は無いのだ。

 存分に狩ってみたいが、群れの位置はまだN1E10マップの西端であるらしい。

 なら港町サリナス内部の魔物を殲滅させてからでも遅くは無いだろう。

 焦らなくて良かった、かな?






「待たせて悪かったわね。依頼の品の残りがこれ。確認してね?」


「はい」


 食事を終えたらようやくダイヤモンドを受け取れたんだが。

 これ、綺麗だな!



【素材アイテム】ピンクダイヤモンド 品質A+ レア度10 重量0+

 最も硬い物質で金剛石とも呼ばれる宝石の原石でピンク色のもの。

 別名ファンシーピンク。透明度等、様々な基準により品質が変動する。

 美しい色合いであるほど価値が高い。

 [カスタム]

 台座に呪符紋様『籠目』が刻まれている。

 通称ディアナサンダイヤモンドと呼ばれるカットとなる。

 252面体で加工済。



【素材アイテム】ダイヤモンド 品質A+ レア度10 重量0+

 最も硬い物質で金剛石とも呼ばれる宝石の原石。

 その多くは無色。透明度等、様々な基準により品質が変動する。

 その希少価値以上に高値で取引される事も珍しくない。

 [カスタム]

 台座に呪符紋様『籠目』が刻まれている。

 通称ディアナサンダイヤモンドと呼ばれるカットとなる。

 114面体で加工済。高い密度で光を反射する特徴がある。



【素材アイテム】ダイヤモンド 品質A+ レア度10 重量0+

 最も硬い物質で金剛石とも呼ばれる宝石の原石。

 その多くは無色。透明度等、様々な基準により品質が変動する。

 その希少価値以上に高値で取引される事も珍しくない。

 [カスタム]

 台座に呪符紋様『籠目』が刻まれている。

 通称ディアナサンダイヤモンドと呼ばれるカットとなる。

 114面体で加工済。真上から見ると中央は暗く花に見える。



 ピンクダイヤモンドって天然だとお高いんでしょ?

 しかもこれは粒もそこそこ大きい。

 性能そのものよりも純粋に宝石として美しい、と思えます。

 そして残り2つも面白い。

 カット数は一緒なのに輝き方がまるで違う。

 一方はやけに輝いて見える。

 もう一方は真上から見ると確かに黒い花が見えるようだが。

 どちらも鑑賞するに相応しい。

 こっちも加工費が凄い事になりそう?



「魔結晶で結構な数になりそうだけど大丈夫?」


「大丈夫じゃないですね。ダイヤでどうですか?」


「それでいいの?」


「ええ」


 嘘だ。

 提示された魔結晶の数はあると思いますけど、出すのは惜しい。

 闘技場のオベリスクに捧げる分を考えたら手持ちで確保しておきたいのです。


 そしてオレの手元には紙束。

 表面は平滑ではなく、和紙に近い手触りだ。

 やや茶褐色で正直いい出来ではない。

 まあいいさ。

 羊皮紙よりも使い易いであろう事は間違いない。

 纏めて精算して貰いました。

 お代は?

 ダイヤで支払いました。

 豪勢なんだけど魔結晶に代わる品はこれしかないのです。



「それにこれも加工があるのよね」


「済みません、変なタイミングで依頼しちゃって」


 サキさんは斧頭武竜の皮を吟味してます。

 無論、オレ用の防具を作って貰う為だ。

 すぐに作業をしたそうな様子を見せているけど残念。

 ここはインスタント・ポータル内であって設備は皆無だ。

 それにサリナスの事もある。

 納期は気にしなくていいんだけどな。

 待てますから。


 まあ依頼が片付いたらサリナスに行く事になっている。

 参加するパーティの数は多い。

 それでも町の規模を考えたら少ないように思える。

 事前ミーティングは無い。

 そして魔物を狩るのは早い者勝ち。

 介入支援は個々のプレイヤーの判断に任せるようだ。

 既にサリナスへ向かうパーティの姿も見えている。

 全員がレッサードラゴンに騎乗する編成までいた。

 壮観だな。

 でもここは急ごう。

 先に罠に引っ掛かったら困るのだ。




「キースさんもサリナスですか?」


「ああ。そっちもか」


「ええ。私はアデルちゃんと一緒ですね」


「私は此花ちゃんとと一緒!」


 アデルとイリーナ、春菜と此花でユニオンを組む訳か。

 かなり強力な競争相手になるだろう。

 配下の召喚モンスターも第五段階が軸になっているみたいだし。

 各々のドラゴンもいる。

 グレータードラゴンにはまだ達していないけど頑張れ!


