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《これまでの行動経験で【時空魔法】がレベルアップしました!》

《称号【魔導王】を得ました!》

《取得が可能な補助スキルに【英霊化】が追加されます》

《取得が可能な補助スキルに【獣魔化】が追加されます》

《取得が可能な補助スキルに【悪霊化】が追加されます》


 ユニオンを組んでE9マップのエリアポータル、生贄の神殿に跳んだのだが。

 大人数で跳べるかどうか、自信は無かったけどアッサリ跳べました。

 経験値も稼げたらしく【時空魔法】もレベルアップしてます。

 まあまあだな。


 いや、そうじゃなくてだな。

 何だ、これは?

 色々と取得可能になってますけど。

 なんじゃこれ。



『おお!E9マップだ!』


『各自、空中戦の準備を進めて下さい!』


『了解!』


 皆さん、空中戦の準備を進めているのだが。

 オレは?

 茫然自失です。

 【英霊化】【獣魔化】【悪霊化】とか、何?

 剣呑な雰囲気しかしないですけど。

 これってどうなのよ?


 取り敢えず必要なボーナスポイントだけ、確認してみたんですが。

 【獣魔化】が120ポイント。

 【英霊化】と【悪霊化】は180ポイントだ。


 お、重たい!

 最低でも120ポイントが必要であるみたいです。

 ふむ。

 どう考えてもボーナスポイントが足りません!

 自動的に保留ですね。

 問題は先送り確定、というのは良かったのか悪かったのか。

 うん。

 良かった。

 悩まないで済んだ!

 前向きに考えましょう!

 今は空中戦の布陣を確定させるのが先だ。


 で、変更後の布陣は?

 ヘザー、言祝、蒼月、折威、アイソトープだ。

 今回は同行する面々が多い。

 騎竜となるレッサードラゴンもいる。

 空中を移動する速度は多少、減速するだろう。

 移動速度と探索能力は下がってもいいから戦闘に於ける支援能力を重視だ。

 これでいい、と思います。


 サモナー系のプレイヤーは各々、召喚モンスターに騎乗している。

 ペガサス、ヒップグリフ、グリフォンだ。

 各々、レッサードラゴンもその布陣に加わっているようだ。

 今になって気付いたけど、レッサードラゴンが多いな!

 どう見ても20頭以上いる。

 召喚モンスターの分だけではないからだ。

 竜騎兵のドラゴントルーパーが騎乗するパターンです。

 でも竜騎兵でもないのにレッサードラゴンを駆るプレイヤーもいるようだ。


 各々、騎手以外に2名を後ろに同乗させている。

 召喚モンスターのレッサードラゴンは鞍のように騎乗を補佐する装備は無い。

 見た目で区別するのは楽だろう。


 その他の召喚モンスターともなるともう訳が分からない。

 オレを含めてサモナー系プレイヤーが10名いるのだ。

 召喚モンスターも50体。

 その全てを把握する気はない。

 体躯が大きいからレッサードラゴンを目が追ってしまう。

 各々、結構違って見えるのは気のせいかな?



『こりゃ凄いわ』


『ウラノスドラゴン?』


『名前しか見えないぞ!』


 まあ一番目立っていたのはアイソトープな訳ですが。

 翼を広げるとより一層、その威容の差が明確になる。

 細身だが、大きい!

 どのレッサードラゴンともレベル的に隔絶している。

 それは外見から見ても明らかだ。


 周囲のレッサードラゴンを睥睨する形になるのも仕方ない。

 でもね。

 中身はそう大差が無いと思います。

 きっと、ですけど。



『ここからは北上、ですね?』


「だな」


『では、出発!高度を一気に上げるよー!』


 先頭を駆けるのはアデル、そしてイリーナだ。

 召喚モンスター達が続く。

 オレは最後尾に位置する事にした。


 さあ。

 空中に浮く島に何が待ち構えているのか?

 きっと強敵がいるに違いない。

 ビートルドラゴン、スタッグドラゴンはきっといるだろう。

 ニュートドラゴンも期待出来る。


 問題は名前持ちのドラゴンだ。

 いるようであれば【英霊召喚】は必須だろう。

 それに魔人。

 魔神もです。

 拠点のように結界があったとしてもおかしくはない。


 挑む前から撤退を考えたくはないが。

 その可能性もあるだろうな。







『あれだな』


『キースさん?』


「シンクロセンスを使う。少し待ってくれ」


『了解!』


『こっちでも確認します!』



 時刻は?

