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 ログインしました。

 時刻は午前4時50分。

 時間的にはかなり早かったみたいです。

 昨夜ログアウトしたのは普段とそう変わってなかったんですけどね。

 少し興奮しているのだろう。


 ポータルガードの面々は?

 全員、いるようだ。

 寝室の外にはスーラジがいた。

 早速、朝食を頼むとしましょう。

 食材には気を付けないといけません。

 ステータス値を底上げする効果がある金耀猪の肉のような物は避けるべきだ。

 フェアじゃない。


 そうだな。

 おはぎがいい。

 たまには甘味も欲しいのです。

 料理が出来上がるのを待つ間は何を?

 無論、闘技場で対戦だ。


 だがその前に。

 ポータルガードの見直しはしておこう。

 蝶丸、それに網代はレベル10に達したのであるし、ポータルガードに加えておきたい。

 問題は誰と交代させるかだ。

 ここは時間が惜しい。

 バンドルとスコーチにしよう。


 次は闘技場で対戦なのだが。

 今はまだ夜です。

 皇帝の石版で強化したら昼間の条件でも対戦が可能になっていた筈だ。

 それも確かめておこう。


 布陣は?

 ヴォルフ、護鬼、戦鬼、雷文、船岡です。

 地形は荒野、昼間の設定で開始だ。

 オレの得物は腐竜王のメイスに氷雪竜のトンファーで。

 オベリスクに捧げるアイテムは色々と試してみよう。

 但し、レア度高めのアイテムは危険な香りがする。

 そこは注意したい。

 魔結晶は控えるべきだな。

 魔水晶も品質低めのものに留めておこう。


 では、始めるか。

 最初は軽く、蛇魔神の肝を捧げてみましょう。




 ワイアーム Lv.11

 魔物 討伐対象 アクティブ

 戦闘位置:空中、地上

 火属性 風属性 塵属性 毒 ブレス



 うーむ。

 微妙。

 どうも魔石や魔水晶と異なり、その他アイテムだと強い魔物が出現し難いのかな?

 そんな印象があります。

 やはり魔水晶を使ってみるべきかね?






《只今の戦闘勝利で【棍棒】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【杖】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【打撃】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【受け】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【禁呪】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『雷文』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 気が付けば徐々にエスカレートしてた件。

 今のは?

 シェーシャの分身になってました。

 エリアポータル解放戦で戦ったのはシェーシャの幻影であった筈。

 その格上なのだろう。

 危なかった。

 死に戻るかと思ったよ!


 魔結晶でも品質低めだったらいけるかな?

 そう思って捧げたのがいけなかったようです。

 その他でレア度4とか5だと物足りなかったのだ。

 ムシュフシュ、外法蛇亀は中々だと思ったけどさ。


 今のシェーシャの分身には【禁呪】の呪文、ペトリファクションが通じていた。

 それが大きかったようですな。

 レジストされる前にディクレイ・ヒートも叩き込めたのも大きい。

 まあ結果的に良かったのであるし、ここは満足しておくとしよう。



 雷文のステータス値で既に上昇しているのは敏捷値でした。

 もう1点のステータスアップは器用値にしましょう。



 雷文 虎獣鵺Lv39→Lv40(↑1)

 器用値 26(↑1)

 敏捷値 61(↑1)

 知力値 26

 筋力値 56

 生命力 55

 精神力 26


 スキル

 噛付き 回避 威嚇 飛翔 空中機動 危険察知 匂い感知

 熱感知 追跡 夜目 気配遮断 捕食融合 捕食吸収 猛毒

 雷属性 自己回復[小] 物理抵抗[中] 魔法抵抗[小]

 MP回復増加[微] 分解



 期待していたのは捕食融合だったんですが、レベル40で発動はしなかったようです。

 そこまで都合よくは行かないようだ。

 残念!




