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685

《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『獅子吼』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 南下をして川を越えたら、いました。

 例の編成の魔物の群れだ!


 そしてオレの足元には梱包済みの例のPK職達の1人がいる。

 奈々、と言う名前のハンターキラーだ。

 もしくはアマゾネスレディ。

 そう、女性であったのだ。


 やってしまった。

 でも仕方ないのです。

 縛り上げるのに蘇芳羂索ではなくグレイプニルを使ってます。

 配慮した結果だ。

 こっちの方が痛くない筈。

 配慮していても酷いですけど。



「あ、貴方って!」


「済まないね。優先したい事があるんだ」


 何しろ獅子吼のレベルアップなのだ。

 予想通りであれば捕食融合がある筈なのです。


 それにしても、強制ログアウトだと再ログイン出来ないのは本当であるらしい。

 既に強制ログアウトさせたのは3名。

 その彼等から連絡が届いている様子は無い。


 蘇芳羂索にしてもグレイプニルにしても便利ですね。

 梱包している状態ではメッセージも使えていないみたいなのだ。

 蘇芳羂索に関してはユージの場合で確認してある。

 グレイプニルも同様なのだろう。

 奈々の表情に焦りの色が濃いのが分かる。



 獅子吼のステータス値で既に上昇しているのは生命力でした。

 もう1点のステータスアップは知力値を指定しましょう。



 獅子吼 ダークキメラLv49→Lv50(↑1)

 器用値 30

 敏捷値 66

 知力値 29(↑1)

 筋力値 54

 生命力 64(↑1)

 精神力 29


 スキル

 噛付き 飛翔 回避 裂帛 匂い感知 熱感知

 夜目 気配遮断 捕食融合 捕食吸収 自己回復[中]

 物理抵抗[小] 魔法抵抗[微] MP回復増加[微]

 毒 暗闇 ブレス 時空属性 光属性 闇属性

 火属性 溶属性



《捕食融合が発動しました!任意のステータス値2つに3ポイントを加算して下さい》


 やはり捕食融合があったか。

 首輪、外さないと!

 大きくなるのか?

 苦しがっていないから変わらないようにも思えます。



 獅子吼 ダークキメラLv49→Lv50(↑1)

 器用値 30

 敏捷値 69(↑3)

 知力値 29(↑1)

 筋力値 57(↑3)

 生命力 64(↑1)

 精神力 29


 スキル

 噛付き 飛翔 回避 裂帛 匂い感知 熱感知

 夜目 気配遮断 捕食融合 捕食吸収 自己回復[中]

 物理抵抗[小] 魔法抵抗[微] MP回復増加[小](New!)

 毒 暗闇 ブレス 時空属性 光属性 闇属性

 火属性 溶属性 耐暗闇(New!)



「ガゥ?」


「ヒッ!」


 獅子吼は?

 奈々の顔を舐めてます。

 それもライオンの頭がだ。

 奈々の顔が唾液だらけになってます。

 気に入ったみたいだけど、喰うなよ?

 単にじゃれているだけだと思うけどね。

 コウモリの頭部はオレから視線を外そうとしない。

 ヤギの頭部とヘビの尻尾は周囲を見回しているようだ。


 いや、そうじゃなくてだな。

 獅子吼の体格は変わらない。

 毛並みがやや黒くなっただけだ。

 では首輪を付けましょう。



「い、一体、何?」


「君で4人目だよ、奈々、だよね?」


 【看破】されていると知り、口を閉ざす奈々だが。

 また、これか。

 時間を掛けたくないのですけど。



「乱暴な事はしたくないんだけどね」


「もう、してるでしょ!」


「えっと、ゴメンナサイ」


 いけね。

 つい謝ってしまった。



「で、これなんだけどね」


「ッ!」


 制約の指輪を見て奈々の表情が変わる。

 オレの手には3つあった。

 その意味する所は簡単に理解出来た事だろう。



「もう事情は分かっているよ。このまま魔神の手先を続ける?」


 また、黙ったままだ。

 説得が必要なのかな?

