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「やあ、キース」


「サモナーさんが来たぞー!」


 何だその掛け声は?

 魔物の襲来じゃないでしょ?

 オレに声を掛けていたリックも苦笑していた。



「状況はどう?」


「魔物を迎撃しながらの補修だからね。手間取ってるよ。タイミングも悪い」


「タイミング?」


「ログアウトするなとも言えないからねえ」


 ああ、そういう事か。

 ログインしているプレイヤーの数は少ない時間帯であるのだ。

 人員的に不足気味であるのだろう。

 それでも相当な人員がいるように見える。



「フィーナさんは?」


「防壁で直接指揮しているよ」


 リックの周囲には様々なプレイヤーが行き交っている。

 臨時の物資集積の拠点になっているみたいだ。

 上空を警戒しているプレイヤーまでいる。

 ここは大丈夫そうだな。



「では、防壁に行ってみるよ」


「じゃあ、また」


 リックの元を辞去すると防壁の方に向かう。

 途中で頭上に違和感。

 上空を通過しているのはエアーマンタだ。

 全身を矢で貫かれていて、そのまま墜落してしまう。

 瓦礫の中に突っ込んだようだ。

 迎撃の手は足りているみたいですね。


 魔物の襲来はまだ続いているらしいな。

 問題は?

 大物がいない、という所だ。

 エアーマンタだけが相手では面白くないぞ!





「戦況はどうです?」


「見ての通りよ!」


 防壁から砂浜を見ると?

 仮組で作り上げた防柵に向けて何匹かの魔物が殺到している。

 その相手はガルムにトライホーンリザード。

 防柵がある分、迎撃は容易になっているようだ。



「砂浜から来る魔物はかなり減って来ているわ」


「海方面はどうです?」


「そんなに減ってないのよ。掃討しに行っているパーティもいるんだけど」


「そうですか。そっちを回ってみます」


「助かるわ」


 本来の防壁の修復は?

 様々なプレイヤーが役割分担をして修復作業が進んでいるようだ。

 サモナー系のプレイヤーもいるようで様々なゴーレムがいる。

 肝心の防壁は?

 何箇所も突破されているのにかなり修復が進んでいるように見えた。

 仕事が早いよ、フィーナさん!

 人手もそうだけど、物資の集積も素早い。

 生産職の人脈の力を目の当たりにした気がします。




 エアーマンタを片付けながら港に向かっていたんだが。

 その港に、顔見知りがいた。

 駿河と野々村だ。

 周囲にいるのはほぼ、人魚系の召喚モンスター。

 こんな時でも徹底しているな!


 それにレッサードラゴンもいる。

 一緒にいるのは間違いなく攻略組。

 ガヴィとリディアの姿も見えていた。



「どうした?」


「魔人の移動拠点です。隷獣・アスピドケロンを見掛けたんですが見失ってしまって」


「もうすぐ時間切れなんで。ログアウトしないと」


「アレが砂浜に魔物を上陸させているのは確認してます」


「キムクイガーディアン・スレイブは?」


「今の所は見てませんね」


 情報が交錯する。

 纏めてしまえば事は単純。

 まだ隷獣・アスピドケロンがいるようだ。



「睡蓮洞のお披露目が中途半端になっちゃったなあ」


「ご愁傷様。明日、改めて顔を出すよ」


 駿河の嘆く声。

 まあそう言うなって。

 おみやげに持参した蜂蜜も渡していない。

 改めて行くから!




 駿河と野々村、それにガヴィにリディア達のパ-ティもログアウトする為に去って行く。

 オレはどうする?

 無論、隷獣・アスピドケロンを狙うのだ。


 だが相手はキムクイガーディアン・スレイブと条件が全く違う。

 海中では足跡を追跡するような事は出来ない。

 厄介だ。

 実に厄介だ!

 どうしよう?


 砂浜を監視する形で哨戒してみるしかない。

 何しろ相手は基本がアスピドケロンだ。

 姿を現したら大いに目立つ事だろう。


 インスタント・ポータルを展開。

 装備は水中対応に着替えよう。

 続けて布陣を変更する。

 全員、帰還だ。

 ストランド、蒼月、キュアノス、メジアン、パンタナールとしました。

 基本は空中からの哨戒活動なのだが。

 蒼月を交代させたら、そのまま海上戦にも海中戦にも簡単に移行出来る。

 これでいい。


 高度を思いっ切り取ろう。

 確かエアーマンタはそう高い場所では遭遇しなかった筈。

 それにカーム・モンスターズも使おう。


 上空から、隷獣・アスピドケロンを狙う。

 出来るのは夕方までだ。

 限られた時間の中で、どれだけの戦果を出せるかな?