《只今の戦闘勝利で召喚モンスター『船岡』がレベルアップしました!》

《任意のステータス値に1ポイントを加算して下さい》



 こうなると色々と考えないといけない。

 魔水晶も魔結晶も品質低めから高目まで、数を揃えておきたくなる。

 魔石と魔晶石は?

 その周辺は難易度的にもう物足りない。

 切り捨てていいだろう。



 船岡のステータス値で既に上昇しているのは筋力値でした。

 もう1点のステータスアップは器用値を指定しましょう。



 船岡 玄武Lv11→Lv12(↑1)

 器用値 25(↑1)

 敏捷値 43

 知力値 43

 筋力値 32(↑1)

 生命力 74

 精神力 43


 スキル

 噛付き 巻付 回避 水棲 掘削 匂い感知 熱感知

 気配遮断 堅守 変化 霊能 地脈操作 物理抵抗[大]

 魔法抵抗[大] 自己回復[中] MP回復増加[中] 猛毒

 暗闇 石化 麻痺 即死 時空属性 光属性 闇属性

 風属性 土属性 水属性 木属性 耐即死 毒無効



 観客席にはポータルガードの面々が集まっていた。

 その中にはスーラジもいる。


 おはぎ!

 おはぎ!


 それにポータルガードの面々がいるのを見て気が付いた。

 闘技場ってポータルガードの連中も参加出来るんじゃないの?

 それならば少し気楽に魔結晶を捧げる事が出来る。

 数が増えたら連携が問題になるけど。



 そうだな。

 大会日程は今日から3日間。

 時間的には余裕がある。

 レムトの町から戻ってから試すのもいい。


 それに召魔の森の周辺の様相も確認が進んでいません。

 洞窟もだな。

 色々と強化していたんだが、未確認なのは探索と戦力の底上げが優先だったからだ。

 その戦力底上げは一定のレベルに到達している。

 そろそろ、進めてみるのもいいな。


 挑み甲斐のある状況であって欲しい。

 本気でそう思います。





 おはぎを闘技場でじっくりと味わいながらも、悩む。

 雷文はレベル40になった。

 戦力の底上げ狙いで誰かと交代させたい。

 獅子吼と交代させておこう。


 時刻は?

 午前7時になろうとしてます。

 大会には早いけど、町の中の様子も見て回っておきたい。

 そうそう、生産職の面々には金耀猪の肉も売り払おう。

 結構な量がある。

 いい感じで魔水晶が追加出来ると思います。


 布陣はどうする?

 周囲への配慮が要るからおとなしく見える編成がいい。

 召喚モンスターは大会に参加しないけど、イベントがあったら困るからな。

 それに常時召喚しておくだけでも経験になるだろうし。

 無駄ではあるまい。

 結局、ヴォルフ、護鬼、ナインテイル、ナイアス、ルベルとしました。


 うん。

 おとなしく見えるだけだ。

 その実、おっかないと思います。




 テレポートでレムトの町に到着しました。

 周囲にはレムトの町へと跳んで来るパーティはが幾つも見えている。

 しまった。

 レムトの町の中は大混雑しているんじゃないのかな?


 フィーナさんの所の生産職メンバーであれば、大きな通りのどこかで屋台と露店をやっている筈。

 そうでないと困る。

 金耀猪の肉はたっぷりとあるのだ。





「ヘイ!いらっしゃい!」


「おはようさん」


 ミオのその掛け声は魚屋か八百屋じゃないのかな?

 そうツッコミたくなるけど間違っていないようです。

 屋台で焼いていたのはイカ焼きであったのだ。

 しかもこの香いは反則だろう!

 明らかに醤油の匂いがする。

 別の鉄板では牛肉らしき串焼きが焼かれている。

 何か煮込んでいる大鍋もあった。

 その匂いも反則だ。

 味噌煮込みか?