 オレは単独パーティで突っ込むだけだ。

 普段通りでいい。

 さあ。

 変わらずアンデッドのモンスターハウスが残っているかな?

 期待したい。


 では、布陣を変えましょう。

 昼間の市街戦、となると久々かな?

 別の意味での市街戦がエリアポータル解放戦があったけど、その前はいつだっけ?

 場所はここ、港町サリナスであった筈。

 慣れているとは言い切れないけどね。

 そこに強敵がいるのであれば否は無い。

 挑ませて貰いましょう。


 布陣はどうする?

 バンドル、船岡、シリウス、ジンバル、アイソトープです。

 市街戦に巨躯のバンドルやアイソトープを投入するのには訳がある。

 潜入?

 もう昼間になっているのだ。

 そんなの関係ないね!



「じゃあこっちも行くわよ?」


「そっちもなんですね」


 フィーナさん達もサリナスへ行くようだ。

 生産職だけで2つのパーティによるユニオンだが中々だろう。

 与作、東雲、ハンネスといった面々もいるのだ。

 そう言えばフィーナさんが実際に戦っている所って碌に見てないな。

 サキさんやマルグリッドさん、レイナやミオもだけど。


 ドラゴンスペクターみたいなのがゾロゾロと出現するようでは危ないけどね。

 それにモンスターハウスか。

 先に出来るだけ潰そう。

 あれはいい経験値になりそうだ。

 獲物は早い者勝ちであるらしいから、急がないと先を越されるぞ!


主人公 キース


種族 人間 男 種族Lv108

職業 サモンマスターLv46(召喚魔法修師)

ボーナスポイント残 10


セットスキル

小剣Lv81 剣Lv82 両手剣Lv80 両手槍Lv84 馬上槍Lv86

棍棒Lv82 重棍Lv81 小刀Lv82 刀Lv83 大刀Lv83

刺突剣Lv82 捕縄術Lv86 投槍Lv85 ポールウェポンLv87

杖Lv92 打撃Lv99 蹴りLv99 関節技Lv99

投げ技Lv99 回避Lv106 受けLv106(↑1)

召喚魔法Lv108 時空魔法Lv95 封印術Lv93

光魔法Lv89 風魔法Lv89 土魔法Lv89 水魔法Lv89

火魔法Lv89 闇魔法Lv89 氷魔法Lv89 雷魔法Lv89

木魔法Lv89 塵魔法Lv89 溶魔法Lv89 灼魔法Lv89

英霊召喚Lv5 禁呪Lv93

錬金術Lv77 薬師Lv17 ガラス工Lv24 木工Lv47

連携Lv89 鑑定Lv78 識別Lv89 看破Lv77 耐寒Lv80e

掴みLv80e 馬術Lv89 精密操作Lv80e ロープワークLv86

跳躍Lv50e 軽業Lv50e 耐暑Lv80e 登攀Lv60e

平衡Lv89

二刀流Lv83 解体Lv79 水泳Lv34 潜水Lv72

投擲Lv50e

ダッシュLv60e 耐久走Lv60e 追跡Lv64(↑1)隠蔽Lv78

気配察知Lv79 気配遮断Lv78 暗殺術Lv60e

身体強化Lv60e 精神強化Lv60e 高速詠唱Lv50e

無音詠唱Lv60e 詠唱破棄Lv60e 武技強化Lv82

魔法効果拡大Lv80 魔法範囲拡大Lv80

呪文融合Lv80

耐石化Lv77 耐睡眠Lv77 耐麻痺Lv80e 耐混乱Lv78

耐暗闇Lv78 耐気絶Lv80e 耐魅了Lv77 耐毒Lv80e

耐沈黙Lv78(↑1)耐即死Lv77

獣魔化Lv8


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