665
護国谷に到着。
門番役のクラウドドラゴンは顔なじみだろうか?
オレには判別不可能だ。
まあオレ達を目にしてもまるで動じていない。
見知っているのだろう。
「キュッ?キュッ!」
問題はパンタナールだ。
妙にクラウドドラゴンに馴れてしまっていた。
興味深そうに門番役の2頭に近寄っている。
挑発するなよ?
まあパンタナールの場合、首を傾げるだけで済んでいるけど。
「では狩りに行って来ます」
『うむ』
『助力を感謝する』
まあ挨拶はいいんだが。
パンタナールが欠伸をする。
クラウドドラゴンも欠伸。
伝染した、だと?
メジアン、それに蒼月までもが欠伸をしているんだが。
これ、何かの病気じゃないよな?
偶然だと思いたい。
門番のクラウドドラゴン達に軽く挨拶を済ませると空へと飛ぶ。
この所、魔人の率いる軍勢は鳴りを潜めているそうだが。
コール・モンスターでも魔人の気配は感じられない。
地上戦力は潜んでいるかもだが。
地上か。
金紅竜の眷族となるドラゴンとグレータードラゴンがいる筈。
少なくとも、この周囲にいた魔人の軍勢は駆逐されているだろう。
心置きなく移動するとしよう。
カーム・モンスターズを使えば戦闘になる事も少なくて済みそうだ。
時刻は午後4時50分。
戦闘らしい戦闘は無い。
哨戒中のドラゴン達は見掛けるけどね。
つまらん。
実につまらん!
【英霊召喚】の保険が使えるのであれば、このまま王城の上空を通過したい所だ。
まあそんな無謀な真似はしませんけど。
でも、ちょっとだけならいいかもしれない。
N1E12マップ側の様子はどうだ?
ダメだな。
こっちは魔物が多過ぎてダメだ!
経験値稼ぎになる前に全滅しかねない。
蒼月の目をシンクロセンスで借りて見ると、ニュートドラゴンの姿もあるようだ。
しかも6頭、確認出来ている。
これはまさに死地。
突っ込むのは無謀であろう。
おとなしく地上を行くとしましょうかね?
僅かな距離だが、森が続く筈。
王城に近くには街がある。
その周辺は森の中に王侯貴族の館が点在していたと思うのだが。
その中にはジュナさんの館もあったと思う。
おっと。
そろそろ高度を下げよう。
森の中、身を潜めながら少しでも距離を稼ぐべきだ。
暗くなってからが本番になる。
それまで、おとなしく森の中を移動だ。
いや。
状況次第では狩りをするのも悪くない。
奇襲に対する備えも要る。
戦闘も可能な限り、避けるべきなのかな?
目立たなければいいだろう。
そういう機会があればの話だけどね。
以前、少しだけ狩りをしてはいる。
そんなに戦い甲斐のある相手がいなかったように思う。
何がいましたっけ?
もう既に忘却の彼方だ。
引き続きカーム・モンスターズを使おう。
何よりもニュートドラゴンに上空から襲われたくないのです。
森の狭間に着陸すると布陣は変更だ。
ここまで戦闘は無かったのだから消耗は無い。
惜しい気はするけど、交代だ。
隠密行動を優先だし、森の中を移動であるのだ。
布陣は見直そう。
折威は残して蒼月、ルベル、メジアン、パンタナールは帰還だ。
ヴォルフ、モジュラス、清姫、それにスコーチを召喚しましょう。
布陣は?
ヴォルフ、モジュラス、清姫、折威、スコーチとなる。
オレの獲物は?
無手でいい。
状況に応じて使い分ける事になるだろう。
さて、地上戦力も空中と同様に酷い有様であるのかね?
殲滅しつつ南下出来たらいいんだが、無理だろうな。
どうにか通り抜けねばいけないだろう。
面倒な事にならなきゃいいんだが。
適度に強敵が分散している事を祈るしかないな。
《これまでの行動経験で【看破】がレベルアップしました!》
ダメだ、こりゃ。
少数の魔物を率いて哨戒している連中は確かにいた。
だが、本隊の規模が大き過ぎる!