 魔物の群れに期待したい所だ。








《只今の戦闘勝利で【投槍】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【風魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【雷魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【木魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『ストランド』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 ああ、ダメだ。

 襲いたい。

 魔物が出現するのを待つのってダメだ。

 以前にもあったかな?

 ブラックサンタを散々狩った事もあったか。

 アレは厳しかった。

 オレにはPK職は向かない事を自覚したものです。


 隷獣・アスピドケロンを狩れたのは、いい。

 襲うのを躊躇したのがいけなかった。

 キムクイガーディアン・スレイブを召喚してくれ。

 そう願いつつ様子を見ていたのだ。


 出現したのはガルムとトライホーンリザードの群れだけだ。

 無残。

 オレの思惑なんてこんなものみたいです。



 ストランドのステータス値で既に上昇しているのは敏捷値でした。

 もう1ポイント分のステータスアップは筋力値を指定しましょう。



 ストランド 青竜Lv22→Lv23(↑1)

 器用値 30

 敏捷値 62(↑1)

 知力値 30

 筋力値 62(↑1)

 生命力 76

 精神力 30


 スキル

 噛付き 巻付 回避 空中機動 水中機動 水棲

 飛翔 物理抵抗[中] 魔法抵抗[中] 自己回復[小]

 MP回復増加[小] 霊能 熱感知 気配遮断 猛毒

 時空属性 光属性 闇属性 土属性 水属性 木属性

 耐即死 毒耐性 鬼竜変




《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『キュアノス』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 隷獣・アスピドケロンの死体は海上を漂っている。

 時刻はもう午後6時10分にうなってしまっていた。


 戦闘時間は意外過ぎる程に長引いてしまった。

 砂浜で引っ繰り返してやれたら良かったのだが。

 戦闘を仕掛けた時には既に沖に戻りつつあったのです。


 空中から攻撃を重ね続けてどうにか仕留めはしたけど、迂遠だ。

 完全に判断ミスです。

 強欲過ぎるのが足を引っ張ってしまったか。

 反省、だな。



 キュアノスのステータス値で既に上昇しているのは知力値だ。

 もう1点のステータスアップは敏捷値を指定しましょう。



 キュアノス ホーライLv22→Lv23(↑1)

 器用値 25

 敏捷値 73(↑1)

 知力値 73(↑1)

 筋力値 25

 生命力 25

 精神力 73


 スキル

 飛翔 浮揚 回避 水棲 夜目 変化 同化 魔力察知

 物理攻撃透過[小] 魔法抵抗[大] MP回復増加[大]

 光属性 闇属性 火属性 風属性 土属性 水属性

 木属性 氷属性 魅了 耐沈黙 耐即死 精霊変化



 もうすぐ夜になる。

 空中からの哨戒は無理だ。

 海上か海中で、というのが妥当だろう。

 海面近くで海へと飛び込む。

 そして布陣を変更。

 ストランド、蒼月、キュアノスは帰還だ。

 アプネア、アウターリーフ、ハイアムスを召喚しました。

 得物も亜氷雪竜の投槍から天沼矛に変更だ。


 布陣を確認しよう。

 アプネア、アウターリーフ、メジアン、ハイアムス、パンタナールだ。

 基本は海上を哨戒になるのだが。

 隷獣・アスピドケロンを見付けるのはより厳しくなった事だろう。

 困った事だ。


 そうそう。

 食事は今のうちに携帯食で済ませてしまおう。

 長い夜になりそうな予感がする。

 オレもどこまで粘ればいいかな?

 まあアレだ。

 出来る所まで、という事にしておこうか。








《只今の戦闘勝利で【召喚魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【水魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【氷魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【塵魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【潜水】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で職業レベルがアップしました!》

《只今の戦闘勝利で種族レベルがアップしました!任意のステータス値2つに1ポイントを加算して下さい》



 やはり夜の海で哨戒と言うのは効率が悪いな。

 悪過ぎます。

 それでも隷獣・アスピドケロンは逃したくない。

 今回はスタッグドラゴンが3体いたのがせめてもの救いだろう。

 出来ればニュートドラゴンが欲しい、というのは贅沢なんだろうか?