 そう説得だ。

 拷問に非ず。

 説得なのだ。



「どうする?」


 答え次第では説得を試みようと思っていたんだが。

 奈々はオレの問いに答えようとしない。

 別の形で答えを出したようだ。

 強制ログアウト。

 奈々の姿は消えて行く。

 そして様々なアイテムが残されていた。

 その中には勿論、制約の指輪もある。

 これで4個目だ。


 アイテムは全部、回収しておこう。

 何気に矢筒に入っていた矢はそのまま使えそうだ。

 恐魔蛇の矢が結構な数、確保出来ている。

 矢は消耗品、どれだけあってもいい。

 有難く使わせて貰おう。

 使うのはオレではなく召喚モンスター達ですけど。



 では。

 周囲を見回す。

 キムクイガーディアン・スレイブからはダイヤモンドの原石を剥ぎ取っている訳だが。

 他の魔物の死体はどうしよう?

 周囲にプレイヤーの姿は見掛けない。


 仕方ないな。

 放置して、追跡を優先しよう。

 残る魔物の群れは2つ。

 E1マップにいるうちに仕留められるかな?

 レムトのあるマップに入る前に捕捉したいものだ。


 それでは、獅子吼は帰還だ。

 極夜を召喚しましょう。





『キースさん、今どこです?』


「E1マップを移動中だ」


『こっちは一区切りって所です。少しエアーマンタが来てますけど』


「そうか」


『そっちはどうです?』


 イリーナからテレパスが来てました。

 こっちは絶賛、探索中です。

 まあカーム・モンスターズを使っているから魔物の邪魔は無い。

 まだ痕跡は発見出来ていません。

 少し余裕があった。



「潜入しようとしている魔物を掃討しているよ」


『えっ?』


「大した戦力じゃない。私だけで大丈夫だ」


『キースさんの基準で、大した戦力じゃないだけですよね?』


 えっと。

 そうなのかな?

 でも本音は言えません。

 オレだけで殲滅出来るのであればそうすべきだ。

 経験値もアイテムも独占出来るしな!

 今日だけでダイヤモンドの原石を何個確保したかね?

 それにまだ、追加出来そうな気がする。

 美味しい。

 独占するのも美味しいです。

 物欲が暴走しつつあります!



「そっちの指揮は?」


『フィーナさんが来てます。時間が時間なのでプレイヤーは減ってますね』


「戦力は?」


『問題ない、と思います。今の所は』


 そうか。

 今の所は、ですね?

 ならば良し。

 それにフォーナさんも来ているのか。

 指揮だけでなく復興も含めて色々と頼もしい存在だ。

 任せきっていいと思う。


 オレは?

 勿論、このまま探索を続けよう。



「フィーナさんに伝言を頼む。大型の魔物が来るようなら呼んでくれ、だ」


『了解』


 テレパスを切る。

 時刻は午後2時20分か。

 残りは2つ。

 夕方までに片付けられたらいいかな?








((((六芒封印!))))

((((七星封印!))))

((((十王封印!))))

(((イビル・アイ!)))


 ちょっと問題が起きた。

 目論見通りであれば、各個に狩れるものと思っていたんだが。

 キムクイガーディアン・スレイブを中心とする魔物の群れが2つ分だ!

 脚を止めたら一気に包囲されかねない、危険な雰囲気がある。

 敵手であるけどスタッグドラゴンにビートルドラゴンの連携もいい。


 何よりもキムクイガーディアン・スレイブだ。

 周囲をベリルビーストで囲んで移動してたようです。

 完璧な布陣。

 だがオレにはショート・ジャンプがあったのだ。

 ベリルビーストの防壁の内部に跳ぶのは簡単だった。


 キムクイガーディアン・スレイブは両方とも転がしたら後は楽な筈。

 そう思ってました。

 だが、キムクイガーディアン・スレイブは互いの距離が近過ぎた。

 甲羅が下になった亀をもう1匹が支える形で元に戻してしまう。


 両方を同時に転がすのに手間を掛け過ぎたらしい。

 ヴォルフ達には結構な負担になっている事だろう。



(((ミーティア・ストリーム!)))

(((ライトニング・ブラスト!)))

(((ヘイルストーム!)))

(((アシッド・レイン!)))