キムクイガード・スレイブであるのか、キムクイガーディアン・スレイブであるのか?
そこはまだ明確に数え切れてません。
マーカーは見えないけど、確実に存在しているのが分かる。
何よりも周囲の森の様子が異様なのだ。
平行して並んでいるであろう事も分かっている。
たまに実体を見せて、召喚しているのを確認してます。
少なくとも、キムクイガード・スレイブは5体、キムクイガーディアン・スレイブは2体。
全て【識別】しきれている訳じゃないけど、魔物が多数。
その中にはビートルドラゴン、スタッグドラゴン、そいしてニュートドラゴンまでいたのだ。
当然のように魔人もいた。
全部、経験値にしたい所だが、この戦力を相手に挑むつもりは無い。
【英霊召喚】もエクストラ・サモニングといった切り札は使えないのだ。
使えたとしても、呪文の有効時間で確認した全戦力を屠れるとは思えません。
どう考えても無理がある。
気付かれたら延々と援軍が投入され、死に戻るまで戦う事になるだろう。
不可能だ!
オレに自殺願望は無いのです。
ここは迂回しよう。
戦力を少しづつ削げるような雰囲気もない。
目的は飽くまでも、王城にどこまで迫れるか、その検証であるのだ。
間違えてはいけません。
《これまでの行動経験で【隠蔽】がレベルアップしました!》
《これまでの行動経験で【気配遮断】がレベルアップしました!》
時刻は午後8時40分。
どうにか亀の戦列を回り込めたようだ。
距離も離れている。
森もそう深くなくなりつつある。
そろそろ、移動距離を稼ぎたい所だ。
布陣を変更しよう。
モジュラスと清姫は帰還だ。
フローリンとパナールを召喚しました。
ヴォルフ、フローリン、折威、スコーチ、パナールといった布陣である。
移動を優先なのは当然だが。
無論、出来るだけ目立たないように潜入したい。
インビジブル・ブラインドは常時使っておこう。
いざともなれば魔人の指輪のお世話になるかもしれません。
特に王城への潜入では必要になる可能性は高い。
審判の石版をどこかに設置出来ればいいんですけどね。
それには潜入が必要になると思うんですけど。
こうなると悩む。
潜入するのに向く召喚モンスターは確かにいる。
だが多くは無い。
もう少し、増やすべきなんだろうか?
バンパイアダッチェスを増やすのはいいかも知れない。
汎用性は高いし。
いや、次に追加する場合は男性型になるんでしたっけ?
クラスチェンジを重ねたら、バンパイアナイト、バンパイアデュークかな?
ジュナさんもバンパイアデューク、バンパイアダッチェスを揃えていた。
追加し過ぎるのは管理が大変だがどうしよう?
必要を感じるのであれば追加するのに躊躇してはいけないと思うけど。
後で検討すべきだろう。
まあ、召喚モンスターの追加は今すべき事ではない。
このまま南下しましょう。
一気に距離を稼ぐとしますかね?
それはパナール次第だ。
戦闘は可能な限り避ける。
インビジブル・ブラインドがあるのだ。
そこに期待したい。
時刻は?
午後9時50分。
森は途切れ途切れになっている。
闇の中、立派な邸宅が見えたりする。
そして魔人と魔物もです。
危なかった。
名前持ちの魔人がいたら奇襲を仕掛けていたかもしれない。
こんな敵中で戦闘、しかも騎乗戦とか無茶が過ぎる。
でも耐え忍ぶのが。
ああ、襲いたい。
襲いたい。
強○魔じゃないよ?
○り魔でもない。
オレはそんな危ない人じゃないのです。
実際、ここまで戦闘をせずに、おとなしく南下出来ている。
大丈夫。
まだ、大丈夫。
禁断症状は出てません。
耐えていられるうちは大丈夫だ!
