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インビジブル・ブラインドを使って真正面から魔物の群れに迫る。
追加している戦力は?
ガルムの群れを召喚し終えたのか、巨大亀が港町サリナスに向けて移動を開始しているようだ。
いや、今からでも遅くない。
足を止めてニュートドラゴンを召喚しないか?
まあ狩りに行くのは変わらないんだけど。
気持ち良く【英霊召喚】とエクストラ・サモニングを使わせて欲しいのですが。
オレの両側をガルムの群れが駆け抜けて行く。
狙っているのは君達ではない。
飽くまでも本陣の巨大亀と魔人だ。
ああ。
早く襲ってみたい。
近くで見ると魔物の数の多さが目立つ。
大半はベリルビーストだ。
【英霊召喚】は何を使うのかはもう決めてある。
剣豪降臨です。
継続時間は16分強。
時間内で全部を仕留められるかどうか、大いに疑問だ。
それでも剣豪の英霊様を相手に稽古をしてみたくもある。
贅沢?
そうだな。
そうだよな。
この数が相手では大変だろう。
しかも新たなキムクイガーディアン・スレイブが姿を現していた。
おお?
いいぞ。
追加戦力は大歓迎だ!
距離は十分に縮めて来ている。
気付かれている様子はまだない。
ああ。
すぐにでも、襲いたいのに。
もっと近くに寄ってみよう。
至近距離からの奇襲。
その先触れはスコーチになるだろう。
相手の数が多い程、睡眠と混乱の状態異常攻撃は有効なのだ。
その後は?
悪いけどキムクイガーディアン・スレイブの口の中に特攻という事になるだろう。
チェンジ・モンスターはどうしても要るのです。
エクストラ・サモニングは?
使おう。
召喚するのはメジアンだ。
空中の確固たる戦力として大いに暴れて貰おうか。
さあ。
近いよ、近いよ?
そろそろ、いいよね?
もう堪らん。
先頭のキムクイガード・スレイブまで、もう少しだ!
「真降魔闘法!」「エンチャントブレーカー!」「リミッターカット!」
召喚モンスター達が一斉に動き出す。
場所はキムクイガード・スレイブの真下だ。
上を見上げるとキムクイガード・スレイブの腹しか見えない。
最初の狙いは?
奇襲、それも乱戦に持ち込む事だ。
魔人に統率をさせない。
それこそが肝要であるのだ。
スコーチが一気に前へ。
ヴォルフも分身を周囲に放ちながら続く。
護鬼と戦鬼はキムクイガード・スレイブの右後脚を砕きに行く。
オレとヘザーは左後脚だ。
おっと。
援軍を追加しないとね?
(剣豪降臨!)
一気にMPバーが減って行く。
まあすぐに補給は出来るさ!
(((エナジードレイン!)))
(((ディメンション・ソード!)))
(((パルスレーザー・バースト!)))
(((フォースド・ドライング!)))
(((ディクレイ・ヒート!)))
キムクイガード・スレイブの左後脚に触れて接触型呪文の詰め合わせをプレゼントだ。
まあこいつは後回しでもいい。
キムクイガーディアン・スレイブを仕留めに行くのが先だ。
まあ足止めはするけどね。
(((((八部封印!)))))
(((((九曜封印!)))))
((((イビル・アイ!))))
このキムクイガード・スレイブのマーカーは見えない。
見えなくて構わん。
足止めなのだから。
(((((((((((((((ピットフォール!)))))))))))))))
護鬼と戦鬼が脚の一撃を与えたらすぐに通過したのを確認。
右前脚と右後脚を落とし穴に嵌める。
まだまだこれは前準備だ。
(((((((((((((((レビテーション!)))))))))))))))
これも次の段階に過ぎない。
効き目が確認できないから15連装で組んだだけだ。
(((((((((((((((ストーン・ウォール!)))))))))))))))