 まあ、いいさ。

 オレ自身のレベルアップが来ているのだ。

 多少の慰めになってます。



 基礎ステータス

 器用値 44(↑1)

 敏捷値 44(↑1)

 知力値 66

 筋力値 43

 生命力 43

 精神力 66



《ボーナスポイントに2ポイント加算されます。合計で81ポイントになりました》


 さて。

 まだ隷獣・アスピドケロンはいるのかな?

 いて欲しい所だ。

 時刻は既に午後9時10分になっている。

 せめてもう1体、いませんかね?



《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『メジアン』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に2ポイントを加算して下さい》



 メジアンもレベルアップだ。

 でも消耗が結構あります。

 今日はドラゴン組は全員、良く頑張ったぞ!

 狭い洞窟のような場所を除けば汎用性の高さは実に頼もしい。

 それ故に酷使してしまっていたかも?


 済まないな。

 オレの所はハードなんですよ。



 メジアンのステータス値で既に上昇しているのは器用値でした。

 もう2点のステータスアップは知力値と精神力を指定しましょう。



 メジアン グレータードラゴンLv4→Lv5(↑1)

 器用値 37(↑1)

 敏捷値 58

 知力値 37(↑1)

 筋力値 58

 生命力 58

 精神力 37(↑1)


 スキル

 噛付き 引裂き 飛翔 回避 跳躍 疾駆 夜目

 水棲 空中機動 自己回復[小] 物理抵抗[小]

 魔法抵抗[小] MP回復増加[小] 捕食吸収 ブレス

 火属性 風属性 土属性 水属性 氷属性 雷属性

 木属性 溶属性 毒耐性 耐即死




《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『パンタナール』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に2ポイントを加算して下さい》



 状況はパンタナールも一緒です。

 いや、メジアンよりも酷い。

 隷獣・アスピドケロンは捕食吸収狙いで喰うにはいい相手だ。

 でもパンタナールは食が細い。

 その影響が出てます。


 まあ今日はここで切り上げた方がいいかもしれないな。

 時刻は午後11時10分だ。

 ログアウトする前にソルトロックの様子を聞いておこう。

 まだフィーナさんかリックがいたらいいのだが。



 パンタナールのステータス値で既に上昇しているのは敏捷値でした。

 もう2点のステータスアップは筋力値と生命力を指定しましょう。



 パンタナール ノーブルドラゴンLv4→Lv5(↑1)

 器用値 46

 敏捷値 47(↑1)

 知力値 49

 筋力値 46(↑1)

 生命力 46(↑1)

 精神力 49


 スキル

 噛付き 引裂き 飛翔 回避 堅守 跳躍 疾駆

 夜目 水棲 自己回復[小] 物理抵抗[中] 魔法抵抗[中]

 MP回復増加[小] 捕食吸収 ブレス 時空属性

 光属性 闇属性 火属性 風属性 土属性 水属性

 毒耐性 耐即死



 では、テレパスを使おう。

 フィーナさんはまだいるかな?






『こっちは当面、大丈夫そうよ』


「大型の魔物がまだいました。平気ですか?」


『平気じゃないけど仕方ないわ』


「フィーナさんは徹夜ですか?」


『もう少しでサキに引き継いでログアウトするわ。キースも徹夜なんて無茶はしないで、ね?』


「ええ」


 徹夜ですか。

 してもいいけど、今日は敢えて召魔の森に戻ろう。

 余りに戦闘と戦闘の間の時間が間延びしている。

 特に夜だとそうだ。


 出直そう。

 夜に間に進展があって欲しい。

 直接、亀が港に突っ込んでこないのであればいいけど。

 それにキムクイガーディアン・スレイブの脚は鈍いのです。

 どうにか間に合うと思いたいが。

 そこに期待するしかないな。










《フレンド登録者からメッセージが2件あります》


《ポータルガードにより配備の召喚モンスター『テイラー』がレベルアップしました!》

《『テイラー』のステータスを確認して下さい》


《ポータルガードにより配備の召喚モンスター『ペプチド』がレベルアップしました!》

《『ペプチド』のステータスを確認して下さい》


《ポータルガードにより配備の召喚モンスター『久重』がレベルアップしました!》

《『久重』のステータスを確認して下さい》



 時刻は午前4時30分。

 メッセージは?

 1件は駿河からだった。

 これはお披露目の件のお礼とお詫びのようだ。

 そうそう、オレもお土産となる蜂蜜を渡せていない。

 今日は早めに移動しようかな?