 早速、オレの手に渡されるイカ焼き。

 絶妙のタイミングだ。

 受け取ってしまっていた。



「今日は一緒に大会に出るんじゃないの?」


「第一回戦は明日なので、今日は応援と観戦で!」


 ほう。

 確か大会開催期間は3日間だ。

 第一回戦だけでも200試合近くある。

 12ある試合場を駆使しても初日だけで第一回戦を終わらせるのは厳しいのだろう。



「フィーナさんは?買い取って欲しいアイテムがあるんだけど」


「奥にいますけど。もしかして、食材ってあるの?」


「こないだ売った肉があるよ。もっと多くなってるけど」


「買った!」


 早いな、おい!

 そんなに欲しいの?



「かなりの量があるけど大丈夫か?」


「こないだ買った分はあっという間に売り切ったから実績あります!」


「ほう」


「フィーナ姉も絶対断らないと思う!」


 力強く断言するミオ。

 そういうものなのか?

 町の中にいる事が少ないから感覚が掴めません。


 屋台裏に回ると朝食を摂っているプレイヤーが大勢いる。

 フィーナさんの姿は無い。

 どこだろう?



「こっちですよー」


「うむ」


 ミオに付いて行く形で更に奥へ。

 馬車が並ぶ裏側だ。

 在庫整理でもしているんですかね?



「キースか?」


「おや、久し振りだな」


「ども」


 そこに揃っていたのは生産職の面々。

 フィーナさん達は当然いる。

 ジルドレ、カヤ、リュカーン、二郎に譲二、まだまだいる。

 皆、見知った顔ばかりだ。



「フィーナ姉!お肉、あるって!」


「何?」


「あれか?金耀猪の肉!」


 視線がオレに集中する。

 中には血走っているのもいるようだが。

 あれってそんなに需要あるの?



「言い値でもいいから買うぞ!」


「馬鹿ねえ、カルマはどうするのよ」


「支払いなら一括でいいか?」


 どうなっているんだ、これ?

 状況が良く飲み込めません。





 3つあるテーブルの上に金耀猪の肉。

 片隅には金冠鶏の肉もある。

 金冠鶏の卵だけはさすがに売りません。

 アレはそんなに大量には無いのだ。



「この量だが需要を賄えるか?」


「数日って所かしらね?」


「数日か!」


「それでも有難いと思わないとね」


 レムトに集合する機会にお互いに売り物を持ち寄って交易をしていたらしいのだが。

 先刻までは闘牛肉の取引をしてたみたいだ。

 そこへこの肉攻撃。

 結構な衝撃があったみたいです。


 優香が真剣な顔付きで何かを数えている。

 魔水晶だ。

 あの勢いはブロック肉を全部、買占めしかねない。


 並べてみると大変な量に見えるのですけど。

 ミオ曰く、これでも数日か。

 これで、数日。

 荒稼ぎ出来ちゃうんじゃないのかな?



「あるだけ買うのは確定ね。精算は先にするわ」


「ブロック単位?」


「重量単位で。出来るだけ各方面に行き渡るようにお願いね」


 フィーナさんの視線の先にリック。

 ここでも調整役なのか。

 苦笑しつつもリックが間に入って切り分けられた肉を振り分けている。



「そんなに需要があったんですか?」


「PK職が食い逃げする程度に需要があるのよ」


「気持ちは分かるけどねえ」


 困った顔をするサキさんにマルグリッドさん。

 まあ肉だからまだ距離を置いて困り顔が出来るそうですが。

 オレが持ち込んだ他の素材も似たような有様であったみたいだ。

 迷惑にならなきゃいいんだが、持ち込まれないと寂しいものでもあるらしい。



「ああ、そうそう。貴方の依頼分だけど大会期間には間に合わないの」


「ゴメンなさいね?」


「いえ。緊急性はないので」


 サキさんもマルグリッドさんも、その方面ではトップの職人になってしまっている。

 少しでも良い装備を手に入れたいプレイヤーは多くいると思える。

 今から依頼しても納期はかなり先になりそうだ。



「キースさんの試合時間と場所はどこでしょう?応援したいんですけど」


「興味あります」


 桜と河野だ。

 そういえばゴム製品の品質向上はどうなっているのかな?