異様な邸宅が見えていた。
何個かの明かりに照らされて、何かに包囲されているのだ。
興味があったので少し近寄ってみたんだが。
魔物だ。
ニュートドラゴンは3頭。
スタッグドラゴンは5頭。
見えている範囲でだ。
邸宅の向こう側の森の中にも確実にいるだろう。
魔人の姿もあるようだが明確に【識別】出来ない。
これ以上、近寄るのは危険だ。
邸宅の周囲にはベリルビーストの戦列も包囲してたりするし。
だが。
その邸宅には見覚えがあった。
ジュナさんが使っていた邸宅である筈。
何かの犯人が立て篭もりでもしているのかな?
これだけの戦力で警戒するって無駄に思えます。
邸宅毎、破壊する方が楽じゃないのかね?
いや。
ジュナさんの事だ。
この邸宅にポータルガードの戦力を張り付かせていたりして。
邸宅そのものに中継ポータルのような結界があってもおかしくないな。
何にせよ、これ程の戦力をまともに相手するだけの余裕はオレには無い。
南下を続けましょう。
王城まではもうすぐだ。
果たして潜入は出来るのか?
攻撃呪文を弾くような結界があるのは間違いない。
それに城壁に城門といった物理的な壁もある。
警護だっているだろう。
さて。
どうなってますかね?
それに気になるのは魔人と魔物しか見掛けない事だ。
NPCとして普通の人間もいておかしくないのに。
まあ魔人や魔物がここまで跳梁跋扈していて、しかも夜だ。
見掛けなくてもおかしくはないが。
それでも気になる。
それとも、難民となって逃げ出しているのか?
その可能性もありそうだ。
城門の前には門番役と思える魔人。
恐らくは変態魔人だ。
だがそれだけではない。
ニュートドラゴンがいやがる。
さて、ここからどうする?
このまま突っ込む。
無いな。
騒ぎを起こしてどうするのよ?
ここは潜入を試みる事にしようか。
魔人の指輪を使おう。
召喚モンスターは全員、帰還で。
さあ。
少し緊張する。
門番役にあのニュートドラゴンがいるのだ。
魔人に化けて通過出来るかな?
それにこの手段も何度も通じるものなのか、怪しいものだ。
実際、魔人のラ・ルッフィアーナには看破されているし。
完璧ではないのだ。
どこで見破られてしまうのか、分かったものではない。
やはり緊張してしまう。
さて、変装は?
いつもの通りだ。
右手の中指には魔人の指輪。
今のオレはペドロリーノだ。
魔人側にもどこかにペドロリーノはいると思える。
被らない事を祈るとしよう。
「ご苦労」
努めて高圧的に。
そして高慢に。
魔人は?
あの変態魔人、パントマイムメンターだ。
やっぱりだ。
いい笑顔をしているけど、その視線が気になる。
門番にあるまじき事だが、オレの顔を見ていない。
間違いなく股間を見ている。
この変態!
そしてニュートドラゴンは?
オレに一瞥。
それだけだ。
潜入手順は大丈夫か?
通じるみたいだだ。
だがまだまだ、油断は出来ない。
やるべき事は?
王城の内部の偵察。
出来れば審判の石版を設置したい所だ。
夜だけど白く分厚い城壁の威容が分かる。
ここはN1E12マップのエリアポータルでもあるのだ。
その名前は白壁城。
まさに白い。
だがその内部は今や魔人の拠点の筈だ。
少し、いや、かなり緊張しているのが分かる。
少し落ち着こう。
表情は見えないように。
それでいて右手の魔人の指輪が見えるように。
それでいい筈。
王城の塔が闇の中で浮かんでいるかのように見えている。
その内部をオレは知らない。
知っているのは歌劇場みたいな場所だけだ。
あの場所に審判の石版設置?
微妙だな。
設置場所の吟味もしたいが、時間に余裕はあるようで無い。
それに魔人のまま行動すべきか?
そうすべきだな。
インビジブル・ブラインドは高位の魔人、特に名前持ちの魔人には感知されるかもしれない。
何事も完璧ではないのだ。
召喚モンスターは?