 そしてもう1件はサキさんからだ。

 こっちは昨日までの魔物の襲来の総括のようです。

 メッセージの送信時刻は20分程前だ。

 ザッと目を通したが、どうも現時点で大型の魔物の襲来は無いみたいです。

 残念。

 いたら狩ってあげるのに。




 テイラー ジュエルキャンサーLv21→Lv22(↑1)

 器用値 45

 敏捷値 53

 知力値 13

 筋力値 98(↑1)

 生命力 75(↑1)

 精神力 12


 スキル

 鋏撃 体当たり 堅守 回避 掘削 泡波 発光

 隠蔽 夜目 気配遮断 魔力察知 自己回復[小]

 物理抵抗[大] 魔法抵抗[小] 水棲 闇属性 水属性

 火耐性 風耐性 土耐性 ブレス耐性




 ペプチド ホーリースコルピオンLv21→Lv22(↑1)

 器用値 69

 敏捷値 68

 知力値 18

 筋力値 59(↑1)

 生命力 58(↑1)

 精神力 18


 スキル

 噛付き 飛翔 反響定位 遠視 回避 奇襲 隠蔽

 追跡 監視 気配遮断 魔力遮断 自己回復[微]

 物理抵抗[小] 魔法抵抗[小] 吸血 猛毒 暗闇

 混乱 麻痺 石化 忘却 催眠 高周波 毒耐性

 耐即死 耐暗闇




 久重 デウス・エクス・マキナLv21→Lv22(↑1)

 器用値 78(↑1)

 敏捷値 38

 知力値 44

 筋力値 30

 生命力 30

 精神力 34(↑1)


 スキル

 剣 両手槍 槌 手斧 弓 小盾 回避 受け 料理

 石工 造林 木工 農作 大工 夜目 精密操作

 物理抵抗[大] 魔法抵抗[大] 自己修復[大] 時空属性

 光属性 闇属性 土属性 水属性



 ポータルガードの見直しはどうするか?

 あるアイデアがあります。

 駿河と野々村の拠点、睡蓮洞にポータルガードを本当に置けるのか?

 試してみたい。

 テイラーとペプチドを外そう。

 これで枠が2つ、空く事になる。


 召魔の森のポータルガードの戦力は低下するけどね。

 これは確認の為であるのだ。

 妥協しましょう。



 では、移動だ。

 布陣はどうしましょう?

 狩りに行く訳ではない。

 駿河と野々村の趣味に合わせる事にするか。

 ヘザー、ナイアス、テロメア、折威、ロジットにしました。

 こう言ってはアレだけど、蜂蜜よりも喜ぶかもしれません。

 そんな気もします。






「おおおおおおおおっ!」 


「女神じゃ!女神様じゃ!」


 それは褒め過ぎだって。

 ナイアスの愛想がいいのは普段からなのだ。

 それにテロメアの笑い方が段々と怖い雰囲気に感じられる。

 笑ったままだけど怖い。

 テロメアの場合、狩りでそう感じる事はありますけどね。

 ここは狩り場ではない。

 駿河と野々村の拠点なのだ。

 暴力はダメ!

 威圧するのもダメだぞ!



「じゃあ、これ。昨日、渡し損ねたからね」


「おおっ!蜂蜜!」


「こっちだと入手し難いんで助かります!」


 そうか。

 蜂蜜なら召魔の森では日々、量産してます。

 その代わりに海産物は入手し難い。

 広間の砂浜で駿河と野々村のテルキーネスが料理をしているのだが。

 七輪の上でサザエにアワビ、ハマグリを焼いている。

 こういった贅沢は海でこそ、だよな?




 駿河と野々村と共に食事をしながら雑談になった。

 昨日はレジアもソルトロックも凄かったらしい。

 続々とプレイヤーが駆け付けて来ていたからだ。

 むしろ多過ぎて紅蓮などは指揮に混乱をしていた程であったようです。


 その様子を聞きながら思う。

 やはりこれってイベント、だよな?



「イベントであると仮定して。昨日のアレで終わりになると思うか?」


「いえ、まだあると思いますね」


「ボーナスポイントも貰えていませんし」


「そうだよな。イベント終了のインフォもない」


 それにしても焼きハマグリが旨い。

 焼きおにぎりも旨い。

 味噌汁も旨い。

 駿河も野々村もこんな贅沢な食事を朝からしているのか?

 許せん。

 やはり海側に来ているのであるし、海鮮食材はどこかで買い込んでおこう。




 駿河、野々村もレジアに行くそうなので同行する事にしたのだが。

 その前に実験だ。

 ここ睡蓮洞にポータルガードを設定出来るのか?