(((スウォーム!)))


 攻撃支援をしながら思う。

 どこかに例のPK職の残り2名がいる筈だ。

 死なないでね?

 オレの目の前でガルムが虫に集られて次々と沈んでいる。

 無残。

 全く酷い事をする奴がいるものだ。

 こんな死に戻りは嫌です。


 でもね。

 魔物が多過ぎるのがいけない。

 過剰なまでに攻撃呪文を使っている気がします。

 これでは気付かないうちに死に戻りさせているのかも?

 不安だ。

 でも既に遅い。


 こうなったら魔物を全滅させてから考えよう。

 そうするしかないです。



「マキシマム・チャージ!」


 遺憾であるが武技を使う。

 狙うのはアイアン・メイデンを突破したスタッグドラゴン。

 だがまだ翼はブラックベルト・ラッピングの影響で飛べないようだ。

 狙い目なのは間違いない。



(サンシティフィ・アンデッド!)

((((ディメンション・ソード!))))

((((パルスレーザー・バースト!))))

(((コロジオン!)))

(オートクレーブ!)

(レゾナンス!)

(ファイア・ホイール!)


 胴体に双角猛蛇神の騎士槍が突き刺さる。

 無論、貫通は出来ない。

 だがこの瞬間こそが好機。

 この【呪文融合】の組み合わせはビートルドラゴン、それにスタッグドラゴン向けだ。

 中身はアンデッドだからな。

 ビートルドラゴンを一発で沈める事はさすがにないが、二発で沈む。

 リミッターカットを使えば一発で沈められるかも?

 スタッグドラゴンは?

 数えていられないが、いい手応えはあった。


 だが、この攻撃では隙も大きい。

 どうしても動きが一瞬、止まってしまう。

 背後にトライホーンリザード。

 だがその極夜がカバーしてくれていた。


 オレの傍にはヴォルフと極夜が常に追従して戦場を駆けている。

 お互いをフォローし合えるようにだ。

 それは空中で戦い続けるメジアンとパンタナールも同様です。


 攻撃呪文の効果が消えたのと同時にメジアンがスタッグドラゴンを襲う。

 パンタナールが周囲に水の槍を次々と撃ち込んで支援を続けていた。

 で、そのパンタナールだが。

 自らの頭上に常に水を生じさせ、天使の輪のように回転させている。

 器用な事をするものだ。

 水芸?

 ちょっと違うけど。


 まあ、いい。

 任せている部分が多いのだ。

 それよりもPK職は無事かな?

 かなり怪しい雰囲気になってきたぞ?








《只今の戦闘勝利で【馬上槍】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【光魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【闇魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【灼魔法】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【追跡】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『ヴォルフ』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 どうにか全滅、かな?

 問題はPK職が無事であるのかどうか。

 かなり疑わしい。

 探し易くする為にも大型の魔物の死体は優先的に剥ぎ取り作業をしましょう。

 これは急がないといけません。

 センス・マジックを使おう。

 クレヤボヤンスも併用だ!

 死に戻っていなければどこかにいると思うのだが。


 ヴォルフ達も周囲を警戒する。

 動きがあるようであれば襲い掛かる構えだ。

 どこかに息を潜めている可能性はある。

 是非とも生き残っていて欲しい。


 さあ、どっちだ?

 どっちなんだ?



 ヴォルフのステータス値で既に上昇しているのは敏捷値でした。

 もう1点のステータスアップは器用値を指定しましょう。



 ヴォルフ 大神Lv25→Lv26(↑1)

 器用値 38(↑1)

 敏捷値 90(↑1)

 知力値 37

 筋力値 52

 生命力 52

 精神力 38


 スキル

 噛付き 疾駆 跳躍 回避 遠吠え 裂帛 神威

 霊能 霊撃 念動 隠蔽 追跡 夜目 気配遮断

 魔力察知 自己回復[中] 物理抵抗[中] 魔法抵抗[大]

 MP回復増加[小] 耐即死 耐魅了 分身




《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『極夜』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 いかん。

 これで極夜はレベル50になる。

 捕食融合、あると思います。

 嬉しいのは当然だが、PK職も探さないといけません。

 どうしてこうも物事は重なるのか。

 世の中ってそんな事が多くないですかね?