 ロール練り作業なら得意だぞ!

 まあそれは蛇足だろうけど。



「午前8時30分、だな。場所は新練兵場A面になってる」


「大会開始後、2戦目ですね」


「プレイヤー注目の的ですよ!」


「そうなの?」


 オレとしたら楽しめたらそれでいいんですけどねえ。

 出来れば、様々な戦闘スタイルのプレイヤーと手合わせしてみたい。

 全員、グラップラーでもいいけど。


 闘技大会はいい。

 対戦相手が試合会場に出るまで分からないのがいい。

 驚きがあるのだ。

 どういった手順で戦うか、頭の中で思い描くのもいい。

 その予測が裏切られるのは最高だ!


 出来れば最初の闘技大会で与作と戦った試合みたいな展開がいいな。

 今回は試合時間が5分で区切られている。

 でも勝ち抜けば最大30分間、楽しめる可能性があるのだ。

 そうであって欲しいが。



「じゃあ早めに試合会場に入ってますので」


「分かったわ。試合が終わったらここに寄ってね?精算を終わらせておくから」


「了解です」


 ここは一旦、辞去するとしよう。

 生産職の面々、特に料理人が真剣な眼差しで交渉している。

 この喧騒に介入する余地は無い。

 フィーナさんとリックに任せるとしましょう。




 ギルド建屋の前はプレイヤー達で溢れていた。

 顔を出すのは止そう。

 大会を機会に依頼を受けに来ているのだろうけどね。


 旧練兵場の前も凄い賑わいだ。

 やはり通り過ぎるだけであるのだが。

 ちょっと、気になる。

 PK職らしき影が視界に入ってしまう。

 見えてしまう。

 【看破】してしまう。

 どうしても視線が追い掛けてしまう。



《これまでの行動経験で【看破】がレベルアップしました!》


 レベルアップまでしてしまう始末だ。

 多いよね?

 それにプレイヤーだけでなく、NPCまで混じっている。

 もう何がなにやら。


 何か悪さをしている訳ではないなら放置で。

 気にしていられない。

 今は新練兵場に急ごう。






 受付を済ませたら控え室に通されたのだが。

 雰囲気が、変だ。

 驚愕の表情。

 そして安堵の表情。

 色々だ。


 この雰囲気も独特だな。

 一気にこれ程の数のプレイヤーと顔を合わせる機会はそう多くない。

 酔ってしまいそうだ。



「お久しぶりです、キースさん」


「うん?」


 壁際に座り込んでいたら目の前に挨拶するプレイヤーの姿が。

 見覚えがある。

 ガヴィだ。



 ??? Lv.16

 メイズパイロット 待機中



 おや?

 控え室からもう名前が見えなくなっている。

 それよりもメイズパイロットって?

 迷宮案内人って所であるのだろうか?



「ああ、久し振り」


「こっちの控え室にいるプレイヤーは皆、安心していると思いますよ?」


「え?」


「初戦、キースさんとの対戦は無いと思いますから」


「えっと。そうなの?」


「ええ」


「もしかして、対戦するのが怖いの?」


「怖がっていないのもいると思いますけど、どうでしょう?」


 ガヴィの後ろから視線が。

 リディアだ。

 いかんな、ちょっと気まずい。

 色々と事故があった相手なのだ。

 でもガヴィの言うとおりであれば初戦では少なくとも対戦は無い。

 事故はないだろう。



 ??? Lv.17

 エレメンタル・マグス『光』 待機中



 リディアの場合もクラスチェンジしているようです。

 そう言えば、見たことの無い職業のプレイヤーが多いな。



「お互いに勝ち残れば対戦する機会はありそうだね」


「本音を言えば早い段階で当たりたくないです」


「そうなの?」


「多分、ここにいる全員がそう思ってます」


「そうなんだ」


 不思議だ。

 オレとしては怖がらせているつもりは無い。

 毛頭ない。

 禿じゃないけど、ありません。





 微かに振動。

 どうやら開会式が行われている気配がする。

 そして早速、ギルド職員がプレイヤー達を呼びに来ている。

 初戦が始まるのだ。


 オレはどうする?