 設定ではオレでも出来る筈だ、とは駿河から聞いてはあるんだが。

 確認をしたい。

 問題はどの召喚モンスターにするか、であるのだが。

 ストランドとロジットにしました。

 これは実験だ。

 この2体は汎用性が高い。

 単独だと寂しいかもだが、お互いが相棒になる。

 支援し合う形であれば魔物との戦闘でも心強い事だろう。

 でもね。

 2体だけで無茶な狩りも避けて欲しいものです。

 この海域には強力な魔物だっている。

 まあ、狩るかどうかの判断は任せるしかないけどね。



「おおっ!」


「で、出来ればナイアスたんを!」


「いや、それだと料理番がいなくなるからね」


 駿河と野々村の落胆振りは酷いものであった。

 でもね。

 ロジットがいますよ?

 既に本来の姿になって駿河と野々村を睨んでますけど。

 確実に怒っているよね?

 触手で駿河と野々村を今にも締め上げそうな雰囲気がある。



「じゃあ港町レジアに行こうか」


「あ、はい」


「留守番、お願いします!」


 律儀にストランドとロジットに頭を下げる駿河と野々村。

 ロジットもそれで怒りを収めたようだ。

 やはり礼儀って大切ですね。

 それは召喚モンスターが相手であっても、のようです。








 テレポートの呪文でE1マップのエリアポータル、港町レジアに到着。

 現時点では川の向こうにある港町ソルトロックへ跳ぶ事は出来ないようだ。

 レジアが使えるから問題は無い。

 無いのだが。


 到着早々、周囲にいるプレイヤーの視線が痛い。

 原因は分かっている。

 駿河と野々村だ!

 その布陣は共通している。

 テルキーネス、メロウ、サイレンガード、サイレン、スキュラだ。

 人魚系しかいない。

 オレの布陣はどうか?

 ヴォルフ、ヘザー、ナイアス、テロメア、折威になっている。


 うん。

 ヴォルフ以外、ハーレム状態に見えるよね?

 実際に駿河も野々村も満足そうな雰囲気であるのだが。

 この視線に耐えられるの?

 オレには無理だ。

 逃げたい。

 今にも逃げ出したい!


 ある意味で駿河と野々村を見直すべきだろう。

 自分の世界に没頭出来るとは素晴らしい。

 でもね。

 同行するオレ自身はそうではない。

 あらぬ誤解を受けるんじゃないだろうな?

 駿河と野々村と同じ性癖の持ち主に見えるとか?


 有り得る。

 その可能性は高いだろう。

 何てこった!

 こんな罠があるとは!

 テレポートする前に気付くべきであったのだ!


 だが、もう遅い。

 遅過ぎたようです。





「おはようございます」


「おはよう、キース。何だか珍しい組み合わせね」


「はあ」


 サキさんの視線が痛い。

 それ以上にミオの視線も痛い。



「ソルトロックの方はどうです?」


「防壁の修復を続けながら迎撃が続いているわ。数は少ないそうだから今の所は大丈夫」


「大型の奴は?」


「いないわ。キムクイガーディアン・スレイブも、隷獣・アスピドケロンもね」


 そうか。

 実に残念。

 それでも一抹の不安はある。

 姿を消す事が出来るからだ。

 しかも夜を経ている。

 どこかで上陸していてもおかしくはない。


 新しい足跡が出来ていないか、調べておく事が必要であるかもしれない。

 確率は低いように思えるけど、確実ではないのだ。



「手伝いは要りそうですか?」


「もう少ししたらプレイヤーも増えると思うから。それまで砂浜の様子を見て欲しいけど」


「了解です。行ってみます」


 駿河と野々村は?

 オレに同行するつもりであるようだ。

 まあ一緒に行動してもいいだろう。

 キムクイガーディアン・スレイブや隷獣・アスピドケロンに遭遇しても生き残れそうだし。

 それだけの戦力がある筈なのだ。




 まだ薄暗い浜辺を歩いて足跡を確認して行く。

 オレが探しているのは?

 キムクイガーディアン・スレイブの足跡。

 そして隷獣・アスピドケロンが上陸した跡だ。

 だが、オレが望んでいる新しい跡は無い。

 あってもかなり前の物だ。


 ガルムとトライホーンリザードの群れはいたけど、小規模なのが1つだけ。

 むしろ浜辺から襲って来るエアーマンタしかいない。

 カーム・モンスターを使っても襲って来る根性があるのはエアーマンタだけのようだ。



「海中はどうだ?」


『今の所は異常無いです』


『こっちもです』


 駿河と野々村は?