テロメア、キレート、モスリンならば影に潜む事は可能だ。
コートを羽織っているから、その中にフローリンを潜ませる事も出来るだろう。
城壁の裏手でテロメア、フローリン、キレート、モスリンを召喚しました。
枠が余るけど、今回は潜入であるのだ。
魔人の指輪を装備しているけど、折威を連れ歩くのも危険に思える。
オレの影の中へと沈んで行くテロメア、キレート、モスリン。
フローリンはオレのコートの中だ。
翼を畳めばどうにかなるだろう。
さて。
ここからは潜入になる。
王城内部の様子を探りつつ、審判の石版を設置するのにいい場所を物色しよう。
言葉にするだけであれば単純だ。
でも周囲に注意を払いながら、となると大変です。
それにどこで看破されるか、知れたものではない。
名前持ちの魔人は危険だろうな。
それ以上に名前持ちのドラゴンまでもがいるのです。
それに王弟。
きっといるんだろうな。
見付けたらオレが仕留めちゃっていいのかな?
サビーネ王女には仇敵になると思うのだが。
色んな意味で、やってはいけない気がする。
流れのままに行動するしかないな。
知っている場所を基点に、というのは基本だな。
歌劇場の前に来てます。
たまに行き交うのは魔人に魔物。
魔人はいつもの連中で様々、そしてガルムが主であった。
幾つかの建物の前にベリルビーストが門番みたいに待機していたりする。
人間がいない。
見掛けなかった。
そしてこの歌劇場の前にもベリルビーストが何体もいる。
ああ、仕留めてみたい。
全部、屠れたら宝石の原石が剥げる相手だ。
確実じゃないけど、これだけの数がいたら確率的に剥げる。
間違いない。
ああ、勿体無い。
実に勿体無い。
まあいいか。
歌劇場の内部を少し見てみよう。
以前、来たことのある場所だが、闇の中だ。
それに詳細に知っている訳でもない。
審判の石版が設置出来そうであるのか、調べてみよう。
候補地はあった。
舞台袖の奥に控え室のような場所があったのだ。
審判の石版、使っちゃおうか?
ここは王城の中枢からはやや外れるのだが。
まあ候補地の一つであるな。
いや。
審判の石版は幾つあるんだ?
正確に数えてみたら5つもあった。
もう、いいや。
使ってしまおう。
どことどこを繋ごうか?
以前は静かなる竹林の近くと古竜の巣との間を繋いだと思ったが。
そうだな。
暗闇城の近くにしておこう。
判別したり出来る自信は無い。
色々と覚えるのは面倒なんでね。
別のエリアポータルの近くにしておこう。
風霊の村がいいか。
理由は特にありません。
審判の石版の設置は失敗した。
出来ませんでした。
どうしても、出来なかったのです!
これはどうにもいけない。
撤収するか?
だが、王城の中枢のとなる王宮はまだ見ていない。
いや、名前持ちの魔人でもいたら仕留めたい所ですけど。
それに王宮内部にの構造を概略でもいいから把握しておくべきかな?
そうだな。
王宮に行ってみよう。
恐らくだがこの調子では普通の人間はいないみたいな雰囲気がある。
夜、というのは関係無いだろう。
完全に魔人の巣窟になっている。
ならば王宮だって同様だろう。
王宮。
それに名前持ちのドラゴン。
魔人に魔物。
それに謎の老人である魔神。
周囲は脅威だらけなのだ。
気を引き締めて進むとしよう。
「新たなるペドロリーノか?」
「そうだ」
王宮前の城壁の前にいた護衛となる魔人とベリルビーストはどうにかクリアしたんだが。
城門を通過してすぐに声を掛けられた。
マズい。
どうにか凌げるか?
イル・カピターノ Lv.65
イベントモンスター 魔人 会話中
戦闘位置:地上
その姿に見覚えはある。
闘技大会の雛壇で見て以来だ。
以前は侍従長であった筈。
王弟と一緒に魔人と化した奴だ。
その頃と変わらない姿のままだが、腰に刺突剣を佩いている。
以前の名前は何でしたっけ?