 戦闘ログを見ようかと思ってたら、ライブ動画も同時配信されてました。

 何だ。

 こっちの方がいい。

 断然いい。

 運営もちゃんと改善の手を打っているようだ。

 普段は何もしていないように思ってたんだが。


 いや、顔を見たら制裁したくなるかもしれないけどさ。

 たまにはプレイヤーに優しい対応をお願いしたいものだ。






「えっと、キースさんですね。出番なのですが」


「はい」


 呼びにきた職員さんが怪訝そうな顔をしている。

 何か問題が?



「本当に、一人ですか?」


「ええ。召喚モンスターは連れて行っていいですか?」


「それは遠慮願います」


 ありゃ。

 ヴォルフ達はここで待機させるしかないのか。

 これはもう仕方ない。


 ところで。

 職員さんの表情は何を意味していたのだろう?

 驚いているのか。

 呆れているのか。

 どっちなんでしょうね?






 試合会場の様相は少し違って見える。

 観客席が拡充されているようです。

 そして雛壇。

 ギルド長に師匠にジュナさんにゲルタ婆様。

 重鎮がいるのはまあ分かる。

 その中に見覚えのある女性がいる。

 竜騎兵のサビーネだ。

 その革鎧は使い込まれたものではなく、新調した物である様だ。


 座っているサビーネ王女の後方に竜騎士達。

 ラーフェン、グリエル、プリムラだ。

 警護役になるのだろう。

 完全に主従が逆転しているようだ。


 オレがこれから対戦する試合会場は雛壇から見て真正面ではない。

 こっちに気づく様子は見えなかった。


 まあいいさ。

 今は対戦相手を吟味するとしましょう。

 ルール上、対戦毎に得物を切り替えていいのだ。

 そこがまた面白い。

 さあ、相手がどんな感じであるのか、確かめましょう。

 試合場の対角線に佇む6名のプレイヤー。

 あれが相手みたいだ。




 ??? Lv.15

 アマゾネスレディ 待機中



 ??? Lv.15

 バーサーカー 待機中



 ??? Lv.15

 ガーディアン 待機中



 ??? Lv.14

 エレメンタル・マグス『雷』 待機中



 ??? Lv.16

 スカウトリーダー 待機中



 ??? Lv.15

 バトルマスター 待機中



 ガヴィ達に迫るレベルかな?

 中々の戦力であるのだろう。


 先鋒は恐らく、重装備のガーディアン。

 金属鎧に大きな方形の盾。

 その手には先端に鉄球を備えたメイスか?

 確かその武器の名前はモーニングスター。 

 金平糖のように星状の棘が鉄球には生えている。

 無論、金平糖と異なりその棘は鋭い。

 剣呑そのものだ。


 ふむ。

 格闘戦でどうにかなりそうな雰囲気がしません。

 ここは力押しすべきですかね?

 オレが選んだ得物は断鋼鳥のコラだ。

 大いに興味がある。

 あの金属製の鎧兜に盾だが、この断鋼鳥のコラでどこまで通用するかな?



 互いに対角線に位置する。

 自然と対戦相手のガーディアンと視線が合う。

 おお。

 兜に隠れてその表情は見えない。

 でも腰を落として構える姿は様になっている。


 いかん。

 ここは笑う所ではないよね?

 嬉しい。

 今は戦いを、楽しめ!



 互いに。

 礼。


「始め!」


 開始と同時に断鋼鳥のコラを肩に担ぐ。

 腰を、落とす。

 さあ、どうしよう?

 何をしてもいい。

 だが考えるな。

 動け!