 極夜のステータス値で既に上昇しているのは敏捷値でした。

 もう1点のステータスアップは知力値を指定しましょう。



 極夜 ケルベロスLv49→Lv50(↑1)

 器用値 29

 敏捷値 85(↑1)

 知力値 27(↑1)

 筋力値 51

 生命力 48

 精神力 28


 スキル

 噛付き 回避 疾駆 激高 夜目 聞耳 危険察知

 追跡 隠蔽 連携 捕食融合 捕食吸収 自己回復[小]

 物理抵抗[中] 魔法抵抗[小] ブレス 火属性 風属性

 闇属性 猛毒 毒耐性



《捕食融合が発動しました!任意のステータス値2つに3ポイントを加算して下さい》


 やはり捕食融合ですか。

 少し手間だが仕方ない。

 首輪を外そう。


 それにヴォルフが何かを見付けたようだ。

 口に何かを噛んで持ってきた物は?

 制約の指輪だ。


 まさか、既に死に戻っていたのか?

 何て事だ。

 情報を聞き出せないではないか!

 追加で大した情報は得られないとは思う。

 それでも確認はしておきたかった。


 過剰火力であったのが全て悪い。

 そういう事なのだろう。



 極夜 ケルベロスLv49→Lv50(↑1)

 器用値 29

 敏捷値 88(↑4)

 知力値 27(↑1)

 筋力値 51

 生命力 51(↑3)

 精神力 28


 スキル

 噛付き 回避 疾駆 跳躍(New!)激高 夜目 聞耳

 危険察知 追跡 隠蔽 連携 捕食融合 捕食吸収

 自己回復[中](New!)物理抵抗[中] 魔法抵抗[小]

 ブレス 火属性 風属性 闇属性 猛毒 毒耐性




《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『パナール』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 ヴォルフが制約の指輪を見付けた場所に案内して貰う。

 そこには様々なアイテムが散乱していた。

 別口で制約の指輪も転がっている。

 どうもPK職は2名共々、死に戻ったようだ。


 ふむ。

 やってしまったか。

 時間は元に戻せないのだ。

 ここは気分を切り替えましょう。 



 パナールのステータス値で既に上昇しているのは器用値でした。

 もう1点のステータスアップは精神力を指定しましょう。



 パナール スレイプニルLv23→Lv24(↑1)

 器用値 49(↑1)

 敏捷値 67

 知力値 25

 筋力値 67

 生命力 69

 精神力 26(↑1)


 スキル

 噛付き 踏み付け 体当たり 受け 回避 疾駆

 夜目 耐久走 奔馬 跳躍 蹂躙 蹴り上げ 重装

 騎乗者回復[小] 自己回復[中] 物理抵抗[中]

 魔法抵抗[中] MP回復増加[微] 時空属性 光属性

 闇属性 風属性 耐魅了 耐即死



 それで、極夜に変化は?

 あった。

 体躯がやや肉厚になった感じがします。

 実際に首輪がそのままでは嵌らない。

 久々にパーツを継ぎ足さないといけないみたいだ。


 PK職も死に戻っているようであるし、ゆっくり作業出来るかな?

 だがまだまだ。

 剥ぎ取り作業もあるのです。

 対象を絞って剥ぎ取るべきだな。

 少し急いで出来るだけ剥ぐとしましょう。

 その前に首輪のパーツを組まないと!

 久々なんでちょっと時間が掛かってしまっているぞ!





《これまでの行動経験で【鑑定】がレベルアップしました!》


 時刻は?

 午後3時40分になろうとしている。

 剥ぎ取り作業を急いだけど、死体が次々と消えて行く。

 ここまでか。


 実入りは結構あった。

 でも残念に思う。

 ベリルビーストも半分近く、消えてしまっている。

 稼ぎ損ねた、というのが本音だ。

 周囲にプレイヤーがいるようだったら一緒に剥いでいただろうに。

 勿体無い。

 実に勿体無い!


 まあいいか。

 考え方を変えよう。

 今日は良い日であった。

 きっとそうに違いない。


 では、これからどうする?