覚えていません。
スペクターロード Lv.5
イベントモンスター 魔物 アンデッド
討伐対象 アクティブ 戦闘位置:地上
闇属性 火属性 土属性 水属性 木属性
護衛役であるのか、スペクターロードがいる。
そうレベルは高くない。
それでも数は4体。
周囲に知られずに始末するのは無理だろう。
ここは会話で凌げそうかな?
「我には良い。だがステンテレッロ様にそのような物言いは許さん」
「承知した。そのステンテレッロ様は?」
「王の間である。失礼があってはならんぞ?」
そう言い残すとイル・カピターノは王宮の外に急ぎ足で出てしまうようだ。
ふむ。
どうにか凌げたか?
スペクターロードもイル・カピターノの前後を固めたままだ。
危なかったな。
そうでなければ裸絞めで仕留めに行ってたかもしれない。
殺意もどうにか抑え込めたようです。
良かった。
本当に、良かった。
お互いにとって幸運だった。
王宮内部に魔人はたまに行き交うけど仕留めに行けません。
通路はどこにでも歩哨であるのか、スペクターロードがいる。
参ったな。
これでは簡単に奇襲を仕掛けて魔人を屠れるような状況ではない。
広い中庭には何と琥珀竜までいやがる!
雲母竜と雪花竜の姿は見えない。
その代わりであるのか、スタッグドラゴンやニュートドラゴンがいる。
いずれにしても、ここで戦闘をするリスクは大きい。
やるなら気付かれずに暗殺するしかないのだが。
出来るような相手ではあるまい。
困った。
どうにかして仕留められないか、その機会を狙ってしまっている。
歩哨役のスペクターロードはマズいな。
魔人は?
やはり無理がある。
どこかの部屋に連れ込んでお楽しみとしたいんだが、都合良くそんな場所がある筈もない。
諦めた方がいいかな、これ。
王の間、というのはここなのだろう。
警備をしているであろうスペクターロードの数が多い!
それにレベルも高めであるようだ。
豪奢な雰囲気であるのは夜であっても明らかだ。
それに王座の周囲だけは明るく照らされている。
王の間は結構な広さがあるけど、ノクトビジョンで強化されたオレの目にはそれで十分です。
だが。
玉座の周辺は異様な雰囲気になっている。
周囲を固めているのは魔人達。
その肝心の玉座に座っている奴がいる。
ステンテレッロ Lv.48
イベントモンスター 魔人 会話中
戦闘位置:地上
その姿は?
仮面で顔を隠しているけど分かる。
王弟だ。
その手には宝石で飾られた杯。
玉座の右脇には名前持ちの魔人が控えている。
こいつらだ。
インナモラート Lv.55
イベントモンスター 魔人 会話中
戦闘位置:地上
インナモラータ Lv.55
イベントモンスター 魔人 会話中
戦闘位置:地上
以前にも見ているのと同じ奴かな?
男女のペアで、今も密着してイチャイチャしているようにしか見えない。
王弟と会話を楽しんでいるといった風情だ。
ここはどうする?
会話でもしてみようか。
スルーするのも変に思われるかもしれないしな!
「うむ?新たなるペドロリーノであるか?」
「いかにも」
「そうか。今度のペドロリーノはかなり強そうに見えるが、どうかな?」
王弟の問い掛けはインナモラートとインナモラータに対するものであったらしい。
その両者の視線がオレを貫く。
興味、それに侮蔑。
そんな感じがします。
「前任のペドロリーノよりは使えそうでしょうな」
「使えるようだといいわね」
そして互いを見るとクスクス笑うのみ。
周囲にいる他の魔人達に言葉は無い。
だが苦笑するような印象があった。
「我への挨拶ならば不要だ。それよりも我等が神は当面ここに戻らぬ」
「使命を受けるには遅かったな」
「遅かったようね」
「謁見が叶わぬ間はここで待機するなり忌々しい竜を狩るなり、好きにする事だな」
王弟の声には明らかな侮蔑が含まれている。
嫌な奴。
だがここで怒ってみた所で意味は薄い。
すぐ外にはあの琥珀竜までもがいるのです。
ここで戦ってみた所で勝機は無いのだ。
「そうさせて貰おう。ところで王はどこかな?」
「貴様の前に、いるではないか」
少しの間。
そして王弟は高らかに笑う。
インナモラートとインナモラータもだ。
周囲の魔人達も低く笑っている様子がある。
ふむ。
追従した方がいいかな?