左前脚と左後脚の真下から土壁が出現。
キムクイガード・スレイブは呆気なく転がる。
甲羅を下にして行動の自由を奪うのが狙いだ。
暗闇城でフィーナさん達が迎撃で使った手順を再現出来たかな?
(オフェンス・フォール!)
(ディフェンス・フォール!)
(スロウ!)
(ディレイ!)
(パラライズ!)
(グラビティ・プリズン!)
(ホーリー・プリズン!)
(ブラックベルト・ラッピング!)
(コラプト!)
(オートクレーブ!)
(レゾナンス!)
(スウォーム!)
(カーズド・ワーム!)
(ペトリファクション!)
(アイアン・メイデン!)
念を入れて動きを封じておこう。
そこでおとなしく待っててね?
今はキムクイガーディアン・スレイブにチェンジ・モンスターを仕掛けるのが先だ。
周囲の様子は?
魔物の群れは混乱の極みに陥っている。
眠り込んでいるベリルビースト。
意味も無くその場で暴れているトライホーンリザード。
スコーチの仕業だな?
(エクストラ・サモニング!)
追加で召喚するのはメジアンだ。
大いに暴れて良し。
周囲にいるのは全部屠っていい。
でも喰うのは程々にしろよ?
さあ。
ここからはオレも暴れるとしましょう。
それに今回の剣豪の英霊様だが、どんな方々がいるんだろう?
乱戦になると思うけど確かめておきたいものだ。
修羅刀を抜く。
どこを向いても魔物だらけだ!
数を減らしつつキムクイガーディアン・スレイブを狙おう。
(((((((((((((((ディストーション・ジャベリン!)))))))))))))))
【呪文融合】は15連装までいけるのだ。
この状況であれば効率のの高い呪文も組める。
前準備はしてあったのだ。
これは美味しい。
では。
亀さん達にはまず甲羅を下に転がって頂こうか。
話はそれからだ。
「ヌンッ!」
「シャッ!」
「ッ!」
ベリルビーストに与えたダメージは?
HPバーは既に砕け散っている。
オレが仕留めたのか、剣豪の英霊様が仕留めたのかこれでは分からん!
どっちでもいいけど。
戦況は?
周囲は奇妙な光景になっている。
引っくり返ったままの巨大な亀が見物出来ます。
脚をジタバタと暴れさせている様子が健気だ。
でも残念。
足掛かりとなるような構造物は周囲には無い。
ここは平原なのだ。
それに剣豪の英霊様なんですけど。
オレと常に同行する方達がいる。
しかもこの組み合わせはどうなのよ?
佐々木小次郎 ???
英霊 戦闘中
戦闘位置:地上 ???
宮本武蔵 ???
英霊 戦闘中
戦闘位置:地上 ???
佐々木小次郎と宮本武蔵とか、色々と心配だ。
お互いの戦う様子を窺っているようでもある。
間違いなく、競い合う構えだ。
それでいて連携面は悪くなかった。
お互いの敵愾心はいい方向に作用しているらしい。
反りの少ない大刀を楽々と操る佐々木小次郎。
その大刀を超える長さの木刀を振り回す宮本武蔵。
痩身で洗練された姿の佐々木小次郎。
獣のような有様の宮本武蔵。
どこまでも噛み合いそうにないな。
一緒に酒でも飲んで打ち解けて欲しいものだ。
(((((((((((((((ファイア・エクスプロージョン!)))))))))))))))
まあ、いいか。
結果的に競い合うような構図になっているし。
それにどうやら、キムクイガーディアン・スレイブを1体、仕留め終えたようだ。
スコーチとのチェンジ・モンスターで侵入していたジェリコが死体から這い出す様子が見えている。
キムクイガーディアン・スレイブは残り2体か。
まだどちらも腹を上にして暴れているようだ。
何だろう、この気持ち。
亀さんを虐待しているような構図になっている。
そんなつもりは無かったんだが。
結城秀康 ???
英霊 戦闘中
戦闘位置:地上 ???
足利義輝 ???
英霊 戦闘中
戦闘位置:地上 ???