 オレと平行に、海中を進んでいる。

 当然だが彼等の配下は人魚系だらけだ。

 向いている、と言えよう。


 問題は?

 ナイアスも同行している事かな。

 魔物相手の哨戒ではなく、ナイアスの観賞に時間を割いている可能性があるぞ?


 まあ、いいか。

 徐々に地平線が明るくなっている。

 この風景を見ているだけで癒されてしまうオレがいます。


 たまにはゆっくりと浜辺を散策するのもいい。

 彼女はいませんけど。

 でも寂しくは無い。

 ヴォルフだっている。

 外見だけであればヘザー、ナイアス、テロメア、折威と揃ってます。


 うん。

 オレも駿河と野々村とそう変わってないね!






『キース、ちょっといい?』


「どうしました?」


 浜辺には異常らしい異常は無い。

 だがテレパスで連絡があるという事は別の場所で何かがあったのだろう。

 大型の魔物がいるのか?

 サキさんの声には緊張の色が濃い。

 期待していいのかな?



『メッセージを送るわ。真っ先に添付ファイルを見て欲しいけど』


「画像、ですか?」


『ええ』


《フレンド登録者からメッセージがあります》


 会話中にインフォだ。

 目の前の仮想ウィンドウを操作しながら会話を続ける。



『つい先刻、確認したそうよ。場所はN1E9マップのエリアポータル、港町サリナスの上空』


「これって」


 添付画像は3枚。

 1枚は朝日が背後にあって逆光になっているけど、それ故に大きさが分かる。

 残り2枚は別角度からのものだろう。


 島だ。

 空中に浮く、島。

 あの翡翠竜、ジェイドドラゴンが拠点にしている島と同様なのだろうか?



「これ、移動しているんですか?」


『ええ。ゆっくりとだけど西に向かっているらしいわ』


 何と。

 これもまた、イベントなのか?

 連続のものなのか、単独なのかは不明だが。

 恐らくは連続なのだろう。

 嫌な予感がします。



「一旦、そちらに戻ります。フィーナさんは?」


『まだログインしてないわ』


 ふむ。

 こっちは例のPK職とは別口って事かな?

 魔人、それに魔神の匂いがする。

 それに空中を移動するとなれば、ドラゴンもいるだろう。

 そんな期待があったりする。


 面白そうだ。

 俄然、面白くなってきたぞ!

 盛り上がって参りました。

 オレの中では、ですけど。



「会話は聞こえてたかな?」


『ええ。仮想ウィンドウも共有で見えてました』


『あれ、空中要塞ですかね?』


「そうなると攻略が難しそうだな」


 拠点は空中に在る。

 偵察してみないと分からないが、空中戦力はいるものと考えるべきだ。

 実際に島そのものの規模も把握し難い。

 どれ程の戦力があるんだろう?

 気になる。

 どうしても気になります。


 偵察?

 偵察ですか?

 そうすべきだな。

 オレ単独ではかなり無茶だけど。


 駿河と野々村をそれとなく見る。

 うん。

 彼等の海中戦力は充実が著しい。

 空中戦力はどうなんだろう?

 不安だ。






「あ!キースさん!」


「こっちです!」


 レジアに跳んでソルトロック側に到着したら既にかなりの数のプレイヤーが集結していた。

 アデルと春菜が手を振っているのはよく目立っている。

 召喚モンスターが集結しているからそりゃもう目立つしかないな!


 場所は防壁の上になる。

 修復が済んだ場所は既に何箇所かあるようだ。

 恐ろしい数のドワーフ組が集結しているのが分かる。

 搬入されている石材があちこちに集積されていた。


 これ、以前よりも立派な防壁になるんじゃないの?

 新規の防壁も重なって二重になってます。

 いや、既に一部は城壁と言って良い程の威容になっている。

 生産職の本気を見た気がします。



「ああ、来たわね?」


「イベント、ですよね?」


「そうでしょうけど。詳細が分からないのがここの運営の嫌な所よね」


 サキさんも苦笑するしかないみたいだ。

 まあ、そうだよな。

 プレイヤー全員がそう思っている事だろう。



「早速ですが、偵察に行ってみます」


「心配だわ。貴方だけで墜とすんじゃないの?」


「まさか」


「どうだか」


 サキさん、冗談ですよね?

 オレも最初から墜落させるつもりなんてない。

 流されるままに攻略してみたいだけなんだ!