 午前8時ちょうどだ。

 高度を可能な限り上げていた。

 全員に寒い思いをさせているけど、これは必要な事なのだ。

 天気はいい。

 目標を捕捉するにも、攻撃をするにも高度を上げておくのは有利なのです。


 その甲斐はあったかな?

 いる。

 蒼月の目を借りて見えたのは?

 空に浮く島の周囲に鳥のように見える影。

 縮尺がおかしいけど、間違いなくドラゴンだ。

 どうにか【識別】出来た。

 ビートルドラゴンとスタッグドラゴンですか。

 オレにとっての期待の星、ニュートドラゴンはいない。

 もっと近寄れば小型の魔物も見えるだろう。

 グリフォンやヒッポグリフ、それらに騎乗する魔人もいて欲しいものだ。



「ビートルドラゴンとスタッグドラゴンがいる。そこそこの数だな」


『こっちでも確認しました。凄い数ですよ!』


『ではキースさん、この後はどうします?』


「移動方向と速度の確認、だな」


『その後は?』


 あのね、イリーナさんや。

 それをオレに聞くなよ。

 襲うに決まっているだろう?

 分かっていて聞いてませんか?



「急降下で襲ってみる」


『やっぱり』


『ここまで来たんだし、付き合うよ!』


 アデルは乗り気だ。

 相変わらずだがノリが軽いな!

 何かに感化されているのかもだが、今はそれでいい。



『【英霊召喚】は使いますか?』


「出てくる戦力次第、だな。スタッグドラゴンまでなら不要だろう」




 沈黙。

 あれ?

 オレって何か、変な事を言ってたかな?



『えっと』


『キースさん、ちょっと感覚がおかしいですよー!』


「まあ、アレだ。使う事になって欲しい、とは思うぞ?」


『経験値的に、ですよね?』


 あのね、イリーナさんや。

 それ、正解!



「島から強敵が現れるようなら私が【英霊召喚】を使う。太公釣魚の呪文だ」


『太公釣魚、ですね?』


「天馬疾駆も使える筈だな」


『はい。順番を決めておきます』


 イリーナが他の面々と手順を確認をするのを聞きながら、島周辺の動向を確認する。

 変化は今の所、無い。

 少し距離が縮まったから島の上の様相が徐々に見えて来ている。


 島の中央には恐らくだが湖がある。

 池か泉のように見えてしまう。

 縮尺がおかしく感じるけど、きっと湖だ。

 その湖畔に森と神殿。

 他はフラットに平地があるだけだ。

 翡翠竜が拠点にしていた天空の島も大きかったが、こっちも負けてないな。

 それにグリフォンかヒッポグリフらしき影が動いているようだが。


 いた。

 【識別】が効いていないけど島の上にスタッグドラゴンを超える大きさの何かがいる。

 しかも複数。

 これはニュートドラゴンな予感がします。

 きっとそうだ。

 そうでってくれ!



『手順確認、終了しました!』


『ついでに覚悟、完了!』


「最初の交錯が勝負の鍵になる。気を抜くなよ?」


 さあ。

 襲おうか。

 先方が気付いているような気配は無い。

 いいぞ。

 ここまで、寒い思いをしてきた甲斐があったというものだ。




「降下開始!」


『応ッ!』


『いっけー!』


 蒼月が急降下を開始する。

 オレが手にするのは亜氷雪竜の投槍。

 この急降下の勢いを載せて、島の上にいる奴を狙う。

 先頭を駆けながら獲物の選定、この瞬間が実に楽しいのだ!


 そう。

 実に楽しい時間である程、短かったりするけどね。

 今回はどうでしょう?



「人馬一体!」「エンチャントブレーカー!」「リミッターカット!」


 まだ距離はある。

 でもすぐに詰まってくれるだろう。

 早めに武技を使って獲物を見定める。

 タイミングを外したくない。

 大きくなる島の姿。

 その島の上にいる影も徐々に大きくなって来る。

 シンクロセンスで蒼月の目を借りて見ているのだが。

 そろそろ【識別】が効いてくれませんか?