 一旦、E1マップのエリアポータル、港町レジアかソルトロックに戻ろう。

 プレイヤーが数多く集結している筈。

迎撃の結果がどうなったのか、確認もしておきたい所だ。


 布陣はどうする?

 港町を訪れるには剣呑なメンバーは避けましょう。

 極夜、パナール、メジアン、パンタナールは帰還だ。

 逢魔、スコーチ、シリウス、ジンバルを召喚しました。

 これにヴォルフが加わる事になる。


 モフモフ率が一気に高まってしまった。

 逢魔が狼形態だから尚更だ。

 まあこれは仕方ない。


 では移動しよう。

 そう思った瞬間。

 視界の端で、何かが動いた。

 いや、センス・マジックが捉えたものだろう。


 ヴォルフ達も全員が反応していた。

 警戒の姿勢をとると低く威嚇音を発していた。

 スコーチとジンバルは無音のままだが、警戒している事に変わりは無い。


 何かが出現しようとしていた。

 マズい。

 感じ取れる魔力は強烈そのものだ。

 それに現れた人影には見覚えがあった。




 ??? ???

 魔神 ??? ???

 ??? ???



 ??? ???

 魔神 ??? ???

 ??? ???



 落ち着け。

 片方はあの妙齢の女性の姿をした魔神。

 超然とした雰囲気は変わらず。

 そして悪役としての貫禄もある。


 もう一方は?

 顔を隠しているけど体格は男性のものだ。

 装備からみて猟師、だな。

 腰に刀を佩いているが、日本刀ではない。

 西洋剣のようでもあるけど、反りがある。

 それに背中に矢筒。

 左手に弓を持っている。



『失敗であったとわね』


『だから言ったのだ。唯の人を使役しても高が知れているのだよ』


『人には人にしか出来ぬ事もあるわ。今回の試練は失敗であっただけに過ぎない』


『だが後始末は必要ではないかな?』


 仕掛けるか?

 彼女等の意識はオレに向いていないように見える。

 だが今は手札が不足している。

 【英霊召喚】は使えないのだ!



『またしてもお前か』


 黄色の瞳がオレを直撃する。

 女性の魔神だ。

 それだけで金縛りになったかのように動けなくなる。

 いや、それは最初からだった。

 先刻から武技も呪文も選択出来ない状態になっている!


 掌をオレに向けた。

 そして魔神の目の前に浮かぶ物体がある。

 制約の指輪だ!

 いつの間に?



『制約は果たされる事無く終わった。その代償を示せ!』 


 指輪は1つが粉々に砕けてしまう。

 残りの指輪は?

 何かに変化しつつある。

 それは小さな、黒い球体。

 【識別】も効かないから魔物ではないようだが。

 何だろう?

 それは徐々に小さくなってそのまま消えてしまっていた。



『動けぬであろう?だが安心するがいい。こちらからも攻撃はせぬし、そもそも出来ん』


『運の良い奴め。だが警告しよう。これ以上の邪魔は見逃せぬぞ!』


 オレは口を開く事も出来ない。

 これは一体、何だ?



『さて、動けるとしたら、汝はどうするかな?』


 猟師の魔神の口が歪む。

 笑みの形だ。

 そして動ける事が分かる。

 足が大地を蹴る。

 一気に目の前の猟師の姿の魔神に迫る!



「ッ!」


 殴りに行った拳は通過した。

 魔神は?

 共にそこにいる。

 召喚モンスター達のいずれも、攻撃を加えていた筈。

 全部、通過したのか?

 これって幻影なのか?

 まるで見抜けなかったぞ!



『見たかね?人とは足掻くものだよ』


『そうかしら?人であるならば服従する姿が似合うでしょうに』


『その考え方、変わらぬな』


『変わりたくも無いわね』


 魔神達はオレの存在など無いかのように会話を続けている。

 全く。

 ぶん殴りたい所だが、こいつ等を相手に殴っても無意味だ。

 本体はどこにいる?

 あの伊耶那岐之化身やウトガルド・ロキの分身と同じか?

 それともギルド長の使う幻影と同じであるのか?