「希望者を募ったんだけど。結構な戦力になるわよ?」


「希望者?」


「空飛ぶ島への偵察の希望者よ。防壁の上にいるのが全員。私は除くけど」


「えっ?」 


 防壁の上には結構な数がいますけど。

 見知った顔も多い。

 それに空中を移動する手段はどうするんだ?


 オレの前に進み出たのは紅蓮くん。

 その両脇にイリーナ、それに確か九重だ。

 何でしょ?



「色々と雑多な事は紅蓮に任せていいと思います」


「オイ!」


「既に空中戦闘の編成は済んでますよ」


「駿河、それに野々村はどうするの?」


 イリーナは紅蓮くんの文句を華麗にスルーですか。

 いっそ見事だ。

 駿河と野々村に偵察行への参加を確認したいらしい。



「あ、参加しますんで」


「お祭りは参加しないとね!」


 軽っ!

 確かにイベントとはお祭り的な何かでいいと思うけどね。

 ここまで軽くていいんだろうか?



「パーティ数にして18ですね。勿論、キースさんも含めてですけど」


「いいのか?」


「ええ」


「イベントは参加してこそ、ですよねー」


 アデルも軽いな!

 それにしても、参加メンバーに恐ろしい面々が揃っているぞ?

 見知っている顔も多い。


 アデル、イリーナ、春菜、此花、ヒョードル、ヘラクレイオス、ゼータ、駿河、野々村。

 サモナー系だけでこれだ。

 他に見知った顔は?

 紅蓮に九重、シェルヴィ、ガヴィにリディア、漁師兄弟、戦隊チーム。

 ざっと見ただけでこれだ。



「空中戦は?」


「サモナー組、ドラゴントルーパー組に同乗します」


「自前で飛ぶのも、いるよ!」


 何と奇特な!

 そんなプレイヤーもいるのか。

 風魔法の呪文、フライを使えば可能だろうけど。


 何にせよ、移動からだな。

 行き先は?

 E9マップのエリアポータル、生贄の神殿からだな。


 それにしてもこの戦力で偵察ですか?

 偵察で終わるんだろうか。

 終わらない可能性が高い。

 いや、これだけの戦力がいるのであれば偵察で終わらせるのは勿体無い!



主人公 キース


種族 人間 男 種族Lv102(↑1)

職業 サモンマスターLv40(召喚魔法修師)(↑1)

ボーナスポイント残 81


セットスキル

小剣Lv73 剣Lv76 両手剣Lv73 両手槍Lv78 馬上槍Lv80

棍棒Lv73 重棍Lv74 小刀Lv74 刀Lv78 大刀Lv75

刺突剣Lv72 捕縄術Lv77 投槍Lv77(↑1)ポールウェポンLv77

杖Lv88 打撃Lv93 蹴りLv93 関節技Lv93

投げ技Lv93 回避Lv99 受けLv99

召喚魔法Lv102(↑1)時空魔法Lv88 封印術Lv86

光魔法Lv82 風魔法Lv82(↑1)土魔法Lv82 水魔法Lv82(↑1)

火魔法Lv82 闇魔法Lv82 氷魔法Lv82(↑1)雷魔法Lv82(↑1)

木魔法Lv82(↑1)塵魔法Lv82(↑1)溶魔法Lv82 灼魔法Lv82

英霊召喚Lv5 禁呪Lv84

錬金術Lv73 薬師Lv17 ガラス工Lv24 木工Lv47

連携Lv80 鑑定Lv74 識別Lv80 看破Lv67 耐寒Lv77

掴みLv80e 馬術Lv81 精密操作Lv80e ロープワークLv77

跳躍Lv50e 軽業Lv50e 耐暑Lv75 登攀Lv60e

平衡Lv80

二刀流Lv76 解体Lv74 水泳Lv30 潜水Lv66(↑1)

投擲Lv50e

ダッシュLv60e 耐久走Lv60e 追跡Lv45 隠蔽Lv74

気配察知Lv74 気配遮断Lv74 暗殺術Lv60e

身体強化Lv60e 精神強化Lv60e 高速詠唱Lv50e

無音詠唱Lv60e 詠唱破棄Lv60e 武技強化Lv74

魔法効果拡大Lv73 魔法範囲拡大Lv73

呪文融合Lv73

耐石化Lv71 耐睡眠Lv71 耐麻痺Lv74 耐混乱Lv71

耐暗闇Lv71 耐気絶Lv80e 耐魅了Lv70 耐毒Lv79

耐沈黙Lv71 耐即死Lv70


基礎ステータス

 器用値 44(↑1)