 雪花竜 アラバスタードラゴン ???

 ??? ??? ???

 ??? ???



 ヤバそうなのがいる。

 それに期待通り、ニュートドラゴンもいる。

 問題は?

 結界があるかどうか、だな。

 まあそれもすぐに判明するだろう。



(((((((((((((((ケラウノス・ジャベリン!)))))))))))))))


 ケラウノス・ジャベリンの15連装だ。

 この雷魔法の呪文は射程が長い。

 先制には有効である筈。


 だが。

 島の上にいたアラバスタードラゴンに直撃はしなかった。

 外れそうに無かったのに。


 結界だ!

 これは厄介な事になりそうだぞ?



『キースさん、今の!』


「攻撃は通っていない!このまま周囲の奴を狙え!」


 この段階で急降下を止める事は出来ない。

 むしろこのまま通過した方がいい。

 速度を活かしてどこまで戦えるか?

 相手の反応次第、ではある。



((((六芒封印!))))

((((七星封印!))))

((((十王封印!))))

(((イビル・アイ!)))


 結界の外にもドラゴンがいる。

 【呪文融合】で支援を行いながら戦力を見定める。

 かなり、いるようだ。

 魔人が騎乗するグリフォンにヒッポグリフもそこそこ、いるのは有難い。


 さあ、ここからは空中戦だ!

 先制攻撃、それに奇襲でどれ程のアドバンテージが稼げるか?

 そして結界内に控える戦力がどこで出て来るか?

 かなり厳しい戦いになりそうな予感がします。






(太公釣魚!)


 ニュートドラゴンが動いている。

 そしてアラバスタードラゴンも。

 躊躇する事はない。

 英霊のご老人に出陣願うとしよう。

 オレの後ろにご老人の姿が出現しているのが分かる。

 アイソトープはスタッグドラゴン相手に大暴れしているからな。

 あれでは安全地帯とは言えないだろう。



『天馬疾駆!』


 ペガサスに騎乗した英霊様がイリーナの横に出現している。

 空中戦での支援効果は高い。

 敏捷値の底上げに対空命中率の向上であった筈だ。

 それに英霊様自身の戦闘能力にも大いに期待していい。



(エクストラ・サモニング!)


 支援効果を更に向上させよう。

 召喚したのはビアンカだ。

 勝負は序盤です。

 英霊様のご老人の残り時間は18分程ある。

 ブレス攻撃や特殊能力を封じているうちにどれだけ仕留められるか?

 勝負の鍵はそこに集約されるだろう。



(フィジカルエンチャント・ファイア!)

(フィジカルエンチャント・アース!)

(フィジカルエンチャント・ウィンド!)

(フィジカルエンチャント・アクア!)

(メンタルエンチャント・ライト!)

(メンタルエンチャント・ダーク!)

(グラビティ・メイル!)

(サイコ・ポッド!)

(アクティベイション!)

(リジェネレート!)

(ボイド・スフィア!)

(ダーク・シールド!)

(エンチャンテッド・ライト!)

(ファイア・ヒール!)


 ビアンカを呪文で強化する。

 そして戦場に響き渡るビアンカの歌。

 しかも演奏付だ!



(((ミーティア・ストリーム!)))

(((ライトニング・ブラスト!)))

(((ヘイルストーム!)))

(((アシッド・レイン!)))

(((スウォーム!)))


 魔物の群れに突っ込む。

 そして攻撃呪文を喰らわせる。

 数が多過ぎ!

 魔人が騎乗していないグリフォンにヒッポグリフとか、邪魔にしかならんわ!


 狙うべきなのは?

 アラバスタードラゴン、それにニュートドラゴンだ。

 ペガサスに騎乗する英霊様にばかり活躍させる事は無い。

 大物は逃せませんな!


 その一方で周囲では空中戦、しかも乱戦模様だ。

 早い段階で魔物を出来るだけ減らして数の上で優位に立ちたい。

 そうでなければ厳しいであろう相手がいる。

 今は、押せ!

 出し惜しみもしてはいけない!