 だが。

 見極める事は出来ません。

 魔神達の姿はオレの目の前から、あっという間に消えてしまっていた。




 冷静に、なれ。

 恐らくは幻影。

 ギルド長が使った手段と同じか類似する能力なのだろう。

 まるで見抜けませんでした。

 入手していた筈の制約の指輪も無くなっていた。

 《アイテム・ボックス》に保管していたのに。


 だが。

 それ以上に引っ掛かる事がある。

 終始、こっちを見下すあの態度だ。

 正直、頭に来ている。

 血が、沸騰しそうだ。

 どうしたものか?

 ふざけやがって。


 どうも魔神達とオレの相性は良くないな。

 あいつ等、タイプは違うけどオレの気持ちを逆撫でする点で共通する。

 今回のは恐らくは幻影。

 その手段も気に入らない。


 まだあの格闘バカの魔神の方が好ましい。

 少なくともオレと殴り合ってくれたからな。



 やはり、実力が伴っていないといけない。

 眼中に無い、というのは挑む資格すら無いと言う事か?

 確かにそうなのかもしれない。


 取り敢えず、ぶん殴っておかないといけない相手が増えた。

 それに魔神は全部で何名いるんだ?

 現時点でオレが把握しているのは4名だが。


 全部、リベンジ対象?

 ちょっと気が遠くなる。

 ハードルは間違いなく高いだろう。

 でも目的が無いよりはいいのだ。

 ちょっと気に入らないけどな!



 再度、周囲を見渡す。

 異常は?

 無いようだ。


 では、改めて移動しようか。

 テレポートで港町レジアへ跳ぼう。

 状況を確認しておきたい。

 僅かな可能性だが亀が襲って来てくれている可能性もある。

 期待薄だけど。






「あ!キースさんだ!」


「こっちです!」


 レジアの防壁の上はプレイヤーが詰めている。

 数はそこそこ。

 その中にアデルとイリーナもいた。


 城門の通用口が開く。

 中に入るとNPCの門番に無事の確認やら怪我の有無を聞かれたけど、手で制する。

 大丈夫だって!


 そしてアデルとイリーナがオレの元に駆け付ける。

 いや、アデルはオレの召喚モンスター達の元に駆け付けていた。

 両手でヴォルフとジンバルを抱えて愛で始めている。

 逢魔とシリウスは?

 順番待ちであるのか、アデルの傍を離れようとしない。

 微笑ましいけどね。

 今は非常事態じゃないのかね?



「被害はどうだ?」


「川向こうのソルトロックが酷いですね」


「エリアポータル機能が一時的に喪失中です!」


「そうか。他のプレイヤーは?」


「春菜と此花はログアウトしてます、紅蓮の所のパーティもですね」


「ヒョードル達はまだいると思います!」


 迎撃の指揮を執っていた紅蓮もいないのか。

 大丈夫かね?

 まあ襲って来ている魔物が減っているのであれば問題は無いのだろうが。


 それにソルトロックだ。

 オレが見た感じだと、防壁も一朝一夕で修復出来る様相じゃなかった。

 住民だっている。

 大丈夫なんだろうか?



「急遽、補修部隊が編成されてます」


「フィーナさんはそっちの指揮をしてますよー」


「そうか、ソルトロックに行ってみよう」


「時間が時間なので、私達はもうすぐログアウトです」


「レジアの町は大丈夫か?」


「結界があるのでレジアは大丈夫です」


「それに私達は拠点があるし!」


 ああ、そうか。

 アデルとイリーナも自前の拠点があるんだっけ。

 そしてアデルはポータルガードの呪文を使える筈。

 どんなポータルガードを配備しているのか?

 見なくても分かる。

 分かるぞ!



「あ、私達の拠点はまだお見せするのが恥ずかしい出来なので」


「もうちょっと、待ってて!」


「そうだな」


「じゃあ私達はここで失礼します」


「ああ」


 アデルとイリーナは軽く一礼を残すと通用門の外へと行ってしまう。

 時刻はもうすぐ午後4時になろうとしている。

 夜が迫っているのだ。

 まだ、魔物の襲撃はあるのか?