「真降魔闘法!」「エンチャントブレーカー!」


『シールド・ラッシュ!』


 武技を使ってから前へ。

 相手も盾の武技で距離を詰めに来ている。

 いいぞ。

 接近戦はこっちも望む所だ。



((((((八部封印!))))))

((((((九曜封印!))))))


 封印術を使う。

 呪文も武技も禁止で。

 その代わり、オレもここから先は呪文は使わない事にするから。

 それでどうにかご勘弁を。


 状態異常を示すマーカーはちゃんと表示されている。

 大変結構。

 ここからはお楽しみだ。



「シャッ!」


 オレの放った斬撃は盾に直撃した。

 思っていた以上に大きな衝撃音が響く。

 オレも肘の辺りに痺れるような感覚が残っていた。



『ッ!?』 


 何か武技を使おうとしたみたいだ。

 でも発動はしない。

 こらこらこらこら。

 足元がお留守ですよ?


 足の甲を踏む。

 モーニングスターを振ろうとする所だったから簡単に体勢が崩れている。



「ッ!」


 一気に懐に入って肩から体当たりだ。

 本来なら対抗出来る体格差ではない。

 でもこのサイズ以上の相手と何度も戦っているのだ。

 鞍馬に比べたら軽いものだ。



「シャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」


 断鋼鳥のコラを思いっ切り振り下ろす。

 ガーディアンの肩口に直撃した!

 金属製の鎧が変形しているのが見えていた。

 いかんな。

 これでは殴打武器みたいじゃないか!



《試合終了!戦闘を停止して下さい!》


 更に追撃しようとしていたらインフォが制止してくる。

 あれ?


 対戦相手のガーディアンが動かない。

 どうも気絶しているような雰囲気ですけど。


 待て。

 待ってくれ。

 今の、無しで!



 だがそこはギルド職員も容赦なしだ。

 ガーディアンは4人がかりで退場となり、次の相手が試合場の端に進み出ている。

 今度はスカウトリーダーだ。

 動き易そうな革鎧に得物はフルーレ。

 肩ベルトに差し込んであるのは投げナイフかな?


 ほう。

 フルーレを使うのね?

 刺突剣か。

 こっちにも刺突剣、あるよ。

 興味深い。

 得物は転生獅子のレイピアにしよう。

 断鋼鳥のコラに拘る必要は無いのだ。







 これが最後の対戦だ。

 目の前にはアマゾネスレディ。

 そう、アマゾネスレディ。

 困ったな。

 対戦相手の中で唯一の女性か。


 ここまで、対戦そのものは短時間で終わらせている。

 かと言って、全て結果ほどには凡戦ではない。


 最初のガーディアンは断鋼鳥のコラで真正面から挑んで叩き潰した。

 次のスカウトリーダーは転生獅子のレイピアで太股を貫いて、動きが鈍った所を場外に投げ飛ばした。

 その次のバーサーカーは腐竜王のメイスで頭部を殴って昏倒させた。

 更に次のエレメンタル・マグス『雷』は呪文を封印した上で裸絞めで仕留めた。

 そしてつい先刻のバトルマスターは腕をロックしたまま抑え込んで、腕が折れた所で勝負ありになった。


 全力で挑んでくる相手には全力で応えるのが礼儀だ。

 手抜きはしていません。


 だが目の前のこの相手にはどうするか?

 得物は弓矢持ち。

 明らかに距離を置いて戦闘を展開したがるのだろう。

 どうせなら、投擲で勝負するか?

 接近戦では事故が起きる可能性がある。

 かなり前ではあるのだが、リディアとの対戦で懲りているのだ。


 オレが選んだのは双角猛蛇神の投槍。

 断鋼鳥のククリ刀は果たして使うかどうか。

 アポーツの呪文も使うかもしれない。



 互いに。

 礼。


「始め!」


 開始と同時に矢が襲って来る。

 だが命中はしなかった。

 牽制なのだろうな。


「真降魔闘法!」「エンチャントブレーカー!」「スナイプ・スロー!」


 一気に武技を継ぎ足して槍を投じる。

 射程は試合場をカバー出来る筈だ。

 槍は一直線に、アマゾネスレディの胴体に吸い込まれて行く。



((((((八部封印!))))))