『【精霊召喚】はそろそろ限界だ!』


『天使様が消えてるぞ!』


『慌てずに!まだ【英霊召喚】の効果は継続中!攻撃続行!』


『雪花竜がまた来るよー!』


『壁支援!幻影用意!ニュートは?』


「もう少しで沈む!」


 いやいや。

 正確に言えばもうすぐ沈める、だけどね。


 鉄の棺桶に分断したニュートドラゴンが海面に向けて落ちて行く。

 もうすぐ、突破するだろう。

 狙うのはその瞬間だ。

 突撃するのに良し。

 【呪文融合】の呪文を叩き込むのも良し。

 オレは?

 両方ともやります。



「マキシマム・チャージ!」


 双角猛蛇神の騎士槍の槍先が装甲をどうにか貫く。

 次は?

 これだな。



(((エナジードレイン!)))

(((ディメンション・ソード!)))

(((パルスレーザー・バースト!)))

(((フォースド・ドライング!)))

(((ディクレイ・ヒート!)))


 どうにか仕留めたか?

 そう思える程の手応え。

 でもHPバーはまだ、少しだけ残ってやがる。

 どうもこのニュートドラゴン、レベルが高めか?



(((((((((((((((ケラウノス・ジャベリン!)))))))))))))))


 海面に落ちる前に捕捉出来たかな?

 HPバーは確かに砕け散った筈。

 その死体は海面に激突、派手な飛沫を上げている。

 剥ぎ取り作業?

 それ所じゃない。

 雪花竜、アラバスタードラゴンはまだ健在なのだ。



「ニュートは沈めた!状況は?」


『ビートル7、スタッグ2、ニュートは1!』


『グリフォンとヒッポグリフが少し残ってます!』


「ニュートドラゴンから片付ける。どこだ?」


『今、私の目の前!』


 イリーナの声に緊張の色が濃い。

 戦況は間違いなくこっちが押している。

 だがそれは【英霊召喚】が有効である事が前提だ。

 最初の天馬疾駆もそろそろ効果が途切れそうでもある。

 オレの太公釣魚の効果も残り半分も無い。

 【英霊召喚】も継ぎ足す事になりそうな予感がします。



「島は?」


『現時点まで変化なし!援軍は無い模様!』


 援軍は無いのか。

 半分、残念。

 半分、有難い。

 アラバスタードラゴンを仕留めに行く事に集中出来る。

 いや、そもそも仕留められるかどうか。

 先に周囲の戦力を全部、排除したい所だ。

 集団でアラバスタードラゴンを囲んで、潰す。

 それも可能であるかどうか、確信は無い。


 それでも、やる。

 挑むべきだ。

 オレ単独では間違いなく【英霊召喚】の時間が足りていない。

 だが今はオレ以外にも【英霊召喚】が使えるプレイヤーがいるのだ。



『春菜ちゃん、そろそろ天馬疾駆を用意!残り1分!』


『了解!』


『雪花竜のHPバー確認!残り9割!』


『ゲエッ!』


『とんでもなくタフだぞ!』


 まあそりゃそうだ。

 複数いるとはいえ、名前持ちのドラゴンなのだ。

 これを簡単に仕留めてしまうジュナさんが異常なだけです。



(ショート・ジャンプ!)


 一気に高度を稼ぐ。

 高い位置で指揮を執るイリーナと紅蓮のいる場所の、更に上だ!



(((ミーティア・ストリーム!)))

(((ライトニング・ブラスト!)))

(((ヘイルストーム!)))

(((アシッド・レイン!)))

(((スウォーム!)))


 眼下に向けて攻撃呪文を重ねた。

 イリーナが騎乗するヒッポグリフには紅蓮が同乗している。

 上空で戦況を把握している、ここが司令部みたいなものだ。

 エレメンタル・マグス『風』が2名、護衛に付いている。

 つい先刻まで精霊のフェニックスとビアンカも護衛にいたが、今はいない。


 ニュートドラゴンは?

 少しだけ動きが鈍い。

 複数のレッサードラゴンに集られているからだ。

 突撃を、と思ったが先を越された。

 ペガサスを駆る英霊様が突っ込んでいる。


 これが困り者だ。

 オレが半分、援軍を求めている原因でもある。

 だが英霊様の姿が消えて行くのが見えた。

 安心出来ない。

 次の展開はもう分かっている。



『天馬疾駆!』


 春菜が新たなペガサスを駆る英霊様を召喚したのだろう。

 切なくなってきた。

 英霊様も超過勤務手当てを請求していいと思うよ?