堀部安兵衛 ???
英霊 戦闘中
戦闘位置:地上 ???
大石進 ???
英霊 戦闘中
戦闘位置:地上 ???
オレの右手側でこんな方々がいる。
押し寄せてくる勢いのトライホーンリザードが次々と仕留められているようだ。
お願い。
お願いだから、キムクイガーディアン・スレイブは残しておいてね?
切実にそう思えます。
剣豪の英霊様に色々と戦国武将が混じるのはもう慣れたけどね。
時代もバラバラだな!
文句も言えないけど。
選択権はオレには無いのだ。
??? ???
英霊 戦闘中
??? ???
熊谷直実 ???
英霊 戦闘中
戦闘位置:地上 ???
真柄直隆 ???
英霊 戦闘中
戦闘位置:地上 ???
小野忠明 ???
英霊 戦闘中
戦闘位置:地上 ???
オレの左手側にもいる。
やはり天狗面の英霊様の名前が分からない。
本当に、何者なんだ?
こっちはベリルビーストを屠り続けている。
そして思う。
稽古をするだけの時間が確保出来るかもしれない。
最初のうちはその可能性を絶望視していたんですけど。
巨大亀を全部転がしたのはいい手段であったようだ。
今は空中戦力となるグリフォンもヒッポグリフもいない。
ビートルドラゴンもスタッグドラゴンも残り僅かだ。
今も地に墜ちたスタッグドラゴンがメジアンに文字通り解体されつつある。
エクストラ・サモニングで召喚したメジアンの残り時間はもう僅かだ。
急ごう。
剣豪の英霊様との稽古であれば例え一分であっても貴重だ。
相手は誰がいいかな?
佐々木小次郎と宮本武蔵は?
実はもっと対戦してみたい剣豪の英霊様がいたりします。
小野忠明、大石進の両名だ。
徳川将軍家の剣指南役。
そして江戸時代末期、あの男谷信友が手を焼いた剣豪。
見逃せません。
でもね。
真柄直隆になりそうな気がする。
以前に稽古をする事になった本多重次に通じる雰囲気があるのです。
こっちの方が体格が凄いし使っている太刀は佐々木小次郎の物よりも長く剣呑な代物だ。
まともな稽古になりそうにない。
おっと。
手を止めてはいけない。
まだまだ、巨大亀は残っているのだ!
全部、仕留めてから考えよう。
稽古の事はそれからだ。
急がないと時間が無くなってしまうぞ!
《只今の戦闘勝利で【刀】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【大刀】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【禁呪】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘勝利で【呪文融合】がレベルアップしました!》
【英霊召喚】の残り時間は?
二分無い、だと?
いや、十分だ。
召喚モンスターのレベルアップが無い、というのは些か悲しい事だけどね。
キムクイガーディアン・スレイブはタフであり大きな脅威だ。
それをああも簡単に無力化出来るというのは意外だった。
そうか。
引っくり返せば楽だったのか!
今までの戦闘の全てが無駄に手間を掛けていたよう思えてしまう。
まあ引っくり返されても脅威が全く無い訳じゃなかったけどね。
封印が解けると厄介な攻撃が続くのです。
おっと。
リミッターカットの影響でステータス異常があるのだ。
ソーマ酒を服用しましょう。
《アイテム・ボックス》から木刀を取り出す。
さあ、誰が受け取ってくれるだろうか?
問題発生。
前に進み出たのが佐々木小次郎と宮本武蔵。
おい。
同時に相手するの、無理!
佐々木小次郎と宮本武蔵が互いの顔を睨んでいるのが分かる。
あの、ここで決闘は止めて!
巌流島の続きは止めて!
それに時間が惜しい!
佐々木小次郎と宮本武蔵が睨みあう隙に木刀を受け取ったのは?
足利義輝だ。
平安時代の貴族のような姿。
済みませんね。
将軍様が直々に相手をしてくれるとは!