少し笑っておこう。
「確かに今や新たな王がいるようだ。ちゃんと玉座に座っている事であるし」
「む?あ、いや。そう怒るなペドロリーノ」
いや、怒ってないから!
笑っただけだから!
どうも勘違いされたようだ。
急に王弟に狼狽する気配がする。
「我は新たにペドロリーノとなった身、ここの事情を知らされておらぬ」
「そうか、知らぬ者もおるであろうな。以前の王にして我が兄はどうなったかな?」
何故だろうか。
今度は急に満足気な様子を見せる。
インナモラートとインナモラータに投げかける視線も意味ありげだ。
「人の王など不要!処刑して、その死体はスケルトンとなったのだよ!」
「そうよ!最下層とはいえ不死たる栄誉を与えたんだわ!」
「王子達はゾンビだ!」
「やっぱり最下層のね!」
「不遜なる人の身で王などと僭称するからだ!」
「ステンテッロ様の英断だわ!」
インナモラートとインナモラータの笑い声は狂騒とも言える調子に変化している。
正直、胸糞悪くなってきた。
ジワリと殺意が芽生えている。
だがここは耐えろ。
情報は必要だ。
「では王女は?」
「どの王女も逃げ回っておるがな。いずれ全て捕らえてくれよう!」
「今度は何がいいかな?」
「スケルトンかしら?ゾンビかしら?」
「ステンテレッロ様の慰み者にするのはどうでしょう?」
「金紅竜との誓約と盟約を守る者には死を!」
ああ、もうね。
この王弟がサビーネ王女の獲物だって事は分かる。
だから、耐えろ。
ここで激発するのは意味が無い。
でもこれ以上、ここにいたら堪えられそうな気がしない。
退散しよう。
それにしては品が無い奴等だな。
全く、度し難い。
「では新たな王よ。我等が神の使命を得るまで好きにさせて貰おうか」
「そうするがいい。だが怠慢に過ぎるなよ?我等が神は寛容であるが怠慢への裁きは厳しい」
「そう、怠慢には厳しいのだ!」
「厳しいわよね?」
「汝のペドロリーノの位置も磐石ではない。ここにいる魔人に奪われる事を恐れるがいい」
周囲にいる魔人達をゆっくりと眺める。
挑んでくるような奴はいない。
ふむ。
惜しいな。
ここで戦って見せても良かったんだが。
「残念な事だ。今、ここで挑む者はいないようだぞ」
「むむ?」
どうも王弟は不満そうな様子で魔人達を見回している。
オレことペドロリーノを挑発したかったようだが。
残念そうな顔をしている。
同感だ。
オレも残念です。
骨のある奴にいて欲しかった!
「不遜なる者共を狩りに行かせて貰う。それで文句はあるまい?」
「む?そうだ。それでいい」
あのね。
威厳を取り戻したようで取り戻せてないぞ?
ま、余計な刺激は不要だ。
ここは退散するとしよう。
王弟の前を辞去する。
そうか。
王も王子も殺されてしまっている。
王女達はまだ逃げているという認識であるようだ。
その中にサビーネ王女も含まれていると考えていいだろう。
伝える事も出来るけど、苦い思いをするだろうな。
サビーネ王女もだが、オレもだ。
それに審判の石版をこの王城内に設置する事が出来そうにない以上、長居する意味は薄い。
退路は無い状況であるのだ。
少し王宮の構造を見て回る程度にしておこう。
その後は?