(オフェンス・フォール!)

(ディフェンス・フォール!)

(スロウ!)

(ディレイ!)

(パラライズ!)

(グラビティ・プリズン!)

(ホーリー・プリズン!)

(ブラックベルト・ラッピング!)

(コラプト!)

(オートクレーブ!)

(レゾナンス!)

(スウォーム!)

(カーズド・ワーム!)

(ペトリファクション!)

(アイアン・メイデン!)


 もう少しで仕留められそうなニュートドラゴンを保護しましょう。

 鉄の棺桶が一気に海面に向けて落ちて行く。

 そう、これは保護です。

 分断とも言うけど、保護です。

 まあすぐに突破される運命だけど、大きな隙を作って仕留める布石なのだ。


 獲物を独占したい訳ではない。

 違いますよ?







「太公釣魚が残り1分を切った!用意は?」


『此花ちゃん!』


『大丈夫です!行けます!』


『呪文詠唱は20秒前からスタート!発動はカウントゼロで!』


『秒読みは眠りダムー、いいか?』


『任されたー!』


 緊張が走る。

 残る相手はアラバスタードラゴン、それにグリフォンが少しって所だ。

 そして最後に残ったこの純白のドラゴンは尋常ではない。

 ここにいる全員がそう感じている事だろう。


 15分以上、近接攻撃を避けつつ距離を置いて一方的に攻撃を重ねている。

 それでもHPバーは残り8割。

 これ、本当に仕留められるのか?

 やはりやってみないと分からないな。


 オレの後ろにいたご老人の英霊が肩を叩いている。

 注意喚起、だな。

 オレと視線が合うと笑みを浮かべ、徐々に消えて行く。



『2、1、ゼロ!』


『太公釣魚!』


 此花のヒッポグリフにはリディアが同乗している。

 そのリディアと胸元に顔を押し付ける形でご老人の英霊様が出現しているのが見えた。

 おい、爺さん!



『キャァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!』


『今のは?』


『何だ?何だ!』


『どうした?』


『大丈夫か?』


 状況を把握していないプレイヤーから心配する声が飛び交っている。

 まあ、アレだ。

 ある意味でアクシデント?

 ご老人が羨ましい、というのは声に出さないでおこう。

 セクハラだし。


 それに眼下にはアラバスタードラゴンがいる。

 仕留めに行こう。

 時間は買えないのです。



「仕留めに行くぞ!」


『了解!』


 ここは急ごう。

 戦況は確かにこっちに有利だが、逆転したら酷い事になる。

 悲鳴に気を回す余裕は無いのだ!









《只今の戦闘勝利で【馬上槍】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【禁呪】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【連携】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【識別】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【平衡】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【武技強化】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【魔法効果拡大】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【魔法範囲拡大】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【呪文融合】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『ヘザー』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



『勝った、のか?』


『勝ったみたいよ?』


『うわ、インフォが凄い事になってる!』


 海面にはアラバスタードラゴンの死体が確かに浮かんでいる。

 済まないな。

 【英霊召喚】の太公釣魚の呪文の影響は大きい。

 ブレス攻撃も他の特殊能力もほぼ、封じられ続いていたのだ。

 最後の方で太公釣魚の引継ぎが上手くいかず、ブレス攻撃が一回だけあったけど。

 それだけでかなりの被害があったというのも恐ろしい。


 まあ完封は最初から諦めてました。

 仕留めに行くにはどうしても近接戦闘も必要だと思ってましたから。

 オレと蒼月による突撃。

 それにアイソトープの攻撃は覚悟してました。

 海面に落としてからはレッサードラゴンに騎乗するドラゴントルーパーの突撃もあった。

 無論、呪文の支援無しで出来ませんでしたけどね。


 アラバスタードラゴンってやっぱり強敵だ!

 そういう相手とは思ってましたけど。

 正直、オレだけでは勝てなかっただろう。


 最初からアラバスタードラゴン単独だったらどうだ?