それに使って貰う事になる得物もかなりお粗末な木刀だ。
反りも違う。
普段、この剣豪将軍が使っている得物は反りの大きな太刀なのだ。
勝手が違うと文句を言われそうで怖い。
いや。
厳格でありながら整った顔に浮かぶのは微かな笑み?
口髭も顎鬚も僅かに動いているように見えるのだが。
大丈夫かな?
オレも木刀を手にして構える。
平正眼。
剣豪将軍は木刀を右手に提げたままだ。
どこまでも自然体。
だが、隙が見出せない。
攻撃してくるような様子は無い。
なのにどう撃ち込んでも反撃を喰らう、そんな雰囲気があるのだ。
面白い。
ダメージはあっていい。
それ以上のダメージを与えるつもりで、思いっきり撃ち込め!
何といってみ時間が惜しいのです。
左足を前に進めて蜻蛉の構えに。
さあ。
これをどう受けますか?
「キィヤァァァァァァァァァァァァッーーーーー!」
躊躇も怯懦も不要。
剣に込めるのは、狂気のみ。
さあ、撃ち込め!
《只今の戦闘で【小刀】がレベルアップしました!》
《只今の戦闘で【刀】がレベルアップしました!》
何という事だ。
全部、切り返されている。
いや、剣の軌道を全て乱されている。
切り落とされ、擦り上げられ、柄を突かれ、峰を打たれていた。
最後は木刀を巻き上げられて、吹き飛ばされてます。
ダメだ。
まるで通じていない。
その反面、光明もある。
僅かなものだが、反撃を乱す事があった。
それも数度。
小手先の技でどうにかする事はない。
最初の一撃をより鋭く、撃ち込めたらいいのだ。
まだだ。
まだ、足りていない。
もっと鍛錬をしろという事でいいのね?
そう受け取りました。
確かに剣豪の英霊様達の剣撃は見事だ。
キムクイガーディアン・スレイブの分厚い装甲にちゃんと通じているのです。
宮本武蔵の木刀に結城秀康の槍は毛色が違ってますけど。
もう少しだ。
どうにか剣豪の英霊様とまともな対戦がしたい。
本多重次との対戦みたいな事になるのも悪くないけど。
どうにか一本、取れませんかね?
おっと、いかん。
戦闘はもう終結しているのです。
キムクイガード・スレイブとキムクイガーディアン・スレイブからアイテムを剥ごう。
逃す事はないのだ。
「バゥッ?!」
剥ぎ取り作業は進む。
剥ぎ取り作業を進めていたのだが。
巨大亀からの剥ぎ取りは既に終了していた。
だが、まだまだ。
ベリルビーストからは宝石類が剥げる。
グリフォンからは金鉱石だ。
逃す事はない。
ヴォルフがオレの手首を軽く噛んで引っ張っている。
警告か?
どうも何かが迫っているような感じがします。
それは一体、何だ?
雰囲気が何か、おかしい。
センス・マジックはまだ有効だが、魔力を感じ取れないようだが。
僅かに、振動。
何か重量のある奴が迫っているのか?
足跡を見ても遠目では判別し難い。
新たな足跡が生じているように見えないが、明らかに振動があるようだ。
援軍か?
姿を消して迫っているというのであれば納得だ。
ヴォルフとヘザーの視線が同じ方向を向いている。
東北東方面。
何かが迫っているのはどうも間違えようがないみたいだ。
布陣は?
現時点ではヴォルフ、ジェリコ、護鬼、戦鬼、ヘザー。
消耗は各自、それなりにある。
まだ呪文の強化の効果が持続していた。
布陣変更せずにこのまま戦闘に突入しても、行ける。
そう。
こういう場合は先手必勝だ!
(アポーツ!)
戦鬼が投じていた鉄球2つを手元に戻す。
早速、拾い上げる戦鬼。
外れてもいい。
2つ共、投げて良し!
「ガァッ!」
戦鬼が短く吼え、鉄球を投じた。
勢いがあり過ぎて戦鬼の体が空中で回転してしまっている。
着地はちゃんと出来ている。
曲芸か?