 敏捷値 44(↑1)

 知力値 66

 筋力値 43

 生命力 43

 精神力 66


召喚モンスター

テイラー ジュエルキャンサーLv21→Lv22(↑1)

 器用値 45

 敏捷値 53

 知力値 13

 筋力値 98(↑1)

 生命力 75(↑1)

 精神力 12

 スキル

 鋏撃 体当たり 堅守 回避 掘削 泡波 発光

 隠蔽 夜目 気配遮断 魔力察知 自己回復[小]

 物理抵抗[大] 魔法抵抗[小] 水棲 闇属性 水属性

 火耐性 風耐性 土耐性 ブレス耐性


ストランド 青竜Lv22→Lv23(↑1)

 器用値 30

 敏捷値 62(↑1)

 知力値 30

 筋力値 62(↑1)

 生命力 76

 精神力 30

 スキル

 噛付き 巻付 回避 空中機動 水中機動 水棲

 飛翔 物理抵抗[中] 魔法抵抗[中] 自己回復[小]

 MP回復増加[小] 霊能 熱感知 気配遮断 猛毒

 時空属性 光属性 闇属性 土属性 水属性 木属性

 耐即死 毒耐性 鬼竜変


ペプチド ホーリースコルピオンLv21→Lv22(↑1)

 器用値 69

 敏捷値 68

 知力値 18

 筋力値 59(↑1)

 生命力 58(↑1)

 精神力 18

 スキル

 鋏撃 針撃 堅守 回避 掘削 振動感知 気配遮断

 隠蔽 登攀 奇襲 監視 自己回復[小] 物理抵抗[中]

 魔法抵抗[小] 致死毒 麻痺 暗闇 時空属性 光属性

 闇属性 火耐性 風耐性 土耐性 水耐性 毒耐性

 ブレス耐性


久重 デウス・エクス・マキナLv21→Lv22(↑1)

 器用値 78(↑1)

 敏捷値 38

 知力値 44

 筋力値 30

 生命力 30

 精神力 34(↑1)

 スキル

 剣 両手槍 槌 手斧 弓 小盾 回避 受け 料理

 石工 造林 木工 農作 大工 夜目 精密操作

 物理抵抗[大] 魔法抵抗[大] 自己修復[大] 時空属性

 光属性 闇属性 土属性 水属性


キュアノス ホーライLv22→Lv23(↑1)

 器用値 25

 敏捷値 73(↑1)

 知力値 73(↑1)

 筋力値 25

 生命力 25

 精神力 73

 スキル

 飛翔 浮揚 回避 水棲 夜目 変化 同化 魔力察知

 物理攻撃透過[小] 魔法抵抗[大] MP回復増加[大]

 光属性 闇属性 火属性 風属性 土属性 水属性

 木属性 氷属性 魅了 耐沈黙 耐即死 精霊変化


メジアン グレータードラゴンLv4→Lv5(↑1)

 器用値 37(↑1)

 敏捷値 58

 知力値 37(↑1)

 筋力値 58

 生命力 58

 精神力 37(↑1)

 スキル

 噛付き 引裂き 飛翔 回避 跳躍 疾駆 夜目

 水棲 空中機動 自己回復[小] 物理抵抗[小]

 魔法抵抗[小] MP回復増加[小] 捕食吸収 ブレス

 火属性 風属性 土属性 水属性 氷属性 雷属性

 木属性 溶属性 毒耐性 耐即死


パンタナール ノーブルドラゴンLv4→Lv5(↑1)

 器用値 46

 敏捷値 47(↑1)

 知力値 49

 筋力値 46(↑1)

 生命力 46(↑1)

 精神力 49

 スキル

 噛付き 引裂き 飛翔 回避 堅守 跳躍 疾駆

 夜目 水棲 自己回復[小] 物理抵抗[中] 魔法抵抗[中]

 MP回復増加[小] 捕食吸収 ブレス 時空属性

 光属性 闇属性 火属性 風属性 土属性 水属性

 毒耐性 耐即死


召魔の森 ポータルガード

黒曜、ジェリコ、ティグリス、クーチュリエ、モジュラス、雷文

清姫、守屋、スーラジ、久重、テフラ、岩鉄、虎斑、蝶丸、網代


睡蓮洞 ポータルガード

ストランド、ロジット


同行者

偵察部隊(?)希望者一同

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