((((((九曜封印!))))))


 取り敢えず、呪文と武技を封じに行く。

 右手で断鋼鳥のククリ刀を抜き放つ。

 そして前へと駆け出した。



《試合終了!戦闘を停止して下さい!》


 制止のインフォが耳の奥に響く。


 あれ?


 あれえ?




 対戦相手のアマゾネスレディのHPバーは残り3割程度になってしまっていた。

 しかも気絶してるのか?

 秒殺になってしまった。

 そういえば双角猛蛇神の投槍って気絶判定にボーナスがありましたっけ。

 意識してませんでした。


 いや、違う。

 配慮が足りなかった、だな。

 傍目から見たらオレって結構、酷い奴に見えませんかね?



《本選第二回戦に進出しました!第二回戦は明日午前10時00分、新練兵場C面の予定となります》

《一回戦突破によりボーナスポイントに1ポイント加算されます。合計で59ポイントになりました》


 気絶していたアマゾネスレディも無事にギルド職員の手によって回復出来たみたいだ。

 良かった。

 ある意味で事故だったけど、リディアとの対戦のような事は起きませんでした。

 但し、最後の対戦だけは残念。

 もう少し、別の戦い方が出来なかったかな?

 楽しめていません。

 相手のアマゾネスレディも楽しめて無かっただろう。


 まだ大会は続くのだ。

 得物の特性には注意しておこう。



 雛壇を見ると?

 師匠が軽く手を振って合図をしている。

 ジュナさんは片手を思いっ切り掲げてブンブンと振っている。


 軽く一礼して応える。

 試合場を降りるとギルド職員さんに装備の修復をして貰い、会場を後にした。

 控え室に残したヴォルフ達と合流しよう。



 試合を観戦したい気持ちはあった。

 でもどこか居心地が良くない。

 見られている。

 明らかに、見られている。

 視線が痛い。

 NPCまでもがこっちを見ているような気にすらなる。

 自意識過剰、だよね?


 ここは退散しましょう。

 フィーナさんの所に寄って、精算を終わらせて撤収だな。




「初戦突破おめでとう」


「見てたけど圧倒的だったわね」


「はあ」


 どう答えていいものか。

 最後の対戦以外は納得出来る戦いであったけどね。

 格闘戦成分的にはまだまだ不足している。

 最近、オレにとって強敵のハードルが上がっているのだ。

 封印術の呪文を使って強引に普段の対戦に近い形に持ち込んでいる。

 勝てているのは鞍馬を始め、普段から対戦の経験を積んでいる点も大きいと思う。



「精算は終わってるわ」


「あ、はい」


 渡された皮袋の中身は魔水晶。

 いや、何個か魔結晶も混じっている。

 これは召魔の森の闘技場で使ってもいいな。



「フィーナさん達もこれからですか?」


「午後になるわね。無差別級は攻略組の参加が多いし、目指すは初戦突破かしらね?」


 フィーナさんはそう言いますけどね。

 サキさんやマルグリッドさんも同じチームで参加しているのだ。

 フィーナさんはややレベル的に低いように見えるけど、そこはそれ。

 怒らせたら怖いって事をオレは知っている。



「キースはもう撤収?」


「ええ。明日に向けて反省と鍛錬、ですね」


「それ、攻略組が全員泣くと思うわ」


 フィーナさんの答えには苦笑するしかない。

 別に誰かを泣かせたくて鍛えている訳じゃないですし。


 では、フィーナさん達の所を辞去する事にしましょう。

 闘技大会も観戦するにしても居心地が悪いのでは仕方が無い。

 召魔の森に撤収だ。

 闘技場で対戦するのもいいが、周囲の森の様子でも確認しようかね?