おっと。
投球フォームはどうでもいい。
鉄球は?
空中で止まっている、だと?
いや、何かが出現しようとしている。
大きな何かだ。
キムクイガーディアン・スレイブ ???
魔物 討伐対象 ???
??? ???
見えている項目が少ない。
それは強敵である事を意味している。
文句などあろう筈が無い。
率いている魔物は少なめだろう。
ベリルビーストにトライホーンリザード。
スタッグドラゴン2頭、というのは少々微妙だが。
問題は亀の頭上にいる魔人らしき人影。
数が多くないですか?
どう見ても十人はいるだろう。
(((((八部封印!)))))
(((((九曜封印!)))))
((((イビル・アイ!))))
結界は?
展開してあるみたいだな。
キムクイガーディアン・スレイブは姿を消している間、確実に結界がある。
頭上にあの呪禁導師らしき影がいると呪文攻撃も無効になったりする。
より強固であると物理攻撃すらも跳ね返すらしい。
この場合は最も強固なパターンであるようだ。
戦鬼の鉄球が手前に落ちている。
そして【呪文融合】の詰め合わせがまるで効いていない。
だが。
それに魔物達もこっちを攻撃するには結界の外に出ないといけない筈だ。
結界を消して攻勢に出るその瞬間こそが反撃の好機になるだろう。
亀の頭上にいる魔人を最優先で片付けたらいい。
遠距離からの物理攻撃の手もある。
護鬼もヘザーも弓矢へと得物を切り替えていた。
「ガッ!」
戦鬼が再び鉄球を投じる。
だが直撃ならず。
キムクイガーディアン・スレイブのかなり手前で鉄球は留まる。
挑発になるかな?
だが魔物が結界の外に出て来る様子は無い。
魔人もだ。
出て来いって!
(アポーツ!)
鉄球を回収しつつ、魔物の様子を窺う。
こうなると潜入を狙って魔人を全て片付けたい所だが。
それは難しそうだ。
潜入も何も、目の前にいるのだ!
魔人の指輪を使うには目立ち過ぎる!
いっそ、こっちを攻撃して欲しいものだが。
【呪文融合】の壁呪文詰め合わせを準備しつつ、その機会を待つ。
だが。
どうもそうは行かないようだ。
キムクイガーディアン・スレイブの動きが止まる。
そして追従する魔物も全く襲って来る様子を見せない。
スタッグドラゴンも地上に着陸して控える構えだ。
おい。
襲ってくれ!
そうじゃないとオレが襲えないじゃないか!
キムクイガーディアン・スレイブの目の前の地面に魔方陣と魔法円が重なって描かれる。
追加戦力、らしい。
だが。
出現してきた影は一つだけ。
但し、巨大だ!
雲母竜 スカラブドラゴン ???
??? ??? ???
??? ???
マズい。
現時点で勝てそうな要素は無い。
【呪文融合】の壁呪文詰め合わせで最初の攻撃を凌げるかな?
だが。
想定していたブレス攻撃が来ない。
以前見た雲母竜は多彩な攻撃手段を持っていたように思うのだが、それも無い。
地上に留まったまま、その威容を見せ付けている。
そんな雲母竜の前に人影。
魔人か?
??? ???
魔神 ??? ???
??? ???
魔神であっても例の老人ではないようだ。
そもそも、体格が全く違う。
ローブを羽織っているのだが、腰に届いていない。
太い両足は筋骨隆々。
他にも魔神に属するような奴がいたのか!
オレの耳に届くのは低く響く笑い声。
実に楽しそうだ。
ローブの奥に黄色の瞳が光っている。
『目論見通りに行かぬものだ』
笑い声はもうない。
既にピリピリした雰囲気に切り替わっている。
『人の子よ、お前は英雄気取りか?さもなくば死を望むだけか?』
「どちらでもないよ」
魔神が立つ位置はどうだ?