 狩れるかどうか、ギリギリであるかもしれない。

 しかも切り札を全て注ぎ込んだ上の話になるだろう。



 ヘザーのステータス値で既に上昇しているのは精神力でした。

 もう1点のステータスアップは生命力を指定しましょう。



 ヘザー オーディンガードLv23→Lv24(↑1)

 器用値 34

 敏捷値 63

 知力値 62

 筋力値 34

 生命力 34(↑1)

 精神力 63(↑1)


 スキル

 剣 馬上槍 弓 小盾 受け 飛翔 心眼 降神

 霊能 浮揚 空中機動 自己回復[中] 物理抵抗[小]

 魔法抵抗[大] MP回復増加[中] 光属性 闇属性

 風属性 土属性 水属性 雷属性 氷属性 耐麻痺




《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『言祝』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 リミッターカットの後遺症は?

 ステータス値は9割減相当になってます。

 即決でソーマ酒を服用する。

 まだ時刻は午前9時になってません。

 今の戦闘も長かったけど、1時間無かったのか。

 もっと長いかと思ってました。

 緊張をずっと強いられていた気がする。

 本当に勝てているのが信じられない!


 だが、まだ終わりではない。

 空を見上げると、島が浮かんでいる。

 もう少し、様子を見たい所だ。



 言祝のステータス値で既に上昇しているのは敏捷値でした。

 もう1点のステータスアップは生命力を指定しましょう。



 言祝 アークデーモンLv23→Lv24(↑1)

 器用値 29

 敏捷値 70(↑1)

 知力値 69

 筋力値 29

 生命力 29(↑1)

 精神力 70


 スキル

 刺突剣 小盾 爪撃 飛翔 浮揚 回避 呪詛 堕天

 反響定位 空中機動 魔力遮断 自己回復[小]

 物理抵抗[小] 魔法抵抗[大] MP回復増加[大] 変化

 時空属性 光属性 闇属性 火属性 風属性 土属性

 水属性 塵属性 氷属性 呪眼 耐即死 耐魅了




《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『折威』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



「被害を確認だ。広い範囲でブレス攻撃を喰らってただろう?」


『確認してます!』


『死に戻りはいません。ステータス異常が結構いますけど』


「全周警戒を頼む。アイテム剥ぎをしてみたい」


『了解!』


 アラバスタードラゴンから何が剥げるのか?

 ジュナさんが仕留めた個体からは何も剥げていなかったと思うけど。

 かなり興味があります。

 何かが剥げて欲しい。

 念じろ。

 そして【解体】師匠を信じましょう。



 折威のステータス値で既に上昇しているのは器用値でした。

 もう1点のステータスアップは筋力値を指定しましょう。



 折威 アークデーモンLv23→Lv24(↑1)

 器用値 27(↑1)

 敏捷値 70

 知力値 70

 筋力値 27(↑1)

 生命力 26

 精神力 70


 スキル

 杖 弓 爪撃 飛翔 浮揚 回避 呪詛 堕天 反響定位

 空中機動 魔力遮断 物理抵抗[小] 魔法抵抗[中]

 自己回復[中] MP回復増加[大] 変化 夜目 時空属性

 光属性 闇属性 火属性 風属性 土属性 水属性

 雷属性 木属性 溶属性 灼属性 魅了 耐魅了



《ボーナスポイントに1ポイント加算されます。合計で82ポイントになりました》


 ボーナスポイントも追加になっている。

 1ポイントですけど。

 他のプレイヤーだとどうなんだろう?

 ザッと見回すと呆然としているプレイヤーが半分、大喜びなのが半分って所だ。

 ちょっとだけ羨ましいです。



(フライ!)


 では、アラバスタードラゴンは何を残すかな?

 剥ぎ取りナイフを突き立てようとした、その瞬間。

 何か大きな存在がオレの頭上を通り過ぎだようだ。

 周囲が一瞬、暗くなったんだが。

 何だ?



『上だ!』


『キースさん!危ない!』


 何かが急降下しているのは見えていた。

 だがそれが何なのか【識別】する事すら出来ない。

 海面に派手な水柱が生じ、海面が大きく波打つ。

 アラバスタードラゴンの死体の上でバランスを取るだけで精一杯だ!