撤収するとしましょう。
それ以上、ここで出来そうな事はなさそうだ。
王宮を一通り見て回ると時刻はもう午後11時30分だ。
もう、いいか。
琥珀竜を近くで眺めるのもこれ以上は止そう。
威容に圧倒されるだけだ。
まあ色んな角度からスクリーンショットを撮ってるけどね。
極彩色のドラゴンだ。
敵側ではあるけど、観賞するのに十分な価値がある。
王宮も出て、王城も出よう。
何度か、魔物を襲いたくなる誘惑に駆られている。
どうにも精神衛生上、良くない。
それにしても、だ。
審判の石版が使えないのは痛いな。
実に痛い。
師匠達を連れて一気に王宮を攻める事が出来ただろうに。
ここの結界はどうもより強固であるのかもしれません。
では、撤収だ。
無事に家に帰るまでが遠足なのです。
物見遊山?
確かに。
何も戦闘になっていないのだから。
まあこんな日があってもいいさ。
それに収穫が全く無かった訳じゃない。
潜入は出来そうだ。
但し、再びペドロリーノとしての潜入は避けた方がいいな。
次は別の形で変装する事も必要になるだろう。
今日は終始、兜鎧を装備していたから顔は見られていない。
装備は変えて潜入すべきだろうか?
まあいい。
また潜入する機会があるかどうかも分からない
単独で潜入してどうにか出来るような場所じゃない、というのが分かっただけだ。
難攻不落、だな。
どうしても師匠達や金紅竜達の戦力が欲しくなる。
悔しいが、オレの実力が不足している。
こうなると明日以降、何をすべきであるのか?
更なる鍛錬、という事になりそうだ。
主人公 キース
種族 人間 男 種族Lv98
職業 サモンマスターLv36(召喚魔法修師)
ボーナスポイント残 73
セットスキル
小剣Lv69 剣Lv73 両手剣Lv73 両手槍Lv76 馬上槍Lv74
棍棒Lv70 重棍Lv71 小刀Lv70 刀Lv71 大刀Lv70
刺突剣Lv69 捕縄術Lv70 投槍Lv75 ポールウェポンLv74
杖Lv86 打撃Lv89 蹴りLv90 関節技Lv89
投げ技Lv89 回避Lv96 受けLv96
召喚魔法Lv98 時空魔法Lv84 封印術Lv82
光魔法Lv78 風魔法Lv78 土魔法Lv78 水魔法Lv78
火魔法Lv78 闇魔法Lv78 氷魔法Lv78 雷魔法Lv78
木魔法Lv78 塵魔法Lv78 溶魔法Lv78 灼魔法Lv78
英霊召喚Lv5 禁呪Lv79
錬金術Lv70 薬師Lv16 ガラス工Lv23 木工Lv46
連携Lv76 鑑定Lv69 識別Lv76 看破Lv57(↑1)耐寒Lv74
掴みLv76 馬術Lv76 精密操作Lv76 ロープワークLv69
跳躍Lv50e 軽業Lv50e 耐暑Lv72 登攀Lv60e
平衡Lv76
二刀流Lv73 解体Lv70 水泳Lv29 潜水Lv61
投擲Lv50e
ダッシュLv60e 耐久走Lv60e 追跡Lv33 隠蔽Lv71(↑1)
気配察知Lv68 気配遮断Lv71(↑1)暗殺術Lv60e
身体強化Lv60e 精神強化Lv60e 高速詠唱Lv50e
無音詠唱Lv60e 詠唱破棄Lv60e 武技強化Lv70
魔法効果拡大Lv69 魔法範囲拡大Lv69
呪文融合Lv69
耐石化Lv68 耐睡眠Lv68 耐麻痺Lv71 耐混乱Lv68
耐暗闇Lv68 耐気絶Lv79 耐魅了Lv66 耐毒Lv76
耐沈黙Lv68 耐即死Lv67