 そこが、気になる。


 ソルトロック側へ移動しよう。

 まだ魔物がいるのであれば排除しに行くだけだ。





(((ミーティア・ストリーム!)))

(((ライトニング・ブラスト!)))

(((ヘイルストーム!)))

(((アシッド・レイン!)))

(((スウォーム!)))


 ソルトロックの様子は?

 酷いものだ。

 あちこちが破壊されているのもそうだが、エアーマンタの姿を頻繁に見掛ける。

 迎撃しているパーティも多い。

 NPCらしき兵士の姿も当然だがいる。

 オレも移動しながらだが数を減らしているけど、これってどうなの?

 エアーマンタは簡単に仕留められるが、断続的に襲っているようでもあるし。

 夜になっても魔物が来るようでは住民も落ち着いて眠れないだろう。


 フォーナさんはどこにいるんだろう?

 状況は確認しておきたい。

 補修の指揮をしているのであれば防壁があった場所だと思うが。

 行ってみるとしよう。


主人公 キース


種族 人間 男 種族Lv101

職業 サモンマスターLv39(召喚魔法修師)

ボーナスポイント残 79


セットスキル

小剣Lv73 剣Lv76 両手剣Lv73 両手槍Lv78 馬上槍Lv80(↑1)

棍棒Lv73 重棍Lv74 小刀Lv74 刀Lv78 大刀Lv75

刺突剣Lv72 捕縄術Lv77 投槍Lv76 ポールウェポンLv77

杖Lv88 打撃Lv93 蹴りLv93 関節技Lv93

投げ技Lv93 回避Lv99 受けLv99

召喚魔法Lv101 時空魔法Lv88 封印術Lv86

光魔法Lv82(↑1)風魔法Lv81 土魔法Lv82 水魔法Lv81

火魔法Lv82 闇魔法Lv82(↑1)氷魔法Lv81 雷魔法Lv81

木魔法Lv81 塵魔法Lv81 溶魔法Lv82 灼魔法Lv82(↑1)