 雲母竜 スカラブドラゴン ???

 ??? ??? ???

 ??? ???



 海面に浮かんできたのは例の名前持ちのドラゴンだ。

 その威容は圧倒的。

 マズい。

 こいつは確実にアラバスタードラゴンよりも格上の相手だ!

 間違いなく全滅の危機。

 しまも雲母竜の頭上に人影がある。

 魔神、だな。

 しかもその姿は忘れたくても忘れられない相手だ!



 ??? ???

 魔神 ??? ???

 ??? ???


 相変わらず魔神という事しか分からない。

 老齢でありながらも筋骨隆々とした立派な体躯。

 両腕を組んで不敵な笑みを浮かべてやがる。

 いかん。

 すぐにでも飛んで行ってぶん殴りたくなる!



『ほう、お前か!』


 マズいぞ。

 このままでは全滅必至だ。

 どうする?

 オレだけであれば間髪を入れずに殴りに行っていただろう。

 だがここにいるのはオレだけではないのだ。

 自重しろ。

 耐えるしかない。


 魔神の黄色い瞳が周囲を見回している。

 余裕だな。

 だがそうさせるだけの力量の差はあるのだ。

 悔しいが仕掛けるだけの隙も無い。


 魔神の様子が変わった。

 悲しそうな様子で溜息。

 何だ?

 おかしな奴め。



『こうも邪魔者が多いのでは、な。場所も良くない』


「何を言っている?」


『お前は、馬鹿か?ここで殴り合いをしたいかね?』


 ダメだこの魔神。

 オレと殴り合うつもりでここに来たのか?

 喧嘩をするのに場所が悪いという点については同意するけど。


 今度は魔神が島を見上げている。

 島の周囲には幾つかの影。

 今更だが援軍であるらしい。



『全く、度し難い奴等だ。我ならば殴り殺す所だぞ!』


「何?」


 今度は魔神の視線がオレを貫く。

 その表情は険しい。

 どこか悲しそうにすら見えるのは気のせいかな?



『この死体は諦めて、去れ。あの続きはまた後日としよう』


 魔神が一方的に告げると雲母竜が動いた。

 こっちに来る!

 オレは?

 空中へ退避するしかなかった。

 雲母竜はアラバスタードラゴンの死体を両脚で掴み、軽々と上昇して行く。

 周囲を気にする様子は無い。

 魔神もだ。


 その去って行く姿を見送る事しか、出来ない。

 クソッ!

 見逃した、だと?

 オレ達を全滅させる好機であった筈。


 まさに上から目線。

 殴り倒さないと、いけない。

 その不遜な態度を改めさせないと、いけない。

 修正してやる。

 だがそれは今ではない。



『キースさん!今のって!』


「援軍に捕捉される前に撤退しよう。いいか?」


 周囲を見回しても異存は無さそうだ。

 皆、至近距離で魔神と雲母竜を見て茫然自失の態でいるプレイヤーが殆どです。



「テレポートを使うぞ!」


『は、はい!』


 どうにか返事をしたのは誰であったのか?

 それはどうでもいい。

 今は撤収すべきだ。



(テレポート!)


 跳ぶ先はE1マップのエリアポータル、港町レジアだ。

 ここは出直すしかない!


主人公 キース


種族 人間 男 種族Lv102

職業 サモンマスターLv40(召喚魔法修師)

ボーナスポイント残 82


セットスキル

小剣Lv73 剣Lv76 両手剣Lv73 両手槍Lv78 馬上槍Lv81(↑1)

棍棒Lv73 重棍Lv74 小刀Lv74 刀Lv78 大刀Lv75

刺突剣Lv72 捕縄術Lv77 投槍Lv77 ポールウェポンLv77

杖Lv88 打撃Lv93 蹴りLv93 関節技Lv93

投げ技Lv93 回避Lv99 受けLv99

召喚魔法Lv102 時空魔法Lv89(↑1)封印術Lv86

光魔法Lv82 風魔法Lv82 土魔法Lv82 水魔法Lv82

火魔法Lv82 闇魔法Lv82 氷魔法Lv82 雷魔法Lv82

木魔法Lv82 塵魔法Lv82 溶魔法Lv82 灼魔法Lv82

英霊召喚Lv5 禁呪Lv85(↑1)