キムクイガーディアン・スレイブの結界の中であるのか、外であるのか。
向こうから攻撃して来るような雰囲気は無い。
こっちから先制して良いのかどうか。
悩ましい。
何しろ雲母竜がいる。
まともに戦って勝てる相手とは思えない。
いや、待て。
魔神が前へと進んでいる。
オレに歩み寄っている。
おい。
どういうつもりだ?
『面白そうな奴め、試してくれよう。掛かって来るがいい!』
「は?」
魔神はローブを脱ぎ捨てた。
その風貌はまさに野人。
銀色の髪は短く刈り込まれていた。
老壮の武人の佇まいだが、その体躯は並ではない。
例えるならば、建御雷神之幻影。
体躯はこの魔神の方が小さいけど、オレよりも大きいのは間違いない。
装備は?
簡単なジャケット風の革鎧に腕カバーに手甲。
肌の露出部分は結構ある。
得物を持っている様子は無い。
連想出来る戦闘スタイルは?
格闘戦だ!
『構わんぞ。召喚モンスターも共に来るがいい!』
「ええっ?」
何なの、このバカ。
相手は魔神。
手にしている修羅刀を抜いて襲ってもいいんだが。
それでは何かに負けているような気がします。
左手でヴォルフの頭を軽く撫でる。
今にも飛び出しそうな感じだったからだ。
いいか。
襲っちゃダメ。
後方で控えている魔物が介入するようなら襲っていい。
ジェリコ、護鬼、戦鬼、ヘザーもだ。
相手は一人で戦いを挑んでいるのは明らかなのです。
ならばこっちもだ。
《アイテム・ボックス》に修羅刀も戻してしまおう。
ふざけやがって。
僅かな怒りもあるが、高揚感もある。
殴り合いを挑まれて退く訳にいかない。
この死地から逃げる選択肢はある。
だが。
目の前にいる魔神の力量には大いに興味があった。
きっと強敵。
間違いなく強敵。
自信もあるのだろうな。
ならば試そう。
挑ませて貰おうじゃないの!
『お前だけでいいのか?』
「ああ」
『つまらん。戦い甲斐がないようでは困るぞ』
「同感だ」
オレの返答に目を見開く魔神。
その表情に笑みが浮かぶ。
但し肉食獣のような笑みだ。
『武器もなしか』
「そっちこそ」
『我はこれが気に入っている。それにお前は我よりも小さい。本当に楽しめるのかね?』
「試せばいいさ」
確かに体格差はある。
だから色々と手は尽くさせて貰おう。
オレ自身が格闘戦を楽しめるように、だ。
想定する相手は?
アンタイオスにアルゴス。
建御雷神之幻影。
彼等との戦ってきた経験が活かされるといい。
それに先刻まで、剣豪の英霊様との対戦もしていた。
剣豪将軍、足利義輝だ。
その対戦時の残滓のようなものが体の中に残っている。
そしてオレの体内で囁いていた。
ただ、戦えと。
うむ。
素直に従うとしよう。
「真降魔闘法!」「エンチャントブレーカー!」「リミッターカット!」
『むむ?』
一気に前へ。
最初の一撃は拳。
しかも、直撃だと?
ボディへの直突きなのだが、魔神にはディフェンスをする様子が無かった。
こいつめ。
わざと喰らいやがったか!
膝に蹴りを喰らわせてから距離を置く。
魔神の様子は、どうだ?
低く響く笑い声。
何だか楽しそうです。
『中々であるな。だが、まだまだ』
「そうみたいだな」
魔神のHPバーは減ってはいたけど僅かなものだ。
しかも自己回復までしてやがる。
そうか。
ならばこっちも色々と呪文で強化して、いいよね?
いいと思います。
だが。
一発をわざと喰らうとは舐めてるだろ?
その態度が気に入らない。
『では、行くぞ!』
「ッ!」
速い!