 洞窟でもいいけど。

 それは戻ってから考えたらいい。


主人公 キース


種族 人間 男 種族Lv87

職業 サモンマスターLv25(召喚魔法修師)

ボーナスポイント残 59


セットスキル

小剣Lv54 剣Lv54 両手剣Lv54 両手槍Lv62 馬上槍Lv64

棍棒Lv59(↑1)重棍Lv58 小刀Lv54 刀Lv59 大刀Lv64

刺突剣Lv56 捕縄術Lv56 投槍Lv52 ポールウェポンLv63

杖Lv74(↑1)打撃Lv79(↑1)蹴りLv79 関節技Lv78

投げ技Lv78 回避Lv85 受けLv85(↑1)

召喚魔法Lv87 時空魔法Lv74 封印術Lv71

光魔法Lv67 風魔法Lv67 土魔法Lv67 水魔法Lv67

火魔法Lv67 闇魔法Lv67 氷魔法Lv67 雷魔法Lv67

木魔法Lv67 塵魔法Lv67 溶魔法Lv67 灼魔法Lv67

英霊召喚Lv5 禁呪Lv67(↑1)

錬金術Lv58 薬師Lv16 ガラス工Lv23 木工Lv41

連携Lv64 鑑定Lv59 識別Lv64 看破Lv35(↑1)耐寒Lv60

掴みLv64 馬術Lv65 精密操作Lv65 ロープワークLv56

跳躍Lv50e 軽業Lv50e 耐暑Lv60 登攀Lv55

平衡Lv64

二刀流Lv59 解体Lv59 水泳Lv29 潜水Lv46

投擲Lv50e

ダッシュLv57 耐久走Lv57 隠蔽Lv58

気配遮断Lv58 暗殺術Lv60e

身体強化Lv58 精神強化Lv58 高速詠唱Lv50e

無音詠唱Lv56 詠唱破棄Lv56

魔法効果拡大Lv58 魔法範囲拡大Lv58

呪文融合Lv55

耐石化Lv51 耐睡眠Lv52 耐麻痺Lv59 耐混乱Lv54

耐暗闇Lv58 耐気絶Lv62 耐魅了Lv50 耐毒Lv64

耐沈黙Lv52 耐即死Lv47


召喚モンスター

雷文 虎獣鵺Lv39→Lv40(↑1)

 器用値 26(↑1)

 敏捷値 61(↑1)

 知力値 26

 筋力値 56

 生命力 55

 精神力 26

 スキル

 噛付き 回避 威嚇 飛翔 空中機動 危険察知 匂い感知

 熱感知 追跡 夜目 気配遮断 捕食融合 捕食吸収 猛毒

 雷属性 自己回復[小] 物理抵抗[中] 魔法抵抗[小]

 MP回復増加[微] 分解


船岡 玄武Lv11→Lv12(↑1)

 器用値 25(↑1)

 敏捷値 43

 知力値 43

 筋力値 32(↑1)

 生命力 74

 精神力 43

 スキル

 噛付き 巻付 回避 水棲 掘削 匂い感知 熱感知

 気配遮断 堅守 変化 霊能 地脈操作 物理抵抗[大]

 魔法抵抗[大] 自己回復[中] MP回復増加[中] 猛毒

 暗闇 石化 麻痺 即死 時空属性 光属性 闇属性

 風属性 土属性 水属性 木属性 耐即死 毒無効


召魔の森 ポータルガード

黒曜、ジェリコ、クーチュリエ、雷文、守屋、スーラジ、久重

テフラ、岩鉄、キュアノス、ノワール、虎斑、蝶丸、網代


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― 新着の感想 ―
痛覚100%で薩摩剣士の一撃を食らうのは恐怖どころじゃないなぁ…w あとレア度高い肉に目の色変える2人、ミオはともかく大人しい優香が凄い食いつくのがいいw
[良い点] えーと、w 怖すぎ...w
[気になる点] > ((((((九曜封印!)))))) 九曜は違うのでは?
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