錬金術Lv73 薬師Lv17 ガラス工Lv24 木工Lv47

連携Lv81(↑1)鑑定Lv74 識別Lv81(↑1)看破Lv67 耐寒Lv77

掴みLv80e 馬術Lv81 精密操作Lv80e ロープワークLv77

跳躍Lv50e 軽業Lv50e 耐暑Lv75 登攀Lv60e

平衡Lv81(↑1)

二刀流Lv76 解体Lv74 水泳Lv30 潜水Lv66

投擲Lv50e

ダッシュLv60e 耐久走Lv60e 追跡Lv45 隠蔽Lv74

気配察知Lv74 気配遮断Lv74 暗殺術Lv60e

身体強化Lv60e 精神強化Lv60e 高速詠唱Lv50e

無音詠唱Lv60e 詠唱破棄Lv60e 武技強化Lv75(↑1)

魔法効果拡大Lv74(↑1)魔法範囲拡大Lv74(↑1)

呪文融合Lv74(↑1)

耐石化Lv71 耐睡眠Lv71 耐麻痺Lv74 耐混乱Lv71

耐暗闇Lv71 耐気絶Lv80e 耐魅了Lv70 耐毒Lv79

耐沈黙Lv71 耐即死Lv70


称号

老召喚術師の後継者 老死霊術師の祝福

森守の紋章 中庸を呼ぶ者 王家の剣指南者

海魔討伐者 鍾乳洞踏破の証 墓守の紋章

魔人討伐者 氷雪竜討伐者 巨人王の謎掛け

金紅竜の誓約 翡翠竜の誓約 柘榴竜の誓約

蒼玉竜の誓約 白金竜の祝福 黒曜竜の祝福

翠玉竜の祝福 水晶竜の祝福

瑠璃光の守護者 除蓋障院への通行証

冥界門の通行証

魔導王(New!)拳聖 リーサルウェポン

ジェノサイダー


召喚モンスター

ヘザー オーディンガードLv23→Lv24(↑1)

 器用値 34

 敏捷値 63

 知力値 62

 筋力値 34

 生命力 34(↑1)

 精神力 63(↑1)

 スキル

 剣 馬上槍 弓 小盾 受け 飛翔 心眼 降神

 霊能 浮揚 空中機動 自己回復[中] 物理抵抗[小]

 魔法抵抗[大] MP回復増加[中] 光属性 闇属性

 風属性 土属性 水属性 雷属性 氷属性 耐麻痺


言祝 アークデーモンLv23→Lv24(↑1)

 器用値 29

 敏捷値 70(↑1)

 知力値 69

 筋力値 29

 生命力 29(↑1)

 精神力 70

 スキル

 刺突剣 小盾 爪撃 飛翔 浮揚 回避 呪詛 堕天

 反響定位 空中機動 魔力遮断 自己回復[小]

 物理抵抗[小] 魔法抵抗[大] MP回復増加[大] 変化

 時空属性 光属性 闇属性 火属性 風属性 土属性

 水属性 塵属性 氷属性 呪眼 耐即死 耐魅了


折威 アークデーモンLv23→Lv24(↑1)

 器用値 27(↑1)

 敏捷値 70

 知力値 70

 筋力値 27(↑1)

 生命力 26

 精神力 70

 スキル

 杖 弓 爪撃 飛翔 浮揚 回避 呪詛 堕天 反響定位

 空中機動 魔力遮断 物理抵抗[小] 魔法抵抗[中]

 自己回復[中] MP回復増加[大] 変化 夜目 時空属性

 光属性 闇属性 火属性 風属性 土属性 水属性

 雷属性 木属性 溶属性 灼属性 魅了 耐魅了


召魔の森 ポータルガード

黒曜、ジェリコ、ティグリス、クーチュリエ、モジュラス、雷文

清姫、守屋、スーラジ、久重、テフラ、岩鉄、虎斑、蝶丸、網代


睡蓮洞 ポータルガード

ストランド、ロジット

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― 新着の感想 ―
舐められるキースも珍しくていいね
稀代の軍師太公望呂尚がただのエロジジイに…w リディアの不幸体質ってラッキースケベ限定なのかな?
感想一覧
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