だがその攻撃は見えている。
打ち下ろして来る拳はオレの頬を直撃していた。
気持ちよく吹き飛ばされてしまう。
口の中に痺れる様な感覚。
そして血の味だ。
『貴様、わざと喰らったか!』
「そっちこそ」
そこはお互い様だ。
舐めやがって。
やられた気分はどうだ?
いい気分はしないだろう?
格闘戦は真面目にやれ。
そうあるべきなのだ。
だがその一方で戦慄する。
地力の差は明らかだ。
パワーもスピードも格上。
凌げるような相手であるのか、それはやってみないと分からないけどね。
確かな事もある。
間違いなく、戦うのが楽しそうだ。
心配なのは後方で控える魔物達。
特に雲母竜。
本当に邪魔しないよね?
(フィジカルエンチャント・ファイア!)
(フィジカルエンチャント・アース!)
(フィジカルエンチャント・ウィンド!)
(フィジカルエンチャント・アクア!)
(メンタルエンチャント・ライト!)
(メンタルエンチャント・ダーク!)
(グラビティ・メイル!)
(サイコ・ポッド!)
(アクティベイション!)
(リジェネレート!)
(ボイド・スフィア!)
(ダーク・シールド!)
(エンチャンテッド・ライト!)
(ファイア・ヒール!)
【呪文融合】の強化呪文詰め合わせを継ぎ足そう。
そう言えば枠が余っているんだよな。
そんな事を考えながら、魔神に迫る。
だが忘れてはいけない。
こいつの真意は何だ?
きっと何かがある。
あるに違いないのだ。
主人公 キース
種族 人間 男 種族Lv99
職業 サモンマスターLv37(召喚魔法修師)
ボーナスポイント残 75
セットスキル
小剣Lv72 剣Lv75 両手剣Lv73 両手槍Lv76 馬上槍Lv76
棍棒Lv72 重棍Lv71 小刀Lv71(↑1)刀Lv76(↑1)大刀Lv71(↑1)
刺突剣Lv70 捕縄術Lv71 投槍Lv76 ポールウェポンLv74
杖Lv87 打撃Lv90 蹴りLv91 関節技Lv90
投げ技Lv90 回避Lv97 受けLv97
召喚魔法Lv99 時空魔法Lv85 封印術Lv83
光魔法Lv79 風魔法Lv79 土魔法Lv79 水魔法Lv79
火魔法Lv79 闇魔法Lv79 氷魔法Lv79 雷魔法Lv79
木魔法Lv79 塵魔法Lv79 溶魔法Lv79 灼魔法Lv79
英霊召喚Lv5 禁呪Lv81(↑1)
錬金術Lv71 薬師Lv16 ガラス工Lv23 木工Lv47
連携Lv77 鑑定Lv70 識別Lv77 看破Lv58 耐寒Lv75
掴みLv77 馬術Lv77 精密操作Lv77 ロープワークLv70
跳躍Lv50e 軽業Lv50e 耐暑Lv73 登攀Lv60e
平衡Lv77
二刀流Lv75 解体Lv71 水泳Lv29 潜水Lv61
投擲Lv50e
ダッシュLv60e 耐久走Lv60e 追跡Lv36 隠蔽Lv72
気配察知Lv70 気配遮断Lv72 暗殺術Lv60e
身体強化Lv60e 精神強化Lv60e 高速詠唱Lv50e
無音詠唱Lv60e 詠唱破棄Lv60e 武技強化Lv71
魔法効果拡大Lv70 魔法範囲拡大Lv70
呪文融合Lv71(↑1)
耐石化Lv69 耐睡眠Lv69 耐麻痺Lv71 耐混乱Lv68
耐暗闇Lv69 耐気絶Lv80e 耐魅了Lv67 耐毒Lv76
耐沈黙Lv68 耐即死Lv67
召魔の森 ポータルガード
テイラー、クーチュリエ、獅子吼、ペプチド、逢魔、極夜、雷文、守屋
スーラジ、久重、テフラ、岩鉄、ノワール、虎斑、蝶丸、網代