英霊召喚Lv5 禁呪Lv84

錬金術Lv73 薬師Lv17 ガラス工Lv24 木工Lv47

連携Lv80 鑑定Lv74(↑1)識別Lv80 看破Lv67(↑2)耐寒Lv77

掴みLv80e 馬術Lv81 精密操作Lv80e ロープワークLv77

跳躍Lv50e 軽業Lv50e 耐暑Lv75 登攀Lv60e

平衡Lv80

二刀流Lv76 解体Lv74 水泳Lv30 潜水Lv65

投擲Lv50e

ダッシュLv60e 耐久走Lv60e 追跡Lv45(↑1)隠蔽Lv74

気配察知Lv74 気配遮断Lv74 暗殺術Lv60e

身体強化Lv60e 精神強化Lv60e 高速詠唱Lv50e

無音詠唱Lv60e 詠唱破棄Lv60e 武技強化Lv74

魔法効果拡大Lv73 魔法範囲拡大Lv73

呪文融合Lv73

耐石化Lv71 耐睡眠Lv71 耐麻痺Lv74 耐混乱Lv71

耐暗闇Lv71 耐気絶Lv80e 耐魅了Lv70 耐毒Lv79

耐沈黙Lv71 耐即死Lv70


装備

金剛杵×13 降魔秘剣×9 金剛秘剣×3

天羽々斬×1

倶利伽羅剣×4 迦楼羅剣×7 布都御魂×12

胎蔵秘刀×1 火焔光輪刀×4 修羅刀×3

羅喉刀×7

護霊樹の杖×1 神樹石の杖+×1 裁きの杖×1

如意輪錫杖×8 神樹石のトンファー+×2

双角猛蛇神の投槍+×1 亜氷雪竜の投槍+×1

双角猛蛇神の長槍+×1

亜氷飛竜の騎士槍+×1 双角猛蛇神の騎士槍+×1

亜氷飛竜のパイク+×1 天沼矛×9

腐竜王のメイス+×1

転生獅子のレイピア+×1 亜氷飛竜のエストック+×1

断鋼鳥の小刀+×1 断鋼鳥の刀+×1

断鋼鳥の斬馬刀+×1 断鋼鳥のコラ+×1

断鋼鳥のククリ刀+×2 断鋼鳥のデスサイズ+×1

呪魔蛇の小剣+×1 腐竜王の双杵+×1

妙見秘鎚×10 腐竜王の戟+×1 星天弓×12

天魔の琵琶×5

怒りのツルハシ+×2 ミスリル銀の首飾り+×1

従魔蠍の隠し爪×2 雪豹のバグナグ×2

大氷雪竜の革鎧ほか

呵責の腕輪+×2 呵責の足輪+×2 風天羂索×3

蘇芳羂索×4 グレイプニル×1

槌頭水竜のベルト 背負袋 アイテムボックス


所持アイテム

剥ぎ取りナイフ 木工道具一式 縫製道具一式

如意宝珠×1


称号 

老召喚術師の後継者 老死霊術師の祝福

森守の紋章 中庸を呼ぶ者 王家の従者

海魔討伐者 鍾乳洞踏破の証 墓守の紋章

魔人討伐者 氷雪竜討伐者 巨人王の謎掛け

金紅竜の誓約 翡翠竜の誓約 柘榴竜の誓約

蒼玉竜の誓約 白金竜の祝福 黒曜竜の祝福

翠玉竜の祝福 水晶竜の祝福

瑠璃光の守護者 除蓋障院への通行証

冥界門の通行証

呪文理外の証 拳聖 リーサルウェポン

ジェノサイダー


基礎ステータス

 器用値 43

 敏捷値 43

 知力値 66

 筋力値 43

 生命力 43

 精神力 66


召喚モンスター

ヴォルフ 大神Lv25→Lv26(↑1)

 器用値 38(↑1)

 敏捷値 90(↑1)

 知力値 37

 筋力値 52

 生命力 52

 精神力 38

 スキル

 噛付き 疾駆 跳躍 回避 遠吠え 裂帛 神威

 霊能 霊撃 念動 隠蔽 追跡 夜目 気配遮断

 魔力察知 自己回復[中] 物理抵抗[中] 魔法抵抗[大]

 MP回復増加[小] 耐即死 耐魅了 分身


獅子吼 ダークキメラLv49→Lv50(↑1)

 器用値 30

 敏捷値 69(↑3)

 知力値 29(↑1)

 筋力値 57(↑3)

 生命力 64(↑1)

 精神力 29

 スキル

 噛付き 飛翔 回避 裂帛 匂い感知 熱感知

 夜目 気配遮断 捕食融合 捕食吸収 自己回復[中]

 物理抵抗[小] 魔法抵抗[微] MP回復増加[小](New!)

 毒 暗闇 ブレス 時空属性 光属性 闇属性

 火属性 溶属性 耐暗闇(New!)


極夜 ケルベロスLv49→Lv50(↑1)

 器用値 29

 敏捷値 88(↑4)

 知力値 27(↑1)

 筋力値 51

 生命力 51(↑3)

 精神力 28

 スキル

 噛付き 回避 疾駆 跳躍(New!)激高 夜目 聞耳

 危険察知 追跡 隠蔽 連携 捕食融合 捕食吸収

 自己回復[中](New!)物理抵抗[中] 魔法抵抗[小]

 ブレス 火属性 風属性 闇属性 猛毒 毒耐性


パナール スレイプニルLv23→Lv24(↑1)

 器用値 49(↑1)

 敏捷値 67

 知力値 25

 筋力値 67

 生命力 69

 精神力 26(↑1)

 スキル

 噛付き 踏み付け 体当たり 受け 回避 疾駆

 夜目 耐久走 奔馬 跳躍 蹂躙 蹴り上げ 重装

 騎乗者回復[小] 自己回復[中] 物理抵抗[中]

 魔法抵抗[中] MP回復増加[微] 時空属性 光属性

 闇属性 風属性 耐魅了 耐即死


召魔の森 ポータルガード

黒曜、ジェリコ、ティグリス、テイラー、クーチュリエ、ペプチド、モジュラス

雷文、清姫、守屋、スーラジ、久重、テフラ、岩鉄、虎斑、蝶丸、